認知症 OT 実行機能ドリル|手順化・切替・抑制 L1〜L3

臨床手技・プロトコル
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認知症 OT 実行機能ドリルは「手順化・切替・抑制」を分けて運用すると臨床で使いやすくなります

実行機能の介入では、結果(できた/できない)だけでなく、どこで詰まったかを記録して次回の難易度調整につなげることが重要です。本ページでは、手順化ルール切替抑制/二重条件を 1 セットで確認できる紙面ドリルを L1〜L3 で提供します。

初回は成功体験を優先して L1 から開始し、同じ条件で再評価しながら 1 要素ずつ負荷を調整します。認知症ドリル全体の設計は運用プロトコル、注意・記憶課題の配布はドリル集ページで確認できます。

評価→記録→次回設定を同じ型で回すと、介入の再現性が上がります。 臨床で迷わない進め方を確認する(PT キャリアガイド)

実行機能ドリル(L1〜L3)ダウンロード

以下は、今回調整済みの r3 版です。院内共有時は、版の混在を防ぐためにリンク先をこの 3 本へ統一してください。

このドリルで見るポイント

このドリルは、点数化だけでなく「実行過程の観察」を主目的に設計しています。特に、開始遅延・再指示回数・自己修正の有無は、次回の負荷設定と介入方針の判断材料になります。

評価全体の地図は評価ハブを起点に整理しつつ、認知症領域では注意課題・記憶課題と合わせて運用すると、実行機能の所見を生活場面へ落とし込みやすくなります。

レベル選択の目安(L1〜L3)

認知症 OT 実行機能ドリルの開始レベルと進級判断(成人・臨床運用)
状況 推奨開始 進級の目安 調整のコツ
初回導入・不安が強い L1 再指示少なく 7〜8 割達成 時間制限を設けず、説明文を固定
通常運用・経時比較 L2 切替後誤反応が減る 量・時間・ルールのうち 1 要素だけ変更
高負荷で過程評価 L3 自己修正が増え、離脱なし 疲労増なら L2 に戻して再調整

5分運用フロー

  1. 導入(30秒):本日の目的を 1 文で共有する(例:「順番づけと切替を見ます」)。
  2. 実施(3〜8分):A 手順化 → B 切替 → C 抑制 の順で進める。
  3. 記録(1分):正答率、再指示、自己修正、疲労徴候を記録する。
  4. 次回設定(30秒):同レベル継続か 1 段階変更かを明確にする。

現場の詰まりどころ

実行機能課題は、患者さんの気分・体調・環境要因の影響を受けやすく、単回結果だけでは解釈を誤りやすい点が詰まりどころです。とくに説明の揺れと難易度変更の幅が大きいと、経時比較の信頼性が落ちます。

詰まりを減らすには、①説明文の固定 ②変更は 1 要素のみ ③観察項目を固定を徹底するのが有効です。注意・記憶の課題群と合わせて運用する場合も、同じ記録軸で比較してください。

よくある失敗と対策

実行機能ドリル運用で起きやすいミスと改善策
よくある失敗 起きる理由 対策 記録ポイント
説明が毎回変わる 比較条件が揃わない 読み上げ文をテンプレ化する 説明変更の有無
一度に難しくしすぎる 失敗体験が増える 量・時間・ルールの 1 要素だけ変更 変更した要素を明記
正答率のみで判断する 過程情報が不足する 再指示・自己修正・開始遅延を併記 遅延秒数、再指示回数

よくある質問(FAQ)

各項目名をタップ(クリック)すると回答が開きます。もう一度タップで閉じます。

どのレベルから始めるのが安全ですか?

初回は L1 開始が基本です。拒否や疲労が見られる場合は L1 を継続し、成功体験と手順理解が安定してから L2 へ進めると運用が安定します。

注意・記憶課題と同日に実施してもよいですか?

同日実施は可能ですが、負荷を上げすぎないよう当日の主目的を 1〜2 領域に絞るのが安全です。変更する要素は 1 つに限定してください。

進級判断は何を見ればよいですか?

正答率に加え、再指示回数、自己修正、開始遅延、途中離脱の有無を合わせて判断します。達成が安定し疲労増がなければ 1 段階進級を検討します。

短時間セッションではどこを省略しますか?

セクション数で調整し、記録項目は省略しない方針が有効です。A+B のみ実施でも、同一指標で記録すれば次回比較に活かせます。

次の一手

実行機能ドリルを導入したら、同じ症例で注意・記憶課題と順番を固定して比較してください。続けて読む:認知症 OT 紙面ドリル集(注意・記憶)注意課題ドリル運用運用プロトコル総論

運用を整える視点として、環境要因の点検も有効です。教育体制・記録文化・人員体制のチェックシートも必要時に活用してください。


参考文献

  1. Livingston G, Huntley J, Sommerlad A, et al. Dementia prevention, intervention, and care: 2020 report of the Lancet Commission. Lancet. 2020;396(10248):413-446. DOI: 10.1016/S0140-6736(20)30367-6
  2. World Health Organization. Risk reduction of cognitive decline and dementia: WHO guidelines. Geneva: WHO; 2019. 公式ページ
  3. 日本作業療法士協会. 認知症の人に対する作業療法に関する情報. 公式サイト

著者情報

rehabilikun

rehabilikun(理学療法士)

rehabilikun blog を 2022 年 4 月に開設。医療機関/介護福祉施設/訪問リハの現場経験に基づき、臨床に役立つ評価・プロトコルを発信。脳卒中・褥瘡などで講師登壇経験あり。

  • 脳卒中 認定理学療法士
  • 褥瘡・創傷ケア 認定理学療法士
  • 登録理学療法士
  • 3 学会合同呼吸療法認定士
  • 福祉住環境コーディネーター 2 級

専門領域:脳卒中、褥瘡・創傷、呼吸リハ、栄養(リハ栄養)、シーティング、摂食・嚥下

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