認知症ケア加算×身体拘束最小化|令和 8 改定の実装ポイント
本記事は、認知症ケア加算の要件を網羅するページではなく、身体拘束最小化を現場運用へ落とす実装記事です。制度の暗記よりも、当日判断・記録・再評価の流れを先に固定すると、改定後の手戻りを減らせます。
加算区分や届出様式の確認は既存記事へ分離し、このページでは「どの場面で何を残すか」に絞って整理します。先に全体像を確認したい方は 身体拘束最小化の親記事 から読むと流れがつながります。
早見( 3 行フロー )
迷ったら「対象判定 → 当日記録 → 再評価」の順で回すと、現場の判断が揃います。
| 段階 | 現場で決めること | 記録で残すこと |
|---|---|---|
| 1. 対象判定 | 危険行動の内容、代替手段の実施可否、介入優先順位 | 判断理由を 1 行で明記(誰が見ても同じ解釈) |
| 2. 当日記録 | 開始時刻、観察項目、解除トライ条件 | 実施理由・観察・共有先を時系列で残す |
| 3. 再評価 | 継続/解除の判断、次回評価時点 | 継続理由または解除根拠を簡潔に記録 |
今回の実装ポイント(先にここだけ)
詰まりやすいのは、制度理解より「当日の運用」です。まずは、判断の言葉と記録の型を固定してください。
| 論点 | 現場で起きやすい詰まり | 先に揃える最小対策 |
|---|---|---|
| 対象判定 | 担当者で判断基準がズレる | 対象の優先順位と除外条件を短文で統一 |
| 当日記録 | 理由が抽象的で説明できない | 実施理由・代替手段・経過を時系列テンプレで残す |
| 再評価 | 継続判断が惰性になりやすい | 再評価トリガー(時間・症状・環境変化)を事前設定 |
実装手順(病棟運用で止まらない型)
身体拘束最小化は、担当者個人の工夫に依存すると続きません。病棟で回るように、判定・記録・共有を同じ順番で実施します。
制度の基本区分を確認したい場合は、既存の 認知症ケア加算 1 / 2 / 3 の違い(比較) へ進み、区分確認後に本ページへ戻る運用にすると迷いが減ります。
当日記録の OK / NG 比較
| 場面 | NG 記録(曖昧) | OK 記録(説明可能) |
|---|---|---|
| 実施理由 | 不穏のため実施 | 離床時に転倒高リスク行動あり。代替手段 A / B 実施も危険行動継続のため一時的に実施 |
| 経過観察 | 経過観察中 | 30 分ごとに表情・体動・拒否の有無を確認。17:30 に落ち着き、解除トライ実施 |
| 再評価 | 継続 | 解除トライ後に再び危険行動が出現。19:00 に再評価し、夜間は短時間継続し 21:00 再判定 |
再評価トリガーの設計
| トリガー | 判断の目安 | 記録ポイント |
|---|---|---|
| 時間経過 | 一定時間ごとに解除可否を確認 | 評価時刻と判断理由を必ずセットで残す |
| 症状変化 | 不穏・痛み・眠気・せん妄徴候の変動 | 変化前後で観察項目を比較して記録 |
| 環境変化 | 人員配置、家族同席、時間帯の変化 | 環境調整で代替手段が成立したかを記録 |
現場の詰まりどころ/よくある失敗
よくある失敗は「制度は理解しているのに、運用が揃っていない」ことです。下の 3 点を先に直すと、説明と監査対応が楽になります。
よくある失敗(先に直す 3 つ)
| 失敗 | なぜ起きる? | 修正ポイント |
|---|---|---|
| 判定が人でブレる | 対象条件が文章化されていない | 対象優先順位と除外条件を 1 枚で共有 |
| 記録が抽象的 | 時系列で残す運用になっていない | 理由・経過・再評価を 1 セットで記録 |
| 再評価が遅れる | トリガー設定が曖昧 | 時間・症状・環境変化の 3 トリガーを固定 |
確定前に揃える 5 分チェック
- 対象判定を 1 行で説明できる
- 当日記録の必須項目(理由・時刻・観察・再評価)が揃っている
- 再評価トリガーを病棟で共有している
- 引き継ぎ文(次担当が迷わない 1 行)がある
- 記録の置き場所が固定されている
よくある質問(FAQ)
各項目名をタップ(クリック)すると回答が開きます。もう一度タップで閉じます。
Q1. 既存の「認知症ケア加算 1 / 2 / 3 比較」記事と何が違いますか?
比較記事は制度区分の理解が中心です。本記事は、身体拘束最小化を当日運用へ落とす実装手順に限定しています。制度確認は比較記事、運用は本記事、という使い分けがおすすめです。
Q2. 先に整えるべきは点数確認ですか、記録運用ですか?
まずは記録運用です。点数は後から追記できますが、判定・記録・再評価の型がないと運用が止まりやすく、説明の一貫性が崩れます。
Q3. 当日記録で最低限必要な項目は?
実施理由、代替手段の検討、開始時刻、観察項目、再評価時刻、継続/解除判断の根拠です。時系列で残すと引き継ぎが安定します。
Q4. 再評価の頻度はどう決めればよいですか?
固定間隔だけでなく、症状変化や環境変化をトリガーに前倒しする設計が有効です。時間・症状・環境の 3 軸で運用ルールを決めると再現性が上がります。
次の一手
- 運用を整える:身体拘束最小化の親記事(全体像)
- 共有の型を作る:認知症ケア加算 1 / 2 / 3 の違い(制度整理)
参考資料(一次情報)
著者情報
rehabilikun(理学療法士)
rehabilikun blog を 2022 年 4 月に開設。医療機関/介護福祉施設/訪問リハの現場経験に基づき、臨床に役立つ評価・プロトコルを発信。脳卒中・褥瘡などで講師登壇経験あり。
- 脳卒中 認定理学療法士
- 褥瘡・創傷ケア 認定理学療法士
- 登録理学療法士
- 3 学会合同呼吸療法認定士
- 福祉住環境コーディネーター 2 級
専門領域:脳卒中、褥瘡・創傷、呼吸リハ、栄養(リハ栄養)、シーティング、摂食・嚥下


