認知症 OT 注意課題 vs 遂行速度ドリル【使い分け】

臨床手技・プロトコル
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結論:初回は「注意課題」優先、安定後に「遂行速度」を重ねると失敗しにくい

比較で迷うときは、まず「見落としの有無」を整えてから「処理速度」を上げる順が安全です。 認知症 OT ドリル集で全体像を確認する

関連:注意課題ドリル(各論)遂行速度ドリル(各論)

認知症 OT の紙面課題で詰まりやすいのは、最初から速度を上げてしまい、見落としや拒否が増えることです。まずは注意課題で探索とルール理解を安定させ、その後に遂行速度で処理効率を上げる順番にすると、再現性のある運用になります。

本記事は、注意課題と遂行速度ドリルの使い分けを「開始基準・進級基準・戻し基準」で比較し、現場でそのまま使える形に整理します。

注意課題 vs 遂行速度ドリル 早見表

判断に迷ったら、まず「何を優先して改善したいか」を先に決めます。見落としやルール混乱が主なら注意課題、正確性が保てているのに時間がかかるなら遂行速度が適します。

認知症 OT における注意課題と遂行速度ドリルの使い分け(成人・臨床運用)
比較項目 注意課題ドリル 遂行速度ドリル
主目的 見落とし・選択的注意・切替の確認 正確性を保ったまま処理時間を短縮
向く初期像 見落とし偏り、再指示多い、手順混乱 正答は保てるが時間超過が目立つ
開始目安 L1 から開始 注意課題 L1〜L2 安定後に開始
進級目安 手がかり最小で 7〜8 割 正答維持で所要時間が短縮
戻し基準 見落とし増加、拒否・疲労増 誤反応増、焦り・中断増

5 分で決める開始判断フロー

選択は「正答率」だけでなく、支援量と疲労徴候をセットで見ます。変更は 1 要素のみ(課題量・時間・ルールのいずれか)に固定すると、比較可能性が保てます。

  1. 見落とし偏りがあるか:ある→注意課題から開始。
  2. 手順理解が不安定か:不安定→注意課題継続。
  3. 正答が安定し時間だけ遅いか:はい→遂行速度を追加。
  4. 拒否・疲労が増えたか:はい→1 段階戻す。

評価軸の整理は、評価ハブを先に揃えるとチーム内での判断が一致しやすくなります。

同日実施の運用順(注意→休憩→速度)

同日に実施する場合は、注意課題で基礎の安定を確認してから遂行速度へ進む順が安全です。逆順は焦りを誘発しやすく、誤反応が増えることがあります。

同日実施の推奨順序と観察ポイント
手順 実施内容 記録ポイント
1 注意課題(短時間) 見落とし位置、再指示回数、手がかり量
2 短い休憩(30〜60 秒) 疲労・不安・拒否の有無
3 遂行速度ドリル 正答維持、所要時間、誤反応の増減

現場の詰まりどころと、よくある失敗

詰まりやすいのは「速度を先に上げる」「同日に複数条件を変更する」「点数しか残さない」の 3 点です。これらは結果解釈を難しくし、次回設定がぶれます。

まずは指示文を固定し、変更は 1 要素のみ、記録は正答に加えて手がかり量・再指示回数・疲労徴候を残してください。

注意課題と遂行速度ドリルの運用ミスと対策
よくある失敗 起きる理由 対策
速度課題から始める 基礎不安定のまま負荷が上がる 注意課題を先行し安定後に速度を追加
同日に条件を複数変更 改善/悪化の要因が特定できない 変更は 1 要素のみ
正答率のみ記録 介入調整に必要な情報が不足 手がかり量・再指示・疲労徴候を必須化

よくある質問(FAQ)

各項目名をタップ(クリック)すると回答が開きます。もう一度タップで閉じます。

初回はどちらから始めるべきですか?

初回は注意課題から始めるのが基本です。見落とし・再指示の状態を把握したうえで、安定後に遂行速度ドリルを追加すると失敗が少なくなります。

同日に両方やってもよいですか?

可能です。順番は「注意課題→短い休憩→遂行速度」を推奨します。当日の変更は 1 要素のみとし、比較可能性を維持してください。

進級の基準は何ですか?

手がかり最小で 7〜8 割を目安にし、再指示回数と疲労徴候の安定も確認します。崩れた場合は 1 段階戻して条件固定で再評価します。

家族・スタッフ共有は何を伝えるべきですか?

「本日の課題」「必要だった支援」「次回設定(継続/変更)」の 3 点を短文で共有すると、チームでの介入方針が揃いやすくなります。

次の一手

まずは 2 週間、同条件で運用して基準線を作りましょう。全体像は 運用プロトコル、すぐ実装するなら ドリル一括ページ、各論の確認は 注意課題遂行速度 を参照してください。

運用を整えたあとに、職場環境の詰まりも点検しておきましょう 無料チェックシートを確認する

チェック後の進め方を見る(PT キャリアガイド)


参考文献

  1. Livingston G, Huntley J, Sommerlad A, et al. Dementia prevention, intervention, and care: 2020 report of the Lancet Commission. Lancet. 2020;396(10248):413-446. https://doi.org/10.1016/S0140-6736(20)30367-6
  2. World Health Organization. Risk reduction of cognitive decline and dementia: WHO guidelines. 2019. PubMed
  3. 日本作業療法士協会. 認知症に関する情報・実践資料. https://www.jaot.or.jp/

著者情報

rehabilikun

rehabilikun(理学療法士)

rehabilikun blog を 2022 年 4 月に開設。医療機関/介護福祉施設/訪問リハの現場経験に基づき、臨床に役立つ評価・プロトコルを発信。脳卒中・褥瘡などで講師登壇経験あり。

  • 脳卒中 認定理学療法士
  • 褥瘡・創傷ケア 認定理学療法士
  • 登録理学療法士
  • 3 学会合同呼吸療法認定士
  • 福祉住環境コーディネーター 2 級

専門領域:脳卒中、褥瘡・創傷、呼吸リハ、栄養(リハ栄養)、シーティング、摂食・嚥下

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