電子カルテ導入で増えた見えない業務

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電子カルテ導入で増えた“見えない業務”

電子カルテを導入すると、紙カルテの持ち運びや転記作業が減る一方で、現場には新しい“見えない業務”が増えます。ログイン、端末探し、充電確認、清拭、Wi-Fi 不調、パスワード対応、記録待ちなど、リハそのものではない細かな作業が積み重なります。

電子カルテ化は悪いことではありません。ただし、導入後の小さな業務を「スタッフの慣れ」で片づけると、記録渋滞や残業、端末管理の混乱につながります。この記事では、リハ科で増えやすい見えない業務と、環境整備で減らす考え方を整理します。

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PC 保管、充電、記録スペース、Wi-Fi、配線、清拭まで含めたリハ室全体の整え方をまとめています。

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電子カルテ化で減る業務もある

まず前提として、電子カルテ化によって減る業務もあります。紙カルテを探す、運ぶ、ファイルに戻す、同じ内容を複数書類に転記するといった作業は減りやすくなります。情報共有の速さや、他職種記録の確認しやすさも大きな利点です。

一方で、電子カルテは「紙がなくなるだけ」ではありません。PC、ネットワーク、アカウント、端末管理、電源、周辺機器が加わるため、紙カルテ時代にはなかった管理業務が発生します。ここを見落とすと、導入後に現場負担が増えたように感じやすくなります。

実際は“見えない業務”が増える

見えない業務とは、リハ提供そのものではないものの、電子カルテを使うために毎日必要になる小さな作業です。1 回あたりは数十秒から数分でも、スタッフ全員が毎日繰り返すと、部署全体では大きな時間になります。

特にリハ科では、病棟、訓練室、ADL 室、カンファ室など移動しながら記録するため、端末管理や通信環境の影響を受けやすくなります。電子カルテ導入後は、こうした見えない業務を「個人の努力」ではなく「仕組み」で減らす視点が必要です。

電子カルテ導入後に増える見えない業務を整理した図版。端末管理、記録渋滞、充電・通信問題を3カードで整理している。
電子カルテ導入後は「端末管理」「記録渋滞」「充電・通信」の3領域で見えない業務が増えやすい。
電子カルテ導入後に増えやすい見えない業務
業務 起きやすい場面 負担を減らす工夫
ログイン 端末変更時、病棟移動時 共用端末の位置と使用ルールを決める
端末探し 朝、病棟持ち出し後、終業前 PC 番号と定位置管理を行う
充電確認 午前・午後の使用開始時 終業時返却とタイマー充電にする
清拭 返却時、共有端末使用後 清拭用品を返却場所に固定する
通信不調対応 病棟端、ADL 室、階段、屋外 Wi-Fi 確認と有線 LAN の逃げ道を作る

特に増えやすい5つの業務

リハ科で特に増えやすいのは、ログイン、端末管理、清拭、充電、記録待ちの 5 つです。これらはどれも小さな作業ですが、毎日繰り返すため、放置すると現場のストレスになります。

大切なのは、これらを「電子カルテに慣れれば解決する」と考えすぎないことです。端末の位置、記録スペース、充電時間、清拭導線、Wi-Fi 確認範囲を先に整えることで、スタッフの注意力に頼らない運用に近づけます。

見えない業務を減らすための整理
増える業務 放置した場合 環境整備でできること
ログイン 入力開始まで時間がかかる 記録ステーションを作る
端末管理 PC がどこにあるか分からない 番号管理と保管庫を使う
清拭 誰が清拭したか曖昧になる 返却場所に清拭用品を置く
充電 使用開始時に電池切れになる 終業後の一括充電にする
記録待ち 終業前に入力が集中する 立位入力席と外部モニターを用意する

“人”で解決しない

電子カルテ導入後の見えない業務は、「気をつけましょう」だけでは減りにくいです。端末を元に戻す、充電する、清拭する、記録場所を譲り合うといった行動は、忙しい時間帯ほど崩れやすくなります。

そのため、個人の努力よりも、戻す場所を決める、清拭用品を置く、通電時間を決める、記録席を分けるといった環境設計が重要です。人に注意するよりも、迷わずできる仕組みにした方が定着しやすくなります。

見えない業務を減らす環境整備
対策 減らせる業務 ポイント
PC 番号管理 端末探し 本体・保管位置・充電器を一致させる
タイマー充電 充電確認 終業後に一定時間だけ通電する
記録ステーション 記録待ち 立位・座位の入力場所を分ける
ケーブルトレー 配線整理 床置き配線を減らす
清拭用品の定位置化 清拭忘れ 返却動線に置く

よくある失敗

よくある失敗は、電子カルテ導入を「端末とシステムの問題」だけで考えてしまうことです。実際には、端末を探す、充電する、清拭する、記録場所を確保する、通信不調に対応するといった周辺業務が毎日の負担になります。

また、導入直後の混乱を「慣れていないから」と片づけてしまうと、同じトラブルが繰り返されます。開始後 1 か月は、小さな困りごとを集めて、端末配置、充電、清拭、記録スペースを見直す期間にすると改善しやすくなります。

よくある質問

各項目名をタップ(クリック)すると回答が開きます。もう一度タップで閉じます。

電子カルテ化で本当に業務は減りますか?

紙カルテの移動や転記は減りやすい一方で、ログイン、端末管理、充電、清拭、通信確認などの新しい業務は増えます。減る業務と増える業務を分けて考えることが大切です。

見えない業務はどう把握すればよいですか?

終業前に「端末探し」「充電切れ」「記録待ち」「通信不調」「清拭忘れ」がどれくらい起きたかを短期間だけ記録すると、改善すべき場所が見えやすくなります。

スタッフの注意喚起だけでは不十分ですか?

注意喚起も必要ですが、忙しい時間帯ほど崩れます。定位置、タイマー充電、清拭導線、記録ステーションなど、迷わずできる仕組みにした方が定着しやすいです。

最初に見直すならどこですか?

まずは PC の定位置管理、充電ルール、記録スペースの 3 つです。この 3 つが崩れると、端末探しや記録待ちが増えやすくなります。

次の一手

電子カルテ導入後の“見えない業務”は、スタッフの努力だけで減らすのではなく、環境と運用で減らすことが大切です。まずは、端末探し、充電切れ、記録待ち、清拭忘れ、通信不調がどこで起きているかを確認しましょう。

関連:リハ室のノートPC保管・充電問題

環境整備だけでは解決しにくい場合は、記録文化や教育体制、人員配置まで含めて見直す必要があります。無料チェックシートは マイナビコメディカル導線ページ にまとめています。


参考文献

  1. 厚生労働省. 医療情報システムの安全管理に関するガイドライン 第6.0版. 2023.
  2. 厚生労働省. 医療機関等におけるサイバーセキュリティ対策チェックリスト. 2025.

著者情報

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rehabilikun(理学療法士)

rehabilikun blog を 2022 年 4 月に開設。医療機関/介護福祉施設/訪問リハの現場経験に基づき、臨床に役立つ評価・プロトコルを発信。脳卒中・褥瘡などで講師登壇経験あり。

  • 脳卒中 認定理学療法士
  • 褥瘡・創傷ケア 認定理学療法士
  • 登録理学療法士
  • 3 学会合同呼吸療法認定士
  • 福祉住環境コーディネーター 2 級

専門領域:脳卒中、褥瘡・創傷、呼吸リハ、栄養(リハ栄養)、シーティング、摂食・嚥下

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