脳卒中ハブ|評価 → 介入 → 退院前(在宅まで)の実装を最短で整理(保存版)
脳卒中リハは、知識量よりも「同じ言葉・同じ順番」で回すだけで、判断と共有が一気に速くなります。本ページは、急性期 → 回復期 → 退院前(在宅)までを、評価の束(バンドル)→ 次の一手で引ける索引(ハブ)です。
「どれをやるか」より先に、条件固定(時間帯・体位・補装具・介助条件)と再評価の周期を揃えると、点数が “ただの数字” で終わりません。評価の全体地図は 評価ハブ から俯瞰できます。
※同一タブで開きます(院内標準化・教育体制の整え方までまとめています)。
最短導線(まず読む 6 本)
迷ったら、①方針(ガイドライン)→ ②重症度・転帰の枠組み → ③回復期の伸ばし方(用量)の順で揃えるのが近道です。ここを押さえると、カンファレンスが「手段の議論」から「結果の議論」に寄ります。
次に、頻出のつまずき( USN /プッシャー/体幹 )を “比較記事” で最短理解しておくと、個別記事へ迷わず分岐できます。
- 脳卒中治療ガイドライン 2025 改訂ポイント| PT 実務テンプレ
- 脳卒中の重症度・転帰スケール総論| NIHSS / mRS / BI / FIM の使い分け
- 脳卒中の歩行練習は用量( dose )で伸ばす|反復・時間・頻度の決め方
- 脳卒中リハの「テクノロジー活用」総論| VR ・歩行ロボット・刺激・テレリハの使い分け
- プッシャー評価の違い【比較・使い分け】BLS / SCP / 4PPS
- 抹消課題の判定と記録【半側空間無視( USN )】
評価フロー(発症〜退院前)|期別「最小バンドル」で回す
脳卒中の評価は、期別に “優先評価の束(バンドル)” を固定すると、担当替えでもブレにくくなります。ポイントは「数値が変わった」のか「条件が変わった」のかを分けることです。
下の表は、忙しい現場で “最低限そろえたい束” を整理した実務の目安です(スマホは横スクロールできます)。
| フェーズ | 主目的 | 優先評価(バンドル) | 次の一手(導線) |
|---|---|---|---|
| 入室時〜急性期 | 安全確保/重症度の枠組み | 意識・重症度(施設運用に合わせ固定)/急変サイン/嚥下・誤嚥リスク | NIHSS(急性期の共通言語) |
| 回復期初期 | 見通し/合併症予防 | 体幹・基本動作/ ADL ベースライン/栄養・嚥下 | 基本動作評価ハブ( BMS / ABMS-2 ) |
| 回復期中盤 | 歩行・ ADL の定着 | 歩行・バランス/上肢機能/必要に応じ高次脳・ QOL | 上肢機能評価の使い分け( FMA-UE / ARAT / WMFT … ) |
| 退院前〜在宅 | 転倒・誤嚥・再発予防 | 転帰(生活自立度)/生活範囲・社会参加/家族指導(安全の型) | 生活範囲・社会参加の評価ハブ( LSA / FAI … ) |
よく使う評価スケール|「役割」で迷わない整理
脳卒中の評価は、急性期の重症度と退院後の転帰(生活自立度)を分けると、選ぶべき指標が一気に整理されます。まず “枠組み” を置いてから、施設で回る最小セットに絞るのが現実的です。
「一覧から探したい」場合は、評価スケール索引(目的別・略語 A–Z ) も使えます。
| 目的 | よく使う指標(例) | 迷ったときの決め方 | 関連記事 |
|---|---|---|---|
| 急性期の重症度 | NIHSS / JSS | 急性期は “共通言語” を優先(病棟ルールで固定) | 重症度・転帰スケール総論 |
| 転帰(生活自立度) | mRS / BI / FIM | 退院前は “生活の不自由さ” を言語化できる軸を置く | mRS( 3 と 4 がブレやすい所の整え方) |
| 体幹(離床の土台) | FACT / TCT / TIS | 成立確認 → 介入方向 → 経時変化 の順に使い分ける | FACT / TCT / TIS の違い【比較】 |
| USN(無視) | 抹消課題(キャンセレーション)など | まず “左右差の拾い方” と “記録の型” を固定する | 抹消課題の判定と記録( USN ) |
| プッシャー( lateropulsion ) | BLS / SCP / 4PPS | 忙しい現場は “ 1 分で選べる比較表 ” が最短 | BLS / SCP / 4PPS 比較 |
介入の組み立て(回復期の実装)|伸びる順番を固定する
回復期で伸びやすいのは、①量( dose )を積む設計と②頭打ちに対する追加手段の整理です。ここを固めると、介入の議論が “気合” ではなく “設計” になります。
歩行は「分数 → 歩数 → 難易度」の順で 1 つだけ増やす、上肢は「目標課題を固定 → 併用は 1 パターンに絞って検証」の形にすると、現場で回しやすくなります。
テクノロジー活用( VR /ロボ歩行/刺激 )|比較して “目的化” を防ぐ
VR ・歩行ロボット・刺激・テレリハは、導入すると “やっている感” が出やすい一方で、目的と用量が曖昧なままになりやすい領域です。先に「目的 → 用量 → 安全 → 橋渡し」の順で整理すると、無駄撃ちが減ります。
院内で機器が増えたタイミングほど、比較表で共通言語を作っておくと、カンファが速くなります。
現場の詰まりどころ(よく詰まる → 最小の打ち手)
脳卒中リハで詰まりやすいのは、①評価条件が揃わず推移が読めない、②安全フローが人によって違う、③介入が “点” になり量が積めない、の 3 つです。詰まりを “言語化” して、打ち手を固定します。
下の表は、最小限の運用ポイントに絞った早見表です(スマホは横スクロールできます)。詳しい解説は FAQ と各リンク先で深掘りできます。
| 詰まりどころ | 起こりやすい原因 | 最小の打ち手 | 関連リンク |
|---|---|---|---|
| 重症度の推移が読めない | 時間帯・体位・補装具・介助が毎回バラバラ | 条件(時間帯/体位/補装具/介助)を 1 行テンプレで固定して再評価 | 重症度・転帰スケール総論 |
| USN の所見が共有できない | 「ある/なし」だけで、左右差と反応が残らない | 左右見落とし数+開始側+時間の “最小 3 点” で記録を固定する | 抹消課題( USN )の判定と記録 |
| プッシャーの評価が割れる | 場面(座位/立位/移乗)で見ているものが違う | 目的別に尺度を 1 つに寄せ、場面を固定して追う | BLS / SCP / 4PPS 比較 |
| 歩行練習の量( dose )が積めない | 「やった感」はあるが、分数・歩数が増えない | 分数 → 歩数 → 難易度 の順で “ 1 つだけ ” 増やす(増やせない日は代替で回数だけ確保) | 歩行リハの用量設計( dose ) |
| 体幹評価が迷子になる | 尺度が多く、目的(成立確認/介入/追跡)が混在 | FACT / TCT / TIS を “役割” で分けて使う | 体幹評価の違い【比較】 |
ダウンロード(業務導線)|再現性を上げるテンプレ
現場の “再現性” を上げるには、評価の条件固定と記録テンプレが鍵です。ここでは、脳卒中の一次評価と安全管理に直結する配布物をまとめます。
カンファレンスや家族説明に持ち込める形( A4 )から整えると、チーム運用が安定します。
関連ハブ(横断して整える)
脳卒中は “横断領域” を一緒に整えるほど再現性が上がります。必要に応じて下のハブも参照してください。
- 評価ハブ(主要スケール一覧)
- 高次脳機能評価ハブ( USN /注意/遂行機能 )
- 上肢機能評価ハブ(比較表つき)
- ADL / IADL 評価まとめ( FIM / BI / Lawton など)
- 栄養・嚥下ハブ(低栄養・嚥下リスクの整理)
- 呼吸・運動耐容能 評価まとめ( 6 MWT / Borg など)
- 疾患別ハブ(全体)
よくある質問( FAQ )
各項目名をタップ(クリック)すると回答が開きます。もう一度タップで閉じます。
Q1. 最初の 24–48 h で “まず揃える評価” は何ですか?
A. 迷ったら「重症度の枠組み(施設の共通言語)」「安全(急変サイン/嚥下・誤嚥リスク)」「体幹・基本動作の成立」の 3 点を、同条件で揃えます。揃うと、カンファレンスの議論が「推測」から「根拠」に寄りやすくなります。
Q2. 評価の推移が “本当に変わったのか” を読み違えないコツは?
A. 時間帯・体位・補装具・介助条件を固定し、「数値の変化」と「条件の変化」を分けて記録することです。条件が揃うと、介入の効き方(本当に変わったのか)が読みやすくなります。
Q3. USN を “ある/なし” で終わらせない最小セットは?
A. 抹消課題なら、左右見落とし数/開始側/時間の “最小 3 点” を固定すると、担当替えでも共有しやすくなります。詳しい記録の型は 抹消課題の判定と記録( USN ) にまとめています。
Q4. プッシャー評価はどれを優先すべきですか?
A. 忙しい現場で “まず拾う” なら 4PPS、重症度の追跡と介助量の基準づくりには BLS、典型所見の確認と教育用途には SCP が使いやすいです。迷う原因(場面の違い/条件ズレ)も含めて 比較記事 に整理しています。
Q5. 退院前に “最後に整える” べき 1 つは?
A. 本人・家族が日常で守れる「安全の型(転倒/誤嚥/休息)」を 1 枚にまとめ、実際の生活場面で試すことです。説明だけで終わらず、同じ言葉で “実装” できる状態を作ると、再入院・再転倒のリスクを下げやすくなります。
次の一手(迷ったらここへ戻る)
方針と評価の “束” が揃ったら、次は「回復期の伸ばし方(用量)」と「頭打ち領域の突破(比較で迷いを減らす)」に寄せるのが最短です。
運用を整える → 共有の型を作る → 環境の詰まりも点検の順に進めると、評価と介入が回りやすくなります。
無料のチェックシート(面談準備・職場評価)を使って、教育体制・記録文化・標準化の “詰まり” も整理できます。
無料チェックシートを開く(マイナビ)転職・働き方の全体像は PT キャリアガイド にまとめています。
参考文献・一次情報
- 一般社団法人 日本脳卒中学会. 脳卒中治療ガイドライン 2021〔改訂 2025 〕改訂項目( PDF ). https://www.jsts.gr.jp/
- Winstein CJ, Stein J, Arena R, et al. Guidelines for Adult Stroke Rehabilitation and Recovery. Stroke. 2016. doi: 10.1161/STR.0000000000000098
著者情報
rehabilikun(理学療法士)
rehabilikun blog を 2022 年 4 月に開設。医療機関/介護福祉施設/訪問リハの現場経験に基づき、臨床に役立つ評価・プロトコルを発信。脳卒中・褥瘡などで講師登壇経験あり。
- 脳卒中 認定理学療法士
- 褥瘡・創傷ケア 認定理学療法士
- 登録理学療法士
- 3 学会合同呼吸療法認定士
- 福祉住環境コーディネーター 2 級
専門領域:脳卒中、褥瘡・創傷、呼吸リハ、栄養(リハ栄養)、シーティング、摂食・嚥下


