ブレーデンスコアで褥瘡予防|最優先1手の5分フロー【PDF付き】

臨床手技・プロトコル
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Braden スコアを見たら、合計点だけでなく「何が低いか」から最優先 1 手を決める

Braden Scale は、合計点が低いほど褥瘡リスクが高いことを示します。ただし、同じ合計点でも「湿潤が低い人」「可動性が低い人」「摩擦・ずれが低い人」では、優先する予防策は同じではありません。本記事では、Braden スコアを付けたあとに、低い下位項目と皮膚・踵・医療機器圧、状態変化を確認し、「今日の最優先 1 手」と再評価条件まで決める流れを整理します。

褥瘡予防の全体像は 褥瘡予防 × PT の基本フロー にまとめています。本記事では、評価後の意思決定に絞って解説します。

結論は「合計点だけでケアを固定しない」ことです。まず合計点から現在のリスクを把握し、次に低い下位項目を確認します。そのうえで、皮膚・踵・医療機器圧、支持面、状態変化を重ねて、最初に動かす対策を決めます。

Braden評価後に低い下位項目、皮膚・踵・医療機器圧、状態変化を確認して最優先介入を決める5分フロー
Braden の合計点を入口に、低い下位項目と局所所見、状態変化から「今日の最優先 1 手」を決める流れです。

5 分フロー記録シート(PDF)

Braden の合計点だけで終わらず、状態変化、皮膚・踵・医療機器圧、支持面、栄養まで確認して、「今日の最優先 1 手」と再評価条件を残せる A4 記録シートです。カンファレンスや申し送りで、評価から介入までを同じ順番で共有したいときに使用できます。

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Braden 評価後の 5 分フロー|最優先介入をどう決めるか

Braden の合計点はリスクの入口として使い、介入内容は「低い下位項目」と個別所見から決めます。合計点だけを見て、特定のマットレス、体位変換方法、再評価間隔まで一律に決定しないことが重要です。

Braden 評価後に最優先介入を決める 5 分フロー
手順 確認すること 次の判断
1.合計点 現在のリスクの高さと、前回からの変化を確認します。 点数が低い、または前回より低下していれば、予防計画全体を再点検します。
2.下位項目 知覚の認知、湿潤、活動性、可動性、栄養状態、摩擦・ずれのうち、どこがリスクを押し上げているか確認します。 低い項目に対応する介入を優先候補にします。
3.局所所見 皮膚・軟部組織、踵、骨突出部、医療機器との接触部、ずれを確認します。 異常があれば、合計点にかかわらず局所の除圧と原因修正を優先します。
4.状態変化 手術、鎮静、発熱、下痢、失禁・発汗、循環状態、活動性低下、摂取量低下などを確認します。 新しいリスクが加わった場合は、その時点で予防計画を見直します。
5.最優先 1 手 体位変換・動作支援、支持面、微気候、踵・医療機器圧、栄養のどこを最初に修正するか決めます。 「何をするか」「いつ確認するか」「何が起きたら前倒しするか」を記録します。

たとえば同じ 14 点でも、可動性が低く自力で除圧できない人では体位変換や支持面が優先されやすく、湿潤が低い人では失禁・発汗への対応が重要になります。合計点は同じでも、低い下位項目と個別所見によって最優先 1 手は変わると考えると、評価をケアへつなげやすくなります。

Braden スコア帯は「介入を固定する表」ではなくリスクを捉える入口にする

Braden Scale は 6〜23 点で、合計点が低いほど褥瘡発生リスクが高くなります。一方、カットオフ値は対象やケア環境によって異なるため、特定の点数帯だけから予防策を自動的に決めるのではなく、下位項目とその他のリスク因子を合わせて判断します。

Braden スコアを介入へつなげるときの確認ポイント
確認 見るポイント 避けたい判断
合計点 リスクの高さと前回からの変化を把握します。 「この点数ならこの介入」と合計点だけで固定する。
下位項目 どの項目が低く、現在のリスクを作っているか確認します。 合計点だけを記録し、下位項目をケアへ反映しない。
局所所見 骨突出部、踵、医療機器接触部などの皮膚・軟部組織を確認します。 合計点が高いことを理由に局所所見を軽視する。
状態変化 活動性、循環、湿潤、摂取量、治療内容などの変化を確認します。 前回の評価結果をそのまま継続する。

AHRQ でも、総合点がリスクなしを示していても、湿潤や摩擦・ずれなど個別の下位項目に問題があれば、そのリスクに対応したケア計画が必要とされています。「合計点を見る → 下位項目を見る → 個別リスクへ介入する」までをセットにして運用します。

Braden 活用で迷いやすい 3 つの境界

Braden 活用で詰まりやすいのは、点数を付ける場面より「その後に何を変えるか」を決める場面です。特に、合計点と実際の局所所見が一致しない場面では、点数だけに引っ張られないことが重要です。

Braden 活用で迷いやすい場面と最初の対応
迷う場面 判断ポイント まず行うこと
同じ合計点なのに状態が違う 合計点ではなく、どの下位項目が低いかを比較します。 現在のリスク因子に対応する介入を 1 つ選びます。
体位変換をしているのに発赤が残る 回数だけでなく、骨突出部への圧、前滑り、ずれ、支持面を確認します。 皮膚反応と体位の質、支持面を再評価します。
Braden は高いのに局所所見がある 皮膚・軟部組織の異常は、合計点だけで否定できません。 その部位への圧・ずれ・医療機器接触などを確認します。

最優先介入を選ぶ 5 つの視点

評価後は、体位変換・動作支援、支持面、微気候、踵・医療機器圧、栄養の 5 領域から、現在のリスク因子に対応するものを優先します。すべてを同じ強さで追加するのではなく、「今もっとも修正すべきリスクは何か」を先に決めます。

1)体位変換・動作支援|時間だけでなく除圧できているかを見る

自力で十分に体位を変えられない人では、使用している支持面だけに頼らず、体位変換を予防計画へ組み込みます。現行の International Guideline では、適切な圧再分配支持面を使用している多くのリスク者について 2 時間または 3 時間間隔の体位変換が選択肢として示されていますが、推奨は条件付きで、根拠の確実性は非常に低いとされています。

そのため、Braden の点数帯ごとに体位変換間隔を固定するのではなく、活動性・可動性、自力での体位変換能力、皮膚・組織の耐容性、全身状態、快適性、睡眠、目標、使用している支持面などを合わせて調整します。皮膚に早期の変化があれば、より頻回な体位変換や患部を避けたポジショニングを検討します。

側臥位では、褥瘡リスク者に対する 30° 側臥位が選択肢として示されています。ただし、体格や疼痛、呼吸状態などによって適切な角度は異なるため、仙骨と大転子を十分に除圧できているかを確認して個別化します。

2)支持面|合計点だけでマットレスの種類を決めない

褥瘡リスクがある人では、圧再分配機能を持つ支持面を使用することが基本です。現行の International Guideline では、リスク者に対する圧再分配フォームの全身支持面が推奨されています。

一方、低エア損失や交互圧など、さらにどの支持面を選ぶかは Braden 合計点だけでは決めません。可動性、皮膚・軟部組織の状態、微気候、既存の褥瘡、体格、本人の快適性、ケア環境、製品の性能特性などを確認します。

座位時間が長い場合はベッドだけで完結させず、車椅子や椅子での姿勢、クッション、足部支持、前滑りなども合わせて確認します。

3)微気候|湿潤が低いなら原因を先に特定する

Braden の「湿潤」が低い場合は、失禁、発汗、排泄物への曝露など、皮膚が湿潤する原因を確認します。過剰な湿潤は皮膚を傷害に弱くし、圧やずれによる影響を受けやすくするため、吸収体交換、皮膚の清潔保持、皮膚保護、寝具・衣類の調整などを組み合わせます。

湿ったパッドや寝具のしわが残っていないかも確認し、微気候への対応と同時に摩擦・ずれを増やす要因を減らします。

4)踵・医療機器圧|Braden 合計点とは別に局所を確認する

踵の褥瘡リスクがある人では、踵が支持面へ接触しない状態を作ることが重要です。枕やポジショニング用品を使用する場合は踵だけを持ち上げるのではなく、下腿に広く荷重を分散し、アキレス腱部や膝窩、腓骨神経などへ新たな圧を作らないようにします。

NIV マスク、チューブ、固定具、装具、ギプスなどを使用している場合は、機器の下や周囲の皮膚・軟部組織も確認します。医療機器関連褥瘡は機器そのものの形状や固定状態、皮膚との接触面、熱・湿潤などの影響も受けるため、位置や固定方法を見直し、可能な範囲で圧を軽減します。

5)栄養|Braden の栄養項目だけで完結させない

Braden の栄養項目が低い場合や、食事量低下、体重減少などがみられる場合は、栄養リスクを別途評価します。必要に応じて管理栄養士や栄養サポートチームへつなぎ、摂取量、必要栄養量、摂取方法などを検討します。

Braden の合計点が改善していても摂取不足が続いている場合は、「スコアが上がったから栄養介入を終了」とは判断せず、栄養評価の結果から継続・変更を検討します。

病棟・回復期・ICU・在宅では追加リスクを変えて見る

Braden の基本的な見方は共通でも、現場によって追加で確認すべきリスクは異なります。合計点だけを施設間で比較するのではなく、その場面で起こりやすい変化を合わせて確認します。

場面別に Braden と合わせて確認したいポイント
場面 追加して確認すること 介入を見直す主なきっかけ
一般病棟 術後、安静度、失禁、発熱、医療機器、離床量。 手術、鎮静、活動性低下、湿潤増加、皮膚所見の変化。
回復期 ベッドだけでなく、車椅子や椅子での姿勢、座位時間、自力除圧能力。 離床量の低下、座位時間延長、体重・摂取量の変化。
ICU 鎮静、循環状態、人工呼吸管理、体位制限、医療機器圧。 循環・呼吸管理の変更、鎮静深度の変化、体位制限の変更。
在宅・施設 介護力、使用できる支持面、本人・家族が継続できる体位変換や除圧方法。 介護力低下、発熱・下痢、食事量低下、活動性低下、皮膚所見の変化。

再評価は「点数帯ごとの固定時間」ではなく、状態変化と皮膚反応も条件にする

再評価では、次回の予定だけでなく「何が起きたら予定を待たずに見直すか」を決めます。Braden の再採点とともに、皮膚・軟部組織、踵、医療機器接触部、活動性、湿潤、摂取量などの変化を確認します。

現行の International Guideline では、皮膚・組織評価を褥瘡リスク評価の一部として行い、臨床状態やリスクの変化に応じて繰り返すことが示されています。特に、全身状態の悪化やケア環境の移行時、新しい皮膚変化がみられた場合は、予防計画を再確認します。

申し送りでは、「今日の最優先 1 手」「実施できたか」「前倒しで再評価する条件」の 3 点を残すと、スコアを付けただけで介入が止まることを防ぎやすくなります。

よくある質問(FAQ)

各項目名をタップ(クリック)すると回答が開きます。もう一度タップすると閉じます。

Q1.Braden 14 点なら、何を最優先にすればよいですか?

A.14 点という合計点だけでは決めません。まず 6 つの下位項目のどこが低いかを確認します。可動性・活動性が低ければ除圧や支持面、湿潤が低ければ失禁・発汗への対応、摩擦・ずれが低ければ姿勢や移動方法というように、現在の主なリスク因子へ対応する介入を優先します。

Q2.Braden が 19 点以上なら褥瘡予防は不要ですか?

A.合計点だけで不要とは判断しません。湿潤や摩擦・ずれなど個別の下位項目、皮膚所見、手術、鎮静、医療機器、活動性低下など、総合点だけでは十分に表れないリスクも確認します。新しいリスクが加わった場合は、その時点で予防計画を見直します。

Q3.体位変換は結局、何時間おきに行えばよいですか?

A.現行の International Guideline では、適切な圧再分配支持面を使用している多くの褥瘡リスク者について、2 時間または 3 時間間隔が選択肢として示されています。ただし条件付き推奨であり、活動性・可動性、自力体位変換能力、皮膚・組織の反応、全身状態、快適性、支持面などを踏まえて個別化します。Braden の合計点だけから間隔を決めるものではありません。

Q4.Braden スコアと皮膚所見では、どちらを優先しますか?

A.局所に発赤や組織変化がある場合は、合計点だけで「低リスク」と判断せず、その部位への圧・ずれ・医療機器接触などを確認します。Braden はリスク評価の一部として使い、皮膚・軟部組織の評価と組み合わせて予防計画を決めます。

次の一手|弱点項目から具体的なケア計画へ進む

「どの下位項目が低いか」まで確認できたら、次はその弱点を実際のケア計画へ落とし込みます。

ブレーデンスケール運用プロトコル|弱点項目からケア計画を具体化する


参考文献

  1. National Pressure Injury Advisory Panel, European Pressure Ulcer Advisory Panel, Pan Pacific Pressure Injury Alliance. Prevention and Treatment of Pressure Ulcers/Injuries: Clinical Practice Guideline. The International Guideline. Fourth Edition. Haesler E, ed. 2026. International Guideline
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  3. National Pressure Injury Advisory Panel, European Pressure Ulcer Advisory Panel, Pan Pacific Pressure Injury Alliance. Full Body Support Surfaces for Prevention of Pressure Injuries. In: Prevention and Treatment of Pressure Ulcers/Injuries: Clinical Practice Guideline. The International Guideline. Fourth Edition. Haesler E, ed. 2025. Support Surfaces
  4. National Pressure Injury Advisory Panel, European Pressure Ulcer Advisory Panel, Pan Pacific Pressure Injury Alliance. Preventing Heel Pressure Injuries. In: Prevention and Treatment of Pressure Ulcers/Injuries: Clinical Practice Guideline. The International Guideline. Fourth Edition. Haesler E, ed. Heels
  5. National Pressure Injury Advisory Panel, European Pressure Ulcer Advisory Panel, Pan Pacific Pressure Injury Alliance. Skin and Tissue Assessment. In: Prevention and Treatment of Pressure Ulcers/Injuries: Clinical Practice Guideline. The International Guideline. Fourth Edition. Haesler E, ed. 2026. Skin and Tissue Assessment
  6. National Pressure Injury Advisory Panel, European Pressure Ulcer Advisory Panel, Pan Pacific Pressure Injury Alliance. Preventing Device Related Pressure Injuries. In: Prevention and Treatment of Pressure Ulcers/Injuries: Clinical Practice Guideline. The International Guideline. Fourth Edition. Haesler E, ed. Device Related Pressure Injuries
  7. Agency for Healthcare Research and Quality. Preventing Pressure Ulcers in Hospitals: A Toolkit for Improving Quality of Care. The Braden Scale for Predicting Pressure Sore Risk. AHRQ
  8. Agency for Healthcare Research and Quality. Preventing Pressure Ulcers in Hospitals: How should care planning address risk of pressure ulcer development? AHRQ
  9. Gillespie BM, Walker RM, Latimer SL, et al. Repositioning for pressure injury prevention in adults: An abridged Cochrane systematic review and meta-analysis. Int J Nurs Stud. 2021;120:103976. doi: 10.1016/j.ijnurstu.2021.103976

著者情報

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rehabilikun(理学療法士)

rehabilikun blog を 2022 年 4 月に開設。急性期・回復期・療養病棟、介護福祉施設、訪問リハビリテーションでの臨床経験をもとに、理学療法評価、臨床手順、記録用紙、医療制度などの実務情報を発信しています。

現在は療養病院に勤務し、脳卒中、褥瘡・創傷ケア、リハビリテーション栄養、呼吸リハビリテーションを中心に臨床・教育活動を行っています。

保有資格

  • 脳卒中認定理学療法士
  • 褥瘡・創傷ケア認定理学療法士
  • 登録理学療法士
  • 3 学会合同呼吸療法認定士
  • 福祉住環境コーディネーター 2 級

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