理学療法のカルテ記載例|まずは3パターン
理学療法のカルテ記載では、介入目的だけでなく、実際に観察した所見、患者の反応、前回からの変化を簡潔に残すことが重要です。しかし、日々の診療では「著変なし」「ROM訓練実施」など、同じ表現を繰り返してしまうこともあります。
本記事では、廃用予防、呼吸管理、離床支援、褥瘡予防、筋緊張管理、ADL練習など、18種類の臨床場面に対応したカルテ記載例を紹介します。各例文には確認ポイントを設け、実際の患者状態に合わせて修正する方法も解説します。
結論:診療記録では「何を目的に介入したか」「何を観察したか」「患者がどう反応したか」を区別して記載します。テンプレートは文章作成の補助として使用し、確認していない所見や実施していない内容は記録しません。
① 廃用予防・関節可動域維持
カルテ記載例
両下肢の関節可動域運動を実施。右膝関節伸展時に軽度の抵抗を認めるが、前回と比較して可動域に明らかな変化なし。運動中に疼痛の訴えなく、予定した範囲で実施可能であった。
② 離床支援・活動性維持
カルテ記載例
ベッド上から端座位への移行練習を実施。起き上がり時に体幹支持の介助を要するが、端座位保持は見守り下で可能。離床中にめまいや気分不良の訴えなく、予定した練習を実施できた。
③ 疼痛・苦痛への対応
カルテ記載例
体位変換時に腰部痛の訴えあり。体幹および骨盤部の支持位置を調整したところ、疼痛の訴えは軽減。調整後は苦痛の増悪なく体位変換を実施できた。
使用時の注意:上記はすべて架空の記載例です。実際の診療記録に使用する際は、当日の観察結果、介助量、症状、実施内容に合わせて修正してください。
理学療法のカルテ記載例18選|場面別一覧
18種類の記載例を、身体機能、呼吸・循環、疼痛・安全管理、患者の状態、特徴的な臨床場面に分類しました。必要な項目を選択すると、該当する記載例へ移動できます。
以下では、各場面について「介入目的」「カルテ記載例」「確認ポイント」を紹介します。例文は架空の臨床場面を想定したものであり、実際の患者にそのまま適用できることを保証するものではありません。
身体機能・活動性に関するカルテ記載例
身体機能に関する記録では、対象部位、運動内容、介助量、患者の反応を明確にします。前回との比較を記載する場合は、評価条件の違いにも注意が必要です。
① 廃用予防・身体機能維持
介入目的:廃用予防・進行抑制、関節可動域の維持・改善
カルテ記載例
両下肢の関節可動域運動を実施。右膝関節伸展時に軽度の抵抗を認めるが、前回と比較して可動域に明らかな変化なし。運動中に疼痛の訴えなく、予定した範囲で実施可能であった。
確認ポイント
- 対象関節と運動方向
- 関節可動域制限の程度
- 他動運動時の抵抗や疼痛反応
- 前回との比較
関節可動域を測定した場合は、必要に応じて測定値を残します。意思疎通が困難な患者では、疼痛の訴えがないことだけで疼痛が存在しないと判断せず、表情や逃避反応なども確認します。
③ 離床支援・活動性維持
介入目的:離床促進・活動性維持
カルテ記載例
ベッド上から端座位への移行練習を実施。起き上がり時に体幹支持の介助を要するが、端座位保持は見守り下で可能。離床中にめまいや気分不良の訴えなく、予定した練習を実施できた。
確認ポイント
- 離床姿勢と保持時間
- 起き上がりや姿勢保持に必要な介助量
- めまい、気分不良、疲労などの反応
- 前回と比較した活動量
離床中に症状が出現した場合は、症状の内容、出現場面、対応、対応後の変化を記録します。必要に応じて循環動態や呼吸状態などの評価結果も残します。
⑥ 筋緊張管理・関節可動域維持
介入目的:筋緊張の調整、関節可動域の維持・改善
カルテ記載例
右上肢の他動運動時に肘関節周囲の抵抗を認める。運動範囲は前回と比較して明らかな変化なく、疼痛反応に留意しながら関節運動を実施。介入中に苦痛の訴えなく、予定した範囲で実施できた。
確認ポイント
- 抵抗を認める関節と運動方向
- 運動速度や肢位による抵抗の変化
- 関節可動域制限の有無
- 疼痛や苦痛の反応
他動運動時の抵抗には、痙縮、軟部組織の短縮、疼痛など複数の要因が関係します。抵抗を認めたことだけで原因を断定しないようにします。
⑦ ADL動作能力の維持・改善
介入目的:ADL動作能力の維持・改善
カルテ記載例
端座位での整容動作練習を実施。姿勢保持は見守り下で可能だが、整容用具の操作には一部介助を要する。前回と比較して介助量に明らかな変化なく、予定した動作練習を実施できた。
確認ポイント
- 練習したADL動作
- 実施時の姿勢
- 介助が必要な動作過程
- 動作の自立度と安全性
ADLの記録では、「一部介助」といった介助量だけでなく、どの動作に介助が必要だったのかを明確にすると、他職種との情報共有に役立ちます。
⑩ 基本動作能力の維持・改善
介入目的:基本動作能力の維持・改善
カルテ記載例
寝返り動作練習を実施。体幹回旋および骨盤の移動に介助を要するが、口頭指示に応じた上肢の運動参加を認めた。前回と比較して介助量に明らかな変化なく、残存機能を活用した動作練習を継続した。
確認ポイント
- 実施した基本動作
- 介助が必要な動作過程
- 患者自身の運動参加
- 口頭指示への反応
寝返りや起き上がりなどの基本動作では、動作全体の介助量だけでなく、患者が参加できた動作要素を記録します。
呼吸・循環・皮膚管理に関するカルテ記載例
呼吸状態、浮腫、皮膚状態の記録では、介入前の状態と介入後の反応を区別します。介入を実施した事実と、機能改善などの効果を確認したことは同じではありません。
② 呼吸機能維持・呼吸器合併症予防
介入目的:呼吸機能の維持・改善、呼吸器合併症の予防
カルテ記載例
安静時に著明な呼吸努力を認めず、呼吸状態は前回と比較して明らかな変化なし。体位調整および胸郭運動を実施。介入中に呼吸苦の訴えや呼吸状態の明らかな悪化を認めなかった。
確認ポイント
- 呼吸数と呼吸パターン
- 呼吸努力や呼吸苦の有無
- 必要に応じたSpO2などの評価
- 体位調整や運動前後の変化
呼吸状態の評価では、患者の基礎疾患や酸素療法の状況も考慮します。胸郭運動を実施したことだけを根拠に、呼吸機能が改善したと判断しないようにします。
④ 皮膚状態の観察・褥瘡予防
介入目的:褥瘡予防・皮膚の保護
カルテ記載例
仙骨部および両踵部の皮膚状態を観察。皮膚乾燥を認めるが、観察範囲に明らかな発赤や皮膚損傷なし。クッションによる支持位置を調整し、局所への圧迫軽減に配慮した。
確認ポイント
- 観察した部位と範囲
- 発赤、皮膚損傷、乾燥などの所見
- 圧迫やずれが生じやすい部位
- 体位調整後の支持状態
観察していない部位まで含めて「皮膚異常なし」と記載しないようにします。発赤や皮膚損傷を認めた場合は、施設の手順に従って情報共有します。
⑤ 浮腫管理・循環状態の観察
介入目的:浮腫の軽減・増悪予防
カルテ記載例
両下腿に浮腫を認めるが、前回と比較して明らかな増悪なし。足関節の自動運動を実施し、運動中に疼痛や気分不良の訴えなし。浮腫の程度について継続して観察する。
確認ポイント
- 浮腫の部位と左右差
- 圧痕の有無や程度
- 皮膚状態と疼痛の有無
- 前回との比較
浮腫の原因が不明な場合や、急激な増悪、疼痛、熱感、呼吸苦などを認める場合は、通常の運動を継続する前に状態を確認し、必要に応じて医師・看護師へ報告します。
疼痛・姿勢・安全管理に関するカルテ記載例
疼痛や安全管理に関する記録では、症状が出現した場面、実施した対応、対応後の変化を明確にします。次回の介入条件や介助方法を判断できる内容を意識します。
⑧ 疼痛・苦痛の軽減
介入目的:疼痛・苦痛の軽減
カルテ記載例
体位変換時に腰部痛の訴えあり。体幹および骨盤部の支持位置を調整したところ、疼痛の訴えは軽減。調整後は苦痛の増悪なく体位変換を実施できた。
確認ポイント
- 疼痛の部位と出現場面
- 疼痛の程度と性質
- 増悪・軽減する条件
- 対応後の患者反応
疼痛の程度を数値で確認できる場合は、使用した評価方法と結果を記載します。新たな強い疼痛や神経症状を認めた場合は、原因の確認と適切な報告を優先します。
⑨ 姿勢管理・安楽保持
介入目的:姿勢管理・安楽保持
カルテ記載例
背臥位で体幹の右側屈および骨盤の傾斜を認める。クッションによる体幹・骨盤部の支持位置を調整。調整後は姿勢の偏りが軽減し、明らかな苦痛表情や疼痛反応を認めなかった。
確認ポイント
- 調整前の姿勢とアライメント
- 使用した支持物と配置
- 調整後の姿勢
- 疼痛、圧迫、苦痛の反応
姿勢管理では、調整した事実だけでなく、調整後の支持状態や患者の反応を確認します。
⑪ 転倒・転落リスクの低減
介入目的:転倒・転落リスクの低減
カルテ記載例
支持物を使用した立位保持練習を実施。静止立位では軽度の姿勢動揺を認めるが、見守り下で保持可能。方向転換時には動揺が増大するため、介助者が近接した状態で練習を実施した。
確認ポイント
- 立位保持の条件
- 支持物の使用状況
- 姿勢動揺が生じる場面
- 必要な介助量と安全確保方法
「転倒リスクあり」だけで終わらせず、どの動作条件で不安定になるのかを記録します。
⑫ 介助方法の調整・介助負担軽減
介入目的:介助負担の軽減、安全な介助方法の検討
カルテ記載例
体位変換は全介助を要する。四肢の関節可動域制限および他動運動時の抵抗に留意し、体幹・骨盤部の支持方法を調整。無理な関節運動を避けながら体位変換を実施した。
確認ポイント
- 必要な介助人数と介助量
- 関節可動域制限や筋緊張の影響
- 変更した介助方法
- 介助中の患者反応
介助負担の軽減を目的とした場合でも、実際に負担が軽減したかどうかは別に評価します。
患者の状態に応じた補助記録
覚醒状態、全身状態、疲労などは、当日の介入条件を判断するうえで重要です。以下の3例は、主たる介入記録を補足する文章として使用できます。
⑬ 覚醒状態に著変がない日
使用場面:覚醒状態を確認しながら介入した日
カルテ記載例
介入開始時より開眼しており、呼名に対する視線反応を認める。介入中も覚醒状態に明らかな変化なく、口頭指示に応じた上肢運動が可能であった。
確認ポイント
- 開眼状態
- 呼名や刺激への反応
- 指示理解の状況
- 介入中の覚醒状態の変化
覚醒状態に変化がある場合は、普段の状態との違い、出現時刻、介入への影響などを記録します。
⑭ 全身状態に著変がない日
使用場面:当日の全身状態を確認して介入した日
カルテ記載例
介入開始時に気分不良や疼痛の訴えなし。予定した関節運動および基本動作練習を実施し、介入中も新たな苦痛の訴えを認めなかった。実施後の自覚症状にも明らかな変化なし。
確認ポイント
- 介入前の症状
- 当日の状態と前回との違い
- 運動中の患者反応
- 介入後の状態
「全身状態に著変なし」と記載する場合も、実際に確認した内容を明確にします。バイタルサインの測定が必要な場面では、施設の基準や患者の状態に応じて評価します。
⑮ 疲労に配慮した日
使用場面:運動中に疲労が出現し、負荷を調整した日
カルテ記載例
端座位での運動中に疲労の訴えあり。休息を挟むことで疲労感は軽減したため、運動負荷を調整して介入を継続。再開後に疲労の著明な増悪は認めなかった。
確認ポイント
- 疲労が出現した運動や場面
- 疲労の程度
- 休息や負荷調整の内容
- 休息後の反応
通常と異なる強い疲労や呼吸苦、胸部症状などを伴う場合は、運動継続の可否を慎重に判断します。
特徴的な臨床場面のカルテ記載例
特徴的な肢位、浮腫と皮膚状態の併存、機器を使用した介入などでは、観察事実と解釈を分けて記録します。
⑯ 異常筋緊張・上肢の異常肢位
介入目的:筋緊張の調整、関節可動域の維持・改善
カルテ記載例
右上肢は肩関節伸展・内転、肘関節伸展、前腕回内、手関節掌屈位を呈する。他動運動時には肘関節周囲に抵抗を認める。筋緊張の特徴については、運動速度や肢位による変化を含めて評価を継続する。
確認ポイント
- 各関節の肢位
- 他動運動時の抵抗
- 運動速度による抵抗の変化
- 随意運動の有無
- 関節拘縮や疼痛の影響
特徴的な肢位を認めることと、各筋群の筋緊張亢進を確認したことは同じではありません。姿勢の観察結果だけで共同運動パターンや筋緊張異常の原因を断定しないようにします。
⑰ 浮腫・皮膚乾燥
介入目的:浮腫の軽減・増悪予防、皮膚状態の観察・保護
カルテ記載例
両下腿に浮腫および皮膚乾燥を認める。観察範囲に明らかな皮膚損傷なし。浮腫の増悪に留意しながら足関節運動を実施し、運動中に疼痛や皮膚状態の明らかな悪化を認めなかった。
確認ポイント
- 浮腫の部位と程度
- 皮膚乾燥を認める部位
- 皮膚損傷の有無
- 運動中・運動後の反応
⑤は浮腫そのものの観察を中心とした記載例です。一方、⑰は浮腫と皮膚乾燥が併存する場面を想定しています。浮腫に対する運動を実施しただけでは、浮腫が軽減したとは判断できません。
⑱ COGYを使用した片麻痺患者への介入
介入目的:身体機能の維持・改善、活動性の維持・向上、心理・社会的活動の促進
カルテ記載例
COGYを使用した下肢ペダリング練習を実施。ペダリングに伴う両下肢の運動を認め、実施中に明らかな苦痛の訴えなし。他者との交流場面では自発的な発言がみられ、予定した活動に参加できた。
確認ポイント
- 使用機器と実施した運動
- 麻痺側下肢の運動状況
- 随意的な運動参加の有無
- 必要な介助や安全管理
- 他者との交流が実際に生じたか
ペダリングに伴う下肢運動を認めたことと、麻痺側下肢の随意的な運動参加を確認したことは区別します。また、他者との交流や心理・社会的な反応は、実際に観察できた場合に限って記載します。
理学療法のカルテ記載で押さえたい基本項目
理学療法の診療記録では、実施した内容だけでなく、介入の根拠や患者の反応、状態の変化を把握できることが重要です。
記録項目は施設の電子カルテや診療体制によって異なりますが、「介入目的→実施内容→所見・反応→比較・方針」の4ステップで整理すると、日々の記録を組み立てやすくなります。

図の4ステップは、記録を分かりやすく整理するための実務上の考え方です。診療報酬上の必須記載様式を示すものではありません。また、実施内容が電子カルテの専用欄に記録されている場合は、同じ文章を自由記載欄へ繰り返すことが目的ではありません。
カルテ記載で確認したい6項目
| 項目 | 記載内容 |
|---|---|
| 介入目的 | 何を維持・改善・予防するための介入か |
| 患者の状態 | 疼痛、覚醒、呼吸、姿勢、筋緊張など |
| 実施内容 | 実施した運動、練習、介助方法など |
| 患者の反応 | 症状、運動参加、疲労、苦痛、安全面など |
| 前回との比較 | 改善、悪化、変化なし、比較不能など |
| 今後の方針 | 継続する内容、再評価項目、注意点など |
これらは毎回すべてを文章にするためのチェックリストではありません。当日の患者状態や介入内容に応じて、必要な情報を選択します。
実施内容が専用欄に記録される場合
電子カルテによっては、実施時刻や実施内容が専用欄に記録される場合があります。その場合、所見・反応欄には、患者の状態、介入中の反応、前回との変化、次回への注意点などを中心に記載すると、重複入力を減らせます。
ただし、施設の記録様式や診療報酬上の要件を満たすことが前提です。必要な項目を省略してよいという意味ではありません。
診療記録全体で必要な項目や令和8年度の記録要件については、リハビリのカルテの書き方|必要な記録と記載例で詳しく解説しています。
曖昧なカルテ記載を具体化する改善例
「著変なし」「問題なし」などの表現が必ずしも不適切なわけではありません。ただし、比較対象や観察内容が不明確な場合は、第三者が患者の状態を把握しにくくなります。
| 曖昧な記載 | 具体化した記載例 |
|---|---|
| ROM著変なし | 右膝関節屈曲可動域は前回測定時と同程度。他動運動時に疼痛の訴えなし。 |
| 問題なく実施 | 端座位保持を実施。見守り下で姿勢保持可能であり、実施中に気分不良の訴えなし。 |
| 筋緊張亢進あり | 右肘関節の他動屈曲時に抵抗を認める。運動速度による変化について評価を継続する。 |
| 疼痛なし | 寝返り動作時に疼痛の訴えなく、動作中に明らかな苦痛表情を認めなかった。 |
| 離床実施 | ベッド上から端座位へ移行。起き上がり時に体幹支持の介助を要するが、端座位保持は見守りで可能。 |
| 状態安定 | 介入中に呼吸苦や気分不良の訴えなく、予定した運動を実施できた。 |
表中の改善例も架空の所見です。実際に確認できた内容に置き換えて使用してください。
「著変なし」を使用してよい場面
前回と同じ条件で評価し、明らかな変化が認められなかった場合は、「著変なし」という表現を使用することもあります。
ただし、何を比較したのかが不明確にならないようにします。例えば「関節可動域に著変なし」とする場合は、対象関節や運動方向を示すと、より具体的な記録になります。
介入目的と効果を区別する
「浮腫軽減を目的に運動を実施した」という記載は介入目的を示しています。一方、「浮腫が軽減した」という記載には、実際の評価結果が必要です。
関節可動域、筋緊張、呼吸機能、疼痛などについても、介入を実施した事実だけで効果を断定しないようにします。
カルテ記載テンプレートを使用するときの注意点
テンプレートは、診療記録の文章を考えるための補助資料です。患者の状態を確認せずに文章を転記することは避けてください。
確認していない所見は記載しない
例文に「疼痛なし」「皮膚損傷なし」「呼吸状態に著変なし」と書かれていても、当日に確認していない場合は使用しません。
観察した部位や確認方法を明確にし、確認できた範囲で記録します。
患者の反応と評価者の解釈を区別する
例えば、「他動運動時に抵抗を認めた」は観察した所見です。一方、「痙縮による抵抗である」は評価に基づく解釈です。
解釈を記載する場合は、根拠となる評価結果を明確にします。
前回と比較できない場合は無理に比較しない
前回の評価条件が異なる場合や比較対象となる記録がない場合は、「著変なし」と記載するのではなく、当日に確認した所見を中心に記録します。
異常所見や中止判断を省略しない
介入中に新たな症状や状態の悪化を認めた場合は、テンプレートよりも実際の経過を優先します。
症状が出現した場面、確認した所見、介入の中断・中止、実施した対応、報告先などを施設の手順に従って記録します。
施設の記録様式と運用を優先する
電子カルテの入力項目、記録の承認手順、診療報酬上の要件などは施設によって異なります。本記事の例文は、これらの要件を満たすことを保証するものではありません。
実際の診療記録では、所属施設の規程と対象となる診療報酬の要件を確認してください。
次の一手|普段のカルテ記載を1件見直す
まずは普段のカルテ記載を1件振り返り、「介入目的」「観察した所見」「患者の反応」が読み取れるか確認してみましょう。
文章を長くすることが目的ではありません。必要な情報を簡潔に残し、次回の介入や他職種との情報共有につなげることが重要です。
次の段階では、リハビリ診療記録の書き方|目的の決め方と記録例を参考に、計画書の目標と日々の記録がつながっているか確認してみてください。
診療記録に必要な項目や電子カルテでの記録方法を整理したい場合は、リハビリのカルテの書き方|PT・OT・ST向け診療記録の基本も参考になります。
参考文献
- 藤田聡美,高橋博愛,石松元太郎,ほか.連載第2回 理学療法診療記録の記載方法.理学療法学.2012;39(3):200-205.論文ページ
- 日本理学療法士協会.理学療法士業務指針.2022.公式PDF
- World Physiotherapy.Policy statement: Physiotherapy documentation and records management.公式ページ
- World Physiotherapy.Guideline: Physiotherapy documentation and records management.公式ページ
著者情報
rehabilikun|理学療法士
臨床現場での理学療法経験をもとに、新人から中堅のPT・OT・STに向けて、評価、疾患別リハビリテーション、臨床手技、制度・実務に関する情報を発信しています。
本記事では、日常の診療記録で使用する文章を具体例として整理し、観察事実と評価・解釈の区別、患者ごとの状態に合わせた記録の作成を重視しています。
保有資格
- 脳卒中認定理学療法士
- 褥瘡・創傷ケア認定理学療法士
- 登録理学療法士
- 3学会合同呼吸療法認定士
- 福祉住環境コーディネーター2級
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