疼痛・安全管理ハブ:強さ→生活影響→次アクション【保存版】

評価
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疼痛・安全管理ハブ|強さ→生活影響→安全を“同じ型”で回す

疼痛の評価は、強さ( NRS / VAS )だけだと「生活で何が詰まっているか」が共有しにくく、逆に生活影響だけだと「その場での負荷調整」がブレやすいです。このハブでは、①強さ → ②生活影響(生活障害 / PROM )→ ③安全管理(中止基準・循環)を 1 本の流れに固定し、忙しい現場でも再評価が “比較できるデータ” になるように整理します。

まずは最小セットを 1 つ決めて、条件を固定して回すのがコツです(安静 / 動作時 / 夜間など、どれを “定点” にするかを先に決める)。このページは索引として、必要な記事へ最短で飛べるようにしています。

評価の型(選ぶ → 条件固定 → 再評価)をチームで揃えると、疼痛対応も説明も一気にラクになります。

評価〜記録の “ 流れ ” を 3 分で確認する

※ 押さえるのは「尺度そのもの」よりも、同じ条件で繰り返せる運用です。

このハブの使い方(想定読者 / 得られること / 最短導線 3 本)
項目 内容
想定読者 整形外科 / 外来 / 回復期 / 訪問で疼痛を扱う PT・OT・ST(新人〜中堅)
得られること ① 強さ( NRS / VAS / BPI )の “ 定点 ” が決まる ② 生活影響( PDAS / 部位別 PROM )で説明が通る ③ 中止基準・循環をセットで安全に運用できる
最短導線( 3 本 ) 1)強さを固定:疼痛評価のやり方( NRS / VAS / BPI )
2)生活影響へ:PDAS(疼痛生活障害)
3)安全を揃える:中止基準(アンダーソン土肥)

最短の使い方|疼痛評価を “ 3 点セット ” にする

迷ったら、まずは ①痛み強度( NRS / VAS )②生活影響( PDAS / BPI 干渉 / 部位別 PROM )③行動・機能(歩行距離・階段・睡眠など)の 3 点セットにします。疼痛は「強さ」よりも、実務では生活で詰まっている動作が議論の中心になりやすいです。

次に “ 固定する条件 ” を決めます。例:安静 / 動作時 / 夜間のどれを定点にするか、評価のタイミング(介入前 / 直後 / 翌日)をどう揃えるか。ここが揃うだけで、再評価が一気に強くなります。

痛みの強さ|NRS・VAS・BPI を “ 迷わず固定 ”

強さの主役は NRS です。忙しい現場でも回しやすく、説明もシンプルです。微小変化を拾いたい / 研究寄りなら VAS、強さと干渉をまとめて押さえたいなら BPI が便利です。

運用を固定するなら、まずは下記のどれか 1 つに絞ってください:NRS・VAS・BPI の使い分けと手順成人・小児・認知機能に配慮した選び方

生活影響( ADL につなぐ )|PDAS・部位別 PROM で “ 詰まり ” を言語化

疼痛は、強さが下がっても生活が広がらないことがあります。そこで PDAS のような生活障害の尺度、または部位別の PROM を 1 つ足すと、退院支援や復職の議論が進みます。

まずは PDAS の使い方、運動器症例なら 運動器 PROM ハブ( NDI / LEFS / HOOS / KOOS / ODI ) から “ どれを使うか ” を決めるのが最短です。

生活影響を “ どれで押さえるか ” の早見(目的別)
目的 まず 1 つ選ぶ 次に足す(必要時) 関連リンク
慢性痛で生活障害を示す PDAS BPI 干渉 / 行動指標 PDAS・PDI・RDQ の違い【比較・使い分け】
腰痛の生活障害 RDQ か ODI を 1 つ固定 PSFS(最重要課題の追跡) 腰痛 PROM の選び方( RDQ / ODI / PSFS )
OA(膝・股)の痛みと機能 WOMAC HOOS / KOOS(部位に合わせる) WOMAC の評価方法HOOS の評価方法
下肢の生活機能(幅広く) LEFS 歩行テスト( 10 m / TUG など) LEFS の評価方法
頚部痛の生活影響 NDI 痛み強度( NRS ) NDI の評価方法

心理・行動|不安・抑うつ / 回避行動を “ 見逃さない ”

疼痛が長引くほど、不安・抑うつ・回避行動が「痛みの体験」を強めます。ここは “ 診断 ” ではなく、拾い上げ → 介入の焦点合わせ → 連携 のための情報として扱うと運用しやすいです。

最短は HADS の運用、迷う場合は PHQ-9・HADS・SRQ-D の違い【比較・使い分け】 を先に確認すると “ 施設で 1 本化 ” しやすいです。高値のときの関わり方は HADS 高値のとき PT ができる 3 つの関わり方 にまとめています。

運動器所見|ROM・ end feel ・誘発動作を揃える

可動域制限を伴う痛みは、end feel誘発動作 をそろえると原因仮説が立てやすいです。再評価は “ 同じ角度 / 同じ負荷 ” の再現性が鍵になります。

まずは end feel の見方(拘縮・痛み・ブロック)、症状別の鑑別は 整形外科的テスト一覧(部位別ハブ) から入ると最短です。

安全管理|中止基準・循環 / 自律神経を “ セットで運用 ”

疼痛が強いと運動強度が上がらず、逆に無理をすると循環・自律神経症状が出ることがあります。先に止める基準を共有すると、判断が揃います。

最短導線:中止基準(アンダーソン土肥)リハ前後の血圧チェック手順起立性低血圧:評価と対応

早見表|目的別 “ 最小セット ” を 1 つに固定

ここで “ 使うセット ” を決めてしまうと、チーム共有が崩れません。スマホでは表を左右にスクロールできます。

疼痛対応の最小セット(成人・臨床一般の目安)
場面 強さ(定点) 生活影響 行動・機能 安全
急性痛(術後・急性増悪) NRS(安静 / 動作時) BPI 干渉(必要時) 歩行距離 / 階段 / 体位変換 中止基準・血圧
慢性痛(外来・在宅) NRS(誘発動作 / 夜間) PDAS(週次〜隔週) 活動量 / 睡眠 / 価値ある活動( PSFS も可 ) 中止基準・起立性低血圧
腰痛(生活障害が中心) NRS(動作時) RDQ か ODI 座位耐久 / 仕事動作 / 歩行 神経症状・危険サイン
OA(膝・股) NRS(荷重時) WOMAC(または HOOS / KOOS ) TUG / 階段 / 6 分歩行 など 腫脹・熱感・全身所見
頚部痛 NRS(頚部運動で誘発) NDI 作業耐久 / 生活動作 神経学的徴候

記録テンプレ|カルテに残す “ 3 点セット ”

疼痛は、点数だけだと次の介入が決まりません。①スコア ②変化量( Δ )③残った生活場面を 1 行で残すと、チーム共有が一気にラクになります。

疼痛の記録(最小テンプレ:例)
時点 強さ( NRS ) 生活影響(例:PDAS / RDQ など) 残った生活場面( 1 行 )
初回 安静 2 / 動作時 7(立ち上がり) PDAS 18 外出が怖く 1 日の歩行が 200 m 未満
2 週 安静 2 / 動作時 5(同条件) PDAS 12( Δ -6 ) 買い物は可能、長時間座位で増悪が残る

現場の詰まりどころ|よくある失敗を “ 先に潰す ”

ここが揃うと、疼痛対応はかなり安定します(詰まりどころ=問題提起、詳細は FAQ で深掘りします)。

疼痛評価で詰まりやすいポイント( OK / NG 早見)
NG(起きがち) なぜ困る? OK(直し方) 記録のコツ
NRS を “ その日その場 ” で聞き方が変わる 再評価が比較できない 安静 / 動作時 / 夜間の “ 定点 ” を 1 つ決める 定点(例:立ち上がり時)を毎回 1 行で固定
強さだけで終わる 生活の詰まりが共有されない PDAS / BPI 干渉 / 部位別 PROM を 1 つ足す 「困る動作」を 1 個だけ添える
スケールを途中で変える 変化量( Δ )が死ぬ まず 4〜6 週は同じセットで追う 変更したら “ 理由 ” を 1 行残す
負荷を上げたいのに安全が曖昧 中止判断が人で揺れる 中止基準・血圧手順を先に共有 症状 + バイタルを “ セット ” で書く

よくある質問

各項目名をタップ(クリック)すると回答が開きます。もう一度タップで閉じます。

NRS は「安静」と「動作時」、どちらを記録すべきですか?

結論は、目的で 1 つを “ 定点 ” に決めて固定するのが最重要です。急性期や術後で安全と負荷調整が目的なら「動作時」を軸にし、慢性痛で睡眠や不安が絡むなら「夜間」や「誘発動作」を定点にするほうが運用しやすいです。迷ったら安静 + 代表的な誘発動作( 1 つ )の 2 点で固定してください。

痛み( NRS )が下がったのに、PDAS / RDQ が下がりません。

疼痛の軽減と生活機能の回復が同時に起きないことは珍しくありません。回避行動、活動量低下、睡眠、不安、仕事 / 家庭の負荷がボトルネックの可能性があります。スコアだけで終わらせず、「どの生活場面が残ったか」を 1 行添え、介入の焦点(運動習慣 / セルフマネジメント / 環境調整)を合わせます。関連:PDAS・PDI・RDQ の違い【比較・使い分け】

VAS と NRS はどちらが良いですか?

忙しい臨床では、まず NRS を 1 本化するのが現実的です。VAS は “ 紙・形式 ” による誤差が出やすいので、使うなら同じ用紙で継続し、測定( mm )まで固定できると強みが出ます。運用の固定は 疼痛評価のやり方( NRS / VAS / BPI ) を参照してください。

疼痛が強い日に、運動をどこまでやって良いか迷います。

まず中止基準をチームで揃え、症状とバイタルをセットで見ます。次に “ その日やる最低ライン ” を決め、低強度・分割・休息を前提に負荷を調整します。関連:中止基準(アンダーソン土肥)血圧チェック手順

心理面(不安・抑うつ)をどう扱えばいいですか?

心理面は “ 診断 ” ではなく、見逃さないための拾い上げとして運用すると扱いやすいです。高値なら「見通し設計」「負荷設定」「連携」の 3 点に分けて介入可能な形に落とします。関連:HADS の運用HADS 高値のときの関わり方

次の一手(関連リンク)

疼痛は “ 単体で閉じず ”、評価設計・運動器 PROM・安全管理のハブとつないでおくと回遊と運用が安定します。

運用を整える → 共有の型を作る → 環境の詰まりも点検(無料チェックシート)

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参考文献

  • Farrar JT, et al. Clinical importance of changes in chronic pain intensity measured on an 11-point numerical pain rating scale. Pain. 2001;94(2):149-158. DOI: 10.1016/S0304-3959(01)00349-9(PubMed)
  • Dworkin RH, et al. Core outcome measures for chronic pain clinical trials: IMMPACT recommendations. Pain. 2005;113(1-2):9-19. DOI: 10.1016/j.pain.2004.09.012(PubMed)
  • Cleeland CS, Ryan KM. Pain assessment: global use of the Brief Pain Inventory. Ann Acad Med Singap. 1994;23(2):129-138. PubMed
  • Pain Disability Assessment Scale(PDAS)原著(日本語). DOI: 10.24468/jjbt.23.1_7

著者情報

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rehabilikun(理学療法士)

rehabilikun blog を 2022 年 4 月に開設。医療機関/介護福祉施設/訪問リハの現場経験に基づき、臨床に役立つ評価・プロトコルを発信。脳卒中・褥瘡などで講師登壇経験あり。

  • 脳卒中 認定理学療法士
  • 褥瘡・創傷ケア 認定理学療法士
  • 登録理学療法士
  • 3 学会合同呼吸療法認定士
  • 福祉住環境コーディネーター 2 級

専門領域:脳卒中、褥瘡・創傷、呼吸リハ、栄養(リハ栄養)、シーティング、摂食・嚥下

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