2027年度介護報酬改定|訪問リハの4論点と見直し候補

制度・実務
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2027年度介護報酬改定で訪問リハはどうなる?

2027年度介護報酬改定に向けて、訪問リハビリテーションの実施内容や加算体系に関する議論が始まっています。

厚生労働省が2026年6月29日に開催した第259回社会保障審議会介護給付費分科会では、訪問リハについて、診療未実施減算、算定率の低い加算、介護予防訪問リハの長期利用、リハビリテーション計画の目標設定などが取り上げられました。[1]

ただし、2026年8月1日時点では、加算の廃止・統合、算定要件、単位数などの具体的な改定内容は決まっていません。本記事では、公式資料で示された事実と今後の検討事項を分け、訪問リハ事業所が今から確認しておきたい実務を整理します。

この記事の結論
現時点で確定した制度変更はありません。一方、今回の資料からは、訪問リハの「診療・情報提供」「加算体系」「介護予防訪問リハの長期利用」「生活機能を含む目標設定」が、2027年度改定に向けた主な検討対象になると考えられます。

2027年度介護報酬改定の全体像を先に確認する

2027年度介護報酬改定|リハ職が今から見るポイント

訪問リハで示された4つの論点

今回の資料で押さえておきたい数字は、約11%、0.75%、約76%、約70%の4つです。

それぞれ、診療未実施減算の算定状況、認知症短期集中リハビリテーション実施加算の低い算定率、介護予防訪問リハの長期利用、計画目標が運動機能に偏っている状況を示しています。[2]

2027年度介護報酬改定に向けた訪問リハの4論点。診療未実施減算約11%、認知症短期集中リハ実施加算0.75%、介護予防訪問リハの長期利用約76%、運動機能改善目標約70%を示している
図.2027年度介護報酬改定に向けて示された訪問リハの4つの論点。2026年8月1日時点では、具体的な制度変更は未確定です。
2027年度改定に向けた訪問リハの主な論点
論点 公式資料で示された状況 今後確認したい点
診療未実施減算 全算定回数に占める算定率は約11% 事業所医師の診療や外部医師からの情報提供をどう扱うか
低算定率加算 認知症短期集中リハ実施加算の算定率は0.75% 算定要件や加算体系を整理するか
長期利用 介護予防訪問リハ開始24か月後も修了予定なしが約76% 継続理由、修了支援、12月超減算をどう考えるか
計画目標 運動機能改善を目標とする割合が約70% ADL・IADL・社会参加を含む目標設定をどう評価するか

重要なのは、これらが改定内容として決定されたのではなく、現状と課題を整理し、今後検討するために示された数字であることです。

訪問リハの利用状況とサービス提供の現状

訪問リハの請求事業所数と利用者数は増加傾向にあり、令和7年の受給者数は約15万人とされています。

内訳は、要支援者が約3万人、要介護者が約12万人です。収支差率は令和5年度が11.8%、令和6年度が10.8%と報告されています。[2]

訪問リハの概況
確認項目 公式資料の概要
受給者数 約15万人
要支援者 約3万人
要介護者 約12万人
令和5年度収支差率 11.8%
令和6年度収支差率 10.8%

サービスの利用は週2回以内が多く、1回あたりの利用時間は40分が多いとされています。実施内容では、筋力増強訓練、関節可動域訓練、平地での歩行訓練が多く行われています。

また、リハビリテーション会議では、利用者の生活状況やアセスメント結果の共有は多く行われている一方、目標達成度と取り組みの効果を確認している割合は約半数でした。[2]

今後は、訪問して訓練を実施した事実だけでなく、目標設定、効果判定、生活機能への反映、継続または修了の判断まで含めて説明できることが、より重要になると考えられます。

診療未実施減算の算定率は約11%

リハビリテーション計画の作成に係る診療未実施減算は、全算定回数の約11%で算定されています。[2]

診療未実施減算は、訪問リハ事業所の医師が、リハビリテーション計画の作成に必要な診療を行わなかった場合に適用される減算です。

事業所医師が診療できない場合でも、一定の要件のもとで外部医療機関の医師から情報提供を受け、訪問リハを実施できる仕組みがあります。ただし、事業所医師による診療が行われていないため、原則として1回につき50単位が減算されます。

令和6年度介護報酬改定では、退院直後の利用者について、医療機関のリハビリテーション計画書を受け取るなどの要件を満たした場合に、診療未実施減算を一定期間適用しない見直しが行われました。

今回の資料では算定率の推移が示されていますが、診療未実施減算の廃止や単位数変更が提案されたわけではありません。

今から確認したいポイント

  • 事業所医師による診療を実施できているか
  • 事業所医師が診療できない理由を説明できるか
  • 外部医療機関から必要な情報提供を受けているか
  • 情報提供日、計画作成日、サービス開始日に不整合がないか
  • 診療未実施減算の対象者数と算定割合を把握しているか
  • 退院直後の減算免除要件を満たしているか

診療日、計画書、説明日、情報提供日の関係は、実務でずれやすい部分です。現在の算定要件と確認手順は、訪問リハの診療未実施減算|診察日ずれ・計画書・記録の確認ポイントで整理しています。

算定率が低い加算は見直される?

2027年度改定に向けた論点には、算定率が低い加算と高い加算をどのように考えるかが含まれています。

介護報酬は改定を重ねるなかで加算の種類が増え、算定要件も複雑になっています。厚生労働省は、利用者への分かりやすさと介護サービス事業者の事務負担軽減の観点から、報酬体系の簡素化を引き続き検討すべきとしています。[2]

訪問リハで算定率が低いとされた主な加算
加算 資料上の状況 算定が難しくなりやすい背景
認知症短期集中リハビリテーション実施加算 算定率0.75% 対象者がいない、他の短期集中加算を優先する、医師の判断や目標設定が難しい
口腔連携強化加算 低算定率の加算として例示 対象者の抽出、歯科医療機関との連携、情報共有体制が必要
中山間地域等における小規模事業所加算 低算定率の加算として例示 対象地域や事業所規模が限定される
退院時共同指導加算 低算定率の加算として例示 退院前カンファレンスへの参加調整や医療機関との連携が必要

認知症短期集中リハビリテーション実施加算が算定困難な理由としては、次の内容が挙げられています。

  • 対象となる利用者がいない
  • 短期集中リハビリテーション実施加算が優先される
  • 事業所医師による認知症の判断が難しい
  • 事業所医師が認知症リハに関する研修を受講していない
  • 本人・家族への説明や目標設定が難しい

一方、サービス提供体制強化加算は算定率が高い加算として示されています。

ただし、算定率が低いという理由だけで加算が廃止されるとは限りません。対象者が限定される加算や地域連携を必要とする加算は、制度上の必要性があっても算定率が低くなる場合があります。

注意
加算の統合、廃止、算定要件の緩和は、2026年8月1日時点では決まっていません。「低算定率の加算は廃止される」と断定せず、今後示される具体的な改定案を確認する必要があります。

介護予防訪問リハの24か月後も約76%が継続

介護予防訪問リハの利用開始から24か月後も利用を継続し、修了予定がない利用者は76.4%でした。[2]

24か月後の利用状況は、次のように報告されています。

介護予防訪問リハ開始24か月後の利用状況
利用状況 割合
目標を達成し、修了している 6.6%
利用を継続しているが、修了予定がある 9.4%
入院・入所などで終了している 6.6%
利用を継続し、修了予定はない 76.4%

利用を継続する主な理由には、「本人・家族の希望」「運動機会や活動量の維持が必要」「心身機能やADLの変化が想定され、継続的な評価・支援が必要」などが挙げられています。

長期間利用していることだけで、訪問リハが不要とは判断できません。訪問リハを継続することで、身体機能や生活機能、要支援状態が維持されている利用者も考えられます。

一方で、長期利用が本人・家族の希望だけで継続され、目標や効果判定が曖昧になっていないかは確認が必要です。

12月超減算の廃止は決まっていない

介護予防訪問リハでは、利用開始月から12か月を超えてサービスを提供した場合、原則として1回につき30単位が減算されます。

ただし、3か月に1回以上リハビリテーション会議を開催し、リハビリテーション計画書をLIFEへ提出するなど、所定の要件を満たした場合は減算を免除できます。

分科会資料では、24か月後も多くの利用者が継続している現状と理由が示されましたが、12月超減算の廃止や要件変更が決定されたわけではありません。

今後は、利用期間だけではなく、次のような内容を含めて長期継続の妥当性が検討される可能性があります。

  • 利用開始時に設定した目標
  • 目標に対する達成状況
  • 訪問リハを継続する具体的な理由
  • 終了または他サービスへ移行できない理由
  • 継続によって維持されている心身機能や生活機能
  • 本人・家族・ケアマネジャーを含めた多職種の判断

計画目標は運動機能改善が約70%

訪問リハ計画では、身体機能の向上や歩行・移動能力の向上など、運動機能の改善を目標にしている割合が約70%でした。[2]

一方、ADLの改善を目標としている割合は約40%です。IADLの改善を目標としている割合は、要支援者で約40%、要介護者で約20%にとどまりました。

筋力、関節可動域、基本動作、歩行能力の改善は重要です。しかし、訪問リハでは、改善した機能を実際の生活行為や家庭内役割、外出、社会参加へつなげることが求められます。

例えば、歩行距離が伸びても、実際には居室とトイレの往復しかしていない場合や、屋外へ出る機会がない場合は、生活機能の改善まで達成したとは言い切れません。

機能訓練を生活目標へつなげる例

機能・動作目標を生活目標へつなげる例
機能・動作 生活目標の例 確認する指標
下肢筋力 自宅のトイレへ安全に移動する 移乗方法、介助量、転倒の有無、実施頻度
立ち上がり 食卓の椅子から家族の介助なしで立ち上がる 使用する支持物、所要時間、介助量
屋内歩行 寝室から食卓まで自分で移動する 移動範囲、歩行頻度、見守り量
屋外歩行 家族と近所の店舗へ買い物に行く 外出頻度、移動距離、休憩回数、同行者
上肢機能 洗濯物をたたむ家庭内役割を再開する 実施頻度、所要時間、疼痛、疲労

今後の改定で機能訓練が評価されなくなるという意味ではありません。重要なのは、機能改善を目的にするだけで終わらず、その改善をどの生活行為へつなげるのかを計画書と再評価で示すことです。

リハビリテーションマネジメントも確認する

訪問リハでは、調査・計画・実行・評価・改善のサイクルを通じて、心身機能、活動、参加へバランスよく働きかけることが求められています。

リハビリテーション会議で利用者の生活状況を共有していても、目標達成度や取り組みの効果を確認していなければ、計画の見直しや継続判断にはつながりにくくなります。

会議を開催した事実だけではなく、次の内容が記録されているかを確認します。

  • 現在の生活状況と変化
  • 設定した目標の達成度
  • 訪問リハによって得られた効果
  • 達成できなかった理由
  • 次の期間で変更する支援内容
  • 継続、終了、他サービスへの移行方針
  • 本人・家族と多職種の意向

LIFEを含む2027年度改定の論点については、2027介護報酬改定でLIFEはどう変わる?リハ職向け要点整理で詳しく解説しています。

訪問リハ事業所が今から確認したい5項目

改定内容が確定する前に、新しい書類や独自ルールを増やす必要はありません。

まずは現在の算定状況、利用者の目標、効果判定、長期利用の理由を説明できる状態にしておくことが優先です。

  1. 診療未実施減算の対象者を確認する
    対象人数、算定割合、適用理由、情報提供元、診療日、計画作成日を整理します。
  2. 算定していない加算と理由を整理する
    対象者がいないのか、体制がないのか、要件の理解や運用に課題があるのかを区別します。
  3. 12か月・24か月を超える利用者を抽出する
    継続理由、目標達成度、状態維持の効果、修了または移行が難しい理由を確認します。
  4. 計画目標が機能訓練だけになっていないか確認する
    ADL、IADL、家庭内役割、外出、社会参加へつながる目標が設定されているかを見直します。
  5. リハビリテーション会議の内容を確認する
    情報共有だけで終わらず、目標達成度、効果、計画変更、継続・終了の判断まで記録します。
改定前に行う確認と、現時点では行わないこと
今から行うこと 現時点では行わないこと
現在の算定率と対象者数を把握する 未公表の新要件を予測して書類を増やす
長期利用者の継続理由を確認する 長期利用を一律に終了させる
目標達成度と生活上の変化を確認する 運動機能の目標をすべて削除する
算定できていない理由を分類する 低算定率加算の廃止を前提に運用を止める
公式資料の更新日と根拠を共有する 委員意見や予測を決定事項として周知する

改定前に優先すること
制度を予測して運用を変えることではなく、現在の利用者、算定状況、目標設定、効果判定、継続理由を説明できる状態にしておくことが重要です。

現時点で決まったこと・決まっていないこと

今回公表されたのは訪問リハの現状、課題、今後の論点であり、2027年度の具体的な改定内容ではありません。

2026年8月1日時点の情報整理
公式資料で確認できること まだ決まっていないこと
診療未実施減算の算定率は約11% 減算の廃止・継続・単位数変更
認知症短期集中リハ実施加算の算定率は0.75% 加算の廃止・統合・要件緩和
24か月後も修了予定なしの利用者が約76% 12月超減算の廃止・要件変更
運動機能改善を目標とする割合が約70% ADL・IADL目標に対する新たな評価方法
加算体系の簡素化が論点となっている 対象となる加算と具体的な再編内容

事業所内で情報共有するときは、「決定事項」「検討中の論点」「委員や関係団体から出た意見」を分けて伝えることが重要です。

今後確認すべき情報

今後は、介護給付費分科会の資料が更新されるたびに、訪問リハの具体的な見直し案を確認します。

  • 訪問リハのサービス提供内容に関する追加資料
  • 基本報酬と加算・減算の具体的な見直し案
  • 診療未実施減算の取り扱い
  • 介護予防訪問リハの12月超減算の取り扱い
  • 低算定率加算と高算定率加算の整理方針
  • リハビリテーションマネジメント加算の要件
  • LIFEへの提出項目と評価方法
  • ADL・IADL・社会参加を含むアウトカム評価
  • 告示、通知、留意事項、疑義解釈

審議会で現状や課題が示された段階、具体的な改定案が示された段階、告示・通知が公表された段階では、情報の確度が異なります。

本記事も、新しい公式資料が公表された段階で随時更新します。

よくある質問

2027年度改定で診療未実施減算は廃止されますか?

2026年8月1日時点では、廃止や単位数変更は決まっていません。公式資料では、全算定回数に占める算定率が約11%であることが示された段階です。

介護予防訪問リハの12月超減算はなくなりますか?

廃止は決定していません。公式資料では、利用開始24か月後も修了予定なく継続している利用者が約76%であることや、継続理由が示されています。今後、長期利用と修了支援をどのように評価するかが注目されます。

算定率が低い加算は廃止されますか?

算定率が低いことだけで廃止されるとは限りません。対象者の少なさ、地域条件、医師や他機関との連携、算定要件、事務負担などを含めて検討されます。

訪問リハでは運動機能の目標を設定しない方がよいですか?

運動機能の目標が不要になるわけではありません。筋力や歩行能力の改善を、トイレ動作、家事、外出、家庭内役割などの生活目標へどのようにつなげるかを明確にすることが重要です。

長期利用者は訪問リハを終了させるべきですか?

利用期間だけで一律に終了を判断するものではありません。状態維持の効果、継続的な評価の必要性、本人・家族の希望、移行先の有無などを確認し、多職種で継続または終了を判断します。

事業所は改定前に何を準備すべきですか?

新しい要件を予測して書類を増やすのではなく、減算対象者、加算の未算定理由、長期利用者、目標達成度、継続・終了理由を把握し、説明できる状態にしておくことが優先です。

まとめ

2027年度介護報酬改定に向けて、訪問リハではサービス提供内容と加算体系の両面が論点となっています。

  • 診療未実施減算の算定率は約11%
  • 認知症短期集中リハ実施加算の算定率は0.75%
  • 介護予防訪問リハ開始24か月後も修了予定なしが約76%
  • 運動機能改善を目標とする割合が約70%
  • ADLの改善目標は約40%、IADLは約20~40%
  • 加算体系の分かりやすさと事業所の事務負担が検討課題

現時点では、診療未実施減算や12月超減算の廃止、低算定率加算の統合など、具体的な制度変更は確定していません。

事業所では改定内容を先回りして運用を変えるのではなく、現在の算定状況、長期利用の理由、目標達成度、生活機能への効果を説明できる状態にしておくことが重要です。

2027年度介護報酬改定の全体像を確認する

2027年度介護報酬改定|リハ職が今から見るポイント

参考文献

  1. 厚生労働省.第259回社会保障審議会介護給付費分科会(web会議)資料.2026年6月29日.
    厚生労働省公式ページ
  2. 厚生労働省老健局.訪問リハビリテーション.第259回社会保障審議会介護給付費分科会 資料4.2026年6月29日.
    厚生労働省資料4(PDF)

本記事は2026年8月1日時点で公表されている公式資料をもとに作成しています。今後、改定案、告示、通知、留意事項、疑義解釈が公表された場合は、内容が変更される可能性があります。

著者情報

rehabilikun(理学療法士)

rehabilikun blogを2022年4月に開設しました。急性期・回復期・療養病棟、介護福祉施設、訪問リハビリテーションでの臨床経験をもとに、理学療法評価、臨床手順、記録用紙、医療・介護制度などの実務情報を発信しています。

現在は療養病院に勤務し、脳卒中、褥瘡・創傷ケア、リハビリテーション栄養、呼吸リハビリテーションを中心に臨床・教育活動を行っています。

保有資格

  • 脳卒中認定理学療法士
  • 褥瘡・創傷ケア認定理学療法士
  • 登録理学療法士
  • 3学会合同呼吸療法認定士
  • 福祉住環境コーディネーター2級

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