身体拘束を行った日の記録テンプレ|判定・再評価・共有を 1 枚でそろえる
身体拘束最小化の運用で最も詰まりやすいのは、制度理解より当日記録のばらつきです。本記事は、身体拘束を行った当日に必要な記録を「判定 → 実施 → 再評価 → 共有」の順で固定するテンプレ記事です。
改定背景や全体方針は 認知症ケア加算×身体拘束最小化(実装ポイント) で確認し、本ページでは「その場で書ける形」に絞って整理します。
5 分フロー|当日記録はこの順で書く
記録は「結論」から書くより、時系列で固定した方が再現性が上がります。まずは下の 4 段だけ統一してください。
| 段階 | 現場での行動 | 記録する内容 |
|---|---|---|
| 1. 判定 | 危険行動の確認、代替手段の実施 | 実施理由、代替手段、実施に至った根拠 |
| 2. 実施 | 開始、観察項目の固定 | 開始時刻、観察項目、実施中の状態 |
| 3. 再評価 | 継続/解除の判断 | 再評価時刻、解除トライ結果、次回評価時刻 |
| 4. 共有 | 多職種・家族への引き継ぎ | 共有先、共有内容、次担当への申し送り |
そのまま使える記録テンプレ(当日版)
下のテンプレは、病棟での運用を止めないための最小構成です。文言は施設運用に合わせて調整してください。
| 記録欄 | 書くポイント | 記載例 |
|---|---|---|
| 実施理由 | 危険行動を具体化し、代替手段の結果まで書く | 離床時に転倒リスク行動あり。見守り強化・環境調整を実施するも危険行動持続のため一時的に実施 |
| 開始時刻 | 時刻は必ず明記 | 16:20 実施開始 |
| 観察項目 | 表情、体動、拒否、バイタルなど施設基準で固定 | 30 分ごとに表情・体動・拒否の有無を確認 |
| 再評価 | 継続/解除の根拠を短文で記載 | 17:00 再評価。危険行動軽減のため解除トライを実施 |
| 共有 | 誰に何を引き継いだか | 夜勤担当へ解除条件と再評価時刻を申し送り |
OK / NG 比較|監査で詰まりやすい書き方
| 場面 | NG | OK |
|---|---|---|
| 実施理由 | 不穏のため実施 | 転倒高リスク行動が持続。代替手段 A/B 実施後も改善乏しく一時的に実施 |
| 再評価 | 継続 | 17:00 再評価で危険行動軽減。解除トライ 15 分で再出現し、18:00 再判定へ |
| 共有 | 申し送り済み | 夜勤担当へ「解除条件・再評価時刻・観察項目」を口頭と記録で共有 |
現場の詰まりどころ/よくある失敗
当日記録で止まる原因は、書式不足より判断基準の不統一です。まずはこの 3 点を修正してください。
よくある失敗(先に直す 3 つ)
| 失敗 | 原因 | 修正 |
|---|---|---|
| 理由が抽象的 | 危険行動を具体化していない | 行動・時間帯・代替手段結果を 1 セットで記載 |
| 再評価が遅れる | 再評価時刻を先に決めていない | 開始時点で次回評価時刻を明記 |
| 申し送りが曖昧 | 共有項目が固定されていない | 解除条件・観察項目・次回評価時刻の 3 点を固定 |
5 分チェック(当日運用)
- 実施理由に「代替手段の結果」まで書けている
- 開始時刻と次回再評価時刻がある
- 継続/解除の根拠が短文で残っている
- 共有先と共有内容が記録されている
- 次担当が読んで同じ判断ができる
よくある質問(FAQ)
各項目名をタップ(クリック)すると回答が開きます。もう一度タップで閉じます。
Q1. まず何を書けばいいですか?
最初は「実施理由」と「代替手段の結果」です。ここが曖昧だと、その後の再評価と共有が崩れます。
Q2. 再評価はどの頻度で書けばいいですか?
固定間隔に加えて、症状変化や環境変化で前倒しする運用が有効です。開始時点で次回時刻を決めておくと運用が安定します。
Q3. NG 記録の典型は何ですか?
「不穏のため実施」「継続」など、理由や根拠が抽象的な記録です。行動・時刻・判断根拠をセットで残してください。
Q4. 制度区分( 1 / 2 / 3 )の確認はどこで行いますか?
制度区分は比較記事で確認し、本記事は当日運用に専念する使い分けが効率的です。
次の一手
- 運用を整える:認知症ケア加算×身体拘束最小化(親記事)
- 制度を確認する:認知症ケア加算 1 / 2 / 3 の違い【比較・使い分け】
参考資料(一次情報)
著者情報
rehabilikun(理学療法士)
rehabilikun blog を 2022 年 4 月に開設。医療機関/介護福祉施設/訪問リハの現場経験に基づき、臨床に役立つ評価・プロトコルを発信。脳卒中・褥瘡などで講師登壇経験あり。
- 脳卒中 認定理学療法士
- 褥瘡・創傷ケア 認定理学療法士
- 登録理学療法士
- 3 学会合同呼吸療法認定士
- 福祉住環境コーディネーター 2 級
専門領域:脳卒中、褥瘡・創傷、呼吸リハ、栄養(リハ栄養)、シーティング、摂食・嚥下


