内包後脚の位置は「視床とレンズ核の間」
内包後脚は、脳の深部にある白質の通り道で、内側の視床と外側のレンズ核の間に位置します。脳画像では、内包後脚だけを探すのではなく、先に視床と被殻・淡蒼球を確認し、その間にある白質として捉えると見つけやすくなります。
この記事では、内包後脚の位置、被殻・視床との見分け方、障害時に確認したい症状、リハ記録への落とし込み方を整理します。脳卒中リハで病変部位と評価所見を結びつけたい医療職向けの内容です。
内包後脚とは
内包後脚は、大脳皮質と脳幹・脊髄などを結ぶ神経線維が集まる内包の一部です。皮質脊髄路をはじめとする運動関連線維などが通るため、脳卒中では運動麻痺との関係が注目されます。
内包は、水平断では前脚・膝・後脚を中心に整理できます。前脚は尾状核頭とレンズ核の間、後脚は視床とレンズ核の間に位置し、両者の移行部が内包膝です。
| 項目 | 確認内容 |
|---|---|
| 位置 | 視床の外側、レンズ核の内側 |
| 組織 | 神経線維が集まる白質 |
| 主な線維 | 皮質脊髄路などの運動関連線維、視床皮質系の線維など |
| 臨床的な意味 | 運動麻痺や感覚障害を病変部位と照合する手掛かりになる |
| 見分ける目印 | 視床、被殻、淡蒼球、側脳室 |
内包後脚は視床とレンズ核の間にある
内包後脚の位置を確認するときは、内側に視床、外側にレンズ核があるという位置関係を基準にします。レンズ核は被殻と淡蒼球を合わせた構造です。

画像上で内包後脚だけを最初から探すと、被殻や淡蒼球との境界で迷いやすくなります。まず灰白質である視床とレンズ核を見つけ、その間に挟まれた白質を確認する方が実用的です。
| 構造 | 内包後脚との関係 | 見分け方 |
|---|---|---|
| 視床 | 内包後脚の内側 | 第三脳室や側脳室体部の近くにある灰白質として確認する |
| 被殻 | 内包後脚の外側 | レンズ核の外側部分として確認する |
| 淡蒼球 | 被殻の内側、内包後脚の外側 | 被殻と合わせてレンズ核として捉える |
| 放線冠 | 内包より上方 | 内包へ向かって線維が収束する領域として確認する |
| 内包前脚 | 内包後脚より前方 | 尾状核頭とレンズ核の間にある白質として確認する |
内包後脚を見つける3ステップ

内包後脚は、視床、レンズ核、両者の間にある白質という順番で探すと見つけやすくなります。
- 視床を確認する:正中寄りに位置する左右の灰白質を探します。
- レンズ核を確認する:視床より外側にある被殻と淡蒼球を確認します。
- 両者の間を見る:視床とレンズ核の間に挟まれた白質を内包後脚として確認します。
実際の現場では、撮像条件、スライスの高さ、病変による浮腫や出血の広がりによって境界が分かりにくいことがあります。1枚の画像だけで判断せず、上下のスライスや左右差、医師の画像所見と合わせて確認することが大切です。
内包後脚と被殻は「白質か灰白質か」で分ける
内包後脚と被殻の違いは、位置だけでなく、内包後脚は白質、被殻は灰白質という点で整理できます。
被殻はレンズ核の外側部分で、その内側に淡蒼球があります。内包後脚は、淡蒼球を含むレンズ核よりさらに内側に位置し、視床との間を通ります。
| 項目 | 内包後脚 | 被殻 | 視床 |
|---|---|---|---|
| 組織 | 白質 | 灰白質 | 灰白質 |
| 位置 | 視床とレンズ核の間 | レンズ核の外側部分 | 内包後脚の内側 |
| 主な捉え方 | 神経線維の通り道 | 基底核を構成する神経核 | 感覚・運動などに関わる中継核 |
| 画像を見るときの役割 | 病変と運動・感覚所見を照合する | 基底核病変の広がりを確認する | 内包後脚の内側境界を確認する |
被殻や淡蒼球を含む基底核全体の位置を先に整理したい場合は、基底核をCT・MRIで見分ける方法も参考になります。
脳画像では病変部位と臨床所見を照合する
リハ職が脳画像を確認する目的は、画像だけで診断や予後判定を行うことではなく、医師の診断を前提に、病変部位と神経学的所見・動作所見の関係を理解することです。
内包後脚付近に病変がある場合は、左右、病変の広がり、運動麻痺、感覚障害、顔面・上肢・下肢の分布を確認します。内包後脚への関与が運動障害と関連することはありますが、病変部位だけで麻痺の程度や回復を断定することはできません。
| 確認項目 | 見る内容 | 注意点 |
|---|---|---|
| 病変の左右 | 反対側の運動・感覚所見と対応するか | 症状の左右を必ず実際の評価で確認する |
| 病変の広がり | 被殻、視床、放線冠などへの進展 | 内包後脚だけの病変と決めつけない |
| 運動所見 | 顔面・上肢・下肢の麻痺、分離運動、筋緊張 | 画像だけで重症度を決定しない |
| 感覚所見 | 表在感覚、深部感覚、しびれの分布 | 視床など周囲病変の関与も確認する |
| 動作所見 | 起居、立位、歩行、上肢使用への影響 | 機能障害と活動制限を分けて記録する |
内包後脚の障害では反対側の運動麻痺を確認する
内包後脚が障害されると、病変と反対側の運動麻痺がみられることがあります。重要な運動関連線維が狭い範囲を通るため、比較的小さな病変でも顔面・上肢・下肢に症状が及ぶ場合があります。
ただし、実際の症状は病変の位置・大きさ・原因・周囲への広がりによって異なります。内包後脚病変という部位名だけから、すべての症状や回復経過を決めつけないことが重要です。
| 所見 | 確認ポイント | リハでの意味 |
|---|---|---|
| 運動麻痺 | 顔面・上肢・下肢の左右差と分布 | 起居、移乗、歩行、上肢活動への影響を評価する |
| 分離運動低下 | 共同運動、選択的運動、巧緻性 | 課題設定や介助方法の検討につなげる |
| 筋緊張・反射変化 | 筋緊張、腱反射、病的反射 | 姿勢・動作パターンと経時変化を確認する |
| 感覚障害 | 触覚、痛覚、位置覚、しびれ | 支持性、バランス、上肢操作への影響を確認する |
| 構音などの症状 | 発話、顔面・舌の運動、発声 | 必要に応じて医師・STなどと情報共有する |
現場では被殻病変が内包後脚へ及ぶかで迷いやすい
臨床で迷いやすいのは、病変が被殻を中心としているのか、内包後脚まで及んでいるのかという点です。被殻出血や基底核領域の梗塞では、病変の大きさによって内包に圧迫や損傷が及ぶ可能性があります。
そのため、画像上の部位名だけで判断するのではなく、次の順序で整理します。
- 医師の診断名と画像所見を確認する
- 病変の左右と広がりを確認する
- 顔面・上肢・下肢の運動所見を評価する
- 感覚所見と動作への影響を評価する
- 経時変化を再評価する
療養病棟でも、過去の画像所見だけで現在の能力を説明しようとすると、廃用、拘縮、疼痛、認知機能、既往疾患などの影響を見落としやすくなります。画像は評価の背景として用い、現在の身体機能と活動状況を直接確認することが重要です。
リハ記録は画像所見・評価所見・動作を分けて書く
リハ記録では、内包後脚という部位名だけで終わらせず、確認できた画像情報、神経学的所見、動作への影響、再評価項目を分けて書くと伝わりやすくなります。
| 記録項目 | 書き方の例 |
|---|---|
| 画像情報 | 診療録上、右内包後脚付近に病変を認める |
| 運動所見 | 左上下肢に運動麻痺を認め、左足関節背屈の随意性が低下している |
| 感覚所見 | 左下肢の表在感覚に左右差を認める |
| 動作への影響 | 立位で左下肢の支持性が低下し、右側への荷重偏位を認める |
| 再評価項目 | 分離運動、感覚、立位荷重、歩行時の左下肢支持性を継続評価する |
記録例は次のようにまとめられます。
診療録上、右内包後脚付近に病変を認める。左上下肢に運動麻痺があり、立位では左下肢の支持性低下と右側への荷重偏位を認めた。歩行時は左立脚期の膝折れに注意を要する。今後も分離運動、感覚、立位荷重、歩行時の左下肢支持性を継続評価する。
画像を自分で確定診断したような表現を避ける場合は、「診療録上」「画像所見では」「医師記載では」など、情報源が分かる書き方にします。
内包後脚の理解でよくある失敗
内包後脚では、名称を暗記するだけでなく、周囲構造、症状、評価所見を一続きで捉えることが重要です。
- 失敗1:内包後脚だけを単独で探し、視床とレンズ核を確認しない
- 失敗2:被殻と内包後脚を同じ構造として扱う
- 失敗3:画像所見だけで麻痺の重症度や予後を決める
- 失敗4:感覚、筋緊張、動作への影響を確認しない
- 失敗5:記録に「内包後脚病変あり」とだけ書く
内包後脚についてよくある質問
各項目名をタップすると回答が開きます。もう一度タップすると閉じます。
内包後脚はどこにありますか?
内包後脚は、内側にある視床と、外側にあるレンズ核の間に位置します。レンズ核は被殻と淡蒼球を合わせた構造です。
内包後脚と被殻はどう見分けますか?
内包後脚は白質で、被殻は灰白質です。位置では、被殻の内側に淡蒼球があり、そのさらに内側に内包後脚、内包後脚の内側に視床があります。まず視床とレンズ核を確認し、その間の白質を探します。
内包後脚には何が通りますか?
皮質脊髄路などの運動関連線維や、視床と大脳皮質を結ぶ線維などが通ります。内包後脚内の線維配置は単純ではないため、通常画像だけで細かな線維の位置を断定しないことが大切です。
内包後脚の障害で麻痺が目立つのはなぜですか?
運動に関わる線維が比較的狭い範囲に集まって通るためです。そのため、小さな病変でも反対側の顔面・上肢・下肢に運動麻痺が現れることがあります。ただし、症状は病変の位置や広がりによって異なります。
内包後脚の病変だけで歩行予後を判断できますか?
病変部位は参考になりますが、それだけでは判断できません。麻痺の重症度、感覚障害、体幹機能、認知機能、併存疾患、発症後の経過などを合わせて評価します。
リハ記録では内包後脚をどう書けばよいですか?
画像情報の出典を示したうえで、運動・感覚所見、動作への影響、再評価項目を記載します。「診療録上、右内包後脚付近に病変を認める。左上下肢に運動麻痺があり、立位では左下肢支持性が低下している」のようにまとめます。
内包後脚の位置と見分け方のまとめ
内包後脚は、内側の視床と外側のレンズ核の間に位置する白質です。画像では、視床、被殻・淡蒼球からなるレンズ核、両者の間にある白質という順番で確認すると見つけやすくなります。
内包後脚付近の病変では反対側の運動麻痺などを確認しますが、画像所見だけで症状や予後を決めることはできません。医師の診断を前提に、運動、感覚、筋緊張、動作への影響を照合し、経時的に再評価することが重要です。
次の一手
脳深部の位置関係を続けて整理する場合は、全体像を確認した後、内包後脚の外側にある基底核を復習すると理解がつながります。
- 全体像:医療者向け解剖ランドマーク辞典
- 関連各論:基底核はどこ?CT・MRIで見る位置関係
参考文献
- Emos MC, Agarwal S. Neuroanatomy, Internal Capsule. In: StatPearls. Treasure Island (FL): StatPearls Publishing; 2023. NCBI Bookshelf
- Pendlebury ST, Blamire AM, Lee MA, Styles P, Matthews PM. Axonal injury in the internal capsule correlates with motor impairment after stroke. Stroke. 1999;30(5):956-962. PubMed
- Puig J, Pedraza S, Blasco G, et al. Acute damage to the posterior limb of the internal capsule on diffusion tensor tractography as an early imaging predictor of motor outcome after stroke. AJNR Am J Neuroradiol. 2011;32(5):857-863. PubMed
- Fries W, Danek A, Scheidtmann K, Hamburger C. Motor recovery following capsular stroke: role of descending pathways from multiple motor areas. Brain. 1993;116(Pt 2):369-382. PubMed
- Jang SH. A review of corticospinal tract location at corona radiata and posterior limb of the internal capsule in human brain. NeuroRehabilitation. 2009;24(3):279-283. PubMed
著者情報
この記事は、脳卒中認定理学療法士、褥瘡・創傷ケア認定理学療法士、登録理学療法士、3学会合同呼吸療法認定士の資格を持ち、療養病棟で勤務する理学療法士が作成しています。画像診断を目的とするものではなく、医師の診断を前提に、病変部位をリハ評価・症状理解・記録へつなげるための解剖ランドマークとして整理しています。

