スモールチェンジ ラグーナの使い方|設定・体位変換・離床

臨床手技・プロトコル
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スモールチェンジ ラグーナの使い方|最初に確認する機能

ケープの「スモールチェンジ ラグーナ」は、体圧分散式エアマットレスに15分ごとの小さな自動体位変換を組み合わせた製品です。通常のエアマットレスと同じように体重に合わせて内圧を調整するだけでなく、骨盤を中心とした対角線上の小さな動きを繰り返す「スモールチェンジ機能」を備えています。

使い方で特に押さえたいのは、スモールチェンジ、かんたんモード/体重設定、クイックハード、自動ヘッドアップ対応の4点です。ただし、スモールチェンジは大きな側臥位へ自動で変える機能ではなく、エアマットレスを使用しているから体位変換や皮膚観察が不要になるわけでもありません。

この記事では、メーカー公式情報をもとに、各機能の役割と、PT・看護師などが確認したい皮膚・姿勢・離床への影響を整理します。

スモールチェンジ ラグーナで最初に確認したい機能
場面 主な機能 確認すること
通常臥床 スモールチェンジ 皮膚、姿勢変化、睡眠、違和感
体重40〜60kg かんたんモード 沈み込み、寝心地、皮膚所見
体重設定が必要 個別体重設定 実体重と設定値、沈み込み
起き上がり・移乗・介助 クイックハード 端座位、足底接地、介助量
背上げ 自動ヘッドアップ対応 骨盤のずれ、仙骨部、姿勢
スモールチェンジ ラグーナの場面別設定。通常臥床、背上げ、リハビリ・離床、停電時に使う機能と確認ポイントを整理した図
ラグーナの場面別設定。スモールチェンジ、背上げ、クイックハード、停電時対応と、設定後に確認したいポイントを整理しています。

ラグーナは多機能ですが、機能名を覚えること自体が目的ではありません。どの設定を使ったかと、その後に患者さんの皮膚・姿勢・活動がどう変化したかをセットで確認することが重要です。

体圧分散マットレスの厚さや構造そのものから確認したい場合は、体圧分散マットレスの厚さ・構造・性能表示の見方も参考にしてください。

スモールチェンジは15分ごとの小さな体位変換

ラグーナ最大の特徴は、骨盤を中心に対角線上の小さな体位変換を15分ごとに自動で繰り返す「スモールチェンジ機能」です。

メーカー公式では、右上半身と左骨盤、左上半身と右骨盤というように、身体を対角線上へ小さく動かす仕組みが示されています。大きく身体を傾けるのではなく、身体のずれや違和感を抑えながら支持状態を変化させることを目的とした機能です。

スモールチェンジ使用時の確認ポイント
確認領域 具体的に見ること
皮膚 仙骨部、踵部、骨突出部の発赤・圧痕・湿潤
姿勢 身体の傾き、骨盤位置、下肢のずれ
快適性 動きへの違和感、不安、疼痛、睡眠への影響
自力体動 寝返りや姿勢修正が可能か
機器 スモールチェンジが意図した設定になっているか

ここで重要なのは、「15分ごとに動く=通常の体位変換がすべて不要」と考えないことです。

2026年版International Guidelineでは、使用している支持面の種類にかかわらず、褥瘡リスクのある人では体位変換を検討し、頻度は活動性、自力で姿勢を変える能力、皮膚・組織の耐容性、臨床状態、快適性、睡眠、使用している支持面などから個別化することが示されています。

ラグーナのスモールチェンジも、皮膚への負荷を分散するための一つの手段として捉え、皮膚反応・自力体動・既存褥瘡・姿勢保持能力を見ながら体位変換方法を調整します。

褥瘡予防における側臥位やずれの考え方は、褥瘡予防のポジショニングと体位変換で整理しています。

31°以上の背上げではスモールチェンジが停止する

ラグーナには安全機能があり、スモールチェンジ作動中に31°以上の背上げを検知すると、スモールチェンジ機能が自動的に停止します。

その後、背上げ角度を30°以下へ戻すと、背上げ前にスモールチェンジがONであった場合は自動的にスモールチェンジへ復帰します。

したがって、食事や口腔ケアなどで大きく背上げしたあと、「スモールチェンジが止まった」と故障を疑う前に、まずベッドの背上げ角度を確認します。

40〜60kgはかんたんモード|それ以外は体重設定を確認する

ラグーナには40〜60kgの利用者を対象にした「かんたんモード」があり、この範囲では体重を細かく入力せず、マットレスのやわらかさを自動調整できます。

一方、個別体重設定は20〜120kgに対応しており、40〜60kg以外の利用者では体重設定を行います。40〜60kgでも、必要に応じて個別の体重設定を選択できます。

ラグーナの体重設定の考え方
体重 設定 ポイント
40〜60kg かんたんモードが使用可能 体重入力なしで内圧を自動調整できます
20〜120kg 個別体重設定 利用者の体重に合わせて設定します

体重を設定しただけで適合確認が終わるわけではありません。設定後は実際の身体の沈み込み、骨突出部、寝返りのしやすさ、本人の寝心地を確認します。

特に体重変化が大きい患者さんでは、以前の体重のまま設定が残っていないか確認してください。浮腫の変化、栄養状態、長期療養中の体重減少などによって、入院時と現在の体重が異なる場合があります。

クイックハードは離床・介助時に使う

ラグーナのクイックハードモードは、約4分でマットレス全体をかたくし、安定した支持面を作る機能です。

エアマットレスでは身体を包み込むような沈み込みが体圧分散には有利でも、起き上がりや端座位、移乗、ベッド上での介助では支持面の不安定さにつながることがあります。クイックハードは、このような場面で使用を検討できます。

クイックハードを使いやすい場面
場面 確認ポイント
起き上がり 上肢支持、骨盤移動、介助量
端座位 体幹動揺、殿部の沈み込み、足底接地
立ち上がり 床面高、足部位置、前方重心移動
移乗 殿部の沈み込み、立位安定性、介助量
おむつ交換・更衣 体位変換のしやすさ、皮膚へのずれ

クイックハードを使用すると支持面は安定しますが、離床そのものの安全を保証する機能ではありません。ベッド高、足底接地、覚醒状態、筋力、起立時の循環反応、点滴・カテーテル類などは別に評価します。

また、褥瘡リスクがある患者さんでは、介助終了後も必要以上に硬い状態が続いていないか、通常の体圧管理へ戻っているかを確認します。

背上げ時は自動ヘッドアップ対応機能が作動する

ラグーナには、マットレスに内蔵されたセンサでベッドのヘッドアップ角度を検知し、角度に合わせてマットレスのやわらかさと動きを自動調整する機能があります。

これはラグーナ自身がベッドを背上げする機能ではありません。電動ベッドなどで背上げした際に、その角度をマットレス側が検知して対応する機能です。

背上げ時は自動調整に任せるだけでなく、以下を確認します。

  • 骨盤が足元方向へ滑っていないか
  • 仙骨部へずれが集中していないか
  • 踵がベッド上で固定されていないか
  • 体幹が左右へ崩れていないか
  • シーツや衣類にしわが寄っていないか
  • 疼痛や呼吸苦が増えていないか

特に31°以上ではスモールチェンジが停止するため、長時間の背上げ後は「自動体位変換が継続している前提」で評価しないことが重要です。

ムレ対策は底面通気構造と専用カバーで行う

ラグーナは、圧切替・スモールチェンジ・ムレ対策素材を組み合わせ、マットレス内の熱や湿気を底面から排気する構造になっています。

専用カバーには、防水・透湿・制菌・伸縮・防炎といった機能があります。液体による汚染を防ぎながら湿気を通し、マットレス本来の体圧分散を妨げにくい構造です。

ただし、「ムレ対策機能がある=皮膚の湿潤管理が不要」ではありません。

  • 発汗
  • 尿・便失禁
  • 寝衣やシーツの湿潤
  • 防水シーツや吸収パッドの重なり
  • 室温・湿度
  • 皮膚の浸軟

これらはマットレスとは別に確認します。特に失禁関連皮膚炎や多汗がある場合は、体圧管理と微気候管理を分けずに評価することが大切です。

停電時はマット内圧を約14日間保持する

ラグーナには停電対策機能があり、停電やコンセント抜去が生じた場合、特殊なバルブがエアセル内の空気漏れを自動で遮断し、マット内圧を約14日間保持します。

メーカー案内では、停電時に特別な操作は必要ありません。カプラーや送風チューブを外さないようにします。

電源復旧後はメモリ機能によって、直前の設定へ自動復帰します。

ラグーナの停電時対応
状況 対応
停電発生 特殊バルブが空気漏れを自動で遮断
停電中 カプラー・送風チューブを外さない
内圧 約14日間保持
電源復旧 直前の設定へ自動復帰

ただし、停電中はスモールチェンジなど電力を必要とする自動動作が通常どおり継続するわけではありません。皮膚状態や体位変換の必要性は患者さんごとに再評価します。

ラグーナの厚さ・サイズ・設置方法

現行のスモールチェンジ ラグーナは、厚さ13.5cmの交換タイプです。ベースマットレスの上へ重ねる上敷き型ではなく、ベッド上の既存マットレスと交換して設置します。

スモールチェンジ ラグーナのサイズ
タイプ 品番 サイズ
840 CR-700 幅84×長192×厚13.5cm
900 CR-703 幅90×長192×厚13.5cm
840/SHORT CR-705 幅84×長180×厚13.5cm
900/SHORT CR-707 幅90×長180×厚13.5cm
1000 CR-711 幅100×長192×厚13.5cm

マットレス交換後は寸法だけでなく、ベッド柵との高さ関係、端座位時の足底接地、立ち上がり時の床面高も再確認します。

なお、公式サイトには「スモールチェンジ ラグーナ プラス」も掲載されていますが、プラス専用パッド仕様は販売終了とされています。本記事では、現行のスモールチェンジ ラグーナを主対象としています。

PTが確認したいポイント|皮膚・姿勢・離床を一緒に見る

ラグーナ使用時にPTが確認したいのは、スモールチェンジが動いているかだけではありません。支持面や自動体位変換の変化は、皮膚だけでなく寝返り・起き上がり・端座位・移乗にも影響するため、皮膚と身体活動を同時に評価します。

ラグーナ使用時の観察項目
領域 確認項目
皮膚 仙骨部・踵部・骨突出部の発赤、圧痕、湿潤、疼痛
姿勢 骨盤位置、身体の傾き、下肢位置、ずれ
自力体動 寝返り、姿勢修正、自発的な除圧
背上げ 骨盤の前滑り、仙骨部へのずれ、スモールチェンジ停止の有無
起き上がり 沈み込み、上肢支持、骨盤移動、介助量
端座位・移乗 足底接地、体幹安定性、床面高、介助量
睡眠・快適性 自動動作への違和感、覚醒、疼痛、不安
微気候 発汗、湿潤、寝衣・寝具、皮膚の浸軟

スモールチェンジは自動で作動するため、「機械が動いているから問題ない」と評価が受け身になりやすい点に注意します。設定変更後は、同じ部位・同じ動作を継続して確認すると変化を比較しやすくなります。

スモールチェンジ ラグーナの記録例

記録では、製品名だけでなく、体重設定・スモールチェンジ・背上げ角度・クイックハード使用場面・患者反応を残すと再評価につながります。

スモールチェンジ ラグーナ使用。体重52kg、かんたんモード、スモールチェンジON。仙骨部・踵部に持続発赤なし。自動動作による疼痛・覚醒なし。

食事時にベッド背上げ35°。背上げ中はスモールチェンジ停止を確認。仙骨部への前滑りを認めたため骨盤位置・シーツを調整。食後30°以下へ戻し、スモールチェンジ再開を確認した。

離床時はクイックハードを使用。通常設定時と比較して端座位での殿部沈み込みが減少。足底接地可能、移乗は軽介助。離床終了後、臥床時の設定を再確認した。

ラグーナの記録項目
項目 記録内容
製品・設定 ラグーナ/かんたんモードまたは体重設定
自動体位変換 スモールチェンジON/OFF
背上げ 角度、スモールチェンジ停止・再開
介助時機能 クイックハード使用の有無
皮膚 発赤、圧痕、湿潤、疼痛
動作 寝返り、起き上がり、端座位、移乗
反応 睡眠、違和感、疼痛、不安
判断 継続/設定変更/体位変換方法の再検討

「ラグーナ使用中」とだけ記録するよりも、何を目的にどの機能を使い、使用後に何が変わったかを残すと、多職種で設定を共有しやすくなります。

よくある質問

背上げするとスモールチェンジが止まるのは故障ですか?

31°以上の背上げを検知すると、安全機能によってスモールチェンジが自動停止する仕様です。30°以下へ戻すと、背上げ前にスモールチェンジがONだった場合は自動的に復帰します。

40〜60kgなら体重設定は不要ですか?

40〜60kgでは「かんたんモード」が使用でき、細かな体重入力を行わずにマットレスのやわらかさを自動調整できます。一方、個別体重設定を選ぶことも可能です。ラグーナの個別体重設定範囲は20〜120kgです。

クイックハードは何に使いますか?

約4分でマットレス全体をかたくし、安定した支持面を作ります。起き上がり、端座位、移乗、更衣、おむつ交換などで使用を検討できます。ただし、患者さんの離床能力や転倒リスクは別に評価してください。

ラグーナを使えば人による体位変換は不要ですか?

一律に不要とは判断しません。2026年版International Guidelineでも、支持面の種類にかかわらず、褥瘡リスク、活動性、自力体動、皮膚・組織の反応、快適性などをもとに体位変換を個別化することが示されています。スモールチェンジの作動だけでなく、患者さんの皮膚・姿勢・自力体動を確認して判断します。

停電するとすぐにマットレスがしぼみますか?

ラグーナには停電対策機能があり、特殊バルブによって内圧を約14日間保持します。停電時に特別な操作は不要ですが、カプラーや送風チューブを外さないようにします。電源復旧後は直前の設定へ自動復帰します。

まとめ|スモールチェンジ後の反応まで確認する

スモールチェンジ ラグーナは、15分ごとの小さな自動体位変換を特徴とする体圧分散式エアマットレスです。40〜60kgではかんたんモード、20〜120kgでは個別体重設定が利用でき、離床・介助時には約4分で安定面を作るクイックハードも備えています。

背上げ時にはマットレスが角度を自動検知し、31°以上では安全のためスモールチェンジが停止します。そのため、設定だけを見るのではなく、皮膚、骨盤位置、自力体動、睡眠、起き上がり・端座位・移乗への影響まで確認することが重要です。

「自動体位変換があるから任せる」のではなく、スモールチェンジを一つの体圧管理手段として使いながら、患者さんの反応に合わせて体位変換や設定を見直してください。

参考文献

  1. 株式会社ケープ.スモールチェンジ ラグーナ.製品情報.2026年10月6日確認.公式サイト
  2. 株式会社ケープ.スモールチェンジ ラグーナ 取扱説明書.第6版.2026.取扱説明書ダウンロード
  3. 株式会社ケープ.ラグーナの背上げ時にスモールチェンジ機能が止まってしまうのは何故ですか? FAQ.2026年10月6日確認.公式FAQ
  4. 株式会社ケープ.エアマットレス機能比較/対象者の目安.2026年10月6日確認.公式比較表
  5. 株式会社ケープ.エアマットレスご利用中のお客様へ 停電時の対応に関するお願い.2026年10月6日確認.公式案内
  6. National Pressure Injury Advisory Panel, European Pressure Ulcer Advisory Panel, Pan Pacific Pressure Injury Alliance. Repositioning and Mobilization. In: Prevention and Treatment of Pressure Ulcers/Injuries: Clinical Practice Guideline. The International Guideline. 4th ed. 2026. International Guideline
  7. National Pressure Injury Advisory Panel, European Pressure Ulcer Advisory Panel, Pan Pacific Pressure Injury Alliance. Full Body Support Surfaces for Prevention of Pressure Injuries. In: Prevention and Treatment of Pressure Ulcers/Injuries: Clinical Practice Guideline. The International Guideline. 4th ed. 2026. International Guideline

著者情報

rehabilikun 理学療法士

rehabilikun(理学療法士)

rehabilikun blogを2022年4月に開設。医療機関・介護福祉施設・訪問リハの現場経験をもとに、評価・臨床手順・医療制度など、医療従事者の実務に役立つ情報を発信しています。現在は療養病院に勤務し、脳卒中、褥瘡・創傷ケア、呼吸リハなどの臨床・教育活動に取り組んでいます。

保有資格

  • 脳卒中認定理学療法士
  • 褥瘡・創傷ケア認定理学療法士
  • 登録理学療法士
  • 3学会合同呼吸療法認定士
  • 福祉住環境コーディネーター2級

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