【体圧分散マットレスの種類と選び方】褥瘡予防に必要な体圧分散機能

ディスプレイ広告
スポンサーリンク
臨床手技・プロトコル
記事内に広告が含まれています。

体圧分散マットレスに求められる機能

体圧分散マットレスは、骨突出部への 圧集中 を避け、同一部位への 持続圧 を減らすための支持面です。臨床目的は ① 圧の再分配(接触面積の拡大・フォーム等)と ② 圧の時間的移動(交互圧・自動体位変換)に大別されます。最新の国際ガイドラインは、支持面が「圧再分配・摩擦/ずれ低減・マイクロクライメイト管理」に資することを強調し、状況に応じた選択を推奨しています。

選定は「対象者のリスク」「活動性と自力体位変換」「夜間のマンパワー」「離床への影響」を総合して行います。フォーム(reactive)で足りる場面も多く、より高機能な交互圧・自動体位変換は必要性に応じて段階的に検討します(国内 GL 2023 と整合)。

臨床もキャリアも “上向き”。PT のキャリアガイドへ

定義と基本メカニズム

体圧分散用具は「支持面と接触する単位体表面が受ける圧力を軽減する用具」です。臥位では特殊寝台用マットレス/上敷き/交換用、座位では車いすクッションなどが該当し、材質はウレタン、ゲル、エア、ウォーター等と多様です。狙いは “点でなく面で支える・圧を動かす・マイクロクライメイトを整える” ことにあります。

運用では、体圧計測・皮膚所見・睡眠の質・離床時の安定性をモニターし、設定(圧・角度)やポジショニングを 動的 に調整します。高機能=常に最善ではなく、環境と目標に合わせた “過不足のない” 選定が基本です。

主要タイプと“使い分け”早見表

体圧分散マットレスのタイプ別比較(成人・2025 年版)
タイプ メカニズム 適応の目安 メリット 留意点
静止型(フォーム/ゲル等) 面で支え 圧再分配 自発的体位変換あり・軽〜中等度リスク 電源不要・静音・耐久・メンテ容易 長時間同一姿勢だと圧集中、定期変換は必須
交互圧(エア) セルの膨張収縮で 圧の時間移動 自力体位変換が乏しい・中等度〜高リスク 同一部位の持続圧を回避 電源・作動音・故障時の停止リスク
自動体位変換付き 交互圧+傾斜/側方移動 夜間の体位変換が困難・介助負担が大 介助負担の大幅軽減・高リスクに有効 高価・大型・音や振動への配慮

選び方(臨床フロー)

リスク評価(Braden 等)→ ② 活動性・自力体位変換 → ③ 夜間マンパワー → ④ 適合確認(沈み込み・ズレ・端座位安定性・ポンプ警報)→ ⑤ 併用ポジショニング体圧測定 を継続)。

メモ: ガイドラインは「高価な機器が常に最善ではない」前提で、フォームを含む複数選択肢の適用を推奨します。導入後は皮膚所見・体圧・睡眠・離床のデータで “可逆的” に調整しましょう。

まとめ

基準は リスク・活動性・介助体制。まずはフォームを基準に、必要に応じて交互圧/自動体位変換へ段階的に。導入後は 皮膚所見・体圧測定・離床安定性 を定点で再評価し、設定・姿勢・物品を最適化していきましょう。

参考文献

  1. EPUAP/NPIAP/PPPIA. Prevention and Treatment of Pressure Ulcers/Injuries – International Guideline( 2019 )Support Surfaces 章.
    PDF
  2. Guideline Governance Group. Support Surfaces — International Guideline(更新: 2025-02-25 )SS3「圧再分配フォーム推奨(Strong)」.
    Link
  3. 日本皮膚科学会. 褥瘡診療ガイドライン 第 3 版( 2023 ).
    J-STAGE
タイトルとURLをコピーしました