シーティングハブ|座位評価・車椅子調整・除圧・記録

臨床手技・プロトコル
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シーティングハブ|座位評価・車椅子調整・除圧・記録を最短で

シーティングは、見た目の「良い姿勢」を作ること自体が目的ではありません。車椅子を使う人の移動・活動・姿勢支持・快適性・安全性を支えるために、身体機能と車椅子、クッション、支持物の適合を評価し、必要な調整につなげます。皮膚リスクがある場合は、圧・ずれ・湿潤などもあわせて確認します。

このハブでは、PT・OT・STなどの医療従事者が「何から確認するか」で迷わないように、全体像 → 身体計測 → クッション適合 → 困りごと別対策 → 除圧・記録の順に記事を整理しています。詳しい調整方法をこのページだけで完結させるのではなく、目的や困りごとから必要な記事を選ぶ入口として活用してください。

想定読者:病棟・回復期・在宅・通所で、座位姿勢・車椅子調整・除圧を標準化したい PT / OT / ST

このページで分かること:全体評価、採寸、クッション、ずり落ち、側方崩れ、皮膚リスクなど、困りごとに応じた次の確認先

基本の進め方:目的を決める → 現在の座位を観察する → 必要な評価・調整記事へ進む → 同じ条件で再評価する

重要:すべての人を同じ「理想姿勢」へ近づけることがシーティングの目的ではありません。骨盤・脊柱・股関節などの非対称性が修正可能か、固定性かを確認し、無理に可動範囲を超えて姿勢を修正しないことが重要です。

どこから始めるか迷う場合は、まず「全体像」「身体計測」「クッション適合」の3本から確認します。評価から調整、再評価までの基本構造を先にそろえると、その後の困りごと別対応へ進みやすくなります。

困りごとから探す|次に読む記事を選ぶ

シーティングでは、すべてを一度に調整するより、まず何を改善したいのかを明確にした方が前後差を判断しやすくなります。下の表から、現在もっとも困っている項目を1つ選んでください。

シーティングの困りごとから選ぶ記事
困りごと・目的 最初に確認すること 次に読む記事 再評価の例
何から評価するか分からない 目的、崩れ方、車椅子条件 シーティング評価と調整の全体像 同じ課題で前後差を確認
車椅子の寸法が合っているか確認したい 座幅、座奥行、下腿長 シーティングの身体計測 足底接地、膝窩、骨盤位置、操作性
ずり落ち・仙骨座り 骨盤後傾、座奥行、足部支持、背支持 車椅子のずり落ち・仙骨座り対策 殿部位置、姿勢保持、皮膚所見
側方へ崩れる 骨盤傾斜、体幹、支持面、足部 車椅子の側方崩れ・骨盤傾斜対策 頭部・体幹位置、活動のしやすさ
発赤・疼痛・クッションが合わない 皮膚、圧・ずれ、湿潤、クッション条件 車椅子クッション適合評価 発赤、疼痛、座位耐久、姿勢変化
座位保持能力を共通言語で整理したい 手支持の有無、座位保持能力 Hoffer 座位能力分類(JSSC版) 介助量・支持条件をそろえて比較
むせ・食事姿勢が気になる 骨盤・体幹・頭頸部、食事中の症状 栄養・嚥下ハブ むせ、咳嗽、食事時間、疲労など
ALSなど進行性疾患で調整したい 呼吸、嚥下、頭頸部、上肢、意思伝達 ALSのシーティング・ポジショニング 呼吸・嚥下・視線・AAC使用環境

評価の入口|座位姿勢だけでなく修正可能性と車椅子条件を見る

シーティング評価では、車椅子上の姿勢だけを見て調整を決めないことが重要です。現在の座位で「どの方向へ崩れているか」を確認したうえで、必要に応じて臥位や安定した座面でも身体を評価し、その姿勢がどこまで修正可能かを確認します。

  1. 目的を決める:食事、移乗、駆動、活動、疼痛、皮膚など、今回優先する課題を明確にする
  2. 現在の座位を観察する:骨盤、体幹、頭頸部、上肢、足部、支持面の関係を見る
  3. 修正可能性を確認する:非対称性や変形が動かせるのか、固定性なのかを確認する
  4. 身体と機器を照合する:身体寸法、座面、背支持、フットサポート、クッションなどの適合を見る
  5. 調整後に再評価する:変更点を絞り、同じ課題・条件で前後差を見る

骨盤は座位姿勢を考える重要な起点ですが、すべての骨盤を中間位へ強制的に修正するわけではありません。固定性の変形がある場合は、その人の可動範囲と機能を踏まえて支持方法を検討します。

安全管理|皮膚・嚥下・呼吸は姿勢調整だけで完結させない

シーティングでは、姿勢の見た目だけでなく、皮膚、疼痛、嚥下、呼吸、活動の変化も確認します。とくに新しい発赤、持続する疼痛、むせ・咳嗽の増加、呼吸苦、意識状態の変化などがある場合は、車椅子調整だけで原因を説明しようとせず、必要な医学的評価や多職種での確認につなげます。

  • 皮膚:発赤、疼痛、湿潤、ずれ、座位時間、クッション状態を確認する
  • 嚥下:姿勢だけでなく、食形態、嚥下機能、疲労、咳嗽などを含めて評価する
  • 呼吸:呼吸苦や疲労がある場合は、必要に応じて呼吸数・SpO₂なども含めて確認する
  • 転落・移乗:姿勢を安定させることと、移乗・立ち上がり・自己操作を妨げないことの両方を確認する

除圧|角度だけでなく時間・頻度・皮膚反応まで記録する

除圧は、「この角度なら安全」「何分ごとなら十分」と一律に決めるものではありません。皮膚状態、褥瘡リスク、自分で荷重を変えられるか、クッションや支持面、座位時間、活動状況などを踏まえて個別に計画します。

車椅子座位で除圧を考えるときの確認項目
確認すること 見るポイント 記録すること
皮膚リスク 発赤、疼痛、湿潤、既往、感覚障害 部位・出現時期・除圧後の変化
自己除圧能力 体重移動、前傾、側方移動などが可能か 方法・介助量・再現性
車椅子・クッション 座面、クッション、ティルト・リクライン条件 使用機器・設定条件
実施条件 角度、保持時間、頻度、介助方法 実際に行った条件
再評価 皮膚、疼痛、姿勢、活動、本人の訴え 実施前後の変化

ベッド上を含む褥瘡予防・ポジショニングを確認したい場合は、褥瘡予防のポジショニング実務で圧・ずれ・支持面の考え方を整理できます。

ダウンロード|評価・調整条件を同じ様式で残す

シーティングは、調整前後を同じ条件で比較することで判断しやすくなります。既存の記録シートを使用すると、目的、支持条件、調整内容、皮膚所見などをチームで共有できます。

車椅子シーティング:評価・調整記録シート


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身体計測(シーティング)記録シート


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次の一手|シーティング以外の評価・手順へ広げる


参考文献

  1. World Health Organization. Wheelchair provision guidelines [Internet]. Geneva: World Health Organization; 2023. WHO
  2. European Pressure Ulcer Advisory Panel, National Pressure Injury Advisory Panel, Pan Pacific Pressure Injury Alliance. Prevention and Treatment of Pressure Ulcers/Injuries: Clinical Practice Guideline. Seating section [Internet]. 2025. International Guideline
  3. Agency for Clinical Innovation. Spinal seating: The mechanical assessment tool (MAT) [Internet]. NSW Government; cited 2026 Aug 16. ACI

著者情報

rehabilikun(理学療法士)
rehabilikun(理学療法士)

rehabilikun blog を 2022 年 4 月に開設。急性期・回復期・療養病棟、介護福祉施設、訪問リハビリテーションでの臨床経験をもとに、理学療法評価、臨床手順、記録用紙、医療制度などの実務情報を発信しています。

現在は療養病院に勤務し、脳卒中、褥瘡・創傷ケア、リハビリテーション栄養、呼吸リハビリテーションを中心に臨床・教育活動を行っています。

保有資格

  • 脳卒中認定理学療法士
  • 褥瘡・創傷ケア認定理学療法士
  • 登録理学療法士
  • 3学会合同呼吸療法認定士
  • 福祉住環境コーディネーター2級

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