SOAPのAの書き方|例文・1行テンプレ・AとPの違い

制度・実務
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結論:SOAPのAは「主問題 → 根拠 → 解釈・優先度」を1〜2文で書きます

SOAPのA(Assessment)は、Oを言い換える欄でも、次に行う練習を書く欄でもありません。SとOを踏まえて何が問題か、なぜそう判断するか、現時点でどう解釈するかを短くまとめる欄です。具体的な介入内容や実施条件、再評価方法はP(Plan)へ分けると、AとPの役割が明確になります。

この記事では、PT・OT・STが迷いやすい「Oの羅列」「解釈のしすぎ」「Pとの混在」を避けながら、Aを1〜2文で書く方法を整理します。基本形は「主問題 → 根拠 → 解釈・優先度」です。1行テンプレ、頻出6パターン、OK/NG、30秒チェックまで確認できます。

診療記録全体の書き方から確認したい方へ:SOAPを含む日々の記録で何を残すかは、リハビリのカルテ・診療記録の書き方で整理しています。

Aの1行テンプレ|「主問題 → 根拠 → 解釈」で組み立てる

Aが書けないときは、文章力ではなく順番を固定します。「何が問題か → 何を根拠にしたか → その所見をどう解釈するか」の3点に分けると、Oの羅列やPとの混在を避けやすくなります。

まずは次の穴埋めから始めれば十分です。

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SOAPのA(Assessment)1行テンプレ
構成 穴埋め文 役割
主問題 主問題は( )である。 今日の判断対象を明確にする
根拠 根拠は(Oで確認した数値・所見・条件)である。 判断と観察事実をつなぐ
解釈・優先度 以上から(原因仮説・リスク・優先課題)と考える。 Oを一段解釈して判断を残す

基本形:「主問題は( )である。根拠は( )であり、現時点では(原因仮説・リスク・優先課題)と考える。」

一方、「歩行練習を行う」「負荷量を調整する」「次回TUGを再評価する」など、次に何をするかが具体化した部分はPです。

SOAPのO・A・Pの境界とAに書く範囲を整理した図版
SOAPでは、Oは確認した事実、Aは主問題・根拠・解釈・優先度、Pは具体的な介入・条件・再評価として分けると整理しやすくなります。

O・A・Pの境界|どこまで書けばAなのか

迷ったときは、事実そのものならO、事実を統合した判断ならA、その判断に対して次に行うことならPと分けます。

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O・A・Pの書き分け
項目 役割 記載例
O 確認できた事実 方向転換時にふらつきあり。歩行は軽介助。
A 事実を統合した評価・判断 方向転換時の不安定性があり、現時点では単独歩行の安全性に課題がある。
P 次に行う対応・条件・再評価 見守り下で方向転換を含む歩行練習を行い、次回同条件で介助量を再評価する。

Aでは、Oをそのまま並べるのではなく、複数の情報から「何が問題なのか」「何を優先して捉えるのか」を一段解釈することがポイントです。

ただし、解釈は根拠より強くしすぎないようにします。1つの検査値だけで原因やリスクを断定するのではなく、数値、観察所見、介助量、症状、評価条件などを合わせて判断します。

Aが書けない理由|よくある3つの詰まり方

Aが止まりやすい原因は、主に「Oの羅列」「曖昧な解釈」「Pとの混在」の3つです。

  • Oの羅列:数値や所見だけが並び、「だから何が問題か」が分からない
  • 曖昧な解釈:「改善傾向」「経過観察」など、何をどう判断したのか分からない
  • Pとの混在:「練習を行う」「次回再評価する」など、計画までAに入っている

立て直すときは、まず今日の判断に必要なOだけを選び、その事実から何が言えるかを1段だけ解釈すると考えます。

なお、この記事で示す「Oを2〜3点程度に絞る」という考え方はSOAPの公式な項目数ではなく、Aを組み立てやすくするための実務上の目安です。Oの整理そのものに迷う場合は、SOAPのOを3点に絞る考え方で詳しく整理しています。

頻出6パターン|SOAPのAの書き方と例文

ここからは、リハビリテーション場面で遭遇しやすい6パターンを例に、Aの書き方を確認します。ポイントは、具体的な介入や再評価までAへ入れず、問題・根拠・解釈までに止めることです。

例文はそのまま転記するのではなく、実際の患者さんの状態、評価条件、観察所見に合わせて調整してください。

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頻出パターン別:A(Assessment)の例文
場面 Oで確認する例 Aの例文
疼痛で動作を避ける 疼痛強度、誘発動作、活動状況 主問題は疼痛に伴う課題動作の回避である。動作時の疼痛増悪と活動量低下を認めており、疼痛と動作回避の双方が活動制限に関与している可能性がある。
歩行が不安定 歩容、方向転換、介助量、必要に応じた歩行評価 主問題は歩行時の安全性低下である。方向転換時のふらつきと軽介助を要することから、現時点では単独歩行の安全性に課題がある。
立ち上がりが困難 立ち上がり所要時間、荷重左右差、代償動作 主問題は立ち上がり動作の不安定性である。荷重の左右差と代償動作を認めており、荷重戦略の偏りが動作困難に関与している可能性がある。
活動時に息切れする 活動条件、SpO₂、呼吸数、Borg/RPE、歩行距離 主問題は活動時の運動耐容能低下である。同一活動で息切れと活動継続困難を認めており、症状と生理学的反応の双方を踏まえて活動耐容能を判断する必要がある。
起立時に症状が出る 体位、血圧・脈拍、症状、出現時点、回復経過 主問題は体位変換時の症状により立位継続が難しいことである。起立に伴う血圧変化と症状出現を認めており、体位変換との関連を継続して確認する必要がある。
指示理解・注意に課題がある 指示の段階数、反復回数、注意逸脱、必要介助 主問題は指示理解と注意持続の難しさにより課題遂行が不安定なことである。指示の反復と介助を要しており、課題条件が遂行状況に影響していると考える。

症例で確認|OからA、AからPへどうつなぐか

Aだけを切り取るより、Oからどう判断し、その判断をどうPへ渡すかを見ると境界が分かりやすくなります。

以下は、SOAPの書き分けを示すための架空例です。

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架空例:SOAPを4行でつなぐ
項目 記載例
S 「トイレまで歩くとふらつくのが怖い」
O 歩行は軽介助。方向転換時に右側へふらつきを認める。TUG 18秒。
A 主問題は方向転換を含む歩行時の安全性低下である。方向転換時のふらつきと軽介助を要することから、現時点では単独歩行の安全性に課題がある。
P 見守り〜軽介助下で方向転換を含む歩行練習を実施する。次回は同条件で歩行時の介助量と方向転換時の安定性を再評価する。

ここで重要なのは、TUG 18秒という数値だけから転倒リスクを断定していないことです。検査値だけでなく、方向転換時のふらつきや介助量などを合わせ、その時点で支持できる範囲の判断をAへ残します。

AのOK/NG|Oの羅列・解釈しすぎ・Pへの踏み込みを直す

Aを修正するときは文章を長くする必要はありません。「Oだけになっていないか」「根拠より強く断定していないか」「Pまで書いていないか」の3点を確認します。

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A(Assessment)のOK/NG
NG なぜ弱いか 修正例
「TUG 18秒。方向転換時ふらつき。歩行軽介助。」 Oの事実を並べただけで評価がない 主問題は歩行時の安全性低下である。方向転換時のふらつきと軽介助を要することから、現時点では単独歩行の安全性に課題がある。
「改善傾向。もう少し良くなりそう。」 何がどう変化したのか、判断根拠が分からない 前回より立ち上がり時の介助量は減少している。一方で方向転換時のふらつきは残存しており、歩行場面では引き続き安全性が優先課題である。
「下肢筋力低下あり。筋力増強練習を実施する。」 後半が具体的なPになっている 主問題は立ち上がり時の下肢支持性低下である。立ち上がり時の介助と膝折れを認めており、下肢支持性が動作自立度に関与している可能性がある。
「TUGが遅いため転倒リスクが高い。」 単一の検査値から解釈を強くしすぎている TUGの結果に加えて方向転換時のふらつきと介助を要しており、歩行時の安全性に課題がある。

Aを書く前の30秒チェック|4点だけ確認する

Aで止まったら、文章を考え直す前に4点だけ確認します。特に重要なのは、Oから一段解釈できているか、解釈の強さが根拠を超えていないかです。

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Aを書く前の30秒チェック
確認 見るポイント 詰まったら
主問題は1つ見えるか 今日もっとも共有したい問題が分かる 「何ができない/危ない/制限されているか」に戻る
根拠となるOがあるか 数値、観察、介助量、条件などがつながっている 今日の判断に直接必要な所見を選ぶ
Oを繰り返しただけになっていないか 「だから何が問題か」が書かれている 所見の意味・関連・優先度を1つ加える
根拠以上に断定していないか 確認済み事実と原因仮説が区別されている 「〜が関与している可能性」「現時点では〜」など、根拠に合う強さへ戻す

AとPの違い|「判断」までがA、「実行」からがP

AとPの境界で迷ったら、その文章が判断なのか、次に行う行動なのかで分けます。

Aでは「〜が問題である」「〜が関与していると考える」「〜が優先課題である」までを書きます。

Pでは「〜を実施する」「〜へ変更する」「〜の条件で行う」「〜を再評価する」と、次の具体的な行動へ落とします。

たとえば、「方向転換時の不安定性があり、単独歩行の安全性に課題がある」まではAです。一方、「見守り下で方向転換練習を行い、次回介助量を再評価する」はPです。

Pの書き方まで具体化したい場合は、SOAPのPを1〜2文で書くテンプレで、介入・条件・再評価の整理方法を確認できます。

SOAPのAの書き方でよくある質問

Q1. Aは長く書いた方がよいですか?

A. 長さより、主問題・根拠・解釈がつながっていることが重要です。1〜2文でも、Oを根拠に「何が問題か」「現時点でどう判断したか」が追えれば、Aとして機能します。

Q2. Aに介入内容を書いてはいけませんか?

A. SOAPの役割を明確に分けるなら、具体的な介入内容はPへ置く方が整理しやすくなります。Aでは、その介入を選ぶ根拠となる主問題・解釈・優先度までを書き、Pで「何を、どの条件で行うか」へつなげます。

Q3. 「〜と思われる」「〜と考える」は使わない方がよいですか?

A. 推測表現そのものが悪いわけではありません。確認済みの事実と、まだ仮説の段階にある解釈を区別するために必要な場合があります。Oで確認できた事実は事実として示し、原因仮説は根拠に合った強さで表現します。

Q4. 再評価する指標はAとPのどちらに書きますか?

A. 次回何を測るか、いつ見直すかという具体的な再評価計画はPへ置くと、Aとの役割が明確になります。Aでは何を問題・優先課題と判断したかまでを書き、その判断をPの再評価計画へつなげます。

次の一手|Aを書いたらPへつなぐ

Aで主問題・根拠・解釈を整理したら、次はその判断に対して何を行うか、どの条件で行うか、何を再評価するかをPへ落とします。


参考文献

  1. Weed LL. Medical records that guide and teach. N Engl J Med. 1968;278(11):593-600. doi:10.1056/NEJM196803142781105 / PubMed
  2. Podder V, Lew V, Ghassemzadeh S. SOAP Notes. In: StatPearls [Internet]. Treasure Island (FL): StatPearls Publishing. NCBI Bookshelf / PubMed
  3. Aronson MD. The Purpose of the Medical Record: Why Lawrence Weed Still Matters. Am J Med. 2019;132(11):1256-1257. doi:10.1016/j.amjmed.2019.03.051 / PubMed
  4. Donnelly WJ, Brauner DJ. Why SOAP Is Bad for the Medical Record. Arch Intern Med. 1992;152(3):481-484. doi:10.1001/archinte.1992.00400150015004 / PubMed

著者情報

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rehabilikun(理学療法士)

rehabilikun blogを2022年4月に開設。急性期・回復期・療養病棟、介護福祉施設、訪問リハビリテーションでの臨床経験をもとに、理学療法評価、臨床手順、記録用紙、医療制度などの実務情報を発信しています。

現在は療養病院に勤務し、脳卒中、褥瘡・創傷ケア、リハビリテーション栄養、呼吸リハビリテーションを中心に臨床・教育活動を行っています。

保有資格

  • 脳卒中認定理学療法士
  • 褥瘡・創傷ケア認定理学療法士
  • 登録理学療法士
  • 3学会合同呼吸療法認定士
  • 福祉住環境コーディネーター2級

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