SOAP の O( objective ) 3 点ルール:長くなるのを防ぐ書き方

制度・実務
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結論:O は「主訴( S )に対して 3 点まで」に絞ると、A と P が一気に書けます

SOAP の O( objective )は、測ったこと・見たことを残すパートですが、全部を書くほど A と P が書けなくなるのが実務あるあるです。O が散らかると、結論( A )がぼやけ、計画( P )も抽象語で終わりやすくなります。

最短で整えるコツは 1 つだけで、「主訴( S )に対して O は 3 点まで」に絞ることです。内訳は目安として、①数値 1(テスト・バイタル)+ ②観察 1(動作の特徴)+ ③安全 1(リスク所見)。この型で書くと、O→A→P が自然に流れます。

まずは 30 秒で押さえる:O の「 3 点」早見

忙しい日は、細かい評価を積み上げるよりも、今日の判断が再現できる 3 点を先に固定した方が、結果的に手戻りが減ります。迷ったら「次回も同条件で測れる数値」→「主訴に直結する観察」→「安全の事実」の順で選びます。

このページの後半に、場面別の例文(表)と、失敗した時の修正(OK/NG 表)、書く前の 30 秒チェックをまとめました。

O の 3 点(数値 1+観察 1+安全 1)を選ぶ優先順位(成人・リハ実務)
まず選ぶ基準 よくある例 避けたい書き方
数値 1 次回も同条件で再測でき、比較できる TUG、10 m 歩行、5xSTS、NRS、SpO₂、RPE など 測定条件が曖昧(補助の有無・デバイス・休息が不明)
観察 1 主訴に直結する「特徴」を 1 つだけ 膝折れ、すり足、体幹前傾不足、代償動作、呼吸補助筋過活動 所見を列挙(いろいろ)して結論が消える
安全 1 起きた事実(リスク所見)を 1 行で残す ふらつき(有/無)、BP 低下、SpO₂ 低下、中止ライン接近 対応策まで O に書き込む(対応は P に回す)

なぜ O が増えすぎるのか:よくある 3 パターン

O が長くなる原因は、能力不足というより「枠の混在」がほとんどです。特に、評価一覧(測ったもの全部)今日の判断に必要な事実が同じ欄に入ると、O が膨らみ、A と P が書けなくなります。

まずは「SOAP の O は 3 点、測定一覧は別欄(または別文書)」と線引きすると、記録の再現性が上がります。

O が増えすぎる典型パターン(原因→起きる問題→対策)
原因 起きる問題 対策( 1 行 )
測ったものを全部 O に入れる A が「所見のまとめ」で終わり、P が抽象語になる SOAP の O は 3 点、詳細は測定一覧へ分離
観察所見を並べすぎる 主訴との関係が薄れ、判断が読み取れない 主訴に直結する特徴を 1 つだけ残す
対応策(介助条件・中止基準)まで O に混ぜる O と P の境界が曖昧になり、引き継ぎで誤解が起きる O は事実、対応は P(運用)に書く

O の 3 点ルール(数値 1+観察 1+安全 1)

O は「今日の判断に必要な事実」を 3 点に圧縮するパートです。3 点にすることで、A(結論)と P(次の手)が書ける余白が生まれます。

コツは、数値 1=比較できるもの観察 1=主訴に直結する特徴 1 つ安全 1=リスクの事実 1 行に固定することです。

頻出 7 パターン:O の絞り方(場面別テンプレ)

場面ごとに「数値 1/観察 1/安全 1」をセットで持っておくと、迷いが減ります。各欄は空欄にしておき、当日の値・所見だけを入れる運用にすると時短になります。

場面別:O( objective ) 3 点セット例( PT/OT/ST 共通 )
場面( S の例 ) 数値 1 観察 1 安全 1
歩行が不安(「 1 人で歩いていい? 」) TUG( )秒 歩行で(患側膝折れ/すり足/左右動揺)のいずれか 1 つ 方向転換でふらつき(有/無)、介助量(見守り/軽介助)
立ち上がり困難(「 立つ時に怖い 」) 5xSTS( )秒 体幹前傾不足(有/無) 立位保持でふらつき(有/無)
疼痛で動けない(「 動くと痛い 」) NRS(安静/動作)( )/( ) 誘発動作:(前屈/起立/歩行)で増悪 翌日疼痛(残存/非残存)、疼痛増悪で回数調整が必要
息切れ(「 階段がきつい 」) SpO₂( )→( )%、 RPE( ) 呼吸補助筋の過活動(有/無) SpO₂ 低下が( )% 未満で中止ライン
めまい・血圧変動(「 立つとふらふら 」) 起立前後 BP( )→( )mmHg 体位変換で顔色不良(有/無) 症状出現まで( )分、臥位で改善(有/無)
上肢が使いにくい(「 手が動かしづらい 」) 握力(右/左)( )/( )kg 把持で代償(肩挙上/手関節背屈過多)いずれか 1 つ 疼痛増悪(有/無)、しびれ増悪(有/無)
注意・遂行が不安(「 途中で止まる/迷う 」) 課題時間( )秒(同一課題で固定) 指示の再提示(要/不要) 危険行動(立ち上がり/離席)の出現(有/無)

よくある失敗:O の OK / NG(絞り方の修正)

O の失敗は「情報が足りない」より「混ざっている」ことが原因です。NG を OK に戻す視点は、主訴に直結する 3 点に戻すこと。まず削る位置が分かると、修正が速くなります。

O の OK / NG(混在をほどいて 3 点に戻す)
NG(ありがち) 何が問題? OK(修正例)
ROM、MMT、感覚、協調、歩行、バイタル…を列挙 判断の材料が多すぎて A が書けない 主訴に対して:数値 1+観察 1+安全 1 の 3 点だけ残し、詳細は測定一覧へ
歩行:膝折れ、すり足、体幹側屈、骨盤後傾… 観察所見が多く、主語が消える 観察は 1 つだけ(例:膝折れ(有))。他は必要時に追記へ
BP 低下あり。中止。次回はゆっくり。見守り強化。 事実(O)と対応(P)が混在 O:起立後 BP( )→( )mmHg、めまい(有)。P:中止基準と介助条件を明記
「状態安定」「問題なし」 何を根拠にそう言ったかが不明 数値 1(例:SpO₂)、観察 1(例:呼吸補助筋)、安全 1(例:低下なし)で具体化

現場の詰まりどころ:O を書く前の 30 秒チェック

O が長くなるのは「書きながら考える」状態に入った時です。書く前に 30 秒だけ、主訴→3 点→書く順を固定すると、毎回の品質が安定します。

書く前 30 秒チェック(O を 3 点に戻す手順)
手順 自問 決めること( 1 行 )
1 今日の主訴( S )は 1 つに固定できる? 主訴を 1 文にする(例:「 1 人で歩いていい? 」)
2 数値 1:次回も同条件で再測できる? 指標 1 つと条件(補助・デバイス)を固定する
3 観察 1:主訴に直結する特徴はどれ? 所見は 1 つだけ選ぶ(例:膝折れ)
4 安全 1:リスクの事実は何? 起きた事実を 1 行で(ふらつき、BP 低下、SpO₂ 低下など)

よくある質問( O の書き方 Q&A )

各項目名をタップ(クリック)すると回答が開きます。もう一度タップで閉じます。

Q1. O を 3 点に絞ると情報不足になりませんか?

A. SOAP の O は「今日の判断に必要な事実」に限定するのがコツです。ROM や MMT など全データが必要な場合は、測定一覧や別欄に残し、SOAP の O は 3 点に圧縮すると、A と P の再現性が上がります。

Q2. 何を “数値 1” にすればいいですか?

A. 原則は “次回も同じ条件で測れるもの” です。歩行なら TUG や 10 m 歩行、立ち上がりなら 5xSTS、呼吸なら SpO₂ と RPE、疼痛なら NRS など、再評価で比較できる指標を選びます。

Q3. 安全情報は O と P のどちらに書くべきですか?

A. O には「起きた事実(ふらつき、BP 低下など)」を 1 行で、P には「どう対応するか(中止基準、介助条件)」を書きます。まず O に 1 点として残し、P で運用に落とすと整理しやすいです。

Q4. 観察所見はどこまで書けばいいですか?

A. 迷ったら「主訴に直結する特徴を 1 つだけ」です。所見を増やすほど情報は増えますが、判断が薄まります。必要な所見は測定一覧や経過表に回し、SOAP の O は 3 点に戻すと A と P が安定します。

Q5. 3 点に絞った後、A と P へどうつなげますか?

A. O が 3 点なら、A は「結論→根拠( O の 2〜3 点)→次の一手」の 1 行にしやすくなります。P は「目的→介入→量・頻度→注意点(中止基準)→再評価」で 1〜2 文に圧縮すると、引き継ぎに強くなります。

次の一手

O を 3 点に絞れるようになると、次は「A を短く」「P を具体的に」が伸びしろになります。チームで共有できる“型”まで落とすと、忙しい日でも品質が安定します。

教育体制・人員・記録文化など“環境要因”を一度見える化すると、次の打ち手が決めやすくなります。

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参考文献

  • Podder V, Lew V, Ghassemzadeh S. SOAP Notes. StatPearls Publishing; 2023. NCBI Bookshelf
  • American Physical Therapy Association. Documentation: Documentation of a Visit. 2018. APTA

著者情報

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rehabilikun(理学療法士)

rehabilikun blog を 2022 年 4 月に開設。医療機関/介護福祉施設/訪問リハの現場経験に基づき、臨床に役立つ評価・プロトコルを発信。脳卒中・褥瘡などで講師登壇経験あり。

  • 脳卒中 認定理学療法士
  • 褥瘡・創傷ケア 認定理学療法士
  • 登録理学療法士
  • 3 学会合同呼吸療法認定士
  • 福祉住環境コーディネーター 2 級

専門領域:脳卒中、褥瘡・創傷、呼吸リハ、栄養(リハ栄養)、シーティング、摂食・嚥下

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