令和8年度改定のリハ領域全体から確認したい場合は、先に総論を押さえておくと位置づけが分かりやすくなります。
退院時リハビリテーション指導料(B006-3)は300点で、算定は退院日に1回です。令和8年度診療報酬改定では、対象患者が「当該保険医療機関での入院中に、所定のリハビリテーション関連項目を算定した患者」に限定されました。
そのため2026年以降は、「退院時にリハ指導を行ったから算定する」のではなく、まず入院中の対象算定項目を確認することが重要です。さらに、退院時共同指導料2(B005)と同日に算定する場合は、入院医療機関のPT・OT・STが共同指導に関与したかによって扱いが変わります。
この記事では、退院時リハビリテーション指導料について、300点、対象患者、2026年改定点、指導できる職種、退院時共同指導料2との関係、診療録への記録までを実務で確認できる順番に整理します。
| 確認項目 | 要点 |
|---|---|
| 点数 | 300点 |
| 算定時点 | 退院日に1回 |
| 2026年改定 | 入院中に所定のリハ関連項目を算定した患者へ対象を限定 |
| 指導対象 | 患者またはその家族等 |
| 指導者 | 主として医学的管理を行った医師またはリハビリテーション担当医。一定条件のもとPT・OT・STによる指導も算定可能 |
| 記録 | 指導または指示内容の要点を診療録等へ記載 |
| 死亡退院 | 算定不可 |
| B005との関係 | 入院医療機関のPT・OT・STが退院時共同指導料2の指導等を行った場合、同一日にB006-3は別算定不可 |
最終確認:2026年9月12日(厚生労働省「令和8年度診療報酬改定」関係資料・記載要領を確認)
退院時リハビリテーション指導料は300点|2026年の結論
退院時リハビリテーション指導料は300点です。令和8年度改定後は、当該医療機関での入院中に、定められたリハビリテーション関連項目のいずれかを算定した患者が対象になります。
実務では、次の順番で確認すると判断しやすくなります。
- 入院中に対象となる算定項目があるか
- 退院日に1回の算定であるか
- 指導者・実施職種の条件を満たしているか
- 退院時共同指導料2との同日算定に問題がないか
- 指導または指示内容の要点を診療録等へ残したか
一方、退院後の生活でどの動作が難しいか、家族の介護力が十分か、どのサービスへつなぐかといった情報は、算定対象そのものを決める条件というより、実際の指導内容を個別化するために使う情報として整理すると混同しにくくなります。
2026年改定で対象患者が限定された
令和8年度改定で最も重要なのは、退院時リハビリテーション指導料の対象患者が明確に限定されたことです。
改定後は、当該保険医療機関での入院中に、次のいずれかを算定した患者が対象になります。
| 区分 | 対象となる算定項目 | 確認ポイント |
|---|---|---|
| A233 | リハビリテーション・栄養・口腔連携体制加算 | 入院中の算定歴を確認 |
| A301 注4 | 早期離床・リハビリテーション加算 | 対象病棟・治療室での算定歴を確認 |
| A301-2 注3 | 早期離床・リハビリテーション加算 | 入院中の算定歴を確認 |
| A301-3 注3 | 早期離床・リハビリテーション加算 | 入院中の算定歴を確認 |
| A301-4 注3 | 早期離床・リハビリテーション加算 | 入院中の算定歴を確認 |
| A304 注11 | リハビリテーション・栄養・口腔連携加算 | 入院中の算定歴を確認 |
| 第7部 | リハビリテーション第1節の各区分 | 該当するリハビリテーション料等の算定歴を確認 |
したがって、2026年改定後の対象判定では、病名やADL、退院先だけを見て決めるのではなく、まず入院中の算定歴を確認することが入口になります。
「独居だから対象」「転倒リスクが高いから対象」「家屋調整が必要だから対象」といった生活上の必要性だけで、B006-3の対象患者を判断するものではありません。これらは、対象患者に対してどのような指導を行うかを決める材料として扱います。
算定は退院日に1回|死亡退院は算定できない
退院時リハビリテーション指導料は、指導を行った者や、指導を受けた者が患者本人か家族等かにかかわらず、退院日に1回に限り算定します。
また、厚生労働省の留意事項では、死亡退院の場合は算定できないことが明記されています。
| 確認項目 | 扱い | 実務上の確認 |
|---|---|---|
| 算定日 | 退院日 | 退院日と請求日を確認する |
| 算定回数 | 1回 | 同一退院時の重複算定を防ぐ |
| 指導対象 | 患者または家族等 | 誰に指導したか記録する |
| 死亡退院 | 算定不可 | 退院区分を確認する |
誰が指導できる?PT・OT・STが行う場合の条件
退院時リハビリテーション指導料は、原則として、当該患者の入院中に主として医学的管理を行った医師またはリハビリテーションを担当した医師が、退院に際して指導を行った場合に算定します。
一方、医師自身がすべての指導を行う場合だけに限定されているわけではありません。医師の指示を受けて、保険医療機関のPT・OT・STが、保健師・看護師・社会福祉士・精神保健福祉士とともに指導を行った場合にも算定できます。
| 実施方法 | 算定上の整理 | 記録で確認したい点 |
|---|---|---|
| 医師が指導 | 主として医学的管理を行った医師またはリハ担当医が退院に際して指導 | 指導者・指導内容 |
| PT・OT・STが関与 | 医師の指示を受け、保健師・看護師・社会福祉士・精神保健福祉士とともに指導 | 医師の指示、実施職種、指導内容 |
そのため、「医師の指示があればPT・OT・STが単独で指導すれば必ず算定できる」と単純化するのは避けた方が安全です。実際の院内運用では、誰の指示で、どの職種が一緒に指導したかまで確認できる形にしておくと判断がぶれにくくなります。
退院時共同指導料2との同日算定はPT・OT・STの参加を確認する
退院時共同指導料2(B005)との関係は、退院時リハビリテーション指導料で特に間違えやすいポイントです。
結論として、退院時共同指導料2について、入院中の保険医療機関のPT・OT・STが指導等を行った場合は、同一日にB006-3退院時リハビリテーション指導料を別に算定できません。
したがって、「同じ日にB005を算定したか」だけではなく、B005の共同指導に誰が参加したかまで確認する必要があります。
| 確認 | 判断 | 対応 |
|---|---|---|
| B005を同日に算定しない | B005との重複調整は不要 | B006-3自体の要件を確認する |
| B005を同日に算定し、入院医療機関のPT・OT・STが共同指導に参加 | B006-3は同一日に別算定できない | 重複算定しない |
| B005を同日に算定するが、上記PT・OT・STによる共同指導に該当しない | それぞれの算定要件を満たすか確認 | 同日算定する場合は摘要欄記載を確認する |
同一日に退院時共同指導料2と退院時リハビリテーション指導料を算定した場合は、診療報酬明細書の摘要欄に共同指導を行った者の職種および年月日を記載します。
同日算定で確認する順番
① B005を同日に算定するか
② 入院医療機関のPT・OT・STがB005の共同指導を行ったか
③ 行っていればB006-3は同日別算定不可
④ 行っていない場合は各要件を確認
⑤ 同日算定する場合は摘要欄の職種・年月日を確認

指導内容は病状・家屋構造・介護力を踏まえて個別化する
退院時リハビリテーション指導料では、患者の病状、家屋構造、介護力等を考慮しながら、退院後の療養上必要と考えられる指導を行います。
厚生労働省の留意事項では、指導内容として次のような内容が示されています。
- 体位変換
- 起座または離床訓練
- 起立訓練
- 食事訓練
- 排泄訓練
- 生活適応訓練
- 基本的対人関係訓練
- 家屋の適切な改造
- 患者の介助方法
- 地域で利用可能な在宅保健福祉サービスに関する情報提供など
すべての項目を一律に説明する必要があるという意味ではありません。患者ごとに、退院後の生活で必要となる内容へ絞って指導することが重要です。
実務では「安全な動作・負荷の目安・継続先」で整理すると記録しやすい
以下の3項目は厚生労働省が定めた必須3項目ではなく、本記事で臨床実装しやすいよう整理した記録の視点です。
| 視点 | 確認例 | 記載例 |
|---|---|---|
| 安全な動作 | 転倒しやすい場面、介助方法、福祉用具、環境設定 | 「浴室内は手すりを使用し、家族見守り下で移動するよう指導」 |
| 負荷の目安 | 歩行量、運動量、休息、中止目安 | 「屋外歩行は休息を挟み、息切れ・疼痛増悪時は中止するよう説明」 |
| 継続先 | 外来、訪問、通所、介護サービス、家族への共有 | 「退院後は訪問リハへ継続し、介助方法を家族へ共有」 |
この3つに整理する目的は、算定要件を新たに追加することではなく、退院後に患者・家族が実行できる内容と、診療録で後から確認できる内容をそろえることです。
診療録には指導または指示内容の要点を記載する
退院時リハビリテーション指導料では、指導または指示内容の要点を診療録等に記載することが求められています。
通知上、特定の「3行様式」が定められているわけではありません。以下は、必要な情報を短く整理するための本記事独自の記録例です。
| 行 | 残す内容 | 記録例 |
|---|---|---|
| 1行目 | 対象確認・背景 | 「入院中に対象リハ算定あり。自宅退院予定で浴室移動に介助を要する」 |
| 2行目 | 実際に行った指導 | 「浴室内移動、手すり使用、家族介助方法について本人・家族へ指導」 |
| 3行目 | 退院後の継続・共有 | 「訪問リハへ継続予定。介助方法を家族および退院支援担当者へ共有」 |
実際の診療録では、施設の記録様式や院内ルールに従い、誰に、誰が、どのような指導を行ったかが追える状態にしておくことが重要です。
退院時リハビリテーション指導料2026 判定・記録シート
対象患者、退院日、実施職種、退院時共同指導料2との関係、摘要欄、指導内容、診療録記録を1枚で確認できるよう、2026年改定対応版の「退院時リハビリテーション指導料2026 判定・記録シート」を作成しました。
PDFは印刷・手書き確認向け、Excelは院内運用に合わせて編集したい場合に利用できます。
退院時リハビリテーション指導料2026 判定・記録シート
300点・対象算定歴・退院日・実施職種・B005との同日算定・摘要欄・指導内容・診療録記録を1枚で確認できます。
※本シートは算定判断・記録を補助する独自資料です。正式な通知、疑義解釈、診療報酬明細書の記載要領、各施設の院内ルールを優先してください。
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算定で間違えやすいポイント
退院時リハビリテーション指導料では、「リハを行った患者だから対象」「退院指導をしたから対象」と広く捉えないことが重要です。
| 誤解しやすい考え方 | 2026年の整理 |
|---|---|
| 入院患者へリハ指導を行えば対象 | 対象ではありません。まず入院中に所定の算定項目があるか確認します。 |
| 独居・転倒リスクが高ければ対象 | それだけで算定対象になるわけではありません。生活状況は指導内容を個別化する材料として使います。 |
| 医師の指示があればPT単独でもよい | 通知では、PT・OT・STが行う場合、医師の指示を受け、所定の他職種とともに指導する場合が示されています。 |
| B005とは常に同日算定できない | 一律ではありません。入院医療機関のPT・OT・STがB005の指導等を行ったかを確認します。 |
| 同日算定できれば追加記載は不要 | B005とB006-3を同一日に算定する場合、共同指導を行った者の職種・年月日の摘要欄記載を確認します。 |
| 死亡退院でも退院日だから算定できる | 死亡退院の場合は算定できません。 |
よくある質問
Q1. 退院時リハビリテーション指導料は何点ですか?
A. B006-3退院時リハビリテーション指導料は300点です。算定は退院日に1回です。
Q2. 2026年改定で何が変わりましたか?
A. 大きな変更点は対象患者の限定です。当該保険医療機関での入院中に、A233、A301注4、A301-2注3、A301-3注3、A301-4注3、A304注11、第7部リハビリテーション第1節の各区分のいずれかを算定した患者が対象になります。
Q3. PT・OT・STだけで退院指導を行えば算定できますか?
A. 単純に「医師の指示があればPT・OT・ST単独で算定できる」と整理するのは適切ではありません。通知では、医師の指示を受けたPT・OT・STが、保健師、看護師、社会福祉士、精神保健福祉士とともに指導を行った場合にも算定できるとされています。
Q4. 退院時共同指導料2と同じ日に算定できますか?
A. 入院中の保険医療機関のPT・OT・STが退院時共同指導料2の指導等を行った場合は、同一日にB006-3を別に算定できません。それ以外で両方を同日に算定する場合は、それぞれの算定要件を満たしていることに加え、摘要欄へ共同指導を行った者の職種と年月日を記載します。
Q5. 死亡退院でも算定できますか?
A. できません。厚生労働省の留意事項で、死亡退院の場合は算定できないことが示されています。
Q6. 診療録には何を書けばよいですか?
A. 通知上は、指導または指示内容の要点を診療録等へ記載します。本記事で紹介している「対象・背景/指導内容/退院後の継続先」の3行整理は、記録を簡潔にするための独自例であり、厚生労働省指定の様式ではありません。
まとめ
退院時リハビリテーション指導料(B006-3)は300点で、退院日に1回算定します。2026年改定では対象患者が限定され、入院中に所定のリハビリテーション関連項目を算定していることの確認が重要になりました。
実務では、「対象算定歴 → 退院日・退院区分 → 指導者 → B005との同日算定 → 記録」の順で確認すると整理しやすくなります。
特に退院時共同指導料2との関係では、入院医療機関のPT・OT・STが共同指導に参加したかを確認し、同日算定する場合は摘要欄の職種・年月日まで確認しておくことが重要です。
院内で確認項目を統一したい場合は、上記の「退院時リハビリテーション指導料2026 判定・記録シート」のPDF版またはExcel版を活用してください。
参考文献・一次資料
- 厚生労働省.令和8年度診療報酬改定について(関係法令・通知等).厚生労働省.
- 厚生労働省.診療報酬の算定方法 B006-3 退院時リハビリテーション指導料.厚生労働省.
- 厚生労働省.令和8年度診療報酬改定-重点的な対応が求められる分野(医学管理・リハビリテーション).PDF.
- 厚生労働省.診療報酬の算定方法の一部改正に伴う実施上の留意事項について.PDF.
- 厚生労働省.診療報酬請求書等の記載要領等について.厚生労働省.
著者情報

rehabilikun(理学療法士)
rehabilikun blogを2022年4月に開設。医療機関・介護福祉施設・訪問リハの現場経験をもとに、理学療法士を中心とした医療従事者向けに、臨床評価・リハビリテーション・診療報酬制度を実務で使いやすい形に整理して発信しています。
脳卒中、褥瘡・創傷、呼吸リハ、栄養、シーティング、摂食・嚥下などを中心に臨床・教育に携わり、講師登壇経験があります。制度記事では厚生労働省の告示・通知・疑義解釈など一次資料を優先し、現場での判断と制度上の要件を分けて解説しています。
- 脳卒中 認定理学療法士
- 褥瘡・創傷ケア 認定理学療法士
- 登録理学療法士
- 3学会合同呼吸療法認定士
- 福祉住環境コーディネーター2級
専門領域:脳卒中、褥瘡・創傷、呼吸リハ、リハビリテーション栄養、シーティング、摂食・嚥下、臨床評価

