FIMとは?18項目・7段階採点・BIとの違いをわかりやすく解説

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FIMは「普段どれくらい介助が必要か」を18項目で整理するADL評価です

FIM(Functional Independence Measure)は、日常生活動作における介助量を、18項目×7段階で整理する評価尺度です。食事・更衣・移乗・移動などの運動項目に加え、理解・表出・問題解決・記憶などの認知項目も含むため、退院支援やカンファレンスでADLの全体像を共有しやすい特徴があります。

FIMで大切なのは、単に「できるか」ではなく、普段の生活場面でどれくらい介助・見守り・準備が必要かをそろえて見ることです。この記事では、FIMの18項目、7段階採点、5点と6点の違い、BIとの違い、記録時の注意点、PDF記録補助シートまで、臨床で使いやすい形に整理します。

FIMの全体像。18項目と7段階で普段の介助量を評価するADL指標の整理図
FIMの要点
項目 内容
目的 ADLの介助量を共通言語化し、経時変化・退院支援・チーム共有に活用する。
構成 18項目。運動13項目、認知5項目。
採点 各項目1〜7点。合計18〜126点。
原則 最大能力ではなく、普段の生活場面での介助量を重視する。
注意点 合計点だけでなく、下位項目ごとのボトルネックを見る。

FIMの構造|18項目と合計126点

FIMは、運動13項目認知5項目の合計18項目で構成されます。各項目を1〜7点で採点し、合計点は18〜126点です。

FIMの18項目
領域 項目
セルフケア 食事、整容、清拭、更衣上半身、更衣下半身、トイレ動作
排泄管理 排尿管理、排便管理
移乗 ベッド・椅子・車椅子、トイレ、浴槽・シャワー
移動 歩行または車椅子、階段
コミュニケーション 理解、表出
社会的認知 社会的交流、問題解決、記憶

FIMの採点基準|7点から1点までの考え方

FIMの採点では、人的介助が必要か見守りや声かけが必要か患者本人がどの程度実施しているかを確認します。

FIMの7段階採点
点数 区分 判断の要点
7点 完全自立 補助具・時間延長・安全上の配慮がなく、完全に自立している。
6点 修正自立 補助具の使用、時間延長、安全面の配慮はあるが、他者の関与はない。
5点 監視・準備 見守り、声かけ、準備、環境調整など、他者の関与が必要。
4点 最小介助 患者が75%以上実施している。
3点 中等度介助 患者が50〜74%実施している。
2点 最大介助 患者が25〜49%実施している。
1点 全介助 患者の実施が24%以下、または全介助に近い状態。

5点と6点の違い|人的関与の有無で判断する

FIMで迷いやすいのが、5点(監視・準備)6点(修正自立)の違いです。ここは、身体介助の有無だけではなく、他者の関与が必要かで判断します。

FIM 5点と6点の違い
点数 状態
6点 補助具や時間延長はあるが、他者の関与なしで実施できる。 杖を使えば自分で移動できる。時間はかかるが声かけなしで更衣できる。
5点 身体介助はなくても、見守り・声かけ・準備が必要。 転倒リスクがあり見守りが必要。手順確認の声かけが必要。物品準備が必要。

つまり、手を出していなくても、見守りや声かけが恒常的に必要なら5点です。逆に、補助具を使っていても他者の関与が不要であれば6点と考えます。

FIM合計点の見方|点数だけで自立度を決めない

FIMの合計点は18〜126点です。ただし、合計点だけで「自立」「介助が必要」と単純に判断するのは避けた方が安全です。

理由は、同じ合計点でも、どの項目が低いかによって支援内容が大きく変わるためです。たとえば、移乗や階段が低い人と、認知項目が低い人では、退院支援や環境調整の方向性が異なります。

FIM合計点を見るときの視点
見るポイント 確認すること
運動項目 セルフケア、移乗、移動、階段など、生活動作のどこに介助が必要か。
認知項目 理解、表出、問題解決、記憶など、生活管理や安全判断に関わる部分。
低得点項目 合計点よりも、介入優先度の高いボトルネック項目を確認する。
変化量 初回評価から再評価までに、どの項目が改善したかを確認する。

FIMとBIの違い

FIMとBI(Barthel Index)は、どちらもADLを評価する代表的な尺度です。ただし、評価の細かさや使いやすさには違いがあります。

FIMとBIの違い
項目 FIM BI
評価項目 18項目 10項目
点数 18〜126点 0〜100点
特徴 介助量を細かく把握しやすい。認知項目も含む。 簡便で短時間に評価しやすい。
向いている場面 回復期、カンファレンス、詳細な経時変化の確認。 スクリーニング、概要把握、短時間でのADL確認。
注意点 採点ルールの共有が不十分だと評価者間でブレやすい。 細かな介助量や認知面の変化は拾いにくい。

ざっくり整理すると、細かく介助量を見たい場合はFIM短時間でADLの概要を把握したい場合はBIが使いやすいです。

臨床での使い方|FIMは「点数」より「介助内容」を見る

FIMは、合計点を出して終わりではありません。臨床では、点数の背景にある介助内容を確認することが重要です。

  • どの場面で見守りが必要か
  • どの工程で介助が入っているか
  • 補助具や環境調整で自立度が変わるか
  • 認知面の問題がADLに影響しているか
  • 退院先で同じ動作が再現できるか

たとえば、移乗が4点でも、立ち上がりで介助が必要なのか、方向転換で介助が必要なのか、着座で安全確認が必要なのかによって、介入内容は変わります。FIMの点数は、介入方針を決めるための入口として使うと実践につながりやすくなります。

FIM記録で残すべき情報

FIMをチームで活用するには、点数だけでなく、採点根拠を短く残すことが大切です。

FIM記録で残したい情報
記録項目
評価場面 病棟ADL、訓練室、朝の更衣場面、トイレ場面など。
補助具 杖、歩行器、車椅子、手すり、装具など。
人的関与 見守り、声かけ、準備、身体介助の有無。
介助が入った工程 立ち上がり、方向転換、下衣操作、手順確認など。
安全面 転倒リスク、ふらつき、誤嚥リスク、判断力低下など。

FIM記録補助シート(PDF)

FIMの点数と採点根拠を整理しやすいように、A4印刷用の記録補助シートを用意しています。カンファレンス前の整理、再評価時の比較、新人教育での確認用として使いやすい形式です。

注意:このPDFは、臨床記録を補助するための自作シートです。公式評価用紙や認定教材の代替ではありません。施設の運用ルールや正式な採点基準に沿って使用してください。


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FIM採点でよくある失敗

FIM採点で起こりやすい失敗と回避策
失敗 起こる理由 回避策
5点と6点を混同する 人的関与の有無がチームで統一されていない。 見守り・声かけ・準備が恒常的に必要なら5点と共有する。
できるADLで採点する 訓練室での最大能力と病棟での実際の生活が混ざる。 普段の生活場面を基本にし、最大能力は別情報として記録する。
4〜1点を感覚で決める 介助割合の根拠が残っていない。 介助が入った工程・回数・時間を記録する。
合計点だけで判断する 下位項目のボトルネックを見落とす。 移乗、階段、認知項目など、退院支援に影響する項目を別に確認する。
評価者によって点数が変わる 採点場面や判断基準が統一されていない。 評価場面、補助具、見守りの有無を記録し、チームで確認する。

FAQ|FIMでよくある質問

各項目をタップすると回答が開きます。

Q. FIMは何点満点ですか?

A. FIMは18項目を各1〜7点で採点するため、合計は18〜126点です。

Q. FIMは「できるADL」と「しているADL」のどちらで採点しますか?

A. 基本的には、普段の生活場面でどれくらい介助が必要かを重視します。訓練室での最大能力は参考情報として分けて記録すると整理しやすくなります。

Q. 5点と6点の違いは何ですか?

A. 5点は見守り・声かけ・準備などの人的関与が必要な状態です。6点は補助具や時間延長があっても、他者の関与なしで実施できる状態です。

Q. 4点、3点、2点、1点はどう判断しますか?

A. 患者本人がどの程度実施しているかを目安にします。4点は75%以上、3点は50〜74%、2点は25〜49%、1点は24%以下です。工程や介助量を記録して判断します。

Q. FIMとBIはどちらを使えばよいですか?

A. 短時間でADLの概要を把握したい場合はBI、介助量や認知項目を含めて詳しく見たい場合はFIMが使いやすいです。施設の運用や目的に合わせて選択します。

Q. FIMは誰が評価しますか?

A. PT、OT、ST、看護師など、実際のADL場面を把握している職種がチームで情報を持ち寄って評価することが多いです。評価者間で判断基準をそろえることが重要です。

Q. 再評価はどのくらいの頻度で行いますか?

A. 施設や病期によって異なります。入院時、カンファレンス前、退院前、状態変化時など、介入方針や退院支援に必要なタイミングで再評価します。

Q. 階段を実施していない場合はどうしますか?

A. 階段は安全面や実施機会の影響を受けやすい項目です。施設の評価ルールに沿い、実施機会・安全条件・判断根拠を記録しておくことが大切です。

Q. FIM利得やFIM効率とは何ですか?

A. FIM利得は、退院時FIMから入院時FIMを引いた改善量です。FIM効率は、FIM利得を入院日数などで割って、期間あたりの改善をみる考え方です。

Q. FIMの合計点だけで退院可否を判断できますか?

A. 合計点だけで退院可否を決めるのは不十分です。住環境、家族支援、認知面、安全性、医療処置、介護サービスなどを含めて総合的に判断します。

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まとめ|FIMはADLの介助量をチームで共有するための評価です

FIMは、18項目×7段階でADLの介助量を整理する評価です。重要なのは、合計点だけを見ることではなく、どの項目で、どのような介助が必要かをチームで共有することです。

特に5点と6点の違い、4〜1点の介助割合、運動項目と認知項目の見方は、評価者間でブレやすい部分です。記録シートや採点根拠を活用しながら、FIMを退院支援・カンファレンス・再評価に活かしていきましょう。


参考文献

  • Keith RA, Granger CV, Hamilton BB, Sherwin FS. The Functional Independence Measure: a new tool for rehabilitation. Adv Clin Rehabil. 1987;1:6–18. PubMed
  • Ottenbacher KJ, Hsu Y, Granger CV, Fiedler RC. The reliability of the Functional Independence Measure: a quantitative review. Arch Phys Med Rehabil. 1996;77(12):1226–1232. DOI:10.1016/S0003-9993(96)90184-7 PubMed
  • Glenny C, Stolee P. Comparing the Functional Independence Measure and the interRAI/MDS for use in the functional assessment of older adults. Clin Rehabil. 2009;23(11):1010–1018. PMC

著者情報

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rehabilikun(理学療法士)

rehabilikun blog を2022年4月に開設。医療機関/介護福祉施設/訪問リハの現場経験に基づき、臨床に役立つ評価・プロトコルを発信。脳卒中・褥瘡などで講師登壇経験あり。

  • 脳卒中 認定理学療法士
  • 褥瘡・創傷ケア 認定理学療法士
  • 登録理学療法士
  • 3学会合同呼吸療法認定士
  • 福祉住環境コーディネーター2級

専門領域:脳卒中、褥瘡・創傷、呼吸リハ、栄養、シーティング、摂食・嚥下、ADL評価

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