回復期リハ病棟の適時調査|必要書類・施設基準・証跡

制度・実務
記事内に広告が含まれています。

回復期リハ病棟の適時調査では「届出内容」と「根拠資料」を照合する

回復期リハビリテーション病棟の施設基準確認は、一般に「監査対応」と呼ばれることがありますが、施設基準を満たしているか確認する場面では「適時調査」への準備として整理する方が正確です。重要なのは書類を増やすことではなく、自院の届出区分を確認し、届出様式に記載した数値を患者データ、勤務実績、FIM、リハビリテーション提供実績などの元資料までたどれる状態にすることです。

この記事では2026年度の回復期リハ病棟について、適時調査で何を確認し、届出様式と院内の証跡をどう照合するかを整理します。実績指数の計算方法そのものではなく、適時調査前の書類・証跡確認に焦点を当てます。

2026年9月30日で一部の経過措置が終了

2026年度改定では、回復期リハビリテーション病棟入院料2・4への実績指数要件の導入や、入院料3・4への週7日リハビリテーション提供体制の要件化などが行われました。2026年3月31日時点で届出済みだった病棟に設けられた一部の経過措置は2026年9月30日までです。2026年10月1日以降も継続して算定する場合は、自院の届出区分と再届出の要否を最新の地方厚生(支)局資料で確認してください。

入院料1〜5の人員配置や施設基準そのものを確認したい場合は、回復期リハ病棟入院料の施設基準で全体像を整理しています。

「監査」と「適時調査」は同じではない

この記事で中心に扱うのは適時調査です。監査と適時調査では目的が異なるため、院内で「監査対応」と一括りにせず、何への対応なのかを最初に確認します。

表:適時調査と監査の違い
区分 主な目的 回復期リハ病棟での位置づけ
適時調査 届け出ている施設基準を満たしているか確認する 人員配置、患者割合、実績指数、リハ提供体制などについて届出内容と根拠資料を確認する
監査 診療内容や診療報酬請求について、不正または著しい不当が疑われる場合などに行われる 通常の施設基準確認とは目的が異なる

回復期リハ病棟で施設基準への備えを行う場合は、まず「自院が何を届け出ているか」→「何の様式で確認するか」→「その数値の根拠はどこにあるか」の順に整理すると、確認すべき資料を絞り込みやすくなります。

適時調査の通知が来たら、まず4つを確認する

適時調査では、院内独自のチェックリストを先に作るより、実施通知→届出区分→指定された書類→根拠資料の順に確認します。実際の提出書類、準備書類、対象期間については、調査時の実施通知と管轄する地方厚生(支)局の案内が最優先です。

表:適時調査で最初に確認する4項目
確認順 確認するもの 見るポイント
1 適時調査実施通知 調査日、提出期限、対象となる施設基準、事前提出書類、当日準備書類
2 現在の届出区分 回復期リハビリテーション病棟入院料1〜5のどれを届け出ているか
3 届出書添付書類 自院の届出区分で使用する様式49、様式49の2などの最新版
4 数値の根拠資料 患者一覧、FIM、入退棟日、勤務実績、リハ提供実績などから届出値を確認できるか

厚生労働省は、適時調査について事前提出書類、当日準備書類、調査書を公開しています。地方厚生(支)局でも届出書添付書類や提出方法が案内されるため、以前の調査で使用した院内ファイルだけを基準にせず、調査時点の資料を確認してください。

入院料区分によって確認する届出様式が異なる

回復期リハ病棟では、すべての区分で同じ届出書添付書類を使用するわけではありません。2026年度の地方厚生(支)局資料を確認し、自院が届け出ている入院料区分に必要な様式だけを最新ファイルで準備します。

表:回復期リハ病棟で確認する主な様式の例
届出区分 主な回復期リハ関連様式 確認の考え方
入院料1 様式49、様式49の2など 患者構成、人員配置、在宅復帰、重症患者、週7日体制などを根拠資料と照合する
入院料2 様式49、様式49の2など 実績指数を含む2026年度の変更後要件を確認する
入院料3 様式49、様式49の2など 週7日体制を含め、届出内容と勤務・提供実績を照合する
入院料4 様式49、様式49の2など 実績指数32以上と週7日体制を含めて確認する
入院料5 様式49、様式49の6など 入院料5に対応する施設基準と届出内容を確認する

この表は、適時調査で提出を求められる書類をすべて列挙したものではありません。様式5、6、7、9、20など、施設基準の届出に関連する共通様式が必要になる場合もあります。実際に何を提出・準備するかは適時調査実施通知を優先してください。

2026年度は実績指数・重症患者割合・週7日体制を区分別に確認する

2026年度の回復期リハ病棟では、入院料1〜4について実績指数、重症患者割合、在宅復帰に係る割合、週7日リハ体制、FIM研修を区分別に確認する必要があります。

表:2026年度の回復期リハ病棟入院料1〜4で確認したい主な要件
区分 実績指数 重症患者割合 在宅復帰に係る割合 週7日リハ体制 FIM研修
入院料1 42以上 35%以上 70%以上 必要 必要
入院料2 32以上 35%以上 70%以上 必要 必要
入院料3 37以上 25%以上 70%以上 必要 必要
入院料4 32以上 25%以上 70%以上 必要 必要

入院料5は入院料1〜4と同じ実績要件ではありません。この記事では施設基準をすべて再掲せず、適時調査前の照合で優先度が高い項目に絞っています。

実績指数は最終値から患者単位の元データへ戻れるようにする

実績指数は、基準を上回っているという最終値だけを保存するのではなく、算出対象となった患者、入棟時・退棟時のFIM、入退棟日、除外対象の扱いまで確認できる状態にしておきます。

特に、院内の集計表と電子カルテのFIM値、入退棟日、対象患者の抽出条件が一致しているかを確認します。実績指数の算出方法や2026年度の変更点については、回復期リハ実績指数の基準値・計算式で詳しく整理しています。

FIM研修は対象者と実施記録を追えるようにする

入院料1〜4では、FIMを測定する医師、理学療法士、作業療法士、言語聴覚士等に対するFIM測定に関する研修が施設基準に含まれています。

院内では、誰を対象に、いつ、どのような研修を実施したかを確認できる状態にしておくと、施設基準を満たす体制を説明しやすくなります。ただし、院内でどの様式にまとめるかは施設ごとの運用であり、独自の記録様式そのものが公式要件というわけではありません。

週7日リハ体制は勤務表と実際の提供実績を照合する

2026年度改定では、入院料1・2に加え、入院料3・4にも休日を含めて週7日間リハビリテーションを提供できる体制が求められています。

「休日も実施する予定になっている」だけで判断せず、療法士の勤務状況や休日のリハ提供実績など、対象期間の実態と届出内容が一致しているかを確認します。

「公式要件→届出様式→院内の元データ」でつなぐ

適時調査への準備では、独自の監査用ファイルを増やすより、公式要件から届出様式を確認し、その数値を院内の元データまでたどれるようにすることが重要です。

回復期リハ病棟の適時調査対応の全体像。公式要件、届出・調査書類、院内証跡を照合する流れ
回復期リハ病棟の適時調査では、公式要件から届出書類を確認し、院内の元データまでたどれる状態を目指します。※図は確認フローの概念図です。様式番号や各様式の用途は制度改定で変更されるため、調査時点の最新通知・本文・地方厚生(支)局資料を優先してください。
表:公式要件と院内証跡を対応させる例
確認する要件 主に確認する情報 院内で照合する証跡例 確認したいこと
人員配置 届出様式・施設基準 職員名簿、勤務表、出勤簿、専従・専任の配置状況 届出上の人数・配置と対象期間の勤務実態が一致しているか
対象患者 様式49など 入棟患者一覧、診断名、発症日・手術日、入退棟日 患者構成を元データから確認できるか
重症患者割合 様式49の2など 対象患者一覧、入院時評価、FIM、日常生活機能評価 分子・分母となった患者を個別に確認できるか
在宅復帰 様式49の2など 退院患者一覧、退院先、対象外患者の記録 退院先の分類と集計値が一致しているか
実績指数 施設基準・算出資料 対象患者一覧、FIM、入退棟日、算出表 最終値から患者単位の元データへ戻れるか
週7日リハ体制 様式49の2等・施設基準 勤務表、休日のリハ提供実績、単位数集計 休日を含めた提供体制を実態から確認できるか
FIM研修 施設基準 研修日、対象者、参加状況、研修資料 FIM測定に関わる職員への研修実施を確認できるか
院内掲示・ウェブ掲載 施設基準 掲示物、ウェブ掲載ページ、更新記録 公開内容が現在の集計結果と一致しているか

ここで示した院内証跡は、すべてを同じ形式で保存するよう厚生労働省が指定しているという意味ではありません。公式要件と調査時に求められる書類を確認したうえで、院内で数値の根拠まで追えるようにするための実務上の整理です。

実績指数などの院内掲示・ウェブ掲載も確認する

2026年度改定では、回復期リハ病棟の退棟患者数と状態区分別内訳、直近のリハビリテーション実績指数について、少なくとも3か月ごとの院内掲示に加え、ウェブサイトへの掲載も要件化されています。

自ら管理するホームページ等を有しない場合は例外が示されていますが、ウェブサイトを運用している施設では、院内の最新集計と公開情報が一致しているか確認します。

実績指数の計算表だけを更新し、院内掲示やウェブ掲載の数字が以前のままになっていないかも適時調査前に確認しておきたいポイントです。

様式を完成させるだけでなく「数値の根拠」まで追えるようにする

適時調査では、届出様式を保存していることだけでなく、その数値がどの患者・勤務・提供実績をもとに集計されたのかを確認できることが重要です。

院内では、集計値から元データへ戻る方向と、元データから集計値を再確認する方向の両方で照合すると、不一致を発見しやすくなります。

表:集計値から元データへ戻る確認例
集計値 確認する元データ 不一致時に確認すること
入棟患者数・患者構成 入棟患者一覧、診断名、入棟日 対象期間、転棟・再入棟、対象疾患の扱い
重症患者数 入院時評価、FIM等 評価時点、採点値、重症患者の定義
在宅復帰に係る患者数 退院患者一覧、退院先 除外患者と退院先の分類
実績指数 FIM、入退棟日、算出対象患者一覧 評価値、除外対象、算出期間
人員配置 職員名簿、勤務表、出勤簿 専従・専任、常勤・非常勤、異動・休職・退職
休日リハ提供体制 勤務表、休日の提供実績 予定上の配置と実際の勤務・提供状況

適時調査前に確認したい5つの詰まり

適時調査への準備では、記録量を増やすより、届出内容と根拠資料の不一致を先に探す方が効率的です。

表:回復期リハ病棟の適時調査前に起こりやすい詰まり
詰まり 起こっている状態 確認すること
様式が古い 前回改定時のExcelをそのまま使っている 2026年度の最新様式か確認する
集計値だけ残っている 実績指数や患者割合の最終値しか確認できない 患者単位の元データまで戻れるようにする
人員配置が更新されていない 異動・休職・退職後も以前の配置情報を使っている 届出上の配置と対象期間の勤務実績を照合する
FIMの値が一致しない 電子カルテ、病棟集計、実績指数計算で異なる値が使われている 評価時点と採用した元記録を確認する
公開情報が古い 院内集計は更新済みだが掲示・ウェブ掲載が以前の値になっている 公開値と更新日を確認する

院内の自主点検も「公式要件から逆算」する

院内で定期的に自主点検するときも、「週1回5分」「3行で記録」「退院前72時間」といった独自の固定ルールを公式要件のように扱う必要はありません。

まず、自院が届け出ている入院料区分の施設基準を確認し、要件→届出様式→元データ→担当部署を対応させます。そのうえで、自院の規模や業務フローに合わせて確認時期を決める方が運用しやすくなります。

たとえば、人員配置は勤務管理部門、患者割合や実績指数は病棟・リハ部門、ウェブ掲載は管理部門など、情報を保有する部署が異なる場合があります。どこを見れば最新値へたどり着けるかを院内で共有しておくことが、適時調査時の「探し物」を減らすポイントです。

よくある質問

Q1:回復期リハ病棟の「監査」と「適時調査」は同じですか?

同じではありません。施設基準を届け出た内容が要件を満たしているか確認する場面では適時調査として整理します。監査は、診療内容や診療報酬請求について不正または著しい不当が疑われる場合などに行われる手続きです。

Q2:様式49と様式49の2を用意すれば十分ですか?

十分とは限りません。届出区分によって必要な様式が異なるほか、適時調査では届出書添付書類以外の事前提出書類や当日準備書類を求められます。実際に必要な資料は、調査時の実施通知と管轄する地方厚生(支)局の案内を優先してください。

Q3:2026年度の適時調査前に特に確認したい変更点は何ですか?

実績指数の基準変更・対象拡大、入院料3・4への週7日リハ提供体制の要件化、FIM研修、実績指数等のウェブサイト掲載などです。一部要件には2026年9月30日までの経過措置があるため、10月1日以降に継続算定する場合は再届出の要否も確認してください。

次の一手:自院の届出区分から順番に照合する

最初に確認するのは、自院が回復期リハビリテーション病棟入院料1〜5のどの区分を届け出ているかです。そのうえで、最新の施設基準、適時調査実施通知、届出書添付様式、院内の元データの順に照合してください。

疾患別リハビリテーション料など、回復期リハ病棟以外も含めてリハ部門全体の施設基準を確認する場合は、リハビリテーション部門の監査・施設基準チェックへ進むと役割を分けて確認できます。


参考文献

  1. 厚生労働省. 適時調査実施要領等. https://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iryouhoken/shidou_kansa_jissi.html
  2. 厚生労働省. 基本診療料の施設基準等. 回復期リハビリテーション病棟入院料の施設基準. https://www.mhlw.go.jp/web/t_doc?dataId=84aa9732
  3. 厚生労働省. 令和8年度診療報酬改定 リハビリテーション実績指数の基準等の見直し. https://www.mhlw.go.jp/content/12400000/001666309.pdf
  4. 厚生労働省. 令和8年度診療報酬改定 リハビリテーション実績指数等の公開方法の見直し. https://www.mhlw.go.jp/content/12400000/001677546.pdf
  5. 関東信越厚生局. 基本診療料の届出一覧(令和8年度診療報酬改定). https://kouseikyoku.mhlw.go.jp/kantoshinetsu/shinsei/shido_kansa/shitei_kijun/kihon_shinryo_r08.html
  6. 関東信越厚生局. 令和8年度診療報酬改定において経過措置を設けた施設基準の取扱いについて. https://kouseikyoku.mhlw.go.jp/kantoshinetsu/iryo_shido/r8kaitei-keikasochi.html
  7. 四国厚生支局. 適時調査において事前に提出していただく書類. https://kouseikyoku.mhlw.go.jp/shikoku/iryo_shido/tekijichousa.html

著者情報

rehabilikun(理学療法士)

rehabilikun(理学療法士)

rehabilikun blogを2022年4月に開設。急性期・回復期・療養病棟、介護福祉施設、訪問リハビリテーションでの臨床経験をもとに、理学療法評価、臨床手順、記録用紙、医療制度など、医療従事者の実務に役立つ情報を発信しています。

現在は療養病院に勤務し、脳卒中、褥瘡・創傷ケア、リハビリテーション栄養、呼吸リハビリテーションを中心に臨床・教育活動を行っています。

保有資格

  • 脳卒中認定理学療法士
  • 褥瘡・創傷ケア認定理学療法士
  • 登録理学療法士
  • 3学会合同呼吸療法認定士
  • 福祉住環境コーディネーター2級

運営者プロフィール / 編集・引用ポリシー / お問い合わせ