療養病棟の褥瘡と医療区分|2026改定の見方

制度・実務
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療養病棟の褥瘡は、2026改定で「創傷治療」としての見方がより重要になります

令和8年度診療報酬改定では、療養病棟の医療区分において、褥瘡を含む創傷治療の見方が整理されています。特に、皮膚層の部分的喪失がある褥瘡、または褥瘡が2か所以上ある場合に対する治療は、処置等に係る医療区分を確認するうえで重要です。この記事では、療養病棟で褥瘡患者をみるときに、医療区分とどうつなげて考えるかを整理します。

医療区分全体を先に確認したい方へ


2026改定の医療区分2・3見直しを見る

2026改定における褥瘡と医療区分の確認ポイントを整理した図版
図:褥瘡と医療区分は、褥瘡の有無だけでなく「皮膚損傷の程度」「部位数」「創傷治療の継続性」で確認します。

2026改定のポイントは、褥瘡を「創傷治療」の文脈で見ることです

2026改定では、療養病棟入院基本料における医療区分2・3に該当する疾患・状態・処置等の内容が見直されています。その中で、褥瘡に対する治療は、創傷の治療に係る処置として確認すべき項目になります。

ここで大切なのは、「褥瘡がある」だけで単純に判断しないことです。実際に治療が行われているか、皮膚損傷の深さや部位数がどうか、他の感染症治療などと重なっていないかを整理する必要があります。

褥瘡は「皮膚層の部分的喪失」または「2か所以上」が確認ポイントです

褥瘡に対する治療では、皮膚層の部分的喪失が認められる場合、または褥瘡が2か所以上に認められる場合が確認ポイントになります。臨床的には、浅い発赤だけでなく、真皮に達するような皮膚損傷があるか、複数部位に褥瘡があるかを確認します。

ただし、現場では「真皮に達した褥瘡があるから必ず算定」と短絡的に判断するのではなく、医師・看護師・医事課と、治療内容や記録の根拠をそろえることが重要です。

※スマホでは表を左右にスクロールできます。

褥瘡と医療区分を確認するときの見方
確認項目 見るポイント 記録で残したい内容
深さ 皮膚層の部分的喪失があるか 発赤のみか、皮膚損傷を伴うか
部位数 褥瘡が2か所以上あるか 仙骨部、踵部など部位を明記
治療 創傷治療が継続されているか 処置内容、頻度、変更理由
重複 感染症治療などと重なっていないか 肺炎、尿路感染症、脱水などの有無

褥瘡対策と医療区分は、見ている軸が違います

褥瘡対策は、発生予防、リスク評価、体圧分散、ポジショニング、栄養管理などを含む病棟全体のケアです。一方で、医療区分で見る褥瘡は、創傷治療として医療資源がどの程度必要かという視点が中心になります。

そのため、褥瘡対策診療計画書やリスク評価だけで完結させず、実際の創傷治療、皮膚状態、処置の継続性を確認する必要があります。褥瘡対策加算の運用は、褥瘡対策加算の記事で整理しています。

感染症治療などと重なる場合は、医療区分の見直し対象になりやすいです

2026改定では、処置等に係る医療区分が整理され、感染症治療、創傷治療、その他の処置、リハビリテーションなどの観点で確認する流れになります。褥瘡治療だけでなく、肺炎や尿路感染症、発熱を伴う脱水などが重なる場合は、医療区分の確認がより重要になります。

療養病棟では、褥瘡を有する患者が肺炎や尿路感染症を併発することもあります。その場合、リハ職も「褥瘡の有無」だけでなく、現在どの治療が同時に行われているかを把握しておくと、病棟内共有に役立ちます。

療養病棟PTは、褥瘡の深さ・部位・処置継続を確認して共有します

療養病棟PTが医療区分そのものを単独で判断するわけではありません。ただし、褥瘡患者の離床やポジショニングに関わる職種として、皮膚状態、除圧方法、処置の継続性、リハ時の注意点を共有する役割があります。

特に、仙骨部や踵部の褥瘡では、離床時間、座位姿勢、クッション、臥位姿勢、踵部の除圧方法が治療経過に影響します。PT記録では、創部そのものの診断ではなく、リハ介入上の注意点と変化を残すと実務で使いやすくなります。

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療養病棟PTが共有したい褥瘡関連の確認ポイント
場面 確認すること 記録例
離床前 創部の位置、痛み、ドレッシング材 「仙骨部保護材あり、座位時ずれに注意」
座位 圧迫部位、座位時間、クッション 「座位30分で仙骨部圧迫を確認」
臥位 踵部、大転子、仙骨部の除圧 「踵部接触を避けるポジショニングへ変更」
共有 創部変化、処置変更、離床条件 「処置変更あり、看護師と座位条件を再確認」

よくある失敗は、褥瘡の有無だけで医療区分を考えることです

現場で起きやすい失敗は、「褥瘡あり」という情報だけで医療区分につなげてしまうことです。医療区分で重要なのは、褥瘡の有無だけでなく、皮膚損傷の程度、部位数、治療の継続性、他の処置や感染症治療との関係です。

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褥瘡と医療区分で起きやすい失敗と修正方法
失敗 困ること 修正方法
褥瘡ありだけで判断 深さや治療内容が不明確 皮膚損傷の程度と処置内容を確認する
部位数を残さない 2か所以上か確認できない 仙骨部、踵部など部位を明記する
処置変更を共有しない リハ時の除圧や座位条件がズレる 処置変更時は離床条件も見直す

記録は「部位・深さ・処置・離床条件」を短くそろえます

褥瘡と医療区分をつなげて考える場合、記録は長文よりも、必要な情報が短く追える形が実務的です。PT記録では診断名のように書くより、リハ介入に関係する条件を残す方が、看護師や医事課との共有にもつながります。

記録例

仙骨部・右踵部に褥瘡あり。座位時は仙骨部圧迫とずれに注意。離床は30分から開始し、創部状態と疼痛を看護師と共有。処置変更時は座位条件を再確認する。

医療区分の根拠の残し方を詳しく整理したい場合は、医療区分の根拠の残し方も参考になります。

よくある質問(FAQ)

各項目名をタップ、またはクリックすると回答が開きます。

Q1. 真皮に達した褥瘡があれば、医療区分が必ず上がりますか?

A. 「必ず上がる」と単純に考えるのは避けた方がよいです。2026改定では、皮膚層の部分的喪失がある場合、または褥瘡が2か所以上ある場合に対する治療が確認ポイントになります。実際の算定は、治療内容や記録、病棟内の判断と合わせて確認します。

Q2. 褥瘡が2か所以上あれば対象になりますか?

A. 褥瘡が2か所以上に認められる場合は重要な確認ポイントです。ただし、単に部位数だけでなく、褥瘡に対する治療が実施されているか、記録で確認できるかが大切です。

Q3. 褥瘡対策加算と医療区分は同じ考え方ですか?

A. 同じではありません。褥瘡対策加算は体制や計画、予防的管理の視点を含みます。一方、医療区分では、創傷治療としてどのような医療管理が行われているかが重要になります。

Q4. PTは医療区分の算定にどこまで関わりますか?

A. PTが単独で算定判断をするわけではありません。ただし、褥瘡の部位、離床条件、除圧方法、処置変更時のリハ条件を共有することで、医師・看護師・医事課の判断を支える情報になります。

次の一手:医療区分全体と褥瘡対策をあわせて確認します


参考文献

著者情報

rehabilikun(理学療法士)

rehabilikun(理学療法士)

rehabilikun blog を2022年4月に開設。医療機関/介護福祉施設/訪問リハの現場経験に基づき、臨床に役立つ評価・プロトコルを発信。脳卒中・褥瘡などで講師登壇経験あり。

  • 脳卒中 認定理学療法士
  • 褥瘡・創傷ケア 認定理学療法士
  • 登録理学療法士
  • 3学会合同呼吸療法認定士
  • 福祉住環境コーディネーター2級

専門領域:脳卒中、褥瘡・創傷、呼吸リハ、栄養、シーティング、摂食・嚥下

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