退院前訪問指導料と疾患別リハは同日に算定できる?
退院前訪問指導料と疾患別リハビリテーション料は、条件を満たせば同日に算定できる可能性があります。令和 8 年度診療報酬改定の疑義解釈その 6 では、患家訪問中に退院後の療養上必要な指導を行った時間とは別の時間に疾患別リハビリテーションを実施した場合、退院前訪問指導料とは別に疾患別リハビリテーション料を算定可能と示されました。
ただし、ポイントは「同じ訪問の中で何をしたか」ではなく、退院前訪問指導としての時間と、疾患別リハとしての時間を分けて説明・記録できるかです。さらに、医療機関外で実施できる疾患別リハビリテーション料の算定上限単位数を超えないことも必要です。この記事では、2026 年 5 月時点の公式資料に基づき、PT・OT・ST が実務で迷いやすい判断ポイントを整理します。
結論:別時間で実施し、上限単位数内なら算定可能
今回の疑義解釈で押さえるべき結論は、退院前訪問指導料の対象となる指導時間とは別に、疾患別リハビリテーションを実施した場合、両者を別に算定できるという点です。つまり、退院前訪問の場で「家屋評価や療養上の指導だけ」を行ったのか、「別時間として疾患別リハも実施したのか」を明確に分ける必要があります。
一方で、何でも同日に上乗せできるという意味ではありません。疾患別リハビリテーション料を医療機関外で実施する場合の上限単位数を超えないこと、退院前訪問指導と疾患別リハの目的・内容・時間が記録上で区別できることが重要です。
同日算定で分けて考えるべき 3 つの要素
退院前訪問指導料と疾患別リハの同日算定では、「目的」「時間」「内容」を分けて考えると整理しやすくなります。特に記録では、退院前訪問指導として行った内容と、疾患別リハとして行った内容が混ざると、後から説明しにくくなります。
現場では、家屋環境の確認、家族への介助指導、福祉用具の確認、動作練習が一連の流れで行われることがあります。そのため、算定上はどの部分が療養上必要な指導で、どの部分が疾患別リハビリテーションとしての治療・訓練なのかを明確にしておくことが大切です。
| 確認項目 | 退院前訪問指導料 | 疾患別リハビリテーション料 | 記録のポイント |
|---|---|---|---|
| 目的 | 退院後の在宅療養に必要な指導 | 疾患別リハとしての治療・訓練 | 目的を同じ文で混ぜない |
| 時間 | 療養上必要な指導を行った時間 | 指導とは別の時間 | 開始・終了時刻を分けて残す |
| 内容 | 家族指導、環境調整、療養上の助言など | 歩行練習、起居移乗練習、ADL 練習など | 実施内容と対象者を明確にする |
| 上限 | 退院前訪問指導料の要件を確認 | 医療機関外で実施できる上限単位数内 | 単位数の超過に注意する |
記録では「指導」と「リハ」を分けて書く
記録で最も重要なのは、退院前訪問指導としての記録と、疾患別リハとしての記録を同じ内容で済ませないことです。退院前訪問指導では、在宅療養上の課題、家族等への説明、環境調整、退院後に必要な支援を中心に残します。
疾患別リハの記録では、評価、実施した訓練内容、反応、介助量、リスク、今後の課題を記載します。特に開始・終了時刻、実施場所、実施内容、単位数は、退院前訪問指導の記録と混同しないように整理しておくと、後から説明しやすくなります。
| 場面 | 書き方の方向性 | 避けたい書き方 |
|---|---|---|
| 退院前訪問指導 | 退院後の療養生活に必要な指導・家族説明・環境調整を記録する | 「自宅でリハ実施」とだけ書く |
| 疾患別リハ | 訓練目的、実施内容、反応、介助量、単位数を記録する | 退院指導の記録と同じ文章を流用する |
| 時間 | 指導時間とリハ実施時間を分けて残す | 訪問全体の時間だけを書く |
現場の詰まりどころ:同じ訪問内で内容が混ざりやすい
現場で迷いやすいのは、退院前訪問中に家屋評価、家族指導、移乗確認、歩行確認、福祉用具調整を連続して行うケースです。実務上は自然な流れでも、算定・記録上は「退院後の療養指導」と「疾患別リハとしての訓練」を分けて説明できる必要があります。
特に注意したいのは、訪問全体をまとめて「退院前訪問指導+疾患別リハ」と処理してしまうことです。別時間に実施したこと、疾患別リハとして何を実施したか、上限単位数を超えていないかを確認しましょう。関連して、リハ単位の記録は リハ単位の開始・終了時刻の整理 もあわせて確認すると実務で使いやすくなります。
制度や記録のルールを学び直したい方へ
退院支援や算定ルールは、職場の教育体制や記録文化によって理解に差が出やすい領域です。今後の働き方を整理したい場合は、PT 向けキャリア情報も参考になります。
算定前の 5 分チェック
同日算定を検討する場合は、レセプト請求の直前ではなく、訪問前後の記録段階で確認しておくと安全です。特に、退院前訪問指導の目的と、疾患別リハの目的が同じ文章になっていないかを確認しましょう。
実務では、以下の順番で確認すると整理しやすくなります。最終的な算定可否は、施設基準、通知、地方厚生局等の取扱い、院内ルールを踏まえて確認してください。
| 順番 | 確認すること | OK の目安 |
|---|---|---|
| 1 | 退院前訪問指導としての目的が明確か | 在宅療養上必要な指導内容が書ける |
| 2 | 疾患別リハを別時間で実施したか | 指導時間とリハ時間を分けて説明できる |
| 3 | 疾患別リハとしての実施内容が明確か | 評価・訓練・反応・介助量が記録できる |
| 4 | 医療機関外での上限単位数を超えていないか | 上限単位数内で整理されている |
| 5 | 院内ルール・請求担当との整合が取れているか | 算定根拠と記録の対応が説明できる |
よくある質問
各項目名をタップ(クリック)すると回答が開きます。もう一度タップで閉じます。
退院前訪問指導料と疾患別リハは同じ日に算定できますか?
条件を満たせば算定可能です。令和 8 年度診療報酬改定の疑義解釈その 6 では、退院後の在宅療養上必要な指導を行った時間とは別の時間に疾患別リハビリテーションを実施した場合、退院前訪問指導料とは別に疾患別リハビリテーション料を算定可能と示されています。
同じ訪問中に続けて実施した場合も大丈夫ですか?
重要なのは、退院前訪問指導としての時間と、疾患別リハとしての時間を分けて説明・記録できることです。訪問全体をひとまとめにせず、目的、内容、時間を整理して記録する必要があります。
疾患別リハの単位数に注意点はありますか?
医療機関外で実施できる疾患別リハビリテーション料の算定上限単位数を超えないことが必要です。上限単位数は疾患別リハの種類や通知の取扱いとあわせて確認しましょう。
記録では何を残せばよいですか?
退院前訪問指導では在宅療養上の指導内容、家族等への説明、環境調整を残します。疾患別リハでは、開始・終了時刻、実施内容、評価、患者の反応、介助量、単位数を分けて記録します。
最終判断は誰に確認すべきですか?
制度上の解釈は公式通知・疑義解釈を確認したうえで、医事課、施設基準担当、必要に応じて地方厚生局等の確認が必要です。この記事は実務整理であり、個別施設の最終判断を代行するものではありません。
次の一手
退院前訪問指導料と疾患別リハの同日算定は、「できるかどうか」だけでなく、「別時間・別目的・上限単位数内で説明できるか」が重要です。まずは院内の記録テンプレートに、退院前訪問指導と疾患別リハを分けて記載できる欄があるか確認しましょう。
参考文献
- 厚生労働省. 令和 8 年度診療報酬改定について. https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_67729.html
- 厚生労働省保険局医療課. 疑義解釈資料の送付について(その 6). 令和 8 年 5 月 22 日事務連絡. https://www.mhlw.go.jp/content/12400000/001703573.pdf
著者情報

rehabilikun(理学療法士)
rehabilikun blog を 2022 年 4 月に開設。医療機関/介護福祉施設/訪問リハの現場経験に基づき、臨床に役立つ評価・プロトコルを発信。脳卒中・褥瘡などで講師登壇経験あり。
- 脳卒中 認定理学療法士
- 褥瘡・創傷ケア 認定理学療法士
- 登録理学療法士
- 3 学会合同呼吸療法認定士
- 福祉住環境コーディネーター 2 級
専門領域:脳卒中、褥瘡・創傷、呼吸リハ、栄養(リハ栄養)、シーティング、摂食・嚥下

