体幹トレ|姿勢別メニューと記録シート

臨床手技・プロトコル
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体幹トレーニングは「姿勢別メニュー」と「記録の型」でそろえます

体幹トレーニングは、種目名だけで選ぶよりも、立位・座位・ベッド上のどの姿勢で、どの代償を見ながら行うかをそろえると運用しやすくなります。対象者の状態に合わせて姿勢を切り替え、実施量・症状・代償・次回方針まで同じ型で記録できると、担当者が変わっても再評価しやすくなります。

この記事では、体幹トレーニングを「姿勢別メニュー」「よくある代償」「7 行記録の型」で整理します。A4 臨床シートも用意しているため、体幹メニューをその場限りで終わらせず、次回の負荷調整につなげたい PT・OT 向けの実務記事です。

姿勢別メニューは「立位・座位・ベッド上」で役割を分けます

体幹トレーニングは、難しい姿勢から始めるよりも、代償を確認しやすい姿勢を選ぶことが大切です。立位は動作に近い反面、バランス反応や下肢支持の影響を受けやすく、座位は骨盤・胸郭の位置を観察しやすく、ベッド上は呼吸や腹圧のコントロールを整えやすい特徴があります。

まずは「どの姿勢なら、代償を最小限にして反復できるか」を決めます。体幹機能そのものを詳しく見たい場合は、事前に体幹評価の標準フローで条件をそろえておくと、介入前後の比較が安定します。

体幹トレーニングの姿勢別メニューと進め方
図:体幹トレーニングの姿勢別メニューと進め方
体幹トレーニングの姿勢別メニューと観察ポイント
姿勢 使いやすい場面 代表メニュー 見るポイント 次に進める目安
立位 歩行・方向転換・立ち上がりに近づけたい場面 壁プランク、支持下リーチ、重心移動 骨盤の偏位、体幹側屈、肩すくみ、下肢支持の左右差 代償が増えず、同じ支持条件で反復できる
座位 骨盤・胸郭の位置をそろえながら体幹制御を見たい場面 座位リーチ、骨盤前後傾、座位保持、側方リーチ 骨盤後傾、胸郭の過伸展、到達距離優先による崩れ 骨盤中間位を保ったままリーチや保持ができる
ベッド上 臥床初期、疼痛・疲労が強い場面、呼吸と腹圧を整えたい場面 ドローイン、ブリッジ準備、寝返り準備、骨盤運動 息こらえ、腰部過伸展、頸部・肩の過緊張 呼気と同期し、短時間保持を安定して行える

現場で詰まりやすいところは「負荷過多」と「記録不足」です

体幹メニューが止まる原因は、種目の不足よりも、負荷を上げる基準と記録の言葉がそろっていないことです。たとえば「座位リーチ実施」とだけ書くと、次回に距離を伸ばすべきか、姿勢を戻すべきか判断しにくくなります。

詰まりを減らすには、実施姿勢・メニュー・実施量・症状・代償・中止理由・次回方針を同じ順番で残すことが近道です。判断に迷う背景には、評価や記録を学ぶ環境の不足も関係するため、個人の努力だけで抱え込まないことも大切です。

評価や記録を学びにくい環境で悩むときは、教育体制や相談先の整え方も確認しておきましょう。 PT キャリアガイドを見る

よくある失敗と修正

体幹メニュー運用で起きやすい失敗と修正例
場面 よくある失敗 なぜ起きるか 修正の具体策
立位 保持時間だけ延長して代償が増える 姿勢制御より先に実施量を上げている 秒数を戻し、骨盤・胸郭の位置を固定してから再延長する
座位 リーチで体幹が崩れても継続する 到達距離を優先しすぎている 距離を短縮し、骨盤中間位保持を達成条件にする
ベッド上 ドローインで息こらえが出る 腹圧の作り方が曖昧になっている 呼気と同期し、短時間保持から段階的に延長する

7 行記録の型で「次回どうするか」まで決めます

記録は、長く詳しく書くよりも、次回の負荷調整に必要な情報を同じ順番で残すことが重要です。体幹トレーニングでは、実施姿勢・メニュー・実施量・症状・代償・中止理由・次回方針の 7 行にそろえると、再評価と申し送りが安定します。

次回方針は「進行・維持・後退」の 3 つに分けます。代償が増えない場合は 1 要素だけ進め、終盤に崩れる場合は維持し、早期から崩れる場合は姿勢や支持条件を戻します。

体幹トレーニングの 7 行記録テンプレート
項目 書く内容 記録例
実施姿勢 立位・座位・ベッド上、支持条件 座位、足底接地、上肢支持なし
メニュー 実施した種目 座位前方リーチ
実施量 回数・秒数・セット数 10 回 × 2 セット
症状 疼痛・疲労・息切れ・めまいなど 疼痛なし、終盤に疲労感あり
代償 フォームの崩れ 終盤に骨盤後傾、右肩すくみあり
中止理由 中止・変更した理由 代償増加のため距離を短縮
次回方針 進行・維持・後退 維持:同条件でフォーム安定を優先
次回方針(進行・維持・後退)の決め方
判定 条件 次回の調整
進行 代償が増えない、症状の増悪がない、同条件で再現できる 回数・保持時間・支持量のうち 1 要素だけ進める
維持 フォームは保てるが、終盤で代償が出始める 実施量は据え置き、キュー固定と休息で同条件の反復を優先する
後退 早期から代償が増える、疼痛・疲労・息こらえが強い 姿勢を 1 段階下げ、開始肢位と支持条件を整えてから再実施する

ダウンロード(A4 臨床シート)

下記は、体幹トレーニングの実施姿勢・メニュー・実施量・症状・代償チェック・中止理由・次回方針を 1 枚で残せる A4 臨床シートです。印刷して、介入後の申し送りや再評価の比較に使えます。

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よくある質問(FAQ)

各項目名をタップ(クリック)すると回答が開きます。もう一度タップで閉じます。

迷ったとき、どの姿勢から始めるのが基本ですか?

基本は、代償を最小化しやすい姿勢から開始します。臥床初期や疲労が強い場合はベッド上、体幹保持が可能なら座位、支持下で安定すれば立位へ進めます。順番よりも、代償なく反復できる条件設定が優先です。

回数・セットは毎回同じでよいですか?

固定ではなく、症状と代償の有無で調整します。疼痛・疲労・息切れが増える場合は、セット数を増やすよりフォーム維持を優先してください。再評価で許容できれば、回数・保持時間・支持量のうち 1 要素だけ進めます。

代償チェックは何を最低限見ればよいですか?

まずは、肩すくみ、過度な腰反り、体幹側屈の 3 点を優先します。姿勢が変わっても共通して観察しやすく、修正キューにもつなげやすい項目です。

中止理由はどこまで具体的に書くべきですか?

「痛みが出た」だけでなく、いつ、どの姿勢で、どの種目で、どの程度だったかを簡潔に残します。バイタル変化、めまい、息切れ、疼痛増悪がある場合は、値や部位も併記すると再開条件を決めやすくなります。

体幹トレーニングは脳卒中以外にも使えますか?

使えます。ただし、疾患名だけで決めるのではなく、姿勢保持、動作時の代償、症状変化、疲労の出方を見ながら調整します。この記事の表は、脳卒中、廃用、整形外科疾患、訪問・通所場面で共通しやすい観察項目として使う想定です。

次の一手

まずは 1 週間、同じ 7 行記録で体幹メニューを回して、代償が出る条件を可視化してみてください。フォームの再現が見えた段階で、回数・保持時間・姿勢を 1 要素ずつ進めると、負荷調整のブレが減ります。


参考文献

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  2. Van Criekinge T, Saeys W, Hallemans A, Velghe S, Viskens PJ, Vereeck L, et al. The effectiveness of trunk training on trunk control, sitting and standing balance and mobility post-stroke: a systematic review and meta-analysis. Clin Rehabil. 2019;33(6):992-1002. DOI: 10.1177/0269215519830159 / PubMed: 30791703
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  4. Cabanas-Valdés R, Cuchi GU, Bagur-Calafat C. Trunk training exercises approaches for improving trunk performance and functional sitting balance in patients with stroke: a systematic review. NeuroRehabilitation. 2013;33(4):575-592. DOI: 10.3233/NRE-130996 / PubMed: 24018373

著者情報

rehabilikun(理学療法士)

rehabilikun(理学療法士)

rehabilikun blog を 2022 年 4 月に開設。医療機関/介護福祉施設/訪問リハの現場経験に基づき、臨床に役立つ評価・プロトコルを発信。脳卒中・褥瘡などで講師登壇経験あり。

  • 脳卒中 認定理学療法士
  • 褥瘡・創傷ケア 認定理学療法士
  • 登録理学療法士
  • 3 学会合同呼吸療法認定士
  • 福祉住環境コーディネーター 2 級

専門領域:脳卒中、褥瘡・創傷、呼吸リハ、栄養(リハ栄養)、シーティング、摂食・嚥下

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