RSSTとMWSTの違い|使い分け・順番・中止基準

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RSST と MWST の違い|使い分け・順番・中止基準を整理

RSST と MWST は、どちらが上位というより「低負荷の入口評価」と「少量飲水の安全域評価」で役割が違います。

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RSST と MWST は、どちらもベッドサイドで使いやすい嚥下スクリーニングですが、見ている対象は同じではありません。RSST は水を使わず、30秒間の空嚥下の成立・惹起性・連続性をみる入口評価です。MWST は3mLの冷水を使い、むせ・湿性嗄声・呼吸変化などをみる少量飲水の安全域評価です。

この記事では、RSST と MWST の違いを「どちらが正しいか」ではなく、どちらを先に行うか、どこで止めるか、陽性後に何へつなぐかで整理します。手順の細部よりも、現場で迷いやすい使い分けと記録の型を確認したい方向けの記事です。

違いは「空嚥下の入口評価」か「少量飲水の安全域評価」かです

RSST は、唾液をできるだけ繰り返し飲み込んでもらい、30秒間に何回嚥下できるかを触診で確認します。水を使わないため、初回評価や状態が不安定な場面でも低負荷で始めやすい評価です。ただし、RSST は実際の飲水時のむせや湿性嗄声を直接みる検査ではありません。

MWST は、3mLの冷水を用いて嚥下後のむせ、湿性嗄声、呼吸切迫、追加嚥下の可否などを確認します。つまり、RSST が「空嚥下の入口が作れるか」をみるのに対し、MWST は「少量の水を安全に処理できるか」をみる評価です。両者は競合ではなく、役割の違う2段階の確認として使うと判断が安定します。

RSSTとMWSTの違いを比較した図版。RSSTは唾液のみの空嚥下評価、MWSTは3mL冷水を使う飲水評価として整理している。

比較表|RSST と MWST の使い分け早見表

スマホでは表を横スクロールできます。

RSST と MWST の違いと使い分け
項目 RSST MWST
主な役割 空嚥下の入口評価 少量飲水の安全域評価
使うもの 唾液 3mLの冷水
見る所見 嚥下回数、惹起性、連続性 むせ、湿性嗄声、呼吸変化、追加嚥下
向いている場面 まず低負荷で入口を見たいとき 少量飲水で危険徴候を確認したいとき
注意点 単独で安全判断しない 単独で食上げを決め切らない
次の一手 MWSTや周辺所見と束ねる ST・医師への共有、精査要否の判断

RSST が向いている場面|まず水を使わず入口を見たいとき

RSST が向いているのは、いきなり飲水試行へ進む前に、空嚥下の成立を低負荷で確認したい場面です。覚醒に揺れがある、指示理解に不安がある、口腔乾燥が強い、前日より反応が鈍いなどの場面では、まず空嚥下がどの程度まとまるかを確認すると安全に入りやすくなります。

ただし、RSST が保たれているからといって、そのまま食事や飲水が安全とは限りません。RSST は誤嚥の有無を直接見る検査ではなく、嚥下反射の起こりやすさや連続性をみる入口評価です。結果は単独で使わず、口腔内、呼吸、覚醒、姿勢、MWSTの結果と合わせて判断します。

MWST が向いている場面|少量飲水で危険徴候を見たいとき

MWST が向いているのは、空嚥下だけでは判断しきれず、少量の水に対する反応を確認したい場面です。3mLという少量で、むせ、湿性嗄声、呼吸切迫、追加嚥下の可否を観察できるため、経口摂取の入口判断や多職種共有の根拠をそろえやすくなります。

一方で、MWST は水を使う評価です。少量であっても負荷がかかるため、「飲めるかどうかを一発で決める検査」ではなく、「少量飲水で危険徴候が出ないかを小さく試す検査」として扱います。危険徴候が出た場合は、その場で止めて共有につなげます。

順番は迷ったら RSST → MWST でそろえます

順番に迷う場合は、RSST → MWST の流れにそろえると判断がぶれにくくなります。先にRSSTで空嚥下の入口を確認し、その後にMWSTで少量飲水時の安全域を確認する流れです。

  1. 覚醒・姿勢・口腔内・呼吸状態を確認する
  2. RSSTで空嚥下の成立と連続性を見る
  3. RSSTの結果と周辺所見からMWSTへ進むか判断する
  4. MWSTで3mL飲水時のむせ・湿性嗄声・呼吸変化を見る
  5. 陽性所見があれば止めて、ST・医師へ共有する

この順番にしておくと、「まず低負荷で入口を確認し、次に少量飲水で安全域を確認する」という共通言語ができます。施設のSOPがある場合はそれを優先しつつ、迷う場面ではこの流れを基本形にすると申し送りもしやすくなります。

中止基準|MWSTでむせ・湿性嗄声・呼吸変化があれば止めます

RSST と MWST は、結果を出して終わりではなく、止めどころまで決めておく評価です。RSST では、指示理解が成り立たない、空嚥下がほとんど成立しない、喉頭挙上が不十分で回数として数えにくい場合に、機械的にMWSTへ進めないことが大切です。

MWST では、むせ、湿性嗄声、呼吸切迫、SpO2低下傾向、明らかな呼吸パターンの変化があれば中止します。所見が出たあとに「もう一度だけ確認する」と負荷を重ねるより、その場で止めて、食形態・水分形態・姿勢・介助方法・精査の要否を共有するほうが安全です。

現場の詰まりどころ|点数だけで安全判断しない

RSST と MWST でよくある失敗は、点数だけを見て安全・危険を決めてしまうことです。RSST は入口評価、MWST は少量飲水評価なので、結果の意味を分けて記録しないと、申し送りで判断が伝わりにくくなります。

よくある失敗

  • RSSTが良いので、そのまま飲水・食事へ進めてしまう
  • MWSTが陰性なので、食上げまで一気に決めてしまう
  • むせや湿性嗄声が出ても、再確認として試行を繰り返す

嚥下評価の記録や判断に迷いやすい背景には、個人の知識だけでなく、施設内の教育体制、相談しやすさ、共通フォーマットの有無も関係します。学び方や環境の整え方も含めて見直したい場合は、PT キャリアガイドを見る で整理できます。

記録例|RSST と MWST は「条件・所見・判断」を分けて書く

記録では、点数だけでなく、条件、観察所見、判断、次アクションを分けて書くと伝わりやすくなります。

RSST と MWST の記録例
項目 記録例
RSST 座位保持下、RSST実施。30秒間で空嚥下2回。指示理解は可能だが、2回目以降の惹起に遅延あり。
MWST 3mL冷水でMWST実施。嚥下後に軽度湿性嗄声あり、明らかな呼吸切迫なし。追加試行は行わずSTへ共有。
判断 空嚥下の連続性低下と少量飲水後の湿性嗄声を認めるため、経口摂取の拡大は急がず、姿勢・口腔内・水分形態を含め再評価する。

このように書くと、「何点だったか」だけでなく、「どの条件で、何を見て、なぜ次の判断になったか」が残ります。多職種で共有する場合も、危険徴候と次アクションが伝わりやすくなります。

よくある質問

各項目名をタップ(クリック)すると回答が開きます。もう一度タップで閉じます。

RSST が良ければ MWST は不要ですか?

不要とは言い切れません。RSST は空嚥下の入口評価であり、実際の飲水時のむせや湿性嗄声を直接みる評価ではないためです。必要に応じてMWSTや周辺所見と合わせて判断します。

MWST の前に RSST を飛ばしてもよいですか?

施設のSOPや対象者の状態によってはあり得ます。ただし、迷う場合はRSSTで低負荷に入口を確認してからMWSTへ進む流れのほうが、判断をそろえやすくなります。

RSST が低い場合は飲水を完全に避けるべきですか?

RSSTだけで決め切るのではなく、覚醒、呼吸状態、口腔内、姿勢、既往、食事場面の所見と合わせて判断します。空嚥下が成立しにくい場合は、MWSTへ進む前に条件調整や専門職への相談を優先します。

MWST でむせた場合、もう一度確認してよいですか?

むせ、湿性嗄声、呼吸変化が出た場合は、その場で止めるのが基本です。再確認として負荷を重ねるより、ST・医師へ共有し、食形態や精査の要否を検討します。

RSST と MWST の結果はどう申し送ればよいですか?

「検査名と点数」だけでなく、体位、覚醒、口腔内、むせ、湿性嗄声、呼吸変化、追加嚥下の可否、次アクションをセットで伝えると安全です。

次の一手|比較のあとは単体手順と全体像を確認する

RSST と MWST の違いが整理できたら、次は全体像と単体手順をつなげると臨床で使いやすくなります。嚥下評価全体の流れを確認したい場合は 摂食嚥下評価の全体像、嚥下・栄養関連の記事をまとめて探す場合は 栄養・嚥下ハブ が入口になります。

不顕性誤嚥を含めて短時間で拾う流れを確認したい場合は、不顕性誤嚥の10分スクリーニング もあわせて確認してください。


参考文献

  1. 日本摂食・嚥下リハビリテーション学会医療検討委員会. 摂食・嚥下障害の評価(簡易版)2015. 学会PDF
  2. 日本摂食・嚥下リハビリテーション学会医療検討委員会. 摂食嚥下障害の評価 2019. 学会PDF
  3. Oguchi N, Yamamoto S, Terashima S, et al. The modified water swallowing test score is the best predictor of postoperative pneumonia following extubation in cardiovascular surgery. Medicine (Baltimore). 2021;100(4):e24478. doi:10.1097/MD.0000000000024478PubMed
  4. Persson E, Wårdh I, Östberg P. Repetitive Saliva Swallowing Test: Norms, Clinical Relevance and the Impact of Saliva Secretion. Dysphagia. 2019;34(2):271-278. doi:10.1007/s00455-018-9937-0PubMed
  5. Baba Y, Teramoto S, Hasegawa H, et al. Characteristics and limitation of portable bedside swallowing test in elderly with dementia. Nihon Ronen Igakkai Zasshi. 2005;42(3):323-327. doi:10.3143/geriatrics.42.323PubMed

著者情報

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rehabilikun(理学療法士)

rehabilikun blog を2022年4月に開設。医療機関/介護福祉施設/訪問リハの現場経験に基づき、臨床に役立つ評価・プロトコルを発信。脳卒中・褥瘡などで講師登壇経験あり。

  • 脳卒中 認定理学療法士
  • 褥瘡・創傷ケア 認定理学療法士
  • 登録理学療法士
  • 3学会合同呼吸療法認定士
  • 福祉住環境コーディネーター2級

専門領域:脳卒中、褥瘡・創傷、呼吸リハ、栄養、シーティング、摂食・嚥下

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