低ナトリウム血症とは?
低ナトリウム血症とは、血液中のナトリウム濃度が低下した状態です。
一般的には、血清ナトリウム値が135mEq/L未満を目安に考えます。
ナトリウムは、体内の水分バランス、神経・筋の働き、血圧や循環の維持に関係する重要な電解質です。
リハビリ場面では、低ナトリウム血症そのものを治療するわけではありません。
しかし、意識変化、ふらつき、倦怠感、筋力低下、転倒リスクなどに関係するため、電解質異常として理解しておくことが大切です。
この記事では、新人PT・リハビリ職向けに、低ナトリウム血症の原因、症状、重症度、リハビリ中に注意したいポイントをわかりやすく整理します。
ナトリウムの役割
ナトリウムは、体内の水分量や細胞外液のバランスを保つうえで重要です。
特に、血液中の水分バランスや神経・筋の興奮性に関係します。
| 役割 | 臨床で関係すること |
|---|---|
| 水分バランスの調整 | 脱水、浮腫、水分貯留 |
| 神経の働き | 意識状態、反応性、けいれん |
| 筋の働き | 筋力低下、こむら返り、倦怠感 |
| 循環の維持 | 血圧、ふらつき、転倒リスク |
ナトリウムが低下すると、単に「塩分が少ない」というより、体内の水分バランスが崩れている状態として考える必要があります。
低ナトリウム血症の重症度
低ナトリウム血症は、血清Na値の低下の程度によって軽症・中等症・重症に分けて考えられます。
| 分類 | 血清Na値の目安 | 注意点 |
|---|---|---|
| 軽症 | 130〜134mEq/L | 無症状のこともあるが、ふらつきや倦怠感に注意 |
| 中等症 | 125〜129mEq/L | 頭痛、悪心、注意力低下、転倒リスクに注意 |
| 重症 | 125mEq/L未満 | 意識障害、けいれんなど重篤な症状に注意 |
ただし、症状の出方は数値だけでは判断できません。
急にNaが低下した場合は、同じ数値でも症状が強く出ることがあります。
低ナトリウム血症の原因
低ナトリウム血症の原因は、大きく分けると「ナトリウムが不足する」「水分が多すぎる」「体液調整がうまくいかない」の3つで考えると整理しやすいです。
| 原因 | 例 | 考え方 |
|---|---|---|
| ナトリウム喪失 | 嘔吐、下痢、利尿薬 | 体外へNaや水分が失われる |
| 水分過剰 | 過剰な飲水、輸液、水分貯留 | 血液が薄まりNa濃度が低下する |
| SIADH | 肺疾患、中枢神経疾患、薬剤など | 水分をため込みやすくなる |
| 心不全・肝硬変・腎疾患 | 浮腫、腹水、水分貯留 | 有効循環血液量や水分調整が乱れる |
| 低栄養 | 食事摂取低下、低たんぱく状態 | 全身状態低下や水分バランス異常と関連する |
リハビリ職が原因を確定する必要はありません。
大切なのは、低Naがある患者さんでは、意識状態、ふらつき、筋力低下、転倒リスクを丁寧に確認することです。
低ナトリウム血症で起こる症状

低ナトリウム血症では、軽症では無症状のこともあります。
一方で、Naの低下が強い場合や急速に進行した場合は、神経症状が目立つことがあります。
| 症状 | リハビリでの見方 |
|---|---|
| 倦怠感 | いつもより疲れやすい、反応が鈍い |
| 筋力低下 | 立ち上がり不安定、歩行能力低下 |
| 頭痛・悪心 | 気分不快、リハ中断の必要性を確認 |
| ふらつき | 転倒リスク、起立・歩行時の不安定性 |
| 注意力低下 | 指示理解、判断力、転倒予防に注意 |
| 意識障害 | 急変サインとして速やかに報告 |
| けいれん | 緊急対応が必要 |
特に高齢者では、低ナトリウム血症が「なんとなく元気がない」「歩行が不安定」「ぼんやりしている」といった形で見えることがあります。
リハビリで注意したいポイント
低ナトリウム血症がある患者さんでは、リハビリ前後で全身状態を確認します。
数値だけで判断するのではなく、症状とバイタル、日内変動、前日との違いを合わせて見ることが大切です。
| 確認項目 | 見るポイント |
|---|---|
| 意識状態 | ぼんやり、傾眠、反応低下がないか |
| ふらつき | 起立・歩行時の不安定性を確認 |
| 筋力・耐久性 | 普段より力が入りにくくないか |
| バイタル | 血圧、脈拍、SpO2、発熱の有無 |
| 水分・食事状況 | 摂取量低下、嘔吐、下痢の有無 |
| 転倒リスク | 注意力低下、歩行不安定、立位保持を確認 |
起立時のふらつきや血圧低下がある場合は、起立性低血圧のリハビリで見るポイントも合わせて確認すると整理しやすくなります。
中止・報告を考えるサイン
低ナトリウム血症がある場合、次のような変化があればリハビリを無理に継続せず、看護師・医師へ報告を検討します。
| サイン | 対応の考え方 |
|---|---|
| 意識がぼんやりする | 中止し、意識状態とバイタルを確認する |
| 急なふらつき | 転倒予防を優先し、座位・臥位で休む |
| 強い頭痛・悪心 | 症状の変化を確認し報告する |
| けいれん | 緊急対応として速やかに応援を呼ぶ |
| 急な筋力低下 | 神経症状や電解質異常を含めて報告する |
| 普段と違う反応 | 「いつもと違う」を具体的に伝える |
リハビリ職がNa補正や治療方針を判断することはありません。
しかし、患者さんの変化を早く見つけ、具体的に報告することは重要な役割です。
報告するときの伝え方
報告では、「Naが低いです」だけでなく、症状やリハビリ中の変化をセットで伝えると共有しやすくなります。
| 項目 | 例 |
|---|---|
| 検査値 | Na値、前回からの変化 |
| 症状 | ふらつき、悪心、頭痛、意識変化 |
| バイタル | 血圧、脈拍、SpO2、体温 |
| 動作変化 | 立位不安定、歩行距離低下、転倒しかけた |
| いつもとの違い | 反応が遅い、表情が乏しい、傾眠傾向 |
たとえば、次のように伝えると状況が共有しやすくなります。
「本日Na低値があり、リハ中に普段より反応が遅く、立位でふらつきが強く出ました。血圧と脈拍は〇〇で、座位休息後も倦怠感が残っています。」
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電解質異常は、リハビリ中の安全管理とつながります。検査値だけでなく、症状と動作変化を合わせて見ることが大切です。
まとめ:低ナトリウム血症では意識変化と転倒リスクに注意する
低ナトリウム血症とは、血清Na値が低下した状態です。
ナトリウムは、水分バランス、神経・筋の働き、循環の維持に関係します。
低ナトリウム血症では、倦怠感、筋力低下、ふらつき、注意力低下、意識障害、けいれんなどに注意が必要です。
リハビリ中は、Na値だけで判断せず、意識状態、バイタル、ふらつき、筋力低下、転倒リスク、前日との違いを合わせて確認します。
「いつもと違う」変化がある場合は、無理に継続せず、具体的な症状と動作変化を医師・看護師へ共有することが大切です。
よくある質問:低ナトリウム血症とは何ですか?
低ナトリウム血症とは、血液中のナトリウム濃度が低下した状態です。一般的には血清Na値が135mEq/L未満を目安に考えます。
低ナトリウム血症ではどんな症状が出ますか?
倦怠感、筋力低下、頭痛、悪心、ふらつき、注意力低下、意識障害、けいれんなどがみられることがあります。
低ナトリウム血症ではリハビリを中止すべきですか?
数値だけで一律に判断するのではなく、症状や全身状態を合わせて判断します。意識変化、強いふらつき、けいれん、急な筋力低下などがあれば無理に継続せず報告します。
低ナトリウム血症で転倒リスクは上がりますか?
ふらつき、筋力低下、注意力低下がある場合は転倒リスクが高くなります。立位・歩行練習では介助量や環境設定に注意します。
PTは低ナトリウム血症をどう見ればよいですか?
Na値、意識状態、バイタル、ふらつき、筋力低下、転倒リスク、前日との違いを合わせて確認します。異常があれば症状と動作変化を具体的に報告します。

