CPOTとBPSの違い|ICU疼痛評価の使い分け

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CPOTとBPSの違いは「評価構造」と「適用場面」です

CPOTとBPSは、どちらも自己申告が難しく、行動を観察できる成人ICU患者の疼痛を評価する尺度です。結論からいうと、CPOTは4領域・0〜8点、BPSは3領域・3〜12点で評価し、非挿管患者ではCPOTは発声を、BPSではBPS-NIを用いる点が大きな違いです。

したがって、CPOTとBPSの使い分けでは「どちらが優れているか」よりも、自己申告できるか、挿管中か、行動観察が可能かを先に確認することが重要です。この記事では、CPOTとBPSの違いを比較表と図版で整理し、患者条件に応じてどちらを選ぶかを分かりやすくまとめます。

先に比較表で確認|CPOTとBPSの違い

最初に押さえたいのは、評価領域、点数範囲、非挿管時の扱いです。どちらも行動疼痛評価尺度ですが、点数構造と構成項目は同じではありません。

CPOTとBPSの違いを比較したICU疼痛評価の図版
CPOTとBPSの違いを1枚で整理した比較早見図です。
CPOTとBPSの主な違い
比較項目 CPOT BPS
正式名称 Critical-Care Pain Observation Tool Behavioral Pain Scale
主な対象 自己申告が難しく、行動を観察できる成人ICU患者 自己申告が難しく、行動を観察できる成人ICU患者
評価領域 4領域 3領域
主な評価内容 表情、身体運動、筋緊張、人工呼吸器との同調または発声 表情、上肢運動、人工呼吸器との同調
点数範囲 0〜8点 3〜12点
挿管中 人工呼吸器との同調を評価 人工呼吸器との同調を評価
非挿管時 人工呼吸器との同調の代わりに発声を評価 原法BPSではなくBPS-NIを使用
特徴的な違い 身体運動と筋緊張を別々に評価する 上肢運動を1領域として評価する

特に混同しやすいのは、「BPS」と「BPS-NI」は同じではないことです。原法BPSは人工呼吸器との同調を含みますが、非挿管患者ではそのまま使わず、発声を用いるBPS-NIで評価します。

どちらを選ぶ?患者条件から整理します

CPOTとBPSを選ぶときは、尺度の好みよりも「自己申告できるか」「挿管中か」「行動観察が可能か」を先に確認します。比較記事として最も大切なのは、この選択の入り口を整理することです。

患者条件から考えるCPOT・BPSの選択
患者の状態 評価の考え方
信頼できる自己申告が可能 NRSなど、本人の自己申告を優先する
自己申告困難・挿管中・行動観察可能 CPOTまたはBPSが選択肢になる
自己申告困難・非挿管・行動観察可能 CPOTまたはBPS-NIが選択肢になる
行動反応そのものを十分に観察できない CPOT・BPSの低値だけで疼痛なしと判断しない

つまり、挿管中ならCPOTとBPS、非挿管ならCPOTとBPS-NIという整理が基本です。一方で、患者が意思表示できるようになったら、以前から行動尺度を使っていたとしても、自己申告を中心に戻します。ICU疼痛評価全体の流れを確認したい場合は、ICUの疼痛評価|NRS・CPOT・BPSの選び方で全体像を整理できます。

CPOTは4領域・0〜8点で評価します

CPOTは、表情、身体運動、筋緊張、人工呼吸器との同調または発声の4領域から構成されます。各領域を0〜2点で評価し、合計は0〜8点です。

特徴は、身体反応を「身体運動」だけでなく「筋緊張」としても別に見ることです。また、4番目の項目は挿管患者では人工呼吸器との同調、非挿管患者では発声を評価します。そのため、非挿管患者にも対応しやすい構造を持っています。

ただし、CPOTの合計点は患者本人が感じている痛みの強さをそのまま数字化したものではありません。あくまで、観察できる行動反応から疼痛の存在や変化を捉える尺度として使います。

BPSは3領域・3〜12点で評価します

原法BPSは、表情、上肢運動、人工呼吸器との同調の3領域から構成されます。各領域を1〜4点で評価し、合計は3〜12点です。

BPSは、もともと鎮静下で人工呼吸管理を受ける成人患者を対象に開発された尺度です。そのため、非挿管患者では人工呼吸器との同調をそのまま評価できません。

この点を補うために、非挿管患者ではBPS-NIが用いられます。BPS-NIは人工呼吸器との同調の代わりに発声を評価し、原法と同じく3領域・3〜12点で扱います。

CPOTとBPSに単純な優劣はつけにくいです

CPOTとBPSは、どちらも自己申告が難しい成人ICU患者で妥当性や信頼性が検証されており、主要ガイドラインでも代表的な行動疼痛評価尺度として扱われています。そのため、「すべての患者でCPOTの方が優れている」「BPSの方が正確」と一律に決めることはできません。

比較記事として大切なのは、優劣をつけることではなく、患者条件に応じて妥当な尺度を選ぶことです。実務上は、同じ患者を経時的にみるときに同じ尺度を継続して使い、抜管や意識レベルの変化があったときは、自己申告の可否や尺度の前提が変わっていないかを再確認します。

選び方の要点

CPOTとBPSは「どちらが優れているか」ではなく、自己申告の可否、挿管の有無、行動観察が可能かを確認して選びます。非挿管で自己申告できない患者では、BPSではなくBPS-NIを使う点が重要です。

点数は横並びで換算しません

CPOTは0〜8点、BPSは3〜12点で、評価領域や各項目の配点も異なります。このため、CPOTの4点とBPSの何点が同じ意味かといった単純換算はできません。

経時的な変化をみるときも、できるだけ同じ尺度を用いて、患者条件や観察場面とあわせて解釈します。抜管などによって尺度の構成が変わった場合は、変更前後の合計点をそのまま連続した数値として比較しないことが大切です。

また、点数だけで疼痛の原因まで断定することはできません。高い行動スコアを認めた場合は疼痛を疑って追加評価につなげますが、呼吸状態、せん妄、不安、体位不快、チューブによる刺激なども合わせて確認します。

CPOT・BPSを使いにくい状態もあります

CPOTとBPSの前提は、疼痛に関連する行動を観察できることです。著しい深鎮静、神経筋遮断中、重度の運動障害などでは、痛みがあっても行動反応が十分に表れない可能性があります。

このような状態では、行動スコアが低いことだけを根拠に「疼痛なし」と判断しません。実施された処置、既知の疼痛原因、鎮痛薬の使用状況、患者背景などを含めて評価します。

心拍数、血圧、呼吸数などのバイタルサインも、それだけで疼痛を確定する指標ではありません。バイタル変化は、疼痛評価を始めるきっかけとして扱います。

採点方法は各論記事で確認します

このページでは、CPOTとBPSの違いと使い分けに絞って整理しました。個別の採点方法や記録方法を詳しく確認する場合は、各論記事へ進むと理解しやすくなります。

よくある質問

各項目名をタップ(クリック)すると回答が開きます。もう一度タップで閉じます。

Q1. CPOTとBPSはどちらが正確ですか?

どちらも自己申告が難しく、行動を観察できる成人ICU患者で妥当性・信頼性が示されています。すべての患者で一方が優れるとはいえないため、患者条件に合わせて選びます。

Q2. 非挿管患者ではBPSをそのまま使えますか?

原法BPSは人工呼吸器との同調を評価項目に含むため、非挿管患者ではそのまま使いません。自己申告できない非挿管患者では、BPS-NIが選択肢になります。CPOTでは非挿管時に発声を評価します。

Q3. 患者が痛みを答えられるようになったらどうしますか?

信頼できる自己申告が可能になれば、NRSなど本人の自己申告を疼痛評価の中心に戻します。CPOTやBPSは補助的な情報として扱いますが、本人の訴えより優先しません。

参考文献

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著者情報

rehabilikun(理学療法士)

rehabilikun(理学療法士)

rehabilikun blogを2022年4月に開設。急性期・回復期・療養病棟、介護福祉施設、訪問リハビリテーションでの臨床経験をもとに、理学療法評価、臨床手順、記録用紙、医療制度などの実務情報を発信しています。

現在は療養病院に勤務し、脳卒中、褥瘡・創傷ケア、リハビリテーション栄養、呼吸リハビリテーションを中心に臨床・教育活動を行っています。

保有資格

  • 脳卒中認定理学療法士
  • 褥瘡・創傷ケア認定理学療法士
  • 登録理学療法士
  • 3学会合同呼吸療法認定士
  • 福祉住環境コーディネーター2級

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