意識・鎮静・せん妄の評価ハブ|急変対応の入口

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意識・鎮静・せん妄の評価ハブ|急変対応の入口を「迷わない順番」に固定

急変対応は、知識よりも評価の順番を固定したほうが再現性が上がります。このページは、意識レベル( JCS / GCS / ECS )と、鎮静( RASS )・せん妄( CAM-ICU / ICDSC )を目的別の最短ルートで整理する “入口(ハブ)” です。

「何から見て、何をどの形式で残すか」を 1 ページで揃え、総論 → 各論へ迷わず進めるようにまとめました(急性期〜病棟、PT/OT/ST 想定)。

評価の型が整うと「申し送り」と「再評価」がラクになります。臨床の武器を増やしつつ、働き方の選択肢も一緒に整理したい方へ。 PT キャリアガイドで「型」を整える

最短導線|まず読む 3 本(迷ったらここから)

最短導線(総論 → 必要な各論へ最短で進む)
優先 まず読む リンク
1 意識レベル評価の総論( JCS / GCS / ECS の使い分け) 意識レベル評価の総論| JCS ・ GCS ・ ECS の使い分け
2 ECS の評価と記録(深昏睡域の経時比較を強く) ECS( Emergency Coma Scale )の評価方法|判定と記録
3 評価の全体像(他の評価へ横断) 評価の全体像(評価ハブ)

迷ったらこの順番|ベッドサイド最小フロー(成人の目安)

急変対応の入口では「意識だけ」を見て終わると危険です。安全確認 → 段階刺激 → スケール記録 → 同時観察 → 同条件で再評価の順番を固定すると、申し送りの精度が上がります。

目的別:どの評価を使う?(成人・一般臨床の目安)
目的/場面 まずやる 記録の型 次に足す評価
一次共有を速く(病棟・回診・救急外来) ABC + 呼名 → 大声 → 刺激(短時間) JCS(または施設 SOP )+刺激条件 GCS( E / V / M 併記)または ECS
外傷・救急で “詳細に” 追う ABC + 神経所見(瞳孔・左右差) GCS(合計ではなく E / V / M ) 挿管・失語・鎮静の注記(未評価の明示)
深昏睡域の変化を拾う(経時比較を強く) 同体位・同刺激で反復 ECS(Ⅲ 桁 5 段階を活用) 呼吸パターン/瞳孔/左右差をセット化
“意識低下に見える” が鎮静/せん妄が疑わしい まず覚醒度(鎮静の深さ)を確認 RASS(鎮静) CAM-ICU / ICDSC(せん妄)

スケールの地図|意識・鎮静・せん妄を「混ぜない」

経過観察では、鎮静(深さ)と せん妄(注意・認知の揺れ)が同時に起きることがあります。意識スケール( JCS / GCS / ECS )だけで完結させず、必要に応じてRASS と CAM-ICU / ICDSC を併記すると、チームの解釈が揃いやすくなります。

「何を測っているか」を混ぜない早見(成人)
領域 代表スケール 強い場面 先に揃える前提
意識レベル JCS / GCS / ECS 急変の入口、神経学的な経時変化 刺激条件(順番・部位・時間)
鎮静(覚醒度) RASS 評価が成立する時間帯の判断、離床・負荷設定の前提 観察 → 声かけ →(必要時のみ)短時間刺激
せん妄 CAM-ICU / ICDSC 不穏・注意低下、日内変動の整理 RASS で覚醒度が一定以上(評価不能は無理に判定しない)

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小記事(各論:手順・記録の型)

スケールを “目的から探したい” ときは、評価スケール索引( A–Z ) も便利です。

現場の詰まりどころ|よくある失敗( OK / NG )

意識・鎮静・せん妄評価でブレやすいポイント(成人)
NG(起きがち) なぜ問題? OK(修正ポイント)
刺激が毎回バラバラ(部位・強さ・時間) 条件差なのか改善/悪化なのか判別できない 段階(呼名 → 大声 → 刺激)を固定し、刺激は短時間で統一
GCS を “合計点だけ” 記載 内訳が落ち、変化の理由が追えない E / V / M を必ず併記し、評価不能は “未評価” を明示
意識スケールだけで完結(鎮静/せん妄を混ぜる) 「覚醒が浅いのか」「せん妄なのか」が曖昧になる RASS を先に取り、評価が成立する覚醒レベルなら CAM-ICU / ICDSC へ
“答えられない=せん妄” と決め打ち 難聴・視力・失語・挿管でテストが崩れる 眼鏡/補聴器、合図方法、反応様式(指差し等)を先に整える
評価時刻や体位が残っていない 日内変動や鎮静調整の影響が追えない 時刻・体位・鎮静薬の状況(分かる範囲)を短く添える

よくある質問( FAQ )

各項目名をタップ(クリック)すると回答が開きます。もう一度タップで閉じます。

JCS と GCS、どちらを使えばいいですか?

結論は「施設の共通言語を軸に、必要な表現力を足す」です。一次共有が目的なら JCS が速く、外傷や詳細な経時変化を追うなら GCS( E / V / M 併記)が強みです。深昏睡域の変化を拾いたい場合は ECS を併用すると、記録の粒度が上がります。

挿管中や失語疑いで、言語反応が取れません。どう記録しますか?

無理に点数化せず、評価不能である事実を明示しつつ、残せる情報(開眼・運動反応・刺激条件・左右差)を確実に残します。GCS は合計点より E / V / M の内訳が重要なので、V が未評価なら “未評価” を書いたうえで、観察所見を補足します。

鎮静やせん妄が疑わしいとき、意識レベル評価だけで良いですか?

意識レベル評価だけだと “混ざり” が起きやすいです。鎮静の深さは RASS、せん妄は CAM-ICU / ICDSC を併記すると、チーム内の前提が揃いやすくなります。まず RASS →(評価が成立するなら)せん妄スクリーニング、の順番を固定するとブレが減ります。

痛み刺激は、どこをどのくらいの強さで行えばいいですか?

ポイントは「必要最小限・短時間・再現できる部位」に固定することです。外傷部位は避け、部位と時間(例: 2–3 秒)を揃えます。反応が出たら深追いせず、段階(呼名 → 大声 → 刺激)も崩さないほうが再評価が安定します。

せん妄が疑わしい(陽性)とき、 PT は何から整えると良いですか?

まず “前提” をそろえます。①覚醒度( RASS )を確認し、評価が成立する時間帯を選ぶ ②聞こえ・見え(眼鏡/補聴器)を整える ③睡眠・昼夜リズム、環境(刺激過多/不足)をチームで共有 ④安全を確保したうえで、短時間の離床・姿勢変換から再開、の順にすると迷いにくいです。

次の一手|迷いを減らす “戻り先” と横断導線

運用を整える → 共有の型を作る → 環境の詰まりも点検までまとめて進めたい方へ(無料チェックシート)。

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参考文献

  1. Teasdale G, Jennett B. Assessment of coma and impaired consciousness. A practical scale. Lancet. 1974;2(7872):81-84. doi: 10.1016/S0140-6736(74)91639-0(PubMed)
  2. Sessler CN, Gosnell MS, Grap MJ, et al. The Richmond Agitation–Sedation Scale: validity and reliability in adult intensive care unit patients. Am J Respir Crit Care Med. 2002;166(10):1338-1344. doi: 10.1164/rccm.2107138(PubMed)
  3. Ely EW, Inouye SK, Bernard GR, et al. Delirium in mechanically ventilated patients: validity and reliability of the confusion assessment method for the intensive care unit ( CAM-ICU ). JAMA. 2001;286(21):2703-2710. doi: 10.1001/jama.286.21.2703(PubMed)
  4. Bergeron N, Dubois MJ, Dumont M, Dial S, Skrobik Y. Intensive Care Delirium Screening Checklist: evaluation of a new screening tool. Intensive Care Med. 2001;27(5):859-864. doi: 10.1007/s001340100909(PubMed)

著者情報

rehabilikun(理学療法士) rehabilikun(理学療法士)

rehabilikun blog を 2022 年 4 月に開設。医療機関/介護福祉施設/訪問リハの現場経験に基づき、臨床に役立つ評価・プロトコルを発信。脳卒中・褥瘡などで講師登壇経験あり。

  • 脳卒中 認定理学療法士
  • 褥瘡・創傷ケア 認定理学療法士
  • 登録理学療法士
  • 3 学会合同呼吸療法認定士
  • 福祉住環境コーディネーター 2 級

専門領域:脳卒中、褥瘡・創傷、呼吸リハ、栄養(リハ栄養)、シーティング、摂食・嚥下

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