ビリーブの使い方|まず確認する自動判定と寝心地
モルテンの「ビリーブ」は、利用者の寝返り・体動の頻度を感知し、必要な圧対策を自動で切り替えるエアマットレスです。体重を数値入力して圧を設定する製品ではなく、利用者側で主に選ぶのは「しっかり・ふつう・やわらか」の寝心地です。
電源を入れて使用すると、ビリーブが一定時間ごとに体動の有無を判定し、エアセル全体をかために保持する状態、自動体圧調整、圧切替を行う除圧の中から必要な動作を自動で選びます。現在どの圧対策が選ばれているかは、操作部のLED表示から確認できます。
ただし、「全自動=観察しなくてよい」ではありません。自動判定とは別に、皮膚、実際の寝返り能力、背上げ時のずれ、起き上がり・端座位・移乗への影響を確認することが重要です。
| 確認項目 | 基本 | 確認ポイント |
|---|---|---|
| 体重設定 | 数値入力は不要 | 体重・体型に合わせた圧調整は自動で行われます |
| 自動判定 | 体動を感知 | LEDで現在の圧対策を確認します |
| 寝心地 | しっかり/ふつう/やわらか | 沈み込み、寝返り、本人の好みを確認します |
| 除圧 | 圧切替:約10分 | 皮膚、違和感、睡眠への影響を確認します |
| 背上げ | 30°以上で自動背上げモード | 骨盤の前滑り、仙骨部、姿勢を確認します |
| 離床 | 安定支持フォーム | 端座位、足底接地、移乗時の介助量を確認します |

コンセントへ接続すると電源が入り、メーカー取扱説明書では約3分で使用可能とされています。コンセントを接続し直した場合や停電から復旧した場合は、前回の設定状態へ戻ります。
体圧分散マットレスそのものの構造や仕様の読み方は、体圧分散マットレスの厚さ・構造・性能表示の見方でも整理しています。
ビリーブは寝返り・体動を感知して圧対策を自動判定する
ビリーブ最大の特徴は、利用者の体動を一定時間ごとに感知し、身体状況に合わせた圧対策を自動で選択することです。
メーカーは、寝返り頻度の変化に応じて必要な体圧分散性能が変わることを前提に、ビリーブを「自動フィッティングマットレス」と位置づけています。
たとえば、自力で寝返りできる人では身体を動かしやすい安定した状態を維持し、寝返りが減ると体重・体型に合わせた体圧調整を行い、さらに体動が少ない状態では圧切替による除圧を行います。
| 状態 | マットレスの動作 | 臨床で確認すること |
|---|---|---|
| 体動を保ちやすい状態 | エアセル全体をややかために保持 | 寝返り、寝心地、起き上がり |
| 体圧分散が必要 | 体重・体型に合わせて自動体圧調整 | 沈み込み、骨突出部、皮膚 |
| より積極的な除圧が必要 | 自動体圧調整+圧切替 | 皮膚、疼痛、圧切替への違和感 |
除圧時は、エアセルによる支持部位を切り替え、メーカー取扱説明書では身体の50%を支持し、残り50%を除圧する動作が示されています。圧切替周期は約10分です。
ここで注意したいのは、ビリーブが感知しているのは「体動の有無・頻度」であり、臨床評価そのものを代行するわけではないことです。
寝返りが減った理由が、筋力低下なのか、疼痛なのか、覚醒低下なのか、拘縮なのか、単に睡眠中だからなのかは、医療者が別に評価する必要があります。
LED表示で現在の自動運転を確認する
ビリーブは自動運転のため、利用者やスタッフが圧対策を頻繁に切り替える必要はありません。その代わり、現在どの動作が選ばれているかをLED表示で確認できます。
| 表示の考え方 | 動作 | 意味 |
|---|---|---|
| 基本LEDのみ | エアセル全体をかために保持 | 寝返りなどの体動を行いやすい安定した状態 |
| 自動体圧調整LED | 体重・体型に合わせて圧を調整 | 体圧分散性能を自動で高めている状態 |
| 除圧LED | 自動体圧調整+圧切替 | より積極的な除圧を行っている状態 |
つまり、LED表示は「異常を知らせるランプ」だけではなく、ビリーブが現在どの圧対策を選択しているかを見る手がかりになります。
一方、メーカー取扱説明書では、状態表示LEDが赤く点滅している場合は異常として確認するよう示されています。通常の自動運転表示と異常表示を混同しないようにします。
自動判定の表示が変化した場合は、LEDだけを記録するのではなく、患者さんの体動や皮膚状態が実際にどう変化しているかを確認します。
寝心地は「しっかり・ふつう・やわらか」の3段階
ビリーブは圧対策を自動判定しますが、寝心地は「しっかり・ふつう・やわらか」の3段階から選択します。
メーカーは、普段使用しているマットレスや布団のかたさを参考に選ぶよう案内しています。
| 設定 | 確認すること |
|---|---|
| しっかり | 寝返り・起き上がりのしやすさ、骨突出部への負荷 |
| ふつう | 沈み込み、皮膚、体動、本人の寝心地 |
| やわらか | 体圧分散と、寝返り・離床が妨げられていないか |
「褥瘡リスクが高いから、やわらかにすればよい」と固定するのは適切ではありません。
支持面をやわらかくすると身体の包み込みが増える一方、患者さんによっては寝返り・起き上がり・端座位への移行が難しくなる場合があります。
逆に、動きやすさだけを優先してかためにすると、骨突出部への負荷が問題になる可能性があります。
そのため、寝心地設定を変更した場合は、皮膚と自力体動の両方を同じ条件で再確認します。
30°以上の背上げでモードが自動切替する
ビリーブは、ベッドが30°以上の背上げ状態になると自動的に背上げモードへ切り替わります。
背上げモードではマットレスを少しかためにし、背抜きのための除圧動作を行います。調整後は元の設定で動作します。
30°以下になると背上げモードは解除され、解除時にも背抜きのための除圧動作を行います。
これはビリーブ自身がベッドを動かす機能ではありません。ベッド側で背上げした角度をマットレスが検知し、自動的に対応する機能です。
背上げ後は、自動機能だけに任せず以下を確認します。
- 骨盤が足元方向へ前滑りしていないか
- 仙骨部へずれが集中していないか
- 踵が固定され身体だけが滑っていないか
- 体幹が左右へ崩れていないか
- 衣類やシーツにしわができていないか
- 疼痛、呼吸苦、不快感が増えていないか
自動圧抜き機能はずれ対策を補助しますが、骨盤位置や姿勢の確認そのものを不要にする機能ではありません。
寝返り頻度と皮膚をどう評価する?
ビリーブは寝返り頻度を自動判定する製品ですが、マットレスの判定と患者さん自身の寝返り能力は分けて評価します。
| 項目 | 確認内容 |
|---|---|
| 開始 | 自発的に寝返りを開始できるか |
| 上肢 | ベッド柵や上肢支持が必要か |
| 下肢 | 下肢回旋を利用できるか |
| 骨盤・体幹 | 自力で回旋できるか、介助が必要か |
| 姿勢修正 | 寝返り後に自分で身体位置を修正できるか |
| 頻度 | 日中・夜間に実際の自発的体動があるか |
自動判定が「除圧」になっていることだけを理由に、「寝返りできなくなった」と判断することも避けます。LEDはマットレス側の判断を示す情報の一つとして扱います。
また、2026年版International Guidelineでは、圧再分配支持面を使用していても、支持面だけですべての体位変換を置き換えることはできないとされています。
褥瘡リスク、皮膚・組織の耐容性、自力体動、活動性、臨床状態、快適性、睡眠、使用している支持面などを踏まえて、体位変換方法と頻度を個別に判断します。
端座位・離床時に確認したいポイント
ビリーブには、ステージアのリハビリモードやラグーナのクイックハードのような、離床時に手動で入れる専用モードはありません。
その代わり、マットレスの下部と両サイドに安定支持フォームを配置し、端座位や介助時の安定性を高める構造になっています。
| 場面 | 確認すること |
|---|---|
| 起き上がり | 上肢支持、骨盤移動、殿部の沈み込み、介助量 |
| 端座位 | 足底接地、体幹安定性、マットレス端の沈み込み |
| 立ち上がり | 床面高、足部位置、前方重心移動 |
| 移乗 | 殿部の沈み込み、立位安定性、介助量 |
| ベッド上ケア | 支持面の安定性、患者さんのずれ、介助者の操作性 |
端座位を取りやすい構造であっても、患者さんによってはエアマットレスの沈み込みが動作へ影響します。
マットレス交換前後で、起き上がりや端座位・移乗の介助量が変化していないか比較すると適合性を判断しやすくなります。
拘縮・変形がある場合はポジショニングも併用する
拘縮や身体変形がある場合、マットレスだけで十分な接触面積を確保できないことがあります。
モルテンの取扱説明書でも、拘縮や変形がある利用者では、体圧分散を高めるためにポジショニングクッションによる体位保持を行うことが示されています。
その際、メーカーは寝心地を「ふつう」または「しっかり」にすることで、身体を安定して保持しやすくする方法を案内しています。
ポジショニングでは、単にクッションを挟むのではなく、身体とマットレスのすき間を埋めて接触面積を確保し、身体のねじれや局所への圧が増えていないか確認します。
また、体位変換と体位保持は目的が異なります。ポジショニングで安定した姿勢を作っていても、必要な体位変換の再評価は別に行います。
停電時は底着き防止フォームが身体を支える
ビリーブでは、長時間の停電によってエアセルの空気が抜けた場合でも、底着き防止フォームによって身体がベッド底面へ直接底着きすることを防ぐ構造になっています。
メーカー取扱説明書では、停電時に別の寝具へ移動する必要はなく、停電復旧後は停電前の設定条件へ戻るため、再設定も不要とされています。
ただし停電中は、通常時と同じ自動体圧調整や圧切替が継続するわけではありません。長時間の停電では、患者さんの皮膚、体位、自力体動を確認し、必要な体位変換や除圧を行います。
緊急時の心肺蘇生はどうする?
メーカー取扱説明書では、ビリーブはマットレスをそのままの状態で心臓マッサージを行えるとされています。
柔らかさが気になる場合は心肺蘇生用ボードを挿入する方法が示されています。実際の急変時は、施設の心肺蘇生手順や使用しているベッド・機器の運用を優先してください。
ビリーブの厚さ・サイズと設置方法
ビリーブは厚さ13cmのリプレイスメントタイプです。ベースマットレスの上へ重ねず、ベッドの上へ直接設置します。
| 品番 | 幅 | 長さ | 厚さ | 重量 |
|---|---|---|---|---|
| MBLV83 | 83cm | 193cm | 13cm | 8.0kg |
| MBLV91 | 91cm | 193cm | 13cm | 8.5kg |
| MBLV83S | 83cm | 182cm | 13cm | 7.5kg |
| MBLV91S | 91cm | 182cm | 13cm | 8.0kg |
最大利用者体重は150kgです。体重の数値入力が不要だからといって、使用者体重に上限がないわけではありません。
設置時は以下を確認します。
- ベッドの上へ直接設置しているか
- 頭側・足元側を正しく設置しているか
- 表裏が逆になっていないか
- 電源コードがベッド可動部に挟まれていないか
- 使用中は電源プラグが接続されているか
- シーツを張りすぎていないか
- サイドレールとの高さ関係が安全か
- 端座位時に足底が床へ接地できるか
シーツを強く張りすぎるとマットレス本来の性能が発揮されにくくなる可能性があるため、取扱説明書に沿って取り付けます。
PTが確認したいポイント|自動判定と患者反応を分けて見る
ビリーブ使用時のポイントは、「マットレスが何を判定しているか」と「患者さんが実際にどう動けているか」を分けて確認することです。
| 領域 | 確認項目 |
|---|---|
| 自動判定 | LED表示、自動体圧調整・除圧の状態 |
| 皮膚 | 発赤、圧痕、疼痛、湿潤、既存褥瘡 |
| 寝返り | 自発性、頻度、下肢・骨盤・体幹回旋、介助量 |
| 背上げ | 30°以上での自動切替、骨盤前滑り、仙骨部 |
| 起き上がり | 上肢支持、骨盤移動、沈み込み |
| 端座位 | 足底接地、体幹安定性、マットレス端の安定性 |
| 移乗 | 立ち上がり、床面高、介助量 |
| 快適性 | 寝心地、疼痛、圧切替への違和感、睡眠 |
たとえばLEDが除圧を示していても、皮膚状態が良好であるとは限りません。逆に自動体圧調整の状態でも、自力で頻繁に寝返りでき、皮膚にも異常がない場合があります。
マットレスの表示を「評価結果」として扱うのではなく、患者さんを評価するときの追加情報として活用します。
マットレス変更後の観察・再評価については、体圧分散マットレス導入後の再評価と記録でも整理しています。
ビリーブの記録例
記録では、「ビリーブ使用」とだけ残すよりも、寝心地設定、LED、自力体動、皮膚、背上げ・離床時の状態を組み合わせます。
ビリーブ使用。寝心地「ふつう」。状態表示は自動体圧調整。仙骨部・両踵部に持続発赤なし。背臥位から右側臥位への寝返りはベッド柵使用で自立し、夜間にも自発的体動あり。
食事時に背上げ35°。自動背上げモード作動後、骨盤の足元方向への移動を軽度認めたため、骨盤位置とシーツを調整。仙骨部の発赤なし。
離床時は端座位で足底接地可能。マットレス端の著明な沈み込みなく、体幹保持は見守り。移乗時の介助量は軽介助。現設定を継続し、皮膚・寝返り頻度を再評価する。
| 項目 | 記録内容 |
|---|---|
| 製品 | ビリーブ |
| 寝心地 | しっかり/ふつう/やわらか |
| 自動判定 | LED表示、自動体圧調整/除圧など |
| 皮膚 | 発赤、圧痕、疼痛、湿潤 |
| 寝返り | 頻度、自立度、介助量 |
| 背上げ | 角度、骨盤位置、仙骨部、姿勢 |
| 離床 | 起き上がり、端座位、移乗、介助量 |
| 判断 | 継続/寝心地変更/ポジショニング・支持面再検討 |
特にビリーブでは、LED表示だけを記録するのではなく、その表示のとき患者さんがどの程度動き、皮膚がどうなっていたかを一緒に残すことが再評価につながります。
よくある質問
ビリーブは体重設定が必要ですか?
利用者の体重を数値入力する操作は必要ありません。マットレスが利用者の体動を感知し、必要に応じて体重・体型に合わせた自動体圧調整を行います。寝心地については「しっかり・ふつう・やわらか」の3段階から選択します。
LEDが変わるのは故障ですか?
自動体圧調整や除圧を示すLEDの変化は、ビリーブが体動を判定して圧対策を切り替えているために起こります。通常の自動運転表示と、赤く点滅する異常表示は分けて確認してください。
30°以上に背上げすると何が起きますか?
30°以上になると自動で背上げモードへ切り替わり、マットレスを少しかためにして背抜きのための除圧動作を行います。30°以下へ戻るとモードが解除され、解除時にも除圧動作が行われます。
ビリーブを使えば体位変換は不要ですか?
一律に不要とは判断しません。2026年版International Guidelineでは、圧再分配支持面を使用していても、支持面だけですべての体位変換を代替することはできないとされています。患者さんの自力体動、皮膚・組織の反応、活動性、快適性、睡眠などから個別に判断します。
停電したら別のマットレスへ移動する必要がありますか?
メーカー取扱説明書では、長時間の停電でエアセルの空気が抜けても底着き防止フォームが身体を支えるため、別の寝具へ移動する必要はないとされています。ただし、自動圧調整や圧切替は通常どおり行えないため、皮膚や体位は別に確認します。
コンセントを入れてすぐ寝てもよいですか?
メーカー取扱説明書では、コンセントへ接続して約3分で使用可能とされています。起動音とLED点灯を確認し、マットレスの状態を確認してから使用します。
まとめ|自動運転でも患者さんの反応を確認する
ビリーブは、寝返り・体動の頻度を感知し、必要な圧対策を自動で切り替えるエアマットレスです。利用者の体重を数値入力する必要はなく、寝心地を「しっかり・ふつう・やわらか」から選択すれば、自動体圧調整や除圧をマットレス側が判断します。
30°以上の背上げでは自動的に背上げモードへ切り替わり、端座位・介助時には安定支持フォームが支持面の安定性を補助します。停電時には底着き防止フォームが身体を支えます。
一方で、自動判定やLED表示だけでは、患者さんの状態をすべて把握できません。皮膚、実際の寝返り頻度、背上げ時のずれ、起き上がり・端座位・移乗、寝心地まで確認し、自動判定と患者反応をセットで評価することが重要です。
参考文献
- 株式会社モルテン.エアマットレス ビリーブ.製品情報.2026年10月7日確認.公式サイト
- 株式会社モルテン.自動フィッティングマットレス ビリーブ 取扱説明書.2026年1月版.2026年10月7日確認.取扱説明書一覧
- 株式会社モルテン.ビリーブ 製品カタログ.2026年10月7日確認.製品情報
- National Pressure Injury Advisory Panel, European Pressure Ulcer Advisory Panel, Pan Pacific Pressure Injury Alliance. Repositioning and Mobilization. In: Prevention and Treatment of Pressure Ulcers/Injuries: Clinical Practice Guideline. The International Guideline. 4th ed. 2026. International Guideline
- National Pressure Injury Advisory Panel, European Pressure Ulcer Advisory Panel, Pan Pacific Pressure Injury Alliance. Full Body Support Surfaces for Prevention of Pressure Injuries. In: Prevention and Treatment of Pressure Ulcers/Injuries: Clinical Practice Guideline. The International Guideline. 4th ed. Updated 2026. International Guideline

