NEWS2の使い方|スコアの見方・リハ前確認とMEWSとの違い

臨床手技・プロトコル
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NEWS2は離床可否を直接決めるスコアではなく、急性悪化を拾って共有するための指標です

NEWS2をリハビリ前に確認する目的は、「この点数なら離床できる」と判定することではありません。急性疾患の重症度や状態悪化を数値で捉え、異常項目・症状・酸素条件・経時変化を確認し、必要な臨床評価やエスカレーションへつなげることが基本です。

この記事ではPT・OT向けに、NEWS2の0〜4、単一項目3、5〜6、7以上が何を意味するのか、その結果をリハ前にどう読み、何を追加確認して離床判断へ組み込むかを整理します。MEWSとの違い、記録・再評価に使えるPDF・Excelも掲載しています。

最初に押さえたいポイント

NEWS2の点数は、離床の許可・禁止を直接示す基準ではありません。NEWS2で急性悪化の可能性を捉えたら、異常項目、症状、酸素条件、経時変化、治療状況、院内の離床基準を確認し、必要に応じて病棟・医療チームへ共有してからリハ実施判断へ進みます。

NEWS2の点数は「臨床的な対応の緊急度」として読みます

NEWS2の0〜4、単一項目3、5〜6、7以上は、Royal College of Physicians(RCP)が示す急性悪化に対する臨床的リスクとエスカレーションの目安です。離床開始・中止の区分ではありません。1)

NEWS2は、呼吸数、SpO2、酸素投与、収縮期血圧、脈拍、意識・新規の混乱、体温などから構成されます。合計点だけを見るのではなく、どの項目が点数上昇の原因になっているかを確認することが重要です。

表:NEWS2の公式上のリスク区分とリハ前の確認
NEWS2 RCP上の位置づけ PT・OTがリハ前に確認すること
合計0〜4 Low
病棟内での対応
低い点数だけで「離床可能」と判断しません。異常項目、前回値、症状、患者個別の基準を確認します。
単一項目3 Low–medium
緊急の病棟内対応
合計点に埋もれさせず、3点となった項目と原因を確認します。活動を進める前に、院内ルールに沿った共有・臨床評価へつなげます。
合計5〜6 Medium
緊急対応の重要な閾値
新規の5〜6点では急性悪化への評価・エスカレーションを優先します。NEWS2だけで離床可否を決めず、評価結果と院内基準を確認してから実施判断へ進みます。
合計7以上 High
緊急または救急対応
急性悪化に対する緊急評価・対応を優先します。NEWS2を「離床中止点」と読み替えるのではなく、院内の緊急対応手順へつなげます。

RCPの追加ガイダンスでは、エスカレーションのトリガーは通常、単一項目3、合計5、合計7を基準にしますが、臨床評価によって患者個別の閾値を設定できることも示されています。2)

重要:「NEWS2が5点だから離床禁止」「7点以上だからリハ中止」という公式ルールではありません。一方で、新規の5〜6点や7点以上は急性悪化への評価・対応を要する水準です。リハを進めることより、まず院内のエスカレーションと臨床評価を優先します。

リハ前は「NEWS2→異常項目→患者状態→院内基準」の順で確認します

PT・OTがNEWS2を見るときは、合計点だけで完結させず、何が変化して点数が上がったのか、その変化が現在の患者状態や離床リスクとどうつながるのかを確認します。

NEWS2の点数から異常項目、症状、酸素条件、院内基準、共有、リハ判断へ進む確認フロー
図:NEWS2をリハ前の判断へ組み込む確認フロー。点数だけで離床可否を決めず、異常項目・症状・経時変化・治療状況・院内基準を順に確認します。
  1. NEWS2合計点と単一項目3の有無を確認する
    最新値だけでなく、前回から上昇しているか、患者個別のエスカレーション閾値が設定されているかを確認します。
  2. 点数上昇の原因となった項目を確認する
    呼吸数、SpO2、血圧、脈拍、意識・新規の混乱、体温、酸素投与のどこが変化したのかを見ます。
  3. 症状・酸素条件・経時変化を照合する
    呼吸苦、胸部症状、めまい、冷汗、顔色、倦怠感、反応性などを確認し、普段との違いを整理します。
  4. 治療状況と院内の離床基準を確認する
    医師指示、酸素療法、循環作動薬、検査・治療予定、ライン・デバイスなども含めて、現在の活動負荷が適切かを判断します。
  5. 必要なら共有し、その結果を踏まえて離床を判断する
    NEWS2は判断材料の1つです。病棟・医療チームの評価や院内基準と合わせて、実施、負荷調整、見合わせ、中断などを決めます。

この順序にすると、「点数だけで止める」「点数が低いから進める」という両極端を避けやすくなります。

NEWS2が低くても「いつもと違う」ならスコアだけで進めません

NEWS2は臨床判断を補助するツールであり、臨床判断そのものを置き換えるものではありません。RCPは、NEWSが低くても患者状態への懸念があれば、スコアにかかわらず臨床評価につなげることを推奨しています。1)2)

リハ前であれば、たとえば「会話量が急に減った」「いつもより眠い」「呼吸数が増えた」「顔色が悪い」「酸素条件が変わった」「安静時にはなかった胸部症状がある」といった変化は、合計点とは別に確認します。

反対に、慢性的にNEWS2が高くなりやすい患者では、単回値だけで判断すると過剰なエスカレーションにつながる可能性があります。患者個別の閾値が医療チームによって設定されている場合は、その内容と現在の経過を確認します。

SpO2 Scale 2は「COPDだから使う」ものではありません

NEWS2にはSpO2 Scale 1とScale 2があります。通常はScale 1を使用し、Scale 2は高二酸化炭素血症性呼吸不全が確認され、目標SpO2 88〜92%が設定されている患者を対象に使用します。Scale 2を使用する判断は、適切な臨床判断者が行い、診療録へ記録することがRCPから示されています。1)2)

そのため、「COPDがあるからScale 2」と自動的に選択するのは適切ではありません。リハ前にNEWS2を確認するときは、使用しているSpO2スケール、目標SpO2、酸素投与の有無・デバイス・流量まで確認しておくと、数値の意味を取り違えにくくなります。

NEWS2を「安静→立位直後→介入後」の固定3点で測る必要はありません

NEWS2は患者状態を継続的に追跡し、急性悪化を検出するために使用するスコアです。リハ場面だけの独自ルールとして「安静時、立位直後、介入後の3回で必ずNEWS2を計算する」と固定する必要はありません。

リハ前は、院内で定められた観察頻度・記録方法に沿って最新のNEWS2と経時変化を確認します。介入中に症状やバイタルが変化した場合は、その場で必要な再評価を行い、患者状態に応じて院内の報告・エスカレーション基準へつなげます。

重要なのは測定時点を機械的に固定することではなく、「何が変わったのか」「負荷との時間関係はどうか」「対応後にどう変化したか」を追えるようにすることです。

NEWS2 リハ前確認・共有 記録・再評価シート|PDF・Excel

NEWS2をリハ前の判断材料として使いやすいように、「NEWS2 リハ前確認・共有 記録・再評価シート」を作成しました。

NEWS2の公式採点表を転載したものではなく、NEWS2を確認したあとに、異常項目、症状、酸素条件、経時変化、院内基準との照合、共有結果、リハ実施判断を整理するためのrehabilikunblog独自シートです。

PDF版|印刷・病棟共有用

A4で印刷し、初回評価と再評価を並べて記録したい場合に使用できます。

PDF版を開く・ダウンロードする

Excel版|院内で編集・連続記録する場合

施設名や運用項目を調整したい場合や、経時的な記録を残したい場合に使用できます。

Excel版をダウンロードする

使用上の注意:本シートはNEWS2の公式チャート、院内のRRS・RRT基準、離床開始・中止基準を置き換えるものではありません。NEWS2自体の採点はRCP公式資料または各施設で採用している正式なNEWS2チャートを使用し、本シートはリハ前後の確認・共有・再評価を整理する補助資料として使用してください。

NEWS2とMEWSは別の尺度|同じ点数基準を流用しません

NEWS2とMEWSはいずれも患者状態の悪化を早期に捉えるEarly Warning Scoreですが、採点項目と点数の意味は同じではありません。

表:NEWS2とMEWSの違い
項目 NEWS2 MEWS
主な目的 急性疾患の重症度・臨床的悪化を標準化して検出し、適切な臨床対応へつなげる 生理学的異常から状態悪化リスクを捉えるEarly Warning Score
主な項目 呼吸数、SpO2、酸素投与、収縮期血圧、脈拍、意識・新規の混乱、体温 収縮期血圧、脈拍、呼吸数、体温、意識レベルなど
閾値 RCPが単一項目3、合計5〜6、7以上などのエスカレーション区分を提示 原著では5点以上と死亡・ICU/HDU入室リスク増加との関連が報告されたが、NEWS2とは別の尺度として扱う
リハでの扱い 施設で採用されている場合、その正式な運用・エスカレーション基準に従う 施設がMEWSを採用している場合、その施設の採点・対応基準に従う。NEWS2の閾値を流用しない

MEWSの原著では、急性内科入院患者709例を対象とした検討で、MEWS 5点以上が死亡、ICU入室、HDU入室のリスク増加と関連していました。3) ただし、この「5点」をNEWS2の「5〜6点」と同じ意味として扱うことはできません。

NEWS2を採用している施設ではNEWS2、MEWSを採用している施設ではMEWSというように、院内で正式に採用している尺度と対応ルールを確認することが基本です。

記録・共有では「点数」より点数の背景まで残します

NEWS2を記録するときは、合計点だけでは次の担当者が患者状態を再現できません。リハ場面では、次のような情報を合わせて整理すると、再評価や多職種共有につなげやすくなります。

  • NEWS2の合計点と測定時刻
  • 単一項目3の有無と該当項目
  • 前回値との変化
  • 呼吸苦、胸部症状、めまい、冷汗、意識・反応性などの症状
  • SpO2スケール、目標SpO2、酸素デバイス・流量
  • 治療状況や当日の状態変化
  • 誰へ共有したか、共有後の回答・指示
  • その結果として決めたリハ実施内容と再評価事項

記録例

「13:40、リハ前NEWS2 5点。単一項目3なし。午前の2点から上昇し、呼吸数増加と新規の呼吸苦あり。酸素2L/分・鼻カニューレで条件変更なし。病棟看護師へ共有し、急性変化について医療チームの評価を依頼。評価結果確認まで離床は見合わせた。」

この例で離床を見合わせている理由は「NEWS2が5点だから」ではなく、新規のスコア上昇、呼吸数の変化、症状を認め、急性悪化への評価を優先しているためです。

報告内容をSBARで整理したい場合は、離床中止時のSBAR記録・報告テンプレで、発生状況から相談内容までのまとめ方を確認できます。

NEWS2をリハ前に使うときの注意点

NEWS2を安全管理へ取り入れても、使い方を誤ると点数だけが独り歩きします。特に次の4点に注意します。

表:NEWS2をリハ前に使うときの注意点
注意点 確認方法
合計点だけを見る どの生理学的項目が変化したか、単一項目3がないかを確認します。
低い点数なら安全と考える 症状、普段との違い、経時変化、医師指示、離床基準を別に確認します。
NEWS2の閾値をMEWSへ流用する NEWS2とMEWSは別尺度として、施設で採用する正式な基準を確認します。
COPDならScale 2にする 高二酸化炭素血症性呼吸不全の確認、処方された目標SpO2、臨床判断者によるScale 2使用決定を確認します。

よくある質問

NEWS2が5点以上なら離床してはいけませんか?

NEWS2 5点以上は離床禁止を意味する基準ではありません。ただし、新規の5〜6点はRCPで緊急対応の重要な閾値とされているため、急性悪化への評価・エスカレーションを優先します。その評価結果、症状、治療状況、院内の離床基準を踏まえてリハ実施可否を判断します。

NEWS2が0〜4点なら離床しても大丈夫ですか?

点数が低いことだけでは離床可能とは判断できません。NEWS2は離床可否を判定する尺度ではないため、症状、経時変化、患者個別のリスク、治療状況、院内の離床基準を別に確認します。スコアが低くても患者状態に懸念があれば、臨床評価を優先します。

合計点が低くても単一項目3がある場合はどう考えますか?

単一項目3は合計点とは別に確認します。RCPでは緊急の病棟内対応を要するトリガーとして位置づけられています。どの項目が3点なのかを確認し、院内ルールに沿って必要な臨床評価・共有へつなげます。

NEWS2とMEWSはどちらを使えばよいですか?

院内で正式に採用している尺度を使用します。NEWS2とMEWSは採点方法と閾値が異なるため、NEWS2の0〜4、5〜6、7以上という区分をMEWSへそのまま流用しません。

次の一手|NEWS2の後に離床基準を確認する

NEWS2で分かるのは、急性疾患の重症度や状態悪化に対して、どの程度の臨床的対応が必要かという情報です。実際に離床を開始・継続・中止・再開するには、症状、呼吸・循環、意識、治療状況、デバイスなどを含めた別の判断が必要です。


参考文献

  1. Royal College of Physicians. National Early Warning Score (NEWS) 2: Standardising the assessment of acute-illness severity in the NHS. Updated report of a working party. London: RCP; 2017. RCP公式PDF
  2. Royal College of Physicians. National Early Warning Score (NEWS) 2: Additional implementation guidance. London: RCP. RCP公式ページ
  3. Subbe CP, Kruger M, Rutherford P, Gemmel L. Validation of a modified Early Warning Score in medical admissions. QJM. 2001;94(10):521-526. doi:10.1093/qjmed/94.10.521. PubMed

著者情報

rehabilikun(理学療法士)

rehabilikun(理学療法士)

rehabilikun blogを2022年4月に開設。急性期・回復期・療養病棟、介護福祉施設、訪問リハビリテーションでの臨床経験をもとに、理学療法評価、臨床手順、記録用紙、医療制度など、医療従事者の実務に役立つ情報を発信しています。

現在は療養病院に勤務し、脳卒中、褥瘡・創傷ケア、リハビリテーション栄養、呼吸リハビリテーションを中心に臨床・教育活動を行っています。

保有資格

  • 脳卒中認定理学療法士
  • 褥瘡・創傷ケア認定理学療法士
  • 登録理学療法士
  • 3学会合同呼吸療法認定士
  • 福祉住環境コーディネーター2級

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