認知症 OT 視空間ドリル【PDF・記録例】

臨床手技・プロトコル
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認知症 OT 視空間ドリルは「同条件で記録」して使います

認知症の視空間ドリルは、正答数だけでなく探索の偏り・手がかり量・再指示回数・疲労徴候を同じ条件で記録すると、次回の難易度設定が安定します。課題を毎回変えるより、まずは場所・声かけ・時間・課題数をそろえて反復することが重要です。

この記事では、印刷して使える A4 視空間ドリル L1〜L3 と、開始レベル、進級目安、5 分運用、記録の型をまとめます。このページで答えることは「どのレベルを、どう使い、どう記録するか」です。認知症 OT 紙面課題全体の一覧は親記事で確認してください。

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関連:紙面ドリル運用プロトコル
注意課題ドリル

視空間ドリル L1〜L3 をダウンロードする

視空間ドリルは、図形探索・位置関係・構成の要素を通して、生活場面での「探す」「見つける」「配置する」反応を観察しやすい課題です。開始は L1 を基本にし、成功率と疲労反応を見ながら L2L3 へ段階的に進めます。

同条件の固定は、①実施場所、②声かけ、③時間、④課題数を毎回そろえることです。レベルを変える場合も、変更は 1 要素だけにすると比較しやすくなります。

視空間ドリル L1(やさしめ)

初回・拒否が出やすい日・疲労が強い日は L1 を基本にします。時間制限なしで成功体験を優先し、課題量で負荷を調整してください。

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視空間ドリル L2(標準)

通常セッションの基準レベルです。L1 で手がかり量が減り、見落としや探索の偏りが安定してきたら L2 を検討します。

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視空間ドリル L3(やや高負荷)

L3 は負荷耐性や生活場面への接続を確認したいときに使います。疲労・拒否・中断が増える場合は、無理に継続せず L2 に戻して比較してください。

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視空間ドリル L1〜L3 の使い分け図版
視空間ドリル L1〜L3 の開始・進級イメージ

開始レベルは「成功率」と「支援量」で決めます

レベル選択は、できた数だけでなく、どれくらいの声かけ・手がかり・再指示が必要だったかで判断します。失敗が増えたら難易度を上げるより、同条件で取り直す方が所見が安定します。

視空間ドリル L1〜L3 の開始・進級目安(認知症 OT 介入)
場面 推奨レベル 見るポイント 次回設定
初回・拒否が出やすい L1 着手できるか、途中で止まらないか 成功体験を優先し、同条件で継続
通常セッション L2 探索偏り、見落とし、再指示回数 課題量か時間のどちらか 1 要素だけ調整
負荷耐性・生活接続確認 L3 疲労、拒否、中断、修正のしやすさ 崩れる場合は L2 に戻して比較

5 分運用は「導入・実施・記録・次回設定」で固定します

短時間で回す日は、課題の種類を増やすより手順を固定します。導入文、実施条件、記録項目、次回設定をそろえると、担当者が変わっても比較しやすくなります。

  1. 導入(30 秒):「今日は見つけ方と位置関係を確認します」と目的を 1 文で伝える。
  2. 実施(3〜8 分):L1 から開始し、無理に進級しない。
  3. 記録(1 分):正答数だけでなく、探索偏り・手がかり量・再指示回数・疲労徴候を残す。
  4. 次回設定(30 秒):同レベル継続、1 段階変更、課題量調整のいずれかを明記する。

記録は「点数+遂行過程」で残します

記録は、次回の難易度を決めるための材料です。正答数だけでは、見落としの方向、必要な支援量、疲労による崩れが残りません。次の型にそろえると、チーム内で共有しやすくなります。

視空間ドリルの記録テンプレート(最小セット)
項目 記録例 次回に活かす視点
レベル・条件 L1、机上、声かけ固定、5 分 同条件で比較できるか
正答・遂行 8/10 正答、右側探索は安定 課題量を増やすか、同条件で継続するか
探索偏り 左下の見落としあり 配置・視線誘導・声かけを固定するか
手がかり量 口頭手がかり 2 回で修正可能 支援量が減っているか
疲労・中断 4 分以降に反応遅延あり 時間短縮または L1 継続を検討

現場の詰まりどころは「条件が毎回変わること」です

視空間ドリルで詰まりやすいのは、課題の質ではなく運用条件のばらつきです。説明文、課題量、時間、声かけが毎回変わると、改善なのか条件差なのか判断しにくくなります。

評価や記録の型が職場内でそろわないときは、学び方や相談環境も点検しておくと整理しやすくなります。
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よくある失敗と対策

視空間ドリル運用で起きやすい失敗と対策
よくある失敗 問題点 対策
説明文が毎回変わる 手がかり量が変わり、比較しにくい 導入文を 1 文で固定する
難易度を一気に上げる 拒否や中断が増えやすい 変更は量・時間・ルールの 1 要素のみ
正答数だけで終える 次回設定に必要な情報が不足する 探索偏り・手がかり量・疲労も残す

よくある質問(FAQ)

各項目名をタップ(クリック)すると回答が開きます。もう一度タップで閉じます。

初回はどのレベルから始めますか?

初回は L1 が基本です。拒否や疲労が出やすい場合は、成功体験と着手しやすさを優先します。L2 以上は、手がかり量が減り、同条件で安定して取り組めることを確認してから使います。

L2 や L3 に進める目安はありますか?

正答率だけでなく、探索偏り、再指示回数、疲労徴候を見ます。手がかり最小で 7〜8 割程度でき、途中中断が少ない場合は進級候補です。疲労や拒否が増える場合は同レベル継続または 1 段階戻します。

注意課題ドリルと同日に行ってもよいですか?

同日実施は可能です。ただし、目的が混ざらないように「注意課題」と「視空間課題」を分けて記録します。同日に複数課題を行う場合も、変更する条件は 1 要素に絞ると比較しやすくなります。

時間が短い日は何を省略しますか?

省略するなら課題量です。記録項目は省略しない方が次回に活かせます。最低限、レベル、正答、探索偏り、手がかり量、疲労・中断の有無を残してください。

家族やスタッフには何を共有しますか?

「できた/できない」だけでなく、必要だった支援と疲労の出方を共有します。例として「L1 は実施可能。左下の見落としあり。口頭手がかりで修正可能。次回も同条件で確認」と書くと伝わりやすいです。

次の一手

まずは 2 週間、同条件で L1〜L2 を運用し、探索偏りと手がかり量の変化を見てください。A:紙面ドリル集で教材全体を確認 → B:運用プロトコルで手順と記録を固定


参考文献

  1. Livingston G, Huntley J, Sommerlad A, et al. Dementia prevention, intervention, and care: 2020 report of the Lancet Commission. Lancet. 2020;396(10248):413-446. doi:10.1016/S0140-6736(20)30367-6
  2. World Health Organization. Risk reduction of cognitive decline and dementia: WHO guidelines. Geneva: WHO; 2019. PubMed
  3. 日本作業療法士協会. 認知症に関する情報・実践資料. 公式サイト

著者情報

rehabilikun

rehabilikun(理学療法士)

rehabilikun blog を 2022 年 4 月に開設。医療機関/介護福祉施設/訪問リハの現場経験に基づき、臨床に役立つ評価・プロトコルを発信。脳卒中・褥瘡などで講師登壇経験あり。

  • 脳卒中 認定理学療法士
  • 褥瘡・創傷ケア 認定理学療法士
  • 登録理学療法士
  • 3 学会合同呼吸療法認定士
  • 福祉住環境コーディネーター 2 級

専門領域:脳卒中、褥瘡・創傷、呼吸リハ、栄養(リハ栄養)、シーティング、摂食・嚥下

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