令和 8 年改定案|退院時リハ指導料の「要件見直し」を現場運用で読む
「これまでの議論の整理(案)」では、退院時リハビリテーション指導料について、目的を踏まえた適切な患者への指導を推進する観点から、対象患者の要件を見直す方向性が示されています。
現場で効くのは、制度の暗記よりも「誰に・何を・どこまで」をチームで揃えることです。本記事は、点数や細目が未確定な段階でも手戻りが少ないように、対象選定・指導内容・記録を最小セットに落として整理します。
制度が固まる前に「運用の型」を揃えるほど、現場はラクになります。型づくりの全体像はここにまとめています。
PT キャリアガイドを見る(運用の型を整える)結論:ポイントは「対象の線引き」と「指導の最小セット」を固定すること
要件見直しの議論が入ると、現場は「誰に指導料を乗せるか」でブレやすくなります。だからこそ、まずは対象の線引きと指導の最小セットを固定し、記録は短く強い型に揃えるのが近道です。
長文の説明より、指導した事実が一目で追える形が強いです。チームが同じ言葉で動けると、説明・監査・引き継ぎにも耐えやすくなります。
退院時リハビリテーション指導料とは(目的から逆算する)
退院時の指導は「やったかどうか」ではなく、退院後の生活で困りやすいポイントに対し、実行可能な行動(セルフケア・負荷・環境・受診/サービス)まで落とし込めているかが肝です。
なので運用上は、指導の中身を増やすより、必要十分な最小セットを毎回そろえるほうが成果につながります。
対象患者をどう考える?(現場で迷いやすい線引き)
要件が見直される局面では、「対象の広げすぎ」と「対象の取りこぼし」が起きやすいです。迷いを減らすには、次の 3 つで線引きを先に作っておくのが有効です。
| 観点 | 判断の軸 | 例 | 記録で残す一言 |
|---|---|---|---|
| 生活での再現性 | 退院後に「同じことを一人でできるか」 | 段差、入浴、屋外歩行、服薬、食事形態 | 「退院後に再現が必要な動作/条件」 |
| 支援体制 | 介助者・サービスで補えるか | 独居/介助者不在/通所導入前など | 「支援者/サービスの有無と役割」 |
| リスク | 再転倒・再入院につながる要因があるか | 転倒歴、起立性低血圧、嚥下、栄養、服薬 | 「主要リスクと回避策」 |
指導内容は「最小セット」に落とす(長文説明は不要)
指導は盛り込みすぎると実行されません。最小セットは「行動が変わる」ものに絞ります。
| 項目 | 伝えること | 形 | 1 行の例 |
|---|---|---|---|
| 安全な動作 | 転倒しやすい場面と回避行動 | 具体例+回避策 | 「浴室は手すり使用、立ち上がりは 3 呼吸待って開始」 |
| 負荷の目安 | やりすぎ/やらなさすぎを防ぐ基準 | 数値 1 つ+主観 1 つ | 「歩行 10 分× 2、息切れは “ややきつい” まで」 |
| 継続先 | 外来・訪問・通所など次の導線 | いつ/どこへ | 「退院後 1 週で外来、紹介状を持参」 |
関連して、書類の見直し(簡素化)も同じ流れで効いてきます:リハ書類の簡素化(Ⅲ-4-(5))
記録の型:短く強い「 3 行」で残す
指導料は、文章を増やすより「追える」ことが大事です。記録は次の 3 行に固定すると揉めにくくなります。
| 行 | 何を書く? | 例 | 狙い |
|---|---|---|---|
| 1 行目 | 対象にした理由(リスク/再現性) | 「独居+転倒歴あり、退院後の再現性に課題」 | 対象選定の根拠 |
| 2 行目 | 指導した内容(行動) | 「立ち上がりは 3 呼吸待つ、屋外は杖+休息」 | 行動が変わる中身 |
| 3 行目 | 継続先(次の導線) | 「外来リハ紹介、家屋は段差対策を家族へ共有」 | 退院後につなぐ |
現場の詰まりどころ/よくある失敗(ここを直すと一気に回る)
失敗 1:対象が広すぎて “とりあえず指導” になる
対象を広げるほど中身が薄くなり、結局実行されません。まずは「再現性」「支援体制」「リスク」で線引きを作るのが先です。
失敗 2:指導が長文で、何をしたか追えない
説明を増やすより、3 行テンプレで “追える” 記録に寄せるほうが強いです。
失敗 3:退院後の導線が曖昧で、結局続かない
継続先(外来/訪問/通所)を 1 行で固定すると、引き継ぎが楽になります。院内で運用を揃えるときは、抜け漏れ防止の資料があると進めやすいです。マイナビコメディカルの資料で整理する
よくある質問(FAQ)
各項目名をタップ(クリック)すると回答が開きます。もう一度タップで閉じます。
Q1. これは確定情報ですか?
A. 現時点は「これまでの議論の整理(案)」の段階で、点数や細目は今後の議論で具体化されます。まずは、対象の線引きと指導の最小セットを院内で揃える準備が有効です。
Q2. 指導内容はどこまで細かく必要ですか?
A. 長文化よりも「行動が変わる」最小セットに絞るのが効果的です。安全な動作・負荷の目安・継続先を固定すると回ります。
Q3. 記録が増えそうで不安です
A. 書く量を増やすより、3 行テンプレで “追える” 形に揃えるほうが手間が減ります。
次の一手(この順でやる)
おすすめは、①対象の線引きを 1 枚化 → ②指導の最小セット固定 → ③ 3 行テンプレで記録統一、の順です。シリーズで読むと全体像も掴みやすくなります。
参考資料
著者情報
rehabilikun(理学療法士)
rehabilikun blog を 2022 年 4 月に開設。医療機関/介護福祉施設/訪問リハの現場経験に基づき、臨床に役立つ評価・プロトコルを発信。脳卒中・褥瘡などで講師登壇経験あり。
- 脳卒中 認定理学療法士
- 褥瘡・創傷ケア 認定理学療法士
- 登録理学療法士
- 3 学会合同呼吸療法認定士
- 福祉住環境コーディネーター 2 級
専門領域:脳卒中、褥瘡・創傷、呼吸リハ、栄養(リハ栄養)、シーティング、摂食・嚥下


