小臀筋トレーニングは「姿勢別」でそろえると臨床運用が安定します
小臀筋は、股関節外転と骨盤安定に関わる筋として、歩行時の左右動揺や片脚支持の不安定さに直結しやすい部位です。 1 つのメニューを固定するより、立位・座位・ベッド上で同じ目的を持って出し分ける方が、症例差に対応しやすくなります。
本記事は、姿勢別メニューの図解、当日記録まで完結する A4 PDF、記録の書き方を 1 本化しました。シリーズ全体は 筋トレメニュー ハブ で確認できます。
結論|小臀筋は「姿勢選択→代償監視→次回方針」の 3 手で回す
まず当日の姿勢を選び、代償(体幹側屈・骨盤回旋・膝内側化)を監視し、最後に次回方針(進行・維持・後退)を決める流れにすると、介入の再現性が上がります。回数だけ合わせる運用より、フォームと記録の一貫性を優先してください。
「説明はできるが記録が残らない」「担当者が変わると基準がずれる」という詰まりは、姿勢別図解と 7 行テーブルの併用で整理しやすくなります。
姿勢別メニュー比較(立位・座位・ベッド上)
| 姿勢 | 対象 | 代表メニュー | 実施量の目安 | よくある代償 | 修正キュー |
|---|---|---|---|---|---|
| 立位 | 立位保持が可能 | サイドステップ/立位外転(軽負荷) | 8〜12 回 × 2 セット | 体幹側屈、膝内側化 | 骨盤を水平に、膝はつま先方向 |
| 座位 | 座位中心で介入 | 座位外転(バンド)/外転等尺保持 | 10 回 × 2 セット | 骨盤後傾、体幹反動 | 坐骨で座る、反動なしで押し出す |
| ベッド上 | 臥床初期・低負荷導入 | 側臥位クラム系/仰臥位外転スライド | 8〜12 回 × 2 セット | 腰反り、骨盤回旋 | 下腹部を軽く固定、骨盤を回さない |
姿勢別図解(3カード)
PDF ダウンロード(臨床完結シート)
PDF プレビューを開く(タップで展開)
記録の書き方(短時間運用)
当日記録は、①実施姿勢 ②メニュー ③実施量 ④症状( NRS 前後 )⑤代償チェック ⑥中止理由 ⑦次回方針、の 7 行で統一します。文章量を増やすより、チェックと数値を固定した方が比較しやすくなります。
外転系の連動を強めたい場合は 中臀筋トレーニング、伸展戦略を足したい場合は 大臀筋トレーニング の順で併用すると、骨盤制御の段階付けがしやすくなります。
現場の詰まりどころ
| よくある失敗 | 起きる理由 | その場の対策 | 記録ポイント |
|---|---|---|---|
| 回数は達成するが骨盤がぶれる | 負荷が高すぎる/支持基底面が不安定 | 姿勢を 1 段階下げる(立位→座位) | 代償チェック欄に頻度を記録 |
| 体幹反動で外転が曖昧 | 動作スピードが速い | テンポを落として等尺保持を追加 | セットごとの質を短語で残す |
| 膝内側化が増える | 股関節制御より膝主導になっている | 「膝はつま先方向」のキューを固定 | 実施前後で変化を比較 |
よくある質問(FAQ)
各項目名をタップ(クリック)すると回答が開きます。もう一度タップで閉じます。
Q1. 小臀筋はどの姿勢から始めるべきですか?
A. 迷う場合は座位またはベッド上から開始し、代償が抑えられてから立位へ進めると安全です。姿勢を下げるほどフォーム修正がしやすくなります。
Q2. 1 回で 3 姿勢すべて行う必要はありますか?
A. 必須ではありません。当日の疼痛・疲労・ふらつきに応じて 1〜2 姿勢に絞り、質を担保してください。記録は同じ様式で残すのがポイントです。
Q3. 代償が出たらすぐ中止ですか?
A. 軽微な代償はキューで修正可能ですが、増悪する場合は負荷や姿勢を調整します。疼痛増悪・めまい・息切れ増悪があれば中止し、再評価します。
Q4. どの記事とあわせて読むと効果的ですか?
A. 外転系の比較は中臀筋、伸展戦略は大臀筋、下肢全体の連結は大腿四頭筋の記事が相性良好です。シリーズはハブで順番に確認できます。
次の一手
- シリーズ全体を確認する:筋トレメニュー ハブ
- 外転系を比較して使い分ける:中臀筋トレーニング
- 伸展を組み合わせる:大臀筋トレーニング
運用を整える→共有の型を作る→環境の詰まりも点検、の順で見直したい場合は 無料チェックシート もあわせて使ってください。
参考文献
- Semciw AI, Neate R, Pizzari T. Running related gluteus medius function in health and injury: A systematic review. J Electromyogr Kinesiol. 2016;30:98-110. DOI: 10.1016/j.jelekin.2016.06.004
- Distefano LJ, Blackburn JT, Marshall SW, Padua DA. Gluteal muscle activation during common therapeutic exercises. J Orthop Sports Phys Ther. 2009;39(7):532-540. DOI: 10.2519/jospt.2009.2796
- American College of Sports Medicine. ACSM’s Guidelines for Exercise Testing and Prescription. 11th ed. Wolters Kluwer; 2021.
著者情報

rehabilikun(理学療法士)
rehabilikun blog を 2022 年 4 月に開設。医療機関/介護福祉施設/訪問リハの現場経験に基づき、臨床に役立つ評価・プロトコルを発信。脳卒中・褥瘡などで講師登壇経験あり。
- 脳卒中 認定理学療法士
- 褥瘡・創傷ケア 認定理学療法士
- 登録理学療法士
- 3 学会合同呼吸療法認定士
- 福祉住環境コーディネーター 2 級
専門領域:脳卒中、褥瘡・創傷、呼吸リハ、栄養(リハ栄養)、シーティング、摂食・嚥下


