GLIM基準で筋肉量が測れないときは?現場で使える実務対応を解説

栄養・嚥下
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GLIM基準で筋肉量が測れない施設はどう対応する?

GLIM基準では、低栄養を判断するうえで「筋肉量減少」が重要な評価項目になります。しかし、実際の臨床現場では、BIAやDXAなどの筋肉量測定機器を使えない施設も少なくありません。

特に療養病院、慢性期病棟、介護施設では、「筋肉量を測る必要があるのは分かるけれど、機器がない」「下腿周囲長でよいのか」「毎月どこまで測るべきか」と悩む場面があります。

この記事では、GLIM基準で筋肉量が測れない施設に向けて、現場で使いやすい実務対応をPT視点で整理します。

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GLIM基準では筋肉量評価が重要になる

GLIM基準は、低栄養の診断に用いられる国際的な基準です。基本的には、まず低栄養リスクのスクリーニングを行い、そのうえで表現型基準と病因基準を組み合わせて低栄養を判断します。

表現型基準には、体重減少、BMI低下、筋肉量減少が含まれます。つまり、GLIM基準を現場で運用する場合、筋肉量減少をどのように評価するかが重要になります。

表1.GLIM基準で確認する主な視点
分類 主な項目 現場で確認する情報
スクリーニング 低栄養リスクの有無 食事摂取量、体重変化、既存の栄養評価など
表現型基準 体重減少、BMI低下、筋肉量減少 体重、BMI、筋肉量評価、下腿周囲長など
病因基準 摂取量低下、吸収障害、炎症、疾患負荷 食事量、疾患背景、炎症所見、全身状態など

筋肉量を測定する代表的な方法

筋肉量を評価する方法には、DXA、BIA、CT、MRIなどがあります。これらは筋肉量を客観的に評価しやすい一方で、すべての施設で日常的に使えるわけではありません。

表2.筋肉量評価に用いられる代表的な方法
方法 特徴 現場での課題
DXA 筋肉量評価の精度が高い 導入施設が限られる
BIA 比較的簡便に測定できる 機器が必要で、浮腫の影響も考慮する
CT 骨格筋断面積を評価できる 栄養評価目的だけでは実施しにくい
MRI 高精度な評価が可能 日常評価としては現実的でない施設が多い
下腿周囲長 機器なしで測定しやすい 浮腫や測定誤差の影響を受ける

BIAやDXAがない施設ではどうする?

筋肉量を直接測定できる機器がないからといって、GLIM基準の運用ができないわけではありません。現場で利用できる情報を組み合わせ、筋肉量減少の可能性を評価することが現実的です。

特に療養病院や慢性期病棟では、下腿周囲長、身体所見、ADL、移動能力、食事摂取量、体重変化、BMIなどを組み合わせて確認する運用が現実的です。

筋肉量が測れない施設でのGLIM基準対応を整理した図版
筋肉量が直接測れない場合でも、下腿周囲長や身体所見、多職種共有を組み合わせて総合的に判断します。

現場での考え方

「測れないから評価しない」ではなく、測定できる情報を組み合わせて、筋肉量減少の可能性を多職種で共有することが大切です。

下腿周囲長は実用的な代替指標になる

筋肉量評価の代替指標として、下腿周囲長は現場で使いやすい方法のひとつです。メジャーがあればベッドサイドで測定でき、BIAやDXAがない施設でも導入しやすい点が強みです。

ただし、下腿周囲長は浮腫の影響を受けます。浮腫が強い患者では、周径が保たれていても筋肉量が保たれているとは限りません。そのため、下腿周囲長だけで判断せず、皮膚状態、圧痕、体重変化、食事摂取、活動量、ADLと合わせて解釈する必要があります。

表3.下腿周囲長を使うときの注意点
確認項目 注意点 実務での対応
測定位置 位置がずれると比較しにくい 最大周径部など、院内で方法を統一する
浮腫 筋肉量より大きく見えることがある 圧痕や左右差も記録する
測定者差 メジャーの締め方で値が変わる 測定手順を共有する
経時変化 単回値だけでは判断しにくい 体重・摂取量・活動量と一緒に見る

療養病院での実務対応

療養病院では、BIAやDXAを保有していない施設も多く、すべての患者に詳細な筋肉量評価を行うことは現実的でない場合があります。そのため、まずは院内で運用しやすい確認項目を整理することが重要です。

実務上は、以下のような流れが使いやすいです。

表4.筋肉量が測れない施設でのGLIM対応例
手順 確認すること 実務ポイント
1.スクリーニング 低栄養リスクの有無 体重減少、食事摂取量、既存評価を確認する
2.表現型基準 体重減少、BMI低下、筋肉量減少 下腿周囲長や身体所見を組み合わせる
3.病因基準 摂取量低下、炎症、疾患負荷 栄養科・看護・医師と情報共有する
4.多職種判断 GLIM該当の可能性 単独職種で断定せず、院内運用に合わせる
5.再評価 体重、摂取量、下腿周囲長、ADL 同じ条件で経時的に確認する

GLIM評価確認チェックシートをダウンロード

GLIM基準の確認を現場で整理しやすいように、A4 1枚の「GLIM評価確認チェックシート」を作成しました。体重減少、BMI、筋肉量減少、疾患負荷・炎症、判定、備考を一枚で確認できます。

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PTが知っておきたいポイント

GLIM基準は栄養評価の話に見えますが、PTにも関係します。筋肉量減少は、活動量、ADL、移動能力、褥瘡リスク、離床の進め方と関係するためです。

PTは、筋肉量を診断する立場ではなくても、筋肉量減少が疑われる患者の身体機能や活動量を観察し、多職種へ共有する役割があります。

  • 筋肉量測定機器がなくても、代替指標を整理する
  • 下腿周囲長は浮腫の影響を考慮して解釈する
  • 体重、BMI、食事摂取量、ADLと合わせて見る
  • 褥瘡リスクが高い患者では栄養状態も共有する
  • 院内で測定方法と記録方法を統一する

褥瘡対策診療計画書との関係

褥瘡対策に関する診療計画書では、栄養管理や低栄養リスクの把握が重要になります。GLIM基準や筋肉量減少の視点が入ることで、栄養科だけでなく、看護師、リハビリ職、医師が情報を共有する必要性が高まります。

特に褥瘡リスクが高い患者では、低栄養、筋肉量減少、活動量低下、浮腫、皮膚脆弱性が重なりやすくなります。PTは、姿勢、活動量、下腿周囲長、浮腫、皮膚状態などを含めて、現場で拾える情報を整理して共有することが大切です。

よくある質問

各項目名をタップ(クリック)すると回答が開きます。もう一度タップで閉じます。

GLIM基準では必ずBIAやDXAが必要ですか?

必ずしもすべての施設でBIAやDXAを使用できるわけではありません。可能であれば客観的な筋肉量評価が望ましいですが、機器がない場合は、下腿周囲長、身体所見、身体機能、体重変化、BMIなどを組み合わせて現実的に運用することが重要です。

下腿周囲長だけで筋肉量減少を判断できますか?

下腿周囲長は実用的な代替指標ですが、単独で断定するのは避けた方が安全です。特に浮腫がある場合は値が大きく見えることがあります。圧痕、体重変化、食事摂取量、活動量、ADLと合わせて解釈します。

毎月すべての患者で下腿周囲長を測る必要がありますか?

最終的には院内の運用、診療報酬上の要件、栄養管理体制、対象患者の範囲に合わせて決める必要があります。全員に同じ頻度で測るより、対象者と再評価タイミングを明確にしておくと運用しやすくなります。

PTはGLIM基準にどこまで関わればよいですか?

PTが低栄養を診断するわけではありません。ただし、筋肉量減少が疑われる身体所見、下腿周囲長、活動量低下、ADL低下、褥瘡リスクなどを観察し、多職種へ共有する役割があります。

まとめ

GLIM基準では筋肉量減少の評価が重要ですが、すべての施設でBIAやDXAを利用できるわけではありません。筋肉量が直接測定できない施設では、下腿周囲長、身体所見、身体機能、体重変化、BMI、食事摂取量などを組み合わせて判断することが現実的です。

特に療養病院や慢性期病棟では、測定方法を院内で統一し、多職種で共有できる形にすることが重要です。PTは、筋肉量減少そのものを診断するのではなく、活動量、ADL、下腿周囲長、浮腫、褥瘡リスクなどの情報をつなげる役割を担えます。


参考文献

  1. Cederholm T, Jensen GL, Correia MITD, et al. GLIM criteria for the diagnosis of malnutrition – A consensus report from the global clinical nutrition community. Clin Nutr. 2019;38(1):1-9.
  2. 日本サルコペニア・フレイル学会.サルコペニア診療ガイドライン2017年版 一部改訂.
  3. 厚生労働省.褥瘡対策に関する診療計画書および関連資料.

著者情報

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rehabilikun(理学療法士)

rehabilikun blogを2022年4月に開設。医療機関/介護福祉施設/訪問リハの現場経験に基づき、臨床に役立つ評価・プロトコルを発信。脳卒中・褥瘡などで講師登壇経験あり。

  • 脳卒中 認定理学療法士
  • 褥瘡・創傷ケア 認定理学療法士
  • 登録理学療法士
  • 3学会合同呼吸療法認定士
  • 福祉住環境コーディネーター2級

専門領域:脳卒中、褥瘡・創傷、呼吸リハ、栄養、シーティング、摂食・嚥下

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