リハ・栄養・口腔連携加算のADL低下患者割合|除外対象と判断条件

制度・実務
記事内に広告が含まれています。

ADL低下患者割合の除外対象は「死亡退院・終末期がん・末期3疾患」で確認します

リハビリテーション・栄養・口腔連携加算などの施設基準で用いる ADL 低下患者割合では、退院・転棟患者のうち、計算対象から除く患者を正しく判定する必要があります。2026 年度診療報酬改定の疑義解釈その 1・問 20 では、死亡退院、医学的に終末期と判断されるがん患者、一定の要件を満たす末期呼吸器疾患・末期心不全・末期腎不全の患者について取扱いが示されています。

この記事では、除外できる患者、終末期判断と対象患者要件の違い、末期呼吸器疾患の体重減少要件の例外、集計前の確認方法を整理します。病名だけで除外を確定せず、医学的判断と制度上の要件を照合することが重要です。

対象:2026 年度診療報酬改定(2026 年 6 月 1 日施行)/主な根拠:厚生労働省「疑義解釈資料の送付について(その 1)」問 20

ADL低下患者割合から除外できる患者一覧

除外対象は、死亡退院、終末期のがん患者、末期呼吸器疾患、末期心不全、末期腎不全の 5 分類で確認します。ただし、5 分類すべてを病名だけで判断するわけではありません。死亡退院は退院区分を確認し、終末期の患者は医学的判断と該当する要件を照合します。

ADL低下患者割合の除外対象を判断するフロー。死亡退院、終末期がん、末期呼吸器疾患・心不全・腎不全の確認条件と、末期呼吸器疾患における体重減少要件の例外を示す
ADL低下患者割合の除外対象を確認する判断フロー。死亡退院・終末期がん・末期3疾患を区別し、該当条件を確認できた患者を計算対象から除外します。

以下の表は、疑義解釈その 1・問 20 の取扱いを実務向けに整理したものです。

スマートフォンでは表を横スクロールできます。

ADL低下患者割合から除外できる患者と確認条件
患者区分 除外判断の条件 確認する情報
死亡退院 死亡退院に該当する患者を計算対象から除きます。 退院区分・退院日
終末期のがん患者 医学的に終末期と判断されるがん患者が該当します。 がんの診断・医学的な終末期判断
末期呼吸器疾患 医学的に終末期と判断され、緩和ケア診療加算の対象患者要件を満たす患者が該当します。ただし、所定の体重減少要件は満たさなくても差し支えありません。 終末期判断・対象患者要件・体重減少要件の例外
末期心不全 医学的に終末期と判断され、緩和ケア診療加算の対象患者要件を満たす患者が該当します。 終末期判断・対象患者要件
末期腎不全 医学的に終末期と判断され、緩和ケア診療加算の対象患者要件を満たす患者が該当します。 終末期判断・対象患者要件

この取扱いは、A233「リハビリテーション・栄養・口腔連携体制加算」、A304「地域包括医療病棟入院料」の注 11、A308-3「地域包括ケア医療病棟入院料」の注 14 に規定されるリハビリテーション・栄養・口腔連携加算について示されたものです。

加算全体の対象病棟、評価時期、計画作成、届出要件は、リハビリテーション・栄養・口腔連携加算の 2026 年度改定解説で確認してください。

除外判断の条件|終末期がんと末期3疾患を区別します

終末期のがん患者と末期3疾患では、疑義解釈の記載を分けて読む必要があります。終末期のがん患者は医学的に終末期と判断されることが重要です。一方、末期呼吸器疾患・末期心不全・末期腎不全では、医学的な終末期判断に加え、緩和ケア診療加算の対象患者要件を満たすことが示されています。

終末期のがん患者

がんの診断があるだけでは、終末期のがん患者として自動的に除外する根拠にはなりません。疑義解釈では、医学的に終末期と判断されるがん患者が示されています。

実務では、診断名だけでなく、主治医による病状評価や診療録の記載など、医学的判断を確認できる情報と照合します。

末期呼吸器疾患・末期心不全・末期腎不全

末期3疾患では、次の2点を分けて確認します。

  1. 医学的な判断:対象疾患について、医学的に終末期と判断されているか。
  2. 制度上の要件:緩和ケア診療加算の対象患者要件を満たしているか。

例えば、心不全の診断があり、ADL が大きく低下している場合でも、それだけで除外対象と確定することはできません。医学的な終末期判断と、該当する対象患者要件の確認が必要です。

また、疑義解釈が示しているのは、緩和ケア診療加算の対象患者要件への該当性です。同加算を実際に算定しているかどうかだけで判断するのではなく、対象患者要件そのものを確認します。

末期呼吸器疾患の例外|体重減少10%の要件は必須ではありません

末期呼吸器疾患については、「過去半年以内に10%以上の体重減少を認める」という要件を満たさなくても差し支えないとされています。これは 2026 年 3 月 23 日付の疑義解釈その 1・問 20 で明示された例外です。

ただし、この例外によって末期呼吸器疾患の患者全員が除外対象になるわけではありません。

末期呼吸器疾患の判断ポイント

  • 体重減少が 10% 未満でも、それだけを理由に除外対象外とはしません。
  • 医学的に終末期と判断されていることは引き続き確認します。
  • 緩和ケア診療加算の対象患者要件について、体重減少以外の該当条件を確認します。
  • 体重減少要件の例外を、末期心不全や末期腎不全へそのまま拡大しません。

例えば、末期呼吸器疾患で医学的に終末期と判断されている患者に体重減少が認められない場合でも、他の必要な対象患者要件を満たすなら、体重減少がないことだけを理由に除外を否定する必要はありません。

一方、終末期判断や他の対象患者要件が確認できない場合には、体重減少の例外だけで除外を確定しないことが重要です。

集計前の確認フロー|候補抽出から除外確定まで

実務では、退院・転棟患者一覧から除外候補を抽出し、根拠を照合してから集計対象を確定すると整理しやすくなります。以下は疑義解釈に基づく院内運用例であり、厚生労働省が指定する確認手順ではありません。

  1. 集計対象期間と病棟を確認する:施設基準に対応する対象期間・対象病棟を確認し、退院・転棟患者一覧を用意します。
  2. 死亡退院を抽出する:退院区分を確認し、死亡退院に該当する患者を区別します。
  3. 終末期がんの候補を確認する:医学的な終末期判断の有無を確認します。
  4. 末期3疾患の候補を確認する:末期呼吸器疾患・末期心不全・末期腎不全について、終末期判断と緩和ケア診療加算の対象患者要件を照合します。
  5. 除外対象を確定する:確認できた患者を計算対象から除き、判断根拠が不足する患者は確認待ちとして扱います。
  6. ADL低下患者割合を算出する:除外後の対象患者を分母とし、そのうち ADL が低下した患者を分子として、該当する施設基準に沿って算出します。

計算例|除外患者を分母から外す

以下は計算の考え方を示す架空の例です。実際の届出数値ではありません。

スマートフォンでは表を横スクロールできます。

ADL低下患者割合の計算例(架空)
項目 患者数
退院・転棟患者 100人
要件を満たす除外患者 5人
除外後の計算対象患者 95人
計算対象のうちADL低下患者 4人
ADL低下患者割合 4 ÷ 95 × 100 ≒ 4.21%

除外患者を分母から外すとともに、除外された患者が ADL 低下患者に該当していた場合には、その患者を分子にも含めないことが重要です。計算対象患者の範囲と分子・分母を一致させます。

実際の届出では、適用される施設基準、算出期間、ADL 低下の判定方法、端数処理、所定様式を確認してください。

記録例|除外理由を後から説明できるようにする

除外判断の根拠は、疾患名・医学的判断・対象患者要件・集計処理を対応させて残すと確認しやすくなります。以下は院内での情報共有を想定した記録例であり、法令で指定された記載様式ではありません。

末期呼吸器疾患の記録例

記録例(架空)

末期呼吸器疾患。主治医による医学的な終末期判断を診療録で確認。緩和ケア診療加算の対象患者要件への該当性を確認済み。疑義解釈その 1・問 20 に基づき、体重減少要件の例外を適用し、ADL 低下患者割合の計算対象から除外。

実際の記録では、単に「要件確認済み」とするだけでなく、必要に応じて判断日、確認者、診療録の該当箇所、対象患者要件の確認結果を追跡できるようにします。

PT・OT・ST が単独で医学的な終末期判断を確定するのではなく、主治医の判断と病棟・医事担当者による制度上の確認を分けて扱うことが重要です。

判断に迷うケース|病名だけで除外を確定しません

除外患者の集計では、疾患名が確認できても、終末期判断や対象患者要件の根拠がそろっていない場合があります。判断が分かれる代表的な場面を整理します。

スマートフォンでは表を横スクロールできます。

ADL低下患者割合の除外判断で迷う場面
場面 判断の境界 次に確認すること
がん患者だが終末期か不明 がんの診断だけでは除外を確定しません。 医学的な終末期判断を確認します。
末期心不全の診断がある 病名だけでは除外を確定しません。 終末期判断と対象患者要件を照合します。
末期呼吸器疾患で体重減少が10%未満 体重減少要件を満たさないことだけでは除外を否定しません。 終末期判断と他の必要な対象患者要件を確認します。
緩和ケア診療加算を算定していない 算定の有無だけで対象患者要件への該当性を判断しません。 対象患者要件そのものを確認します。
除外理由の記録が不足している 推測だけで除外処理を確定しません。 主治医・病棟・医事担当者と根拠を照合します。

院内では、医学的な終末期判断を確認する担当者、制度上の要件を照合する担当者、集計表に反映する担当者を明確にしておくと、除外漏れや誤除外を防ぎやすくなります。

これは実務上の推奨であり、特定の職種による記録方法や確認順序を全国一律に義務付けるものではありません。

次の一手|加算全体の施設基準と合わせて確認する

除外患者の判断を確認したら、加算全体の施設基準や届出要件と照合します。ADL 低下患者割合の除外対象が正しくても、他の施設基準を満たしているとは限りません。

参考資料

  1. 厚生労働省保険局医療課.疑義解釈資料の送付について(その 1).令和 8 年 3 月 23 日.別添 1,問 20.厚生労働省公式 PDF.
  2. 厚生労働省.令和 8 年度診療報酬改定について.改定資料・疑義解釈・訂正通知の掲載ページ.

本記事は、2026 年度診療報酬改定に関する公表資料をもとに作成しています。制度の適用にあたっては、最新の告示・通知・疑義解釈・訂正通知および所轄地方厚生局の案内をご確認ください。

著者情報

rehabilikun(理学療法士)のプロフィール画像

rehabilikun(理学療法士)

2022 年 4 月に rehabilikun blog を開設。急性期・回復期・療養病棟、介護福祉施設、訪問リハビリテーションでの経験を経て、現在は療養病院に勤務しています。

脳卒中、褥瘡・創傷ケア、リハビリテーション栄養、呼吸リハビリテーションを中心に、評価・臨床判断・記録・多職種連携に役立つ情報を発信しています。

保有資格

  • 脳卒中認定理学療法士
  • 褥瘡・創傷ケア認定理学療法士
  • 登録理学療法士
  • 3学会合同呼吸療法認定士
  • 福祉住環境コーディネーター2級

運営者プロフィール / 編集・引用ポリシー / お問い合わせ