療養病棟の褥瘡と医療区分|2026改定の判定・記録

制度・実務
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療養病棟の褥瘡は、2026改定で医療区分2・3へのつながりを確認します

令和8年度診療報酬改定では、一定の条件を満たす褥瘡への治療が、医療区分2の「創傷の治療に係る処置及び器具の管理等を伴う処置」に位置付けられています。さらに、肺炎や尿路感染症などの治療に係る処置と創傷治療に係る処置の両方に該当すると、処置等に係る医療区分3の確認が必要です。本記事では、療養病棟で褥瘡患者をみる医療従事者向けに、該当条件、区分2・3の分かれ目、記録と多職種共有のポイントを整理します。

医療区分全体を先に確認したい方へ

本記事は褥瘡治療に絞った各論です。医療区分2・3の全体像や判定順序は、親記事で確認できます。


2026改定の医療区分2・3見直しを見る

療養病棟における2026改定後の褥瘡と医療区分2・3の確認ポイント
図:褥瘡の有無だけでなく、治療の実施、皮膚損傷の程度、部位数、感染症治療との組み合わせを確認します。

結論:条件を満たす褥瘡治療は医療区分2、感染症治療との組み合わせでは医療区分3を確認します

2026改定後の確認で重要なのは、褥瘡の存在だけではなく、どの条件に該当し、どの治療が実施されているかです。

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褥瘡治療と処置等に係る医療区分の基本整理
患者の状態・処置 確認する区分 判断のポイント
褥瘡があるだけ 褥瘡だけでは判断できない 治療の実施と所定の条件を確認する
条件を満たす褥瘡への治療 処置等の医療区分2 皮膚層の部分的喪失、または褥瘡が2か所以上
感染症治療に係る処置と創傷治療に係る処置の両方に該当 処置等の医療区分3 医療区分2の処置区分(1)と(2)の双方への該当を確認する

したがって、「褥瘡があるから医療区分2」「肺炎もあるから医療区分3」と病名だけで判断するのではなく、対象となる治療が実施され、各要件を満たしているかを確認します。

褥瘡治療の確認条件は「皮膚層の部分的喪失」または「2か所以上」です

医療区分2の創傷治療に係る処置として確認する褥瘡治療は、皮膚層の部分的喪失が認められる場合、または褥瘡が2か所以上に認められる場合に限られます。

ここでは、次の3点を分けて確認します。

  • 褥瘡に対する治療が実際に行われているか
  • 皮膚層の部分的喪失が記録されているか
  • 褥瘡が2か所以上ある場合、各部位が特定されているか

「真皮に達する褥瘡」と機械的に置き換えないことが重要です

制度上の表現は「皮膚層の部分的喪失」です。褥瘡分類やDESIGN-R®2020の評価結果は臨床情報として重要ですが、特定の深度分類だけを根拠に自動判定せず、医師・看護師・医事担当者が診療録と治療内容を照合します。

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褥瘡治療の該当条件を確認するときの見方
確認項目 見るポイント 記録で確認したい内容
治療の実施 褥瘡に対する治療が行われているか 処置内容、使用材料、実施頻度、治療計画
皮膚損傷 皮膚層の部分的喪失が認められるか 発赤だけか、皮膚の喪失を伴うか
部位数 褥瘡が2か所以上に認められるか 仙骨部、右踵部など各部位を明記
経過 治療が現在も必要な状態か 創部の変化、処置変更、治療継続の理由

医療区分3の分かれ目は、感染症治療と創傷治療の両方に該当することです

2026改定では、医療区分2の処置等のうち、(1)感染症の治療に係る処置と、(2)創傷の治療に係る処置及び器具の管理等を伴う処置の両方に該当する場合、処置等に係る医療区分3として確認します。

感染症治療に係る処置には、次のような項目があります。

  • 肺炎に対する治療
  • 尿路感染症に対する治療
  • 発熱を伴う脱水に対する治療
  • 発熱を伴う頻回の嘔吐に対する治療
  • 発熱または嘔吐を伴う患者への経腸栄養

例えば、条件を満たす褥瘡への治療と肺炎への治療が同時に行われ、それぞれの要件に該当する場合は、医療区分3の確認対象になります。

病名が併記されているだけでは不十分です

「褥瘡+肺炎」「褥瘡+尿路感染症」という病名の組み合わせだけで医療区分3になるわけではありません。感染症と褥瘡の双方について、対象となる治療の実施と要件への該当を診療録で確認します。

迷ったときは、3ステップで医療区分との関係を確認します

褥瘡患者を医療区分へつなげるときは、次の順序に固定すると判断の飛躍を防げます。

褥瘡と医療区分2・3を3ステップで確認する判定フロー
図:褥瘡への治療、皮膚層の部分的喪失または2か所以上、感染症治療に係る処置への該当を順番に確認します。
  1. 治療の有無:褥瘡への治療が現在行われているか
  2. 褥瘡の条件:皮膚層の部分的喪失、または2か所以上に該当するか
  3. 組み合わせ:感染症の治療に係る処置にも同時に該当するか

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褥瘡患者の医療区分確認フロー
ステップ 確認内容 次の判断
1 褥瘡に対する治療を実施しているか 実施していなければ、褥瘡の存在だけで当該処置へつなげない
2 皮膚層の部分的喪失、または2か所以上か 該当する場合は創傷治療に係る処置として医療区分2を確認
3 感染症治療に係る処置にも該当するか 双方に該当する場合は処置等の医療区分3を確認

最終的な算定判断は、令和8年度の告示、通知、疑義解釈、院内の運用基準に沿って、医師・看護師・医事担当者を含めて行います。

褥瘡対策と医療区分は、評価している目的が異なります

褥瘡対策と医療区分は関連しますが、同じ制度ではありません。

褥瘡対策では、リスク評価、体圧分散、ポジショニング、スキンケア、栄養管理、治療計画などを含めて、発生予防と改善を目指します。一方、医療区分では、定められた条件に該当する治療や医療管理が行われているかを確認します。

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褥瘡対策と医療区分の違い
項目 褥瘡対策 医療区分
主な目的 予防、早期発見、治療、再発防止 患者の状態や医療資源投入量を区分へ反映する
主な確認対象 リスク、皮膚状態、除圧、栄養、ケア計画 所定の状態・処置への該当と治療の実施
褥瘡がある場合 予防・治療計画を立てて多職種で管理する 存在だけではなく、条件と治療内容を確認する

褥瘡対策に関する体制や計画書、療法士の関わり方は、褥瘡対策加算の見方で整理しています。

療養病棟PTは、算定判断ではなく離床条件と皮膚負荷を共有します

療養病棟PTが医療区分を単独で判定するわけではありません。PTの役割は、離床やポジショニングに伴う圧迫・ずれ、疼痛、支持面、姿勢保持時間を評価し、治療を妨げない条件を多職種で共有することです。

療養病棟では、褥瘡の処置内容が変わっても、車椅子座位時間やクッション、移乗方法が以前のままになっていることがあります。実際の現場では、創部の変化だけでなく、処置変更と同時に離床条件を見直せているかが詰まりどころになりやすい部分です。

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療養病棟PTが共有したい褥瘡関連の確認ポイント
場面 確認すること PT記録の例
離床前 創部の位置、疼痛、被覆材、看護師からの注意事項 「仙骨部に被覆材あり。座位時の圧迫とずれに注意する」
座位 支持部位、姿勢崩れ、座位時間、クッション 「座位30分で骨盤後傾が増強。除圧後に皮膚状態を共有した」
臥位 踵部、大転子部、仙骨部への接触と除圧方法 「右踵部の接触を避けるよう下腿支持位置を調整した」
処置変更後 離床可否、座位条件、移乗時の摩擦・ずれ 「処置変更後の離床条件を看護師と再確認した」

よくある失敗は、褥瘡の有無や病名の組み合わせだけで判断することです

医療区分との関係を確認するときは、病名だけで結論を出さず、要件と治療内容を一つずつ照合します。

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褥瘡と医療区分で起きやすい失敗と修正方法
よくある失敗 問題点 修正方法
褥瘡があれば区分2と判断する 治療の実施や所定条件を確認できていない 治療、皮膚層の喪失、部位数を順に確認する
深度分類だけで判断する 制度上の表現と評価尺度を機械的に置き換えている 診療録の皮膚所見と治療内容を制度文言に照合する
褥瘡と肺炎があれば区分3と判断する 病名だけで、対象となる処置への該当を確認していない 感染症治療と創傷治療の双方の要件を確認する
複数部位を「褥瘡あり」とだけ記録する 2か所以上か、各部位の経過が追えない 仙骨部、右踵部など部位ごとに記録する
処置変更をリハ職へ共有しない 除圧方法や離床時間が治療方針と合わなくなる 処置変更時に離床条件も見直す

記録は「部位・皮膚所見・治療・離床条件」を職種別にそろえます

医療区分の根拠は、単一職種の記録だけで完結させるのではなく、医師、看護師、医事担当者などが確認できる形で整えます。PTは褥瘡の診断や制度上の該当を断定せず、リハ介入で確認した皮膚負荷、疼痛、姿勢、離床条件を記録します。

PT記録例

仙骨部および右踵部の褥瘡について看護師から申し送りあり。車椅子座位では仙骨部への圧迫とずれを軽減するよう骨盤位置とクッションを調整した。離床は30分から開始し、疼痛と皮膚状態を看護師と共有する。処置内容の変更時は離床条件を再確認する。

医療区分の根拠を病棟内でそろえる方法は、医療区分の根拠の残し方で詳しく整理しています。

よくある質問

各項目名をタップ、またはクリックすると回答が開きます。

Q1. 褥瘡があれば、処置等の医療区分2になりますか?

A. 褥瘡があるだけでは判断できません。褥瘡に対する治療が行われ、皮膚層の部分的喪失が認められる場合、または褥瘡が2か所以上に認められる場合に、創傷治療に係る処置として医療区分2を確認します。

Q2. 真皮に達した褥瘡なら必ず該当しますか?

A. 特定の褥瘡分類だけで自動的に判断するのは避けます。制度上の表現は「皮膚層の部分的喪失」であり、実際の皮膚所見、治療の実施、診療録を照合して判断します。

Q3. 褥瘡が2か所以上あれば該当しますか?

A. 2か所以上に認められることは要件の一つですが、褥瘡に対する治療が実施されていることも確認します。各褥瘡の部位を診療録に明記し、治療内容と経過を追えるようにします。

Q4. 褥瘡と肺炎があれば医療区分3になりますか?

A. 病名が併存しているだけでは判断できません。肺炎が感染症の治療に係る処置の要件を満たし、褥瘡治療が創傷の治療に係る処置の要件を満たして、両方に該当する場合に処置等の医療区分3を確認します。

Q5. 褥瘡対策加算と医療区分は同じ考え方ですか?

A. 同じではありません。褥瘡対策では予防、リスク評価、計画、ケア体制などを含めて管理します。医療区分では、所定の状態や処置への該当と、対象となる治療の実施を確認します。

Q6. PTは医療区分の確認にどこまで関わりますか?

A. PTが単独で算定判断をするものではありません。離床時の圧迫・ずれ、姿勢、疼痛、除圧方法、座位時間を評価し、看護師などへ共有することで、治療と病棟運用を支えます。

次の一手:医療区分の全体像と褥瘡対策を確認します


参考文献

著者情報

rehabilikun(褥瘡・創傷ケア認定理学療法士)

rehabilikun(理学療法士)

rehabilikun blogを2022年4月に開設。医療機関、介護福祉施設、訪問リハの現場経験に基づき、臨床に役立つ評価・プロトコル・制度実務を発信。脳卒中・褥瘡などをテーマとした研修会で講師登壇経験あり。

  • 脳卒中 認定理学療法士
  • 褥瘡・創傷ケア 認定理学療法士
  • 登録理学療法士
  • 3学会合同呼吸療法認定士
  • 福祉住環境コーディネーター2級

専門領域:脳卒中、褥瘡・創傷、呼吸リハ、栄養、シーティング、摂食・嚥下

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