発熱はなぜ起こるのか
発熱とは、体温が通常より高くなっている状態です。
リハビリの臨床では、発熱がある患者さんに対して「今日はリハビリを実施してよいのか」「延期すべきか」「医師や看護師へ何を共有するか」を判断する場面があります。
そのとき、体温の数値だけを見るのではなく、なぜ体温が上がっているのかを理解しておくと、全身状態を考えやすくなります。
結論からいうと、発熱は感染や炎症に対する身体の防御反応として起こります。
身体は免疫反応を通して、脳の体温調節中枢に働きかけ、体温の設定を一時的に高くします。
この記事では、発熱が起こる仕組みを、リハビリ職が臨床で理解しやすいように整理します。
発熱とは
発熱は、身体の体温調節の設定が高くなり、体温が上昇している状態です。
単に「身体が熱い」というだけではなく、脳の体温調節中枢が関与しています。
| 項目 | 見るポイント |
|---|---|
| 体温 | 何度まで上がっているか |
| 経過 | いつから上がっているか |
| 症状 | 悪寒、倦怠感、咳、痛みなど |
| バイタル | 脈拍、血圧、呼吸数、SpO2 |
発熱は、感染、炎症、脱水、薬剤、術後反応など、さまざまな背景でみられます。
そのため、体温だけで判断せず、全身状態や症状の変化を合わせて見ることが大切です。
発熱はなぜ起こるのか

発熱は、身体が感染や炎症に反応して起こす防御反応の一つです。
細菌やウイルスなどが身体に入ると、免疫細胞が反応します。
その反応の中でサイトカインと呼ばれる物質が関わり、脳の視床下部にある体温調節中枢へ情報が伝わります。
| 段階 | 身体で起きること |
|---|---|
| 1 | 感染や炎症が起こる |
| 2 | 免疫細胞が反応する |
| 3 | サイトカインなどが関与する |
| 4 | 体温調節中枢の設定が上がる |
| 5 | 寒気やふるえを伴いながら体温が上がる |
つまり、発熱は身体が勝手に熱くなっているだけではありません。
免疫反応により、体温の設定値が高くなっている状態と考えると理解しやすくなります。
体温調節中枢の役割
体温は、主に脳の視床下部によって調整されています。
視床下部は、身体の体温を一定に保つために、熱を作る反応や熱を逃がす反応を調整します。
| 反応 | 身体で起きること |
|---|---|
| 体温を上げる | ふるえ、血管収縮、悪寒 |
| 体温を下げる | 発汗、皮膚血管拡張 |
発熱時には、この体温調節の設定が一時的に高くなります。
身体は新しい設定温度に近づこうとして、寒気やふるえを起こしながら熱を作ります。
発熱時に寒気やふるえが起こる理由
発熱の初期に、寒気やふるえを訴えることがあります。
これは、身体が体温を上げようとしている反応です。
体温の設定値が高くなると、現在の体温が「低い」と判断されます。
そのため、身体は筋肉をふるわせたり、皮膚の血管を収縮させたりして、熱を作り出そうとします。
| 段階 | 身体の反応 |
|---|---|
| 体温設定が上がる | 脳が高い体温を目標にする |
| 現在の体温が低く感じる | 寒気を感じる |
| 熱を作る | ふるえや筋収縮が起こる |
| 熱を逃がしにくくする | 皮膚血管が収縮する |
そのため、発熱時の寒気は、単なる寒さではなく、身体が体温を上げようとしているサインと考えられます。
汗をかくのはなぜか
発熱の経過中に、汗をかくことがあります。
これは、体温の設定値が下がり、身体が熱を外へ逃がそうとしている反応です。
感染や炎症の反応が落ち着くと、脳の体温設定が元に戻っていきます。
そのとき、身体は上がった体温を下げるために、発汗や皮膚血管の拡張を起こします。
| 段階 | 身体で起きること |
|---|---|
| 体温設定が下がる | 脳が通常の体温へ戻そうとする |
| 現在の体温が高くなる | 熱を逃がす必要が出る |
| 発汗が起こる | 汗で熱を逃がす |
| 皮膚血管が広がる | 体表から熱を逃がしやすくする |
発汗が多い場合は、脱水にも注意が必要です。
特に高齢者では、発熱と発汗により水分不足になりやすいため、全身状態の確認が重要です。
発熱が起こる主な原因
発熱の原因は感染だけではありません。
リハビリ場面では、原因を一つに決めつけず、経過や症状を合わせて確認します。
| 原因 | 例 | 確認したいこと |
|---|---|---|
| 感染 | 肺炎、尿路感染、創部感染 | 咳、痰、排尿症状、創部状態 |
| 炎症 | 術後、外傷、関節炎 | 痛み、腫脹、発赤、熱感 |
| 脱水 | 水分摂取低下、発汗 | 口渇、尿量、血圧、脈拍 |
| 薬剤 | 薬剤性発熱など | 内服変更や投薬歴 |
| 熱中症 | 暑熱環境、脱水 | 意識、発汗、環境、活動状況 |
原因によって、リハビリの可否や負荷量、報告内容は変わります。
そのため、発熱を確認したときは、体温だけでなく、症状と経過をセットで見ることが大切です。
発熱時にバイタルが変化する理由
発熱時には、体温だけでなく、脈拍や呼吸数も変化しやすくなります。
体温が上がると、身体の代謝が高まり、酸素需要も増えます。
その結果、心拍数や呼吸数が増えることがあります。
| バイタル | 変化しやすい理由 |
|---|---|
| 脈拍 | 代謝上昇により心拍数が増えやすい |
| 呼吸数 | 酸素需要や二酸化炭素排出が増えやすい |
| 血圧 | 脱水や全身状態の影響を受ける |
| SpO2 | 肺炎や呼吸状態悪化があると低下することがある |
発熱時は、体温だけでなく、脈拍、呼吸数、血圧、SpO2を合わせて見ます。
特に、発熱に加えて呼吸数増加、SpO2低下、意識状態の変化がある場合は注意が必要です。
リハビリ場面で発熱を見るときのポイント
リハビリ場面で発熱を確認したときは、すぐに「実施」か「中止」かだけで判断しないことが大切です。
まずは、体温の経過、症状、バイタル、患者さんの訴えを整理します。
| 確認項目 | 見るポイント |
|---|---|
| 体温の経過 | いつから、何度まで上がっているか |
| 症状 | 悪寒、倦怠感、咳、痰、痛み |
| 呼吸状態 | 呼吸数、SpO2、息切れ |
| 循環状態 | 脈拍、血圧、冷汗、顔色 |
| 活動耐性 | 起き上がりや歩行で悪化しないか |
発熱がある場合でも、状態によってはベッド上での軽い介入やポジショニング、呼吸状態の確認にとどめることがあります。
一方で、全身状態が悪い場合や感染兆候が強い場合は、無理に実施せず、医師や看護師へ共有します。
発熱時に注意したいサイン
発熱だけでなく、他の症状を伴う場合は注意が必要です。
特に、リハビリ中に状態が悪化する可能性があるサインは見逃さないようにします。
| サイン | 考えたいこと |
|---|---|
| 強い悪寒 | 感染や炎症反応が強い可能性 |
| 呼吸数増加 | 肺炎や全身負荷の可能性 |
| SpO2低下 | 呼吸状態悪化の可能性 |
| 意識状態の変化 | 全身状態悪化に注意 |
| 血圧低下 | 脱水や循環不全に注意 |
| 強い倦怠感 | 活動耐性低下を考える |
これらがある場合は、リハビリの継続可否を慎重に判断します。
特に、発熱に加えて呼吸数増加やSpO2低下がある場合は、呼吸器感染や全身状態悪化の可能性も考えます。
関連して読みたい記事
発熱の仕組みを理解したあとは、実際の臨床場面でどう判断するかも整理しておくと安心です。
- 発熱の初期対応|PTの延期判断と報告の型
- 呼吸数はなぜ増える?
- SpO2だけで判断しない安全確認
- リハビリ中のバイタル確認
発熱は、体温だけでなく、呼吸数、脈拍、血圧、SpO2、全身状態を合わせて考えることが大切です。
まとめ:発熱は身体の防御反応として起こる
発熱は、感染や炎症に対する身体の防御反応として起こります。
免疫細胞の反応により、体温調節中枢の設定が上がり、寒気やふるえを伴いながら体温が上昇します。
発熱時には、体温だけでなく、脈拍、呼吸数、血圧、SpO2、意識状態、倦怠感なども合わせて確認します。
リハビリ場面では、発熱の有無だけで判断するのではなく、なぜ発熱しているのか、全身状態はどうか、運動負荷をかけてもよい状態かを考えることが大切です。
発熱の仕組みを理解すると、リハビリの延期判断や医師・看護師への報告がしやすくなります。
よくある質問:発熱は悪い反応ですか?
発熱は感染や炎症に対する身体の防御反応の一つです。ただし、全身状態が悪い場合や呼吸状態・意識状態の変化を伴う場合は注意が必要です。
発熱時に寒気がするのはなぜですか?
体温調節中枢の設定が高くなると、現在の体温が低いと判断されます。そのため、身体はふるえや血管収縮によって熱を作ろうとし、寒気を感じることがあります。
発熱時に脈拍や呼吸数が増えるのはなぜですか?
体温が上がると代謝が高まり、酸素需要や二酸化炭素排出の必要性が増えます。そのため、脈拍や呼吸数が増えることがあります。
発熱があるときはリハビリを中止すべきですか?
発熱だけで一律に中止するのではなく、体温の経過、症状、呼吸数、SpO2、脈拍、血圧、意識状態、倦怠感を合わせて判断します。状態が悪い場合は無理に実施せず、医師や看護師へ共有します。


