ブレーデンスケールとは?褥瘡評価表|6つの危険因子でアセスメント

褥瘡対策
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リハビリくん
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いつも当サイト(rehabilikun blog)の記事をお読みいただき誠にありがとうございます。また、初めましての方はよろしくお願い致します。サイト管理者のリハビリくんです!

   

この記事は「ブレーデンスケール」をキーワードに内容を構成しております。こちらのテーマについて、もともと関心が高く知識を有している方に対しても、ほとんど知識がなくて右も左も分からない方に対しても、有益な情報がお届けできるように心掛けております。それでは早速、内容に移らせていただきます。

   

褥瘡は発生してしまってから治すより、未然に発生を予防できればそれに越したことはありません。発生を防ぐためにはどうすればいいのか?そこで効果を発揮するのがリスクアセスメントスケールになります。

   

褥瘡の発生を防止するにはリスクアセスメントツールを活用し、様々な褥瘡発生要因からその対象者の褥瘡発生リスクを評価し、リスクに応じた予防策を実施することが重要になります。

   

今までに褥瘡発生リスクが高い患者および利用者を抽出するためにいくつものリスクアセスメントスケールが考案されてきました。その中で、信頼性が高く世界中で最も広く使われているのはブレーデンスケールになります。

  

こちらの記事では、ブレーデンスケールの評価方法を解説し、すぐにでも臨床でブレーデンスケールを活用した評価ができるように、Excelファイルの評価表をダウンロードできるようにしてあります。是非ご活用して頂ければと思います!

リハビリくん
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【簡単に自己紹介】

30代の現役理学療法士になります。

理学療法士として、医療保険分野と介護保険分野の両方で経験を積んできました。

現在は医療機関で入院している患者様を中心に診療させていただいております。

臨床では、様々な悩みや課題に直面することがあります。

そんな悩みや課題をテーマとし、それらを解決するための記事を書かせて頂いております。

  

現在、理学療法士として得意としている分野は「脳卒中」「褥瘡」「栄養」「呼吸」「摂食・嚥下」「フレイル・サルコペニア」についてです。そのため、これらのジャンルの記事が中心となっております。

  

主な取得資格は以下の通りです

脳卒中認定理学療法士

褥瘡 創傷ケア認定理学療法士

3学会合同呼吸療法認定士

福祉住環境コーディネーター2級

理学療法士、作業療法士、言語聴覚士として働いていると、一般的な会社員とは異なるリハビリ専門職ならではの苦悩や辛いことがあると思います。当サイト(rehabilikun blog)ではそのような療法士の働き方に対する記事も作成し、働き方改革の一助に携わりたいと考えております。

  

こちらの記事は検索ワードのランキング 2 位を獲得しております。"理学療法士は生活できない?PTが転職を考えるべき7つのタイミング"興味がある方は、こちらの記事も目を通してくれると幸いです☺

ブレーデンスケールの歴史

ブレーデンスケールは1983年にBraden博士とBergstrom博士により開発されました。こちらのお二方は、褥瘡発生に関するさまざまな観察項目を挙げ、実際に施設において褥瘡発生との因果関係を研究しておりました。

その結果、項目として「知覚の認知」「湿潤」「活動性」「可動性」「栄養状態」「摩擦とズレ」の6項目が挙げられました。

当初血清アルブミン値も褥瘡発生に有意差があるため、項目として検討されましたが、カットオフ値を決めるにあたり、感度を満足できる値にすると特異度が低くなるという問題があることと、介護施設でのアルブミン値測定が難しいのではないかという理由により採用には至らなかったようです。

また、ブレーデンスケールは医療施設だけではなく介護施設での使用を念頭にされており、また看護師だけではなく看護補助者でも使えることがコンセプトとしてありました。

このように、ブレーデンスケールは褥瘡発症メカニズムの詳細な検討にもとづいて作成され、しかも検証と修正を繰り返して最終的に世に出てきたものになります。医療や介護現場の実情に則した予測スケールであるため、一気に全世界に広がったと考えられます。

ブレーデンスケールの特徴

褥瘡の発生リスクを客観的に評価できるのが特徴です。また、ブレーデンスケールは褥瘡が発生するリスクの予測妥当性に優れており、ブレーデンスケールを使用することで褥瘡の発生を約50%程度抑えることができるといわれています。

エビデンスレベル(推奨度)

リスクアセスメントスケールの中で最も浸透したのはブレーデンスケールになります。日本褥瘡学会の褥瘡予防・管理ガイドラインで推奨度Bとなっています。

ブレーデンスケールの評価表

ブレーデンスケールの評価表をダウンロードできるようにしておきました!

評価表が必要な方はこちらからどうぞ☺

ブレーデンスケールの評価項目

  • 知覚の認知:圧迫による不快感に対して適切に反応できる能力
  • 湿潤:皮膚が湿潤にさらされる程度
  • 活動性:行動の範囲、身体的活動度
  • 可動性:体位を変えたり整えたりできる能力
  • 栄養状態:普段の食事摂取状況
  • 摩擦とずれ:ベッド上での移動で身体がシーツ等と擦れて受ける外力の程度

上記の6つの項目から構成されており、それぞれの項目を1点~4点(摩擦とずれの項目のみ1点~3点)で採点します。最低点は6点、最高点は23点の合計6~23点で評価を行い、合計点が低いほど褥瘡の発生リスクが高くなります。

カットオフ値

病院で14点以下、介護施設で17点以下の場合、褥瘡発生リスクは高度と判定します。

初回評価のタイミングと評価頻度

初回評価のタイミングは下記の1か2が良いと考えられます。

  1. 入院または入所から24~48時間以内に実施する。
  2. 評価項目の「活動性」や「可動性」が2点以下(寝たきり状態)になった時に実施する。

また実施頻度に関しては、急性期で48時間ごと、慢性期で毎週行うことが推奨されています。

評価して満足せず対策に繋げる

ブレーデンスケールは優れた褥瘡発症予測スケールですが、あくまで発症を予測するに過ぎません。このスケールは発症予防対策をするためのアセスメントツールであり、評価をして終わっては意味がありません。

具体的な使用法としては、まずは各施設でカットオフ値を決めることから始めるといいと思います。一応カットオフ値が病院で14点以下、介護施設で17点以下と定められてはおりますが、これはあくまで目安ですので各施設の特色に合わせて設定したほうが良いと考えられます。

また各項目で点数の低い部分へ重点的に対策をすることで、褥瘡予防を効果的に行うことができます。例えば「湿潤」の項目点が低い利用者にはオムツ交換頻度を多くすると効果的です。

他には「摩擦とズレ」の点数が低いようなら体位変交換方法の工夫を考え、スライディングシートを導入すると褥瘡予防として効果的です。

このようにブレーデンスケールをつけることで介入を要する方をピックアップし、項目ごとに検討することで具体的な褥瘡対策を計画します。それを実行し、定期的に評価を繰り返し、プランの変更や継続をすることで褥瘡の発生を減少させることができると考えられます。

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まとめ

最後までお読みいただきありがとうございます!

この記事ではブレーデンスケールについてまとめさせていただきました!

本文で、ブレーデンスケールを使用することで褥瘡の発生を約50%程度抑えることができると説明しましたが、これは凄い効果ですよね。

実際、評価をしているのか、していないのかについては重要な問題になるかと思います。リスクアセスメントスケールを使用して評価を行わないと、どういうところに着目して対策に努めればいいのか分からないからです。

特にブレーデンスケールは褥瘡の発生に関連性が強い6項目を3から4段階で評価できますので、抽出した課題に対して介入しやすいと考えられます。

一見、褥瘡発生リスクが低そうな対象者でも入院および入所時のタイミングで評価し、その後も継続的に評価をしていくことが、褥瘡予防においてなによりも大切なことになるかと考えられます!

この記事ではブレーデンスケールについて説明しましたが、褥瘡におけるその他のリスクアセスメントスケールについては、他の記事で更に詳しくまとめておりますので、こちらの記事もご覧になって頂けると幸いです☺️ 【褥瘡のリスクアセスメントスケールについての記事はこちらから

参考文献

  1. 角優子,橋下千鶴,中垣内美津穂,水野勝則.ブレーデンスケール15点以上で褥瘡が発生した要因と今後の課題.新田塚医療福祉センター雑誌.vol.7,No.1,2010,p41-44.
  2. 岡田克之.褥瘡のリスクアセスメントと予防対策.日本老年医学会雑誌,50巻,5号,2013:9,p583-591.
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