FIM 4〜1 点は介助割合と工程分解で判定を揃える
FIM の 4〜1 点は、身体介助が入ったときに「本人がどの程度実施できたか」で判定する点数帯です。現場でブレやすいのは、支えた時間や印象で決めてしまい、介助が入った工程と本人実施割合が曖昧になる場面です。
この記事では、PT / OT が迷いやすい 4 点・3 点・2 点・1 点の境界を、介助割合、工程分解、ケース、記録例で整理します。読み終えると、「何点にするか」だけでなく、「なぜその点数にしたか」を 1 行で残しやすくなります。
4〜1 点は「監視」ではなく身体介助の割合で決める
4〜1 点の分かれ目は、身体介助が入ったか、本人がどの程度その動作を担えたかです。5 点は監視・準備・促しが中心で、身体介助を伴わない点数帯です。つまり、4 点以下を考える時点で、まず「どの工程で手が出たか」を確認します。
判断を安定させるには、動作を工程に分け、本人が実施できた割合を見積もります。時間がかかっただけ、危なそうに見えた、声かけが多かった、という理由だけで 4 点以下に落とすと、5 点との境界が崩れやすくなります。
| 点数 | 本人実施割合の目安 | 呼び方 | 臨床での見方 | 記録で残す核 |
|---|---|---|---|---|
| 4 点 | 75%以上 | 最小介助 | 一部だけ身体介助が入る | 介助が入った工程 |
| 3 点 | 50〜74% | 中等度介助 | 本人実施と介助が半分前後 | どこから介助が増えたか |
| 2 点 | 25〜49% | 最大介助 | 本人の関与はあるが介助が多い | 本人が担えた工程 |
| 1 点 | 25%未満 | 全介助 | 代行中心、または複数介助・機器介助を要する | 代行内容と介助体制 |
工程分解テンプレで 4〜1 点の見積もりを揃える
FIM 4〜1 点を安定して採点するには、対象動作を 4〜6 工程に分け、介助が入った工程と本人が担えた工程を分けて記録します。工程の切り方をチーム内で固定すると、採点者が変わっても点数の理由を共有しやすくなります。
たとえば移乗なら「準備 → 起立 → 回旋 → 着座 → 位置調整」、更衣なら「準備 → 袖通し → 引き上げ → 整え → 後片付け」のように分けます。工程数そのものより、毎回同じ切り方で比較できることが重要です。
| 動作 | 工程例 | 介助が入った工程 | 点数の目安 | 記録例 |
|---|---|---|---|---|
| 移乗 | 準備 → 起立 → 回旋 → 着座 → 位置調整 | 起立のみ | 4 点 | 起立で軽介助、回旋〜着座は見守り |
| 更衣(上衣) | 準備 → 袖通し → 引き上げ → 整え → 後片付け | 引き上げ・整え | 3 点 | 袖通し可、引き上げと整えで介助 |
| トイレ動作 | 移動 → 立位保持 → 下衣操作 → 清拭 → 整容 | 下衣操作・清拭・整容 | 2 点 | 立位保持は一部可能、下衣操作以降は介助 |
FIM 4〜1 点の介助割合記録シートを活用する
FIM 4〜1 点は、点数だけを残すと「なぜその点数にしたのか」が次回評価で分かりにくくなります。下の記録シートでは、工程ごとの本人実施・身体介助・介助内容を記入し、最終判定と記録文まで 1 枚で整理できます。
採点に迷った場面、担当者間で点数が割れやすい場面、再評価で前回との差を確認したい場面で使いやすい形式です。印刷して、移乗・更衣・トイレ動作など点数が揺れやすい動作に合わせて記入してください。
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4 点・3 点・2 点の境界は「本人主導か介助主導か」で見る
4 点・3 点・2 点で迷うときは、工程数だけでなく、動作の中心となる工程を本人が担えているかを確認します。起立、立位保持、方向転換、着座、下衣操作など、動作成立に直結する工程で介助が入る場合は、見た目以上に介助割合が大きくなります。
一方で、本人が中心工程を担えており、準備や整えの一部だけに介助が入る場合は、点数を落としすぎないほうが経時変化を追いやすくなります。迷ったときは、点数だけで終わらせず、介助工程を 1 行で残します。
| 迷いどころ | 起きやすい誤り | 判断の軸 | 記録の一言例 |
|---|---|---|---|
| 短時間だけ支えた | 時間が短いので 4 点に寄せる | 核心工程で身体介助が入ったかを見る | 起立で身体介助、以降は見守りで完遂 |
| 半分程度はできる | 不安定さだけで 2 点に落とす | 本人実施と介助の割合を分ける | 回旋以降で介助増、着座は介助必要 |
| 本人関与はあるが介助が多い | 関与があるだけで 3 点に上げる | 本人が担えた工程が 25〜49%程度か見る | 立位保持は一部可能、下衣操作は介助中心 |
2 点と 1 点は「意味ある本人関与」があるかで分ける
2 点と 1 点の境界は、本人が動作成立に意味ある関与をしているかで整理します。本人が一部工程を担い、介助者が多く支えていても 25%以上の関与があるなら 2 点を検討します。ほぼ代行で、本人実施が 25%未満なら 1 点寄りです。
移乗や階段などでは、安全面から 2 人介助、リフト、平行移動などを要する場面があります。この場合は、本人の関与だけでなく介助体制も記録に残すと、次回評価やチーム共有で判断がずれにくくなります。
| 判定 | 本人の関与 | 介助の特徴 | 記録例 |
|---|---|---|---|
| 2 点を検討 | 一部工程を担える | 介助量は多いが、本人が 25%以上実施 | 起立は最大介助、立位保持に本人努力あり |
| 1 点を検討 | 本人実施がほぼない | 代行中心、または複数介助・機器介助を要する | 2 人介助で平行移動、本人の参加は乏しい |
ケースで 4 点・3 点・2 点・1 点の当てはめを確認する
ケースで見るときは、最初に「何をしたか」ではなく「どの工程を本人が担い、どの工程で介助が入ったか」を書き出します。点数はその結果として決めると、印象評価になりにくくなります。
| 場面 | 介助が入った工程 | 点数の目安 | 理由 |
|---|---|---|---|
| 移乗 | 起立のみ身体介助、回旋〜着座は見守り | 4 点 | 一部介助だが全体は本人主導 |
| 更衣(上衣) | 袖通しは可能、引き上げ・整えで介助 | 3 点 | 本人実施と介助が半分前後 |
| トイレ動作 | 立位保持は一部可能、下衣操作・清拭は介助 | 2 点 | 本人実施工程が少なく介助割合が高い |
| 移乗 | 2 人介助で平行移動、本人参加は乏しい | 1 点 | 代行中心で本人実施が 25%未満 |
現場の詰まりどころは「工程」「割合」「記録」が分かれること
現場で点数が割れる原因は、介助量そのものよりも、工程の切り方と記録の粒度が人によって違うことです。まずは、よくある失敗を潰し、記録の型を固定し、必要に応じて FIM 総論で採点範囲を確認します。
ここまで整えても毎回同じところで詰まる場合は、個人の努力不足だけでなく、教育体制・共通フォーマット・相談相手の有無など、職場環境の影響を受けている可能性もあります。
よくある失敗は時間・危険度・印象で点数を決めること
FIM 4〜1 点で多い失敗は、「大変そう」「危なそう」「時間がかかった」という印象で点数を決めることです。これらは重要な観察情報ですが、点数化するときは、身体介助が入った工程と本人実施割合に戻して考えます。
見守りと身体介助が混在する場合は、先に身体介助が入った工程だけを抜き出します。そのうえで、介助工程の数、核心工程の有無、本人が担えた工程を合わせて判断すると、点数が安定します。
| 失敗 | なぜ起きるか | 修正 | 記録の型 |
|---|---|---|---|
| 介助量が多い/少ないだけで決める | 工程が言語化されていない | 介助工程を列挙する | 起立:介助/回旋:見守り/着座:見守り |
| 時間がかかった=介助量が多い | 時間と介助を混同している | 手が出た工程で判断する | 速度低下あり、身体介助なし |
| 危険だから一律に下げる | 安全配慮と身体介助が混ざる | 見守りと身体介助を分ける | 方向転換で介助、直線は見守り |
記録は「点数+介助工程+介助の種類」で残す
FIM 4〜1 点の記録は、点数だけでなく、介助が入った工程まで残すと再評価に使いやすくなります。おすすめは、点数+介助工程+介助の種類の 3 点セットです。
例として、「移乗 4 点:起立のみ軽介助、回旋〜着座は見守り」「更衣 3 点:袖通し可、引き上げと整えで介助」「トイレ動作 2 点:立位保持は一部可能、下衣操作と清拭は介助」のように書くと、次回の採点者が条件を再現しやすくなります。
| 点数 | 記録テンプレ | 記録例 |
|---|---|---|
| 4 点 | 動作名 4 点:〇〇のみ介助、他工程は見守り | 移乗 4 点:起立のみ軽介助、回旋〜着座は見守り |
| 3 点 | 動作名 3 点:〇〇は可能、△△で介助 | 更衣 3 点:袖通し可、引き上げと整えで介助 |
| 2 点 | 動作名 2 点:〇〇は一部可能、△△は介助中心 | トイレ動作 2 点:立位保持は一部可能、下衣操作は介助中心 |
| 1 点 | 動作名 1 点:代行中心、介助体制を明記 | 移乗 1 点:2 人介助で平行移動、本人参加は乏しい |
よくある質問(FAQ)
各項目名をタップ(クリック)すると回答が開きます。もう一度タップで閉じます。
FIM 4〜1 点は「時間」で見積もってもよいですか?
時間だけで見積もるのは避けます。時間がかかっても身体介助がなければ 5 点以上を検討します。一方で、短時間でも起立や方向転換などの核心工程で身体介助が入る場合は、4 点以下を検討します。
見守りと身体介助が混ざるときはどう判断しますか?
身体介助が入った工程を先に抜き出します。そのうえで、見守りのみの工程と分け、本人実施割合を見積もります。記録には「どの工程で手が出たか」を 1 行で残すと、次回評価で比較しやすくなります。
4 点と 3 点で迷ったらどうしますか?
本人が 75%以上を担えているかを確認します。一部工程だけの軽い身体介助なら 4 点を検討し、本人実施と介助が半分前後なら 3 点を検討します。迷った場合は、介助が入った工程と本人が担えた工程を分けて記録します。
2 点と 1 点の境界は何ですか?
本人が動作成立に意味ある関与をしているかが重要です。本人が一部工程を担い、25%以上の実施があるなら 2 点を検討します。本人実施が 25%未満で代行中心、または複数介助・機器介助が必要な場合は 1 点を検討します。
工程分解は毎回細かく行う必要がありますか?
毎回フルで分解する必要はありません。移乗・更衣・トイレ動作など、点数が割れやすい動作だけ施設内テンプレを作り、変化が大きい時期は丁寧に分解します。安定期は「点数+介助工程」の 1 行記録でも十分実用的です。
次の一手
- 全体像を確認する:FIM の総合ガイド
- 身体介助なしの境界を確認する:FIM 5 点(監視・促し)の境界
参考文献
- Keith RA, Granger CV, Hamilton BB, Sherwin FS. The functional independence measure: a new tool for rehabilitation. Adv Clin Rehabil. 1987;1:6-18. PMID:3503663. PubMed
- Shirley Ryan AbilityLab. Functional Independence Measure. RehabMeasures Database. Web
- Australasian Rehabilitation Outcomes Centre. Frequently asked questions: FIM and WeeFIM. University of Wollongong. Web
- 川崎医科大学リハビリテーション医学教室. 第 17 回 FIM 講習会 in 倉敷:質問と回答. Web
著者情報
rehabilikun(理学療法士)

rehabilikun blog を 2022 年 4 月に開設。医療機関/介護福祉施設/訪問リハの現場経験に基づき、臨床に役立つ評価・プロトコルを発信。脳卒中・褥瘡などで講師登壇経験あり。
- 脳卒中 認定理学療法士
- 褥瘡・創傷ケア 認定理学療法士
- 登録理学療法士
- 3 学会合同呼吸療法認定士
- 福祉住環境コーディネーター 2 級
専門領域:脳卒中、褥瘡・創傷、呼吸リハ、栄養(リハ栄養)、シーティング、摂食・嚥下


