通所リハ個別加算3つの違い|短期集中・認知症・生活行為向上

制度・実務
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通所リハの個別加算は「目的」で使い分けます

通所リハの個別加算は、単位数や名称ではなく「何を改善したいか」で選びます。短期集中個別リハは早期の生活機能回復、認知症短期集中リハは認知症による生活行為の失敗への支援、生活行為向上リハは生活行為・役割・参加の定着が中心です。この記事では、3つの加算の違いを比較し、どの利用者にどの加算を優先して考えるかを整理します。

通所リハ個別加算3つの早見比較
比較軸 短期集中個別リハ 認知症短期集中リハ 生活行為向上リハ
主な目的 早期の生活機能回復 認知症による生活課題の整理 生活行為・役割・参加の定着
期間の目安 退院・退所日または認定日から3か月以内 短期集中で生活行為を整える 利用開始月から6か月以内
単位 110単位/日 Ⅰ:240単位/日
Ⅱ:1,920単位/月
1,250単位/月
見る軸 起算日・頻度・時間・ADL 認知機能・生活環境・介護者支援 生活行為・役割・参加
向く場面 退院後・認定後に動作が不安定 認知症で生活行為が崩れる 生活行為を実生活に定着させたい
通所リハ個別加算を短期集中個別リハ、認知症短期集中リハ、生活行為向上リハの目的別に使い分ける図版
図1 通所リハ個別加算3つの使い分け

3加算は「利用者像」から選びます

3つの加算は、加算名ではなく利用者の主課題から選ぶと整理しやすくなります。基本動作やADLの立て直しが主目的なら短期集中個別リハ、認知症による手順の混乱や生活行為の失敗が中心なら認知症短期集中リハ、生活行為や役割の再獲得が中心なら生活行為向上リハを考えます。

臨床では、退院直後で認知症もあり、さらに生活行為の目標もあるケースが少なくありません。その場合は「最初に変えるべき課題」を1つに絞り、3か月後または6か月後の移行先まで仮置きしておくと、記録や会議で説明しやすくなります。

利用者像から見た加算選択の目安
利用者像 優先候補 理由
退院後に歩行・移乗が不安定 短期集中個別リハ 3か月で基本動作・ADLを立て直す目的に合いやすい
認知症で更衣・トイレ・食事動作が崩れる 認知症短期集中リハ 認知機能、生活環境、介護者支援を含めて整理しやすい
外出・家事・趣味を再開したい 生活行為向上リハ 生活行為・役割・参加を6か月で定着させる目的に合いやすい
複数の要素が重なっている リハマネ会議で整理 主目的、期間、本人希望を分けて判断する

短期集中個別リハは早期の生活機能回復で考えます

短期集中個別リハは、退院・退所後または認定後の早い時期に、基本動作やADLを集中的に立て直したい場合に検討しやすい加算です。移乗、歩行、トイレ動作、屋内移動など、生活機能の不安定さが明確なケースで優先候補になります。

確認したいのは、起算日、週おおむね2日以上、1日40分以上、3か月後の受け皿です。詳しい要件は、通所リハの短期集中個別リハ加算で整理しています。

短期集中個別リハを考えやすい場面
場面 見ること 確認ポイント
退院後に動作が不安定 移乗、歩行、トイレ動作 3か月でどこまで安定させるか
新規認定後に通所リハ開始 主課題、起算日、利用頻度 認定日からの期間を確認する
家族介助量が一時的に増加 介助方法、環境調整、安全性 介助量を減らせる課題か

認知症短期集中リハは生活行為の失敗で考えます

認知症短期集中リハは、認知症という診断名だけで選ぶ加算ではありません。認知症によって生活行為の手順が止まる、自宅で失敗しやすい、声かけや環境で結果が変わるなど、生活場面の課題が明確な場合に検討します。

通所内でできることだけでなく、自宅の動線、物の配置、介護者の声かけ、本人が取り組みやすい活動まで見ることが重要です。Ⅰ・Ⅱの違いは、通所リハの認知症短期集中リハ加算で確認できます。

認知症短期集中リハを考えやすい場面
場面 見ること 確認ポイント
生活行為の手順で止まる 更衣、整容、食事準備 手順を短くできるか
自宅で失敗しやすい トイレ、動線、物の配置 生活環境を調整できるか
家族が対応に迷う 声かけ、見守り、拒否時対応 介護者支援を組み込めるか

生活行為向上リハは役割・参加の定着で考えます

生活行為向上リハは、基本動作の改善だけでなく、生活行為・役割・参加を実生活に定着させたい場合に向いています。外出、買物、調理、趣味活動、家族内の役割など、「本人が取り戻したい生活行為」から逆算して計画します。

短期集中個別リハや認知症短期集中リハで一定の整理ができた後に、生活行為そのものの定着が課題として残る場合も検討候補になります。別紙様式2-5や6か月計画は、通所リハの生活行為向上リハ加算で整理しています。

生活行為向上リハを考えやすい場面
場面 見ること 確認ポイント
生活行為を再開したい 外出、買物、調理、趣味 本人が取り戻したい行為か
役割を取り戻したい 家事、配膳、家族内の役割 実生活で定着できるか
基本動作は安定してきた 活動量、参加、環境調整 次の目標が生活場面にあるか

3か月後の移行を先に考えます

通所リハの個別加算は、開始時点だけでなく終了時点を先に決めておくと運用しやすくなります。短期集中個別リハや認知症短期集中リハで生活機能や生活環境が整った後、生活行為の定着が残る場合は、生活行為向上リハへの移行を検討します。

ただし、連続して移行する場合は算定月数の確認が必要です。移行前に、算定済み月数、本人同意、リハビリテーション会議での合意、終了後の通常運用まで確認しておくと、後から迷いにくくなります。

3か月後の移行パターン
3か月後の状態 次の選択肢 確認ポイント
基本動作が改善 通常運用へ 維持目標と自主練習を整理する
生活行為の課題が残る 生活行為向上リハ 算定済み月数を確認する
認知症による生活課題が残る 生活環境と介護者支援を再整理 自宅で失敗しにくい条件を確認する
方針が不明確 リハマネ会議で再整理 目的、期間、本人希望を分ける

現場で迷う原因は「加算名」で選ぶことです

よくある失敗は、「退院直後だから短期集中個別」「認知症があるから認知症短期集中」「生活行為だから生活行為向上」と、加算名だけで決めてしまうことです。実際には、主目的、期間、生活課題、本人の希望、家族支援、終了後の受け皿まで見て判断します。

療養病棟や通所リハの連携場面では、退院後のADL低下、認知症による手順の混乱、家族介助量の増加が同時に出ることがあります。その場合は「最初の3か月で何を変えるか」を先に決めると、加算選択と記録がぶれにくくなります。

通所リハ個別加算でよくある失敗と回避策
よくある失敗 なぜ困るか 回避策
退院直後だから短期集中と決める 主課題と合わないことがある 基本動作・ADLが主課題か確認する
認知症名だけで判断する 生活行為の課題が見えない 認知機能・生活環境・家族支援を見る
生活行為向上を訓練メニュー化する 生活場面に定着しにくい 本人の生活行為・役割から逆算する
終了後の受け皿がない 漫然継続になりやすい 通常運用・生活行為向上・会議再整理を仮置きする

よくある質問

各項目名をタップすると回答が開きます。もう一度タップすると閉じます。

短期集中個別リハと認知症短期集中リハはどう選びますか?

基本動作やADLの早期回復が主目的なら短期集中個別リハ、認知症による生活行為の失敗や生活環境の調整が主目的なら認知症短期集中リハを検討します。診断名ではなく、主課題で分けることが大切です。

認知症がある場合は必ず認知症短期集中リハですか?

必ずしもそうではありません。認知症があっても、主課題が退院後の歩行や移乗の不安定さであれば短期集中個別リハが合う場合があります。認知症による生活行為の失敗が中心であれば、認知症短期集中リハを検討します。

生活行為向上リハへ移行できますか?

生活行為の向上を目標としたリハビリテーションが必要と判断される場合は、移行を検討できます。ただし、連続して移行する場合は算定済み月数や同意、会議での合意を確認します。

3か月後に何を見直せばよいですか?

基本動作、ADL、生活行為、認知症による生活課題、家族支援、通常運用への移行可否を見直します。生活行為向上リハへつなぐ場合は、本人の生活行為の目標と算定済み月数も確認します。

迷ったときはどの加算から確認すればよいですか?

まず「3か月で基本動作を立て直したいのか」「認知症による生活課題を整えたいのか」「生活行為や役割を6か月で定着させたいのか」を分けます。それでも迷う場合は、リハマネ会議で本人希望、多職種情報、家族支援を整理します。

次の一手

この記事で全体像を確認したら、次は各加算の詳しい要件と記録ポイントを確認してください。比較で迷いを減らし、各論で実務に落とし込む流れがおすすめです。


参考資料

  1. 厚生労働省. 令和6年度介護報酬改定について. https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_38790.html
  2. 厚生労働省. 令和6年度介護報酬改定における改定事項について. PDF
  3. 厚生労働省. 介護保険最新情報 Vol.1217. リハビリテーション・個別機能訓練、栄養、口腔の実施及び一体的取組について. PDF
  4. 厚生労働省. 通所リハビリテーション. PDF

著者情報

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rehabilikun(理学療法士)

rehabilikun blog を2022年4月に開設。医療機関/介護福祉施設/訪問リハの現場経験に基づき、臨床に役立つ評価・制度・実務記事を発信。

  • 脳卒中 認定理学療法士
  • 褥瘡・創傷ケア 認定理学療法士
  • 登録理学療法士
  • 3学会合同呼吸療法認定士
  • 福祉住環境コーディネーター2級

専門領域:脳卒中、褥瘡・創傷、呼吸リハ、栄養、シーティング、摂食・嚥下、介護保険制度

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