アルファプラFⅡの特徴と使い方|適応・寝返り・カバーの違い

臨床手技・プロトコル
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アルファプラFⅡとは|設定不要の体圧分散式マットレス

アルファプラFⅡは、タイカが販売する電源やリモコンを必要としない体圧分散式マットレスです。体圧を分散するだけでなく、硬さや弾力の異なる素材を組み合わせることで、寝返り時に必要な下肢の回転を行いやすくする「寝返りサポート」を特徴としています。

エアマットレスのような体重設定や圧切替操作はありません。そのため、使用時に重要なのは「設定できているか」ではなく、皮膚への負荷を減らしながら、寝返り・起き上がりなど本人の動きやすさを保てているかを確認することです。

メーカーでは、軽度〜中等度の床ずれリスク、ベッド上動作が難しい人、低体重や骨突出がある人などを対象の目安としています。OHスケールでは3〜8点がマットレス選定の目安として示されていますが、スコアだけで機械的に決めず、皮膚・自力体動・湿潤・既存褥瘡などを含めて判断します。

アルファプラFⅡの基本的な特徴
確認項目 アルファプラFⅡ
種類 体圧分散式マットレス
電源 不要
体重設定 不要
主な特徴 体圧分散+寝返りサポート
厚さ 13cm
設置 リプレイスメントタイプ
カバー 撥水・防水タイプ/通気タイプ
メーカー選定目安 OHスケール3〜8点
アルファプラFⅡの選び方。向いている人、寝返りサポート、カバー、皮膚や離床の確認ポイントを整理した図
アルファプラFⅡは体圧分散だけでなく、自力体動を残せるかまで確認します。図中のFⅡ-Wは撥水・防水カバーを例示していますが、FⅡ-Wには通気カバータイプもあります。

体圧分散マットレスは「柔らかいほどよい」とは限りません。身体を包み込む性能と、本人が身体を動かせる安定性のバランスを見る必要があります。マットレスの厚さや構造の読み方は、体圧分散マットレスの厚さ・構造・性能表示の見方でも整理しています。

アルファプラFⅡはどんな人に向いている?

メーカーが示す対象者の目安では、アルファプラFⅡは軽度〜中等度の床ずれリスクがあり、体圧分散と身体の動きやすさの両方を考えたい人が主な対象です。

アルファプラFⅡの対象者の目安
対象 確認したいこと
床ずれリスクが軽度〜中等度 発赤、骨突出部、湿潤、体位変換能力
寝返り・ベッド上動作が難しい 寝返り開始、下肢回旋、骨盤・体幹回旋
体位変換などの介助が必要 本人の残存能力、介助量、ずれ
低体重 十分に沈み込み、骨突出部を包み込めているか
痩せ・変形による骨突出部の疼痛 疼痛部位、圧迫部位、姿勢
エアマットレスが合わない 揺れ、安定性、寝心地、自力体動への影響

一方で、メーカーの「OHスケール3〜8点」はあくまで選定の目安です。3〜8点であれば自動的にFⅡを選ぶという意味ではありません。

たとえば同じスコアでも、自力で頻回に寝返りできる人と、ほとんど姿勢を変えられず仙骨部に持続的な発赤がある人では、必要な支持面が異なる可能性があります。

関節拘縮が強い場合は、メーカーもポジショニングの併用を推奨しています。マットレスだけで身体のアライメントを整えようとせず、必要に応じてクッションなども組み合わせます。

寝返りをサポートする構造がFⅡの特徴

アルファプラFⅡの特徴は、単に身体を柔らかく受け止めることではなく、寝返り時に必要な下肢の回転を妨げにくい構造にあります。

メーカーによると、硬さや弾力の異なる素材を組み合わせた特殊構造によって、従来品より寝返り時の下肢回旋を行いやすくしています。また、メーカー比較試験では、下肢を回転させる際に使用される腹斜筋部の負荷が従来品より低減したとされています。

この結果は特定条件で行われたメーカー試験であり、すべての患者さんで寝返りが改善することを保証するものではありません。臨床では、実際の寝返り動作を確認します。

寝返りで確認したい動作
動作 確認ポイント
開始 頭部・上肢・下肢から動作を開始できるか
下肢回旋 下肢を倒す動きがマットレスの沈み込みで妨げられていないか
骨盤回旋 骨盤を浮かせる・回す動作が可能か
体幹回旋 肩甲帯・体幹まで連続して回旋できるか
姿勢修正 側臥位になったあと自力で身体位置を微調整できるか

体圧分散性能が高くても、沈み込みによって寝返りが著しく難しくなれば、本人が行っていた自発的な除圧が減る可能性があります。FⅡを使用するときも、皮膚だけでなく「本人がまだ動けているか」を見ることが重要です。

エアマットレスとの違い|どちらを選ぶ?

アルファプラFⅡと高機能エアマットレスは、どちらが一律に優れているという関係ではありません。必要な圧再分配性能、患者さんの自力体動、姿勢保持、湿潤、寝心地などから選択します。

アルファプラFⅡと高機能エアマットレスの主な違い
項目 アルファプラFⅡ 高機能エアマットレス
電源 不要 多くは必要
体重・硬さ設定 不要 製品によって必要
圧切替 なし 製品によってあり
支持面 一定した安定性を得やすい 製品・設定によって変化する
動作時 自力体動を活かせるか確認する 沈み込みや揺れが動作へ与える影響を確認する
主な観察 皮膚+寝返り・起き上がり 皮膚+設定・圧切替・離床

エアマットレスの揺れや不安定感が合わず、自力での寝返りや起き上がりをできるだけ活かしたい場合には、FⅡのような電源を使用しない体圧分散式マットレスが選択肢になります。

一方、皮膚・組織への負荷が高く、より積極的な圧再分配が必要な場合などは、患者さんの状態に合わせて高機能エアマットレスを含めた支持面を検討します。

マットレス選定後は、それで終了ではありません。導入後の皮膚・動作・寝心地を再評価し、適合していなければ変更します。

撥水・防水カバーと通気カバーの違い

アルファプラFⅡには、撥水・防水カバータイプと通気カバータイプがあります。マットレス本体の特徴だけでなく、失禁や発汗などの状況に応じてカバー仕様も確認します。

アルファプラFⅡのカバータイプ
カバー 特徴 確認したい場面
撥水・防水カバー 表面に撥水性を持たせ、裏面のフィルムで汚物などの浸透を防ぐ 失禁や液体汚染の可能性がある場合
通気カバー 吸湿速乾性を持ち、さらっとした使用感を目指す 発汗や寝床内のムレを考慮したい場合

どちらを使用していても、カバーだけで湿潤管理が完結するわけではありません。発汗、尿・便失禁、寝衣、シーツ、吸収パッド、防水シーツ、室温・湿度なども確認します。

特に防水シーツや吸収材を何層も重ねると、マットレスやカバーが本来持つ体圧分散性・通気性へ影響する可能性があります。必要な寝具を過不足なく使用します。

アルファプラFⅡ-Wとの違い

アルファプラFⅡ-Wは、マットレス本体にアルファプラFⅡを使用し、抗ウイルス+抗菌加工を施したカバーを組み合わせた製品です。

したがって、FⅡとFⅡ-Wの大きな違いは、寝返りサポートや体圧分散の基本構造ではなくカバー仕様です。

アルファプラFⅡとFⅡ-Wの違い
項目 FⅡ FⅡ-W
マットレス本体 FⅡ FⅡを使用
カバー加工 制菌加工 抗ウイルス+抗菌加工
撥水・防水タイプ あり あり
通気タイプ あり あり
厚さ 13cm 13cm

メーカーではFⅡ-Wの抗ウイルス加工について試験結果を示していますが、すべてのウイルス・菌による感染を予防するものではなく、感染症の治療を目的とした製品でもありません。

感染対策はマットレスカバーだけに依存せず、標準予防策、環境整備、適切な洗浄・消毒などと組み合わせます。

無膜ウレタンで熱や湿気を逃がしやすくする

アルファプラFⅡには、空気や水を通しやすい無膜ウレタンが採用されています。メーカーは、暑さによるムレの軽減や、洗浄後の乾燥時間短縮を特徴として示しています。

メーカー比較試験では、有膜ウレタンと比較して熱の放散性能が30%向上し、洗浄後の乾燥時間が1/6になったとされています。

これらはメーカーの試験条件下で得られた結果です。患者さんの発汗や寝床内温度が必ず30%改善する、あるいはすべての使用環境で乾燥時間が1/6になるという意味ではありません。

実際には次の項目を確認します。

  • 背部・仙骨部の発汗
  • 皮膚の湿潤・浸軟
  • 尿・便失禁
  • 寝衣やシーツの湿り
  • 防水材や吸収材の重なり
  • 室温・湿度

体圧・ずれ・微気候はそれぞれ独立した問題ではありません。皮膚所見を見ながら総合的に評価します。

厚さ13cm|サイズと設置時の確認

アルファプラFⅡは厚さ13cmのリプレイスメントタイプです。既存マットレスの上に追加するのではなく、使用するベッドに適したサイズへ交換して設置します。

アルファプラFⅡの主なサイズ
幅 長さ 厚さ
83cm 195cm 13cm
83cm 181cm 13cm
91cm 195cm 13cm
91cm 181cm 13cm
100cm 195cm 13cm

撥水・防水カバータイプ、通気カバータイプともに基本的なサイズ展開は共通です。使用製品の型番や最新仕様はメーカー公式情報で確認してください。

マットレス交換後は、厚さやベッドへの収まりだけではなく、離床時の環境も再評価します。

  • 端座位で足底が床につくか
  • 以前と比べて床面高が変わっていないか
  • 立ち上がりがしやすい高さか
  • サイドレールとの高さ関係は安全か
  • マットレスがベッドフレーム内でずれていないか

PTが見るポイント|皮膚と寝返り・離床を一緒に確認する

アルファプラFⅡを使用するときにPTが確認したいのは、仙骨部などの皮膚だけではありません。FⅡは寝返りサポートを特徴とするため、皮膚と自力体動を同時に確認することで製品特性を活かしやすくなります。

アルファプラFⅡ使用時の観察項目
領域 確認項目
皮膚 発赤、圧痕、疼痛、湿潤、浸軟、既存褥瘡
沈み込み 骨突出部を包み込めているか、沈み込みすぎていないか
寝返り 下肢回旋、骨盤回旋、体幹回旋、介助量
起き上がり 上肢支持、骨盤移動、体幹挙上
端座位 足底接地、体幹安定性、殿部の沈み込み
移乗 立ち上がり、床面高、介助量
寝心地 疼痛、違和感、睡眠、自覚的な快適性
微気候 発汗、失禁、寝具、皮膚湿潤

たとえば、仙骨部の発赤は改善したものの寝返りが難しくなった場合には、「皮膚がよくなったから適合」と即断せず、本人の自発的な体位変換が減っていないかも確認します。

逆に寝返りがしやすくても、骨突出部の持続発赤や疼痛が残る場合は、より適した支持面やポジショニングを検討する必要があります。

マットレス導入後の評価の考え方は、体圧分散マットレス導入後の再評価と記録でも整理しています。

アルファプラFⅡの記録例

FⅡにはリモコン設定がないため、記録では「FⅡ使用中」だけで終わらせず、皮膚・寝返り・端座位など使用後の反応を残すことが重要です。

アルファプラFⅡ(撥水・防水カバー)使用。仙骨部・踵部に持続発赤なし。背部の著明な湿潤なし。

背臥位から右側臥位への寝返りは、下肢回旋から骨盤・体幹回旋へ連続して実施可能。ベッド柵を使用し見守りで可能。殿部の過度な沈み込みは認めない。

端座位では足底接地可能、体幹保持は自立。マットレス変更前と比較して起き上がり・移乗時の介助量に増加なし。現状の支持面を継続し、皮膚・寝返り能力を再評価する。

アルファプラFⅡの記録項目
項目 記録内容
製品 アルファプラFⅡ/カバータイプ
皮膚 発赤、圧痕、疼痛、湿潤
沈み込み 骨突出部、身体の傾き、支持状態
寝返り 自立度、動作方法、介助量
離床 起き上がり、端座位、立ち上がり、移乗
快適性 疼痛、寝心地、睡眠
判断 継続/ポジショニング変更/支持面再検討

「何を使っているか」だけでなく、その支持面で患者さんがどうなっているかを記録すると、他職種でも適合性を再評価しやすくなります。

よくある質問

アルファプラFⅡは電源や体重設定が必要ですか?

必要ありません。エアポンプやリモコンを使用せず、マットレスの素材と構造によって体圧分散と寝返りサポートを行う製品です。

OHスケールが3〜8点ならアルファプラFⅡを選べばよいですか?

3〜8点はメーカーが示しているマットレス選定の目安です。スコアだけで決定せず、皮膚、既存褥瘡、自力体動、関節拘縮、湿潤、疼痛、寝心地などを合わせて判断します。

撥水・防水カバーと通気カバーはどちらがよいですか?

失禁や液体汚染への対応を重視する場合は撥水・防水タイプ、吸湿速乾性などを重視する場合は通気タイプが選択肢になります。ただし、患者さんの排泄状況、発汗、皮膚状態、施設の管理方法などから総合的に選択します。

FⅡとFⅡ-Wはマットレス本体が違いますか?

メーカーはFⅡ-Wについて「マットレス本体はアルファプラFⅡを使用」としています。主な違いはカバーで、FⅡ-Wには抗ウイルス+抗菌加工が施されています。FⅡ-Wにも撥水・防水タイプと通気タイプがあります。

エアマットレスよりFⅡのほうが寝返りしやすいですか?

一律には言えません。FⅡは寝返りをサポートする構造を特徴としていますが、寝返り能力は筋力、関節可動域、疼痛、麻痺、ベッド環境などにも左右されます。エアマットレスも製品・設定によって安定性が異なるため、実際の患者さんの動作で比較します。

まとめ|体圧分散だけでなく自力体動まで確認する

アルファプラFⅡは、電源や体重設定を必要とせず、体圧分散と寝返りサポートを両立することを目的とした体圧分散式マットレスです。メーカーでは軽度〜中等度の床ずれリスク、寝返りやベッド上動作が難しい人、低体重・骨突出がある人などを対象の目安としています。

使用時は、体圧が分散されているかだけでなく、寝返り・起き上がり・端座位といった本人の活動が保たれているかを確認します。

また、撥水・防水カバーと通気カバー、FⅡ-Wの抗ウイルス+抗菌カバーなど複数の仕様があります。患者さんの皮膚・排泄・発汗・動作能力に合わせて選択し、導入後の反応を見て支持面が本当に適しているかを再評価することが重要です。

参考文献

  1. 株式会社タイカ.アルファプラFⅡ.製品情報.2026年10月7日確認.公式サイト
  2. 株式会社タイカ.アルファプラFⅡ-W.製品情報.2026年10月7日確認.公式サイト
  3. 株式会社タイカ.カタログ・取扱説明書・商品画像ダウンロード.2026年10月7日確認.公式サイト
  4. National Pressure Injury Advisory Panel, European Pressure Ulcer Advisory Panel, Pan Pacific Pressure Injury Alliance. Full Body Support Surfaces for Prevention of Pressure Injuries. In: Prevention and Treatment of Pressure Ulcers/Injuries: Clinical Practice Guideline. The International Guideline. 4th ed. Updated 2026. International Guideline

著者情報

rehabilikun 理学療法士

rehabilikun(理学療法士)

rehabilikun blogを2022年4月に開設。医療機関・介護福祉施設・訪問リハの現場経験をもとに、評価・臨床手順・医療制度など、医療従事者の実務に役立つ情報を発信しています。現在は療養病院に勤務し、脳卒中、褥瘡・創傷ケア、呼吸リハなどの臨床・教育活動に取り組んでいます。

保有資格

  • 脳卒中認定理学療法士
  • 褥瘡・創傷ケア認定理学療法士
  • 登録理学療法士
  • 3学会合同呼吸療法認定士
  • 福祉住環境コーディネーター2級

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