認知症ケア加算|身体的拘束実施日は20%【2026年度】

制度・実務
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認知症ケア加算の身体的拘束|2026年度は実施日を20%で算定

2026年度(令和8年度)の認知症ケア加算では、身体的拘束を実施した日は、原則として所定点数の100分の20に相当する点数で算定します。ただし、センサー等の使用、処置・移動時の短時間固定ベルト、車椅子操作訓練中の固定ベルトには、条件を満たせば「身体的拘束を実施した日」に含めない取扱いがあります。

本記事では、医療従事者向けに、どの日が20%算定になるのか、例外となる条件、診療録等へ何を記録するのか、解除に向けて何を再評価するのかを2026年度のA247に沿って整理します。

先に結論

  • 身体的拘束実施日は、原則として所定点数の20%で算定する
  • 2026年度は「実施日に含めない」3つのケースと条件を確認する
  • 20%算定時は、開始日・解除日・必要な状況等を診療録等へ記録する
  • 身体的拘束を実施した場合は、解除に向けた検討を少なくとも1日1回行う

結論|身体的拘束実施日は20%相当の点数になる

2026年度診療報酬改定では、A247認知症ケア加算の点数が見直され、身体的拘束を実施した日は所定点数の100分の20に相当する点数で算定することになりました。

「20%減算」ではなく、所定点数の20%相当を算定する点に注意してください。公式の医科診療行為マスターでは、身体的拘束実施日の点数は次のように設定されています。

2026年度 認知症ケア加算の点数と身体的拘束実施日の点数
区分 期間 通常 身体的拘束実施日
認知症ケア加算1 14日以内 186点 37点
15日以上 39点 8点
認知症ケア加算2 14日以内 115点 23点
15日以上 31点 6点
認知症ケア加算3 14日以内 47点 9点
15日以上 13点 3点

2026年度診療報酬改定の診療報酬本体は、2026年6月1日施行です。旧制度の「40%」を前提にした院内資料や記録手順が残っている場合は、現在の運用と一致しているか確認しておく必要があります。

「身体的拘束を実施した日」をどう判断するか

A247では、身体的拘束を実施した場合の点数は、原則として理由によらず身体的拘束を実施した日に適用します。一方、2026年度は、基本診療料施設基準通知で示された一定の条件に該当する場合、身体的拘束を実施した日に含めないことが明確になっています。

身体的拘束は、抑制帯等のように、患者の身体または衣服に触れる用具を使用し、一時的に身体を拘束して運動を抑制する行動の制限として整理されています。まず「用具を使ったか」だけでなく、患者の自発的な運動を実際に制限しているかを確認します。

認知症ケア加算の身体的拘束実施日を、除外条件、20%算定、記録、解除検討の順に示した2026年度対応フロー図
図1.2026年度 認知症ケア加算における身体的拘束実施日の判断フロー

図では全体像を簡略化しています。実際に「実施日に含めない」と判断するには、次の条件まで確認してください。

身体的拘束実施日に含めない3ケース

身体的拘束実施日に含めないケースと必要条件
ケース 実施日に含めないための条件 判断時の注意
センサー等のみ 衣服に触れるものであっても、患者の動作によって容易に外れ、自発的な運動を制限せず、見守りや職員を呼ぶ目的のセンサー等のみを使用している 「センサー」という名称だけで自動的に除外されるわけではなく、運動を制限していないことを確認する
処置・移動時の短時間固定 患者本人または家族の同意を得て安全確保のために短時間使用し、使用中は職員が常に患者の側で介助等を行い、処置・移動終了時に確実に解除する 短時間であっても、付き添いがない、終了後も継続するなど条件を外れる場合は同じ扱いにできない
車椅子操作訓練中の固定ベルト 患者が訓練のため自由に車椅子を操作でき、本人または家族の同意を得て、訓練時間中のみ安全確保のため固定ベルトを使用する オーバーテーブルや車椅子のロック等によって本人の活動を制限している場合は、この除外には該当しない

重要:上記は「名称」で判断するのではなく、通知に示された条件を満たしているかで判断します。「固定ベルトだから必ず身体的拘束実施日」「センサーだから必ず除外」と単純化しないことが重要です。

また、これらのケースに該当して「身体的拘束を実施した日」に含めない場合でも、身体的拘束の解除や代替策を検討し、最小化に努めるという考え方自体が不要になるわけではありません。

20%算定時に診療録等へ何を記録するか

身体的拘束実施日の点数を算定する場合は、少なくとも身体的拘束の開始日、解除した日、身体的拘束が必要な状況等を診療録等へ記録します。

さらに、身体的拘束を実施する際には、必要性のアセスメント、患者・家族への説明と同意、具体的な行為や実施時間等の記録、二次的な身体障害の予防、解除に向けた検討が求められています。

身体的拘束を実施した場合に確認する記録
確認項目 記録する内容 目的
開始 身体的拘束を開始した日、具体的な行為・実施時間 いつ、どのような拘束を開始したかを追えるようにする
必要性 身体的拘束が必要となった患者の状態・状況、必要性のアセスメント 「なぜ必要だったか」を具体化する
説明・同意 患者・家族への説明と同意 実施前後の意思決定過程を残す
実施中 患者の心身状態、二次的な身体障害を防ぐための対応、代替策・解除可能性の検討 拘束を漫然と継続しない
解除 解除した日、解除に至った状態変化や判断 拘束終了までの経過を追えるようにする

記録は「不穏のため拘束」だけで終わらせない

「不穏あり」「転倒リスクあり」といった抽象的な表現だけでは、身体的拘束が必要となった具体的な状況や、その後に解除できる条件が伝わりにくくなります。

実務では、たとえば「立ち上がりを繰り返した」「治療に必要なラインへ繰り返し手を伸ばした」など、実際に観察した行動・状態、その時点で検討した代替策、解除へ向けて何を再確認するのかを分けて残すと、次の勤務者や多職種が経過を追いやすくなります。

実務上の整理例

「必要状況 → 実施した具体的行為・時間 → 検討した代替策 → 実施後の状態 → 解除へ向けた次の確認事項」の順に残すと、身体的拘束を継続する理由だけでなく、解除するための条件も共有しやすくなります。

この書き方は公式の指定様式ではなく、通知で求められる事項を院内で追いやすくするための実務上の整理です。施設内で定めた記録方法や手順書がある場合は、その運用を優先してください。

解除に向けた検討は少なくとも1日1回行う

認知症ケア加算では、身体的拘束を実施した場合、解除に向けた検討を少なくとも1日に1度行うことが求められています。

したがって、「48時間後に再評価する」など、独自の固定間隔だけで運用するのは適切ではありません。院内でより短い間隔の観察や再評価を設定することはできますが、公式要件と院内ルールは分けて整理する必要があります。

再評価で見るのは「まだ拘束が必要か」だけではない

解除に向けた検討では、身体的拘束を継続する理由を確認するだけでなく、拘束を必要とした要因が変化していないか、別の方法へ切り替えられないかを確認します。

  • 身体的拘束を開始した原因・危険性は現在も続いているか
  • 患者の認知・行動・覚醒・身体機能に変化はないか
  • 環境調整、見守り方法、ケア方法などの代替策を追加できないか
  • 拘束による疼痛、皮膚障害、活動性低下など二次的な問題はないか
  • 解除または拘束方法の縮小を試せる条件が整っていないか
  • 次に誰が、いつ、何を確認するか共有できているか

身体的拘束は、代替方法が見つかるまでのやむを得ない対応として行われるものであり、できる限り早期に解除することが前提です。記録も「継続した」という事実だけでなく、解除に向けて何を検討したかが追える形にしておくことが重要です。

「20%」と身体的拘束最小化基準の「20点減算」は別のルール

2026年度は、身体的拘束に関連して複数の数字が登場するため混同しやすくなっています。

本記事で扱っている「100分の20」は、A247認知症ケア加算を算定する患者について、身体的拘束を実施した日の認知症ケア加算そのものを20%相当で算定するルールです。

一方、入院料通則の身体的拘束最小化の基準では、体制・実績等の基準への適合状況に応じた別の減算規定があります。これはA247の「20%相当」とは別に確認する必要があります。

入院料通則側の2026年度変更については、身体的拘束最小化の2026年度診療報酬改定で分けて確認してください。

認知症ケア加算の身体的拘束で迷いやすい4点

2026年度の実務では、旧制度の数字が残っていることと、「実施日に含めないケース」の条件を省略して理解することに注意が必要です。

身体的拘束実施日の判断・記録で起きやすい混同
迷いやすい点 2026年度の整理
「40%」のまま運用する 2026年度は、身体的拘束実施日は所定点数の20%相当で算定する
センサーならすべて除外する 患者の動作で容易に外れ、自発的運動を制限しないなど、通知に示された条件まで確認する
短時間の固定ならすべて除外する 本人・家族の同意、職員の常時付き添い、処置・移動終了時の確実な解除などの条件を確認する
再評価を48時間ごとなどに固定する 解除に向けた検討は少なくとも1日1回必要。院内の追加ルールとは分けて考える

よくある質問

2026年度の認知症ケア加算は、身体的拘束を実施すると何%ですか?

身体的拘束を実施した日は、原則として所定点数の100分の20に相当する点数で算定します。公式マスターでは、認知症ケア加算1は37点/8点、加算2は23点/6点、加算3は9点/3点です。

短時間だけ固定ベルトを使用しても20%算定になりますか?

必ずしも20%算定になるとは限りません。処置・移動時に本人または家族の同意を得て安全確保のため短時間使用し、使用中は職員が常に患者の側に付き添い、終了時に確実に解除するなど、通知に示された条件を満たす場合は身体的拘束実施日に含めません。

身体的拘束を実施した場合、最低限何を記録しますか?

身体的拘束実施日の点数を算定する場合は、身体的拘束の開始日、解除した日、必要な状況等を診療録等へ記録します。また、具体的な行為や実施時間、必要性のアセスメント、患者・家族への説明と同意、二次的身体障害の予防、解除に向けた検討も確認します。

解除の検討は何時間ごとに行えばよいですか?

認知症ケア加算では、身体的拘束を実施した場合、解除に向けた検討を少なくとも1日に1度行うことが求められています。「24時間ごと」「48時間ごと」といった独自の固定表現ではなく、公式要件と各施設の院内ルールを分けて運用してください。

次に確認する記事

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参考文献

  1. 厚生労働省.令和8年度診療報酬改定について.
  2. 厚生労働省.診療報酬の算定方法.A247 認知症ケア加算.
  3. 厚生労働省.医科診療報酬点数表に関する事項.令和8年度.
  4. 厚生労働省.令和8年度診療報酬改定:身体的拘束最小化の取組の更なる推進.
  5. 厚生労働省.診療報酬情報提供サービス:令和8年度医科診療行為マスター.

著者情報

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rehabilikun(理学療法士)

rehabilikun blogを2022年4月に開設。急性期・回復期・療養病棟、介護福祉施設、訪問リハビリテーションでの臨床経験をもとに、理学療法評価、臨床手順、記録用紙、医療制度など、医療従事者の実務に役立つ情報を発信しています。

現在は療養病院に勤務し、脳卒中、褥瘡・創傷ケア、リハビリテーション栄養、呼吸リハビリテーションを中心に臨床・教育活動を行っています。

保有資格

  • 脳卒中認定理学療法士
  • 褥瘡・創傷ケア認定理学療法士
  • 登録理学療法士
  • 3学会合同呼吸療法認定士
  • 福祉住環境コーディネーター2級

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