- Perme ICU Mobility Score は「動けない理由」まで点数化して離床計画をそろえます
- 結論・早見表(まず迷わない最小セット)
- Perme( Perme ICU Mobility Score )とは
- いつ使う?(向いている場面・向かない場面)
- 評価の全体像(領域で「詰まり」を見つける)
- 付け方(手順):まず「条件固定」→ 次に「最小安全課題」
- 記録の型(テンプレ):総点+「詰まり領域」+次アクション
- 現場の詰まりどころ(迷いやすい 4 パターン)
- 回避の手順(チェック):評価前にそろえる 6 点
- 中止・中断の考え方(スコアより安全を優先)
- よくある質問(FAQ)
- 入手先(日本語版・原本)
- 次の一手(続けて読む)
- 参考文献
- 著者情報
Perme ICU Mobility Score は「動けない理由」まで点数化して離床計画をそろえます
Perme ICU Mobility Score( Perme Score )は、ICU 患者の活動度を「できた動作」だけでなく、意識やライン・機器などの移動バリアも含めて整理し、合計 0–32 点で共有するスケールです。
運用のコツは、総点を 1 つ出して終わりにせず、①どこで詰まったか(領域) ②次に変えるレバー(鎮静・ライン整理・補助量・休息)までセットで残すことです。
同ジャンルの導線(まず 3 本)
結論・早見表(まず迷わない最小セット)
Perme Score は「移動レベル」そのものより、動けない理由(バリア)をチームで同じ言葉にするのが強みです。最初は下の 4 点だけ押さえると回ります。
※スマホでは表が横にスクロールできます。
| 見るポイント | 結論 | 現場での 1 行 |
|---|---|---|
| 総点( 0–32 ) | 「今日どこまで安全にできたか」の要約 | 推移を見るために同条件で繰り返す |
| 詰まり領域 | 点が伸びない原因を領域で特定 | バリア / 意識 / 耐久が多い |
| 最上位の動作 | 「できた」だけでなく介助・補助まで残す | 端座位 10 分( 2 人介助 ) |
| 次アクション | レバー(鎮静・ライン・休息・補助量)を 1 つ決める | ライン整理 → 2–3 m を休息込みで |
Perme( Perme ICU Mobility Score )とは
Perme Score は、ICU 患者の活動度を複数の観察領域に分けて評価し、合計点としてまとめるアウトカムです。特徴は、ベッド上動作や移乗・歩行に加えて、意識状態と潜在的な移動バリア(ライン・機器など)を明示的に含める点にあります。
同じ「端座位可」でも、鎮静の深さ・不穏・酸素化・機器の制約で安全域は変わります。Perme Score を使うと、チーム内で「動ける/動けない」を原因込みで共有しやすくなります。
いつ使う?(向いている場面・向かない場面)
向いているのは、ICU で離床を進めたいが「何がボトルネックか」を整理したい場面です。特に、ラインや呼吸補助などの制約が多い患者で、介入ターゲット(整理・調整・休息設計)を決めたいときに強いです。
向かないのは、到達した「最高レベル」を最短で 1 つだけ残したい運用です。その用途は IMS の方が素早く回ります(比較は Perme と IMS の違い(比較・使い分け) にまとめました)。
評価の全体像(領域で「詰まり」を見つける)
Perme Score は合計点だけでなく、どの領域で詰まっているかを見ると実務が速くなります。特に「意識」と「バリア」は、動作以前に条件を決める領域です。
※スマホでは表が横にスクロールできます。
| 領域 | 主に見たいこと | 臨床のコツ |
|---|---|---|
| 意識 | 指示理解・覚醒の安定 | 鎮静・せん妄・睡眠の影響を条件メモに残す |
| 移動バリア | ライン・ドレーン・呼吸補助・モニタなどの制約 | 「制約の多さ」と「配置(人員)」を分けて考える |
| 機能的筋力 | 抗重力の保持・動作に必要な出力 | MMT より動作の成立に寄せて見る |
| ベッド内動作 | 寝返り・起き上がりの補助量 | 手の位置・支持条件をそろえて比較する |
| 移乗 | 立ち上がり・ベッド ⇄ 椅子の実用性 | 立位保持時間・足部支持条件も一緒に残す |
| 歩行 | 歩行の可否・補助具・介助量 | 距離より「どの補助で安全だったか」を残す |
| 耐久性 | 短時間活動を維持できるか(休息で戻るか) | SpO₂ / 呼吸数 / 息切れ / 休息での回復をセットで |
付け方(手順):まず「条件固定」→ 次に「最小安全課題」
採点の再現性を上げるコツは、①条件を揃える → ②段階的に課題を上げるの順にすることです。ICU は「その日の体調」以上に「条件(鎮静・ライン・酸素条件)」がスコアを動かします。
- 条件固定:鎮静・せん妄・疼痛、循環/呼吸条件を確認し、当日の上限(今日は端座位まで、など)を決めます。
- バリア整理:ライン・機器・ドレーンを整理し、必要人員( 2 名介助、看護同席など)を確保します。
- 最小安全課題:意識 → バリア → 機能的筋力を押さえ、ベッド内動作 → 移乗 → 歩行 → 耐久の順で「安全にできた最上位」を確認します。
- まとめ:総点に加えて「詰まり領域」と「次アクション」を 1 行で残します。
記録の型(テンプレ):総点+「詰まり領域」+次アクション
Perme Score は、数値の共有よりも「次に何を変えるか」をセットで残すとチームが揃います。おすすめは ①総点 ②低い領域 ③次回の具体策の 3 点セットです。
※スマホでは表が横にスクロールできます。
| 項目 | 記載例 | ポイント |
|---|---|---|
| 実施日/場面 | ICU 退室前(午前) | タイミングをそろえると推移が読めます |
| 総点 | Perme 合計: XX / 32 | 経時変化の一本化 |
| 詰まり領域 | バリア+耐久が主 | 優先順位が決まります |
| 最上位の動作 | 端座位 10 分、立位 30 秒、歩行は未実施 | 「どこまで・何分・どの介助」で残す |
| 次アクション | ライン整理+歩行 2–3 m を休息込みで | バリア低減と課題設定を 1 セットに |
現場の詰まりどころ(迷いやすい 4 パターン)
Perme Score は「項目を覚える」ほど、逆に迷いが出ることがあります。迷いを減らすには、評価条件を固定し、判断軸を数個に絞るのが近道です。
※スマホでは表が横にスクロールできます。
| 詰まりどころ | よくある原因 | 回避策( OK ) |
|---|---|---|
| 意識の評価がブレる | 鎮静深度・せん妄・睡眠の影響が日替わり | 採点前に「覚醒の条件」をそろえ、条件メモを必ず残す |
| バリア領域が曖昧 | 「危険度」と「数(制約)」が混ざる | まずは制約の多さとして扱い、危険度は別に人員配置で補う |
| 移乗はできたが歩行へ進めない | 呼吸困難感・循環反応・疲労が先に来る | 距離を短くし、座位休息→再開を「評価の一部」にする |
| 点が上がらないのに介入は進んでいる | 同じ到達でも介助量や安全域が改善している | Perme と別に「介助量」「休息で戻る速度」を 1 行併記する |
回避の手順(チェック):評価前にそろえる 6 点
Perme Score は「動作」より先に、条件(安全・覚醒・バリア)が整っているかで再現性が決まります。評価前に、最低限この 6 点だけそろえるとブレが減ります。
- 覚醒:鎮静の深さと刺激条件(いつ・誰が・どう声かけ)
- せん妄:評価が成立する時間帯か(不穏・注意障害が強い時間帯は避ける)
- 疼痛:動作で痛みが上がる部位と対策(体位・補助・鎮痛タイミング)
- 呼吸:酸素条件(デバイス・流量)と離床の上限
- 循環:血圧・不整脈・昇圧薬など施設ルールに沿った開始条件
- バリア:ライン・ドレーン・モニタの配置と、必要人員
鎮静・せん妄で判断が揺れる場合は、関連:ICU の鎮静・せん妄評価の基本( RASS → CAM-ICU / ICDSC )も参照してください。
中止・中断の考え方(スコアより安全を優先)
Perme Score は「離床を進めるための共通言語」ですが、評価のために無理をする必要はありません。運用としては、数値より症状と安全を優先し、「今日はここまで」の線をチームで揃えることが重要です。
開始条件・中断(中止)の閾値は施設基準と主治医方針を優先しつつ、少なくとも胸痛・失神前兆・著明な呼吸苦の増悪・危険な不整脈・意識の急変は最優先で中断判断に使います。迷う場面は「中断した理由」を 1 行で残し、次回の条件調整に繋げます。
よくある質問(FAQ)
各項目名をタップ(クリック)すると回答が開きます。もう一度タップで閉じます。
Q1. Perme と IMS はどちらを先に使うべきですか?
結論として、「到達レベルを最短で共有」なら IMS 、 「動けない理由(バリア)まで整理」なら Permeが向きます。両方使う場合は、IMS で到達を 1 つ決め、Perme で「詰まり領域」と「次アクション」を残すとチームが揃います。比較の全体像は Perme と IMS の違い(比較・使い分け)にまとめました。
Q2. 深鎮静の時間帯でも Perme を付けますか?
無理に「動作」まで進める必要はありません。深鎮静で反応が乏しい時間帯は、評価が成立しにくいこと自体が重要な情報です。まず覚醒条件を整え、評価できる時間帯で再評価する運用が安全です。
Q3. ラインが多くて「バリア」で迷います。
迷いの原因は「制約の多さ」と「危険度」が混ざることです。まずは制約の多さとして扱い、危険度は別に「必要人員」「配置(どのラインに注意)」で補うとブレません。
Q4. 毎日付けた方がいいですか?
毎日が必須というより、同条件で比較できる頻度が大切です。ICU 退室前後など、意思決定(転棟後の介入量・フォロー要否)が変わるタイミングに合わせると、点数が「次の打ち手」に直結します。
Q5. 退室前評価はいつ取ると実務で使えますか?
施設運用によりますが、「退室前の一定期間(例: 48 時間 )」など、比較しやすいルールを決めると使いやすいです。大事なのは、点数だけでなく「詰まり領域」と「次アクション」をセットで申し送ることです。
入手先(日本語版・原本)
Perme Score の用紙は配布元が複数あります。施設の運用に合わせて、原本(英語)または日本語資料を参照してください。
- 日本語資料( PDF ):Perme-ICU-Mobility-Score.pdf
- 原著( 2014 ):doi: 10.14797/mdcj-10-1-41 / PubMed: 24932363
次の一手(続けて読む)
- 運用を整える:人工呼吸器離脱の PT 実務(評価→離床→共有)
- 共有の型を作る:Perme と IMS の違い(比較・使い分け)
- 環境の詰まりも点検:教育体制・人員・記録文化など“環境要因”を一度見える化すると、次の打ち手が決めやすくなります。
無料チェックシートで職場環境を見える化 - チェック後に『続ける/変える』の選択肢も整理したい方は、PT キャリアナビで進め方を確認しておくと迷いが減ります。
参考文献
- Perme C, Nawa RK, Winkelman C, Masud F. A tool to assess mobility status in critically ill patients: the Perme Intensive Care Unit Mobility Score. Methodist DeBakey Cardiovascular Journal. 2014;10(1):41–49. doi: 10.14797/mdcj-10-1-41 / PubMed: 24932363
- Katayama S, et al. Reliability and Validity of the Japanese Perme ICU Mobility Score. Progress in Rehabilitation Medicine. 2025.( J-STAGE )全文
- Hodgson CL, Needham D, Haines K, et al. Feasibility and inter-rater reliability of the ICU Mobility Scale. Heart & Lung. 2014;43:19–24. doi: 10.1016/j.hrtlng.2013.11.003 / PubMed: 24373338
著者情報
rehabilikun(理学療法士)
rehabilikun blog を 2022 年 4 月に開設。医療機関/介護福祉施設/訪問リハの現場経験に基づき、臨床に役立つ評価・プロトコルを発信。脳卒中・褥瘡などで講師登壇経験あり。
- 脳卒中 認定理学療法士
- 褥瘡・創傷ケア 認定理学療法士
- 登録理学療法士
- 3 学会合同呼吸療法認定士
- 福祉住環境コーディネーター 2 級
専門領域:脳卒中、褥瘡・創傷、呼吸リハ、栄養(リハ栄養)、シーティング、摂食・嚥下


