AM-PAC 6-Clicks は急性期の移動能力を短時間で共有する評価です
急性期評価は、目的ごとに主役を決めると記録と再評価がそろいやすくなります。
AM-PAC 6-Clicks を使う前に、評価全体の位置づけも確認しておくと、FSS-ICU や IMS との使い分けで迷いにくくなります。
関連:FSS-ICU の使い方 / IMS の記録テンプレ
AM-PAC 6-Clicks は、急性期で患者さんの「今の動きやすさ」を短時間でそろえるための評価です。とくに PT が使いやすい Basic Mobility は、起き上がり、立ち上がり、移乗、歩行、階段などをコンパクトに捉えられます。
この記事では、設問全文や採点票の転載ではなく、急性期 PT が AM-PAC 6-Clicks をいつ使い、点数をどう読み、何を一緒に記録するかに絞って整理します。読後に「点数を付ける」だけでなく、「退院支援や次回評価につながる記録」ができる状態を目標にします。
このページで答えること
このページで答えるのは、AM-PAC 6-Clicks を急性期 PT の評価・共有・退院支援にどう使うかです。評価の主役を決め、点数と条件をセットで残すことで、病棟共有やカンファレンスで使いやすくなります。
- AM-PAC 6-Clicks が向く場面
- Basic Mobility で見るポイント
- 点数の読み方と退院支援での使い方
- FSS-ICU・IMS との使い分け
- 点数だけで終わらせない記録の型
一方で、設問文の全文、公式採点票の転載、各項目ごとの詳細な原因分析は扱いません。公式書式が必要な場合は、参考文献の公式情報を確認してください。
AM-PAC 6-Clicks とは
AM-PAC 6-Clicks は、AM-PAC の inpatient short form として使われる短縮評価です。急性期では、短時間で機能状態をそろえて共有し、退院先の検討や多職種連携につなげやすい点が強みです。
領域には Basic Mobility、Daily Activity、Applied Cognition があります。PT の実務では、まず Basic Mobility を軸にすると、離床・移乗・歩行の共有に落とし込みやすくなります。
AM-PAC 6-Clicks が向く場面
AM-PAC 6-Clicks が向くのは、急性期で時間をかけすぎずに機能状態を共有したい場面です。初回評価、病棟申し送り、退院先の検討、カンファレンス前の整理などで使いやすい評価です。
| 場面 | 使い方 | 記録で添えること |
|---|---|---|
| 初回評価 | 現在の移動能力を短時間で把握する | 介助量、補助具、症状、離床範囲 |
| 病棟共有 | 今日どこまで動けるかを共通言語にする | 歩行距離、介助者数、バイタル反応 |
| 退院支援 | 自宅退院に向けた不足点を整理する | 住環境、家族支援、階段、見守り体制 |
| 再評価 | 前回からの変化を確認する | 評価条件が前回と同じかどうか |
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Basic Mobility で見るポイント
Basic Mobility では、ベッド上から移動までの基本動作を、急性期の共有に使える形で整理することが重要です。点数を付けるだけでなく、どの動作で介助や見守りが必要かを一緒に残します。
点数が同じでも、歩行器あり、酸素あり、介助者 2 名、息切れありでは意味が変わります。そのため、AM-PAC 6-Clicks を使うときは、点数+条件をセットにするのが実務上のコツです。
点数の見方と解釈のコツ
AM-PAC 6-Clicks は、点数が高いほど機能が高い方向で読みます。ただし、急性期では点数だけで判断せず、前回と比べて介助量・環境条件・症状がどう変わったかを合わせて解釈します。
研究では、Basic Mobility や Daily Activity の初回スコアが退院先と関連することが報告されています。たとえば Basic Mobility 40.78(raw score 16)、Daily Activity 40.22(raw score 19)が自宅退院予測の cut-point として示されています。ただし、これは退院先を単独で決める線ではなく、退院支援の材料の 1 つとして扱います。

5分で使う AM-PAC 6-Clicks 運用フロー
AM-PAC 6-Clicks は、評価前に目的を決め、評価後に次の一手まで書くと現場で使いやすくなります。忙しい急性期では、細かく増やすより、同じ流れで回すことが重要です。
| 手順 | 見ること | 記録に残すこと |
|---|---|---|
| 1.目的を決める | 初回評価、病棟共有、退院支援、再評価のどれか | 本日は病棟共有目的で評価 |
| 2.Basic Mobility を確認する | 起き上がり、立ち上がり、移乗、歩行など | どの動作で介助が必要か |
| 3.条件をそろえる | 補助具、介助者数、酸素、ライン、症状 | 歩行器使用、見守り、20m、息切れ軽度 |
| 4.点数を読む | 前回との差、介助量の変化、条件差 | 前回より歩行距離は延長、症状は同程度 |
| 5.次の一手を書く | 何を継続・変更・相談するか | 次回は階段評価と家族指導の要否を確認 |
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退院支援でどう使うか
退院支援では、AM-PAC 6-Clicks を退院先を決める唯一の基準にせず、会話をそろえる材料として使います。点数に加えて、住環境、家族支援、症状、階段、トイレ動作などを合わせて見ます。
たとえば「点数が低い」だけでは、何を調整すればよいかが伝わりません。「起き上がりは軽介助、立ち上がりは見守り、歩行は酸素管理下で短距離のみ可能」のように動作へ言い換えると、病棟・家族・退院調整との共有が進みやすくなります。
FSS-ICU・IMS・BI・FIM との使い分け
AM-PAC 6-Clicks は、急性期の機能共有と退院支援の入口として使うと役割が明確になります。課題別に細かく追うなら FSS-ICU、今日の最高到達を短く残すなら IMS、ADL 全体を見るなら BI や FIM が向きます。
| 尺度 | 主な役割 | 向く場面 | 注意点 |
|---|---|---|---|
| AM-PAC 6-Clicks | 急性期の機能共有と退院支援 | 初回評価、病棟共有、退院先検討 | 点数だけでは条件差が抜けやすい |
| FSS-ICU | ICU で課題別に機能を見る | 低機能帯、ICU、動作ごとの変化確認 | 病棟共有だけなら情報量が多いことがある |
| IMS | その日の最高到達を共有する | 離床レベルの申し送り | 細かな介助量や条件は別に補足する |
| BI | ADL 全体の自立度を見る | 生活場面の自立度を広く確認したいとき | 急性期の細かな変化は粗くなることがある |
| FIM | 介助量と機能を広く把握する | 回復期、包括的な機能評価 | 短時間の急性期共有には重いことがある |
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現場の詰まりどころ
いちばん多い失敗は、AM-PAC 6-Clicks を付けただけで終わることです。点数だけが残ると、歩行距離、補助具、介助者数、症状などの条件が抜け、次回評価で比較しにくくなります。
評価や記録がうまく回らない背景には、個人の努力不足だけでなく、教育体制や記録フォーマット、相談できる環境の不足が関係することもあります。
AM-PAC 6-Clicks の記録の型
AM-PAC 6-Clicks は、点数+条件+次の一手で記録すると、再評価と退院支援に使いやすくなります。忙しい急性期では、毎回同じ型で残すことが大切です。
| 項目 | 書く内容 | 記録例 |
|---|---|---|
| 点数 | Basic Mobility の結果 | AM-PAC Basic Mobility:raw score 16 |
| 条件 | 補助具、介助者数、酸素、ライン | 歩行器使用、見守り、酸素 1L、点滴あり |
| 到達範囲 | 離床範囲や歩行距離 | 病室内 20m 歩行可能 |
| 反応 | バイタル、疼痛、息切れ、めまい | 息切れ軽度、SpO2 低下なし、疼痛増悪なし |
| 次の一手 | 継続、変更、相談、退院支援 | 次回は病棟トイレ動作と階段可否を確認 |
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よくある質問
各項目名をタップ(クリック)すると回答が開きます。もう一度タップで閉じます。
AM-PAC 6-Clicks は PT と OT のどちらが使う評価ですか?
両職種で使われます。PT では Basic Mobility、OT では Daily Activity が主役になりやすいです。PT が急性期で使う場合は、まず Basic Mobility を軸にすると実務へ落とし込みやすくなります。
AM-PAC 6-Clicks は BI や FIM の代わりになりますか?
完全な代替ではありません。AM-PAC 6-Clicks は急性期で短時間に機能を共有しやすい評価です。BI や FIM は ADL 全体や介助量を広く見る評価として使い分けます。
退院支援では何点を目安に見ればよいですか?
研究では Basic Mobility 40.78(raw score 16)、Daily Activity 40.22(raw score 19)が自宅退院予測の cut-point として報告されています。ただし、点数だけで退院先を決めず、住環境、家族支援、症状、階段、介助量と合わせて判断します。
FSS-ICU や IMS と一緒に使ってもよいですか?
使ってかまいません。ただし、同じ日に複数尺度を使う場合は、主役を決めると記録が崩れにくくなります。病棟共有と退院支援は AM-PAC、課題別評価は FSS-ICU、最高到達共有は IMS と分けると整理しやすいです。
AM-PAC 6-Clicks の設問文を記事に載せてもよいですか?
設問全文や採点票の転載は避け、公式情報への導線を置く形が安全です。この記事では、設問そのものではなく、使いどころ、解釈、記録の型に絞って解説しています。
次の一手
AM-PAC 6-Clicks を使うときは、点数だけで終わらせず、条件と次の一手まで残すことが大切です。急性期評価の全体像や ICU 系評価との使い分けも確認しておくと、記録と再評価がそろいやすくなります。
参考文献
- American Physical Therapy Association. Activity Measure for Post-Acute Care (AM-PAC) – “6 Clicks” Inpatient Short Forms. APTA. 公式ページ
- Jette DU, Stilphen M, Ranganathan VK, Passek SD, Frost FS, Jette AM. Validity of the AM-PAC “6-Clicks” Inpatient Daily Activity and Basic Mobility Short Forms. Phys Ther. 2014;94(3):379-391. DOI: 10.2522/ptj.20130199
- Jette DU, Stilphen M, Ranganathan VK, Passek S, Frost FS, Jette AM. AM-PAC “6-Clicks” Functional Assessment Scores Predict Acute Care Hospital Discharge Destination. Phys Ther. 2014;94(9):1252-1261. DOI: 10.2522/ptj.20130359
- Warren M, Knecht J, Verheijde J, et al. Association of AM-PAC “6-Clicks” Basic Mobility and Daily Activity Scores With Discharge Destination. Phys Ther. 2021;101(4):pzab043. DOI: 10.1093/ptj/pzab043
- Pearson. Activity Measure for Post Acute Care (AM-PAC). 公式ページ
著者情報

rehabilikun(理学療法士)
rehabilikun blog を 2022 年 4 月に開設。医療機関/介護福祉施設/訪問リハの現場経験に基づき、臨床に役立つ評価・プロトコルを発信。脳卒中・褥瘡などで講師登壇経験あり。
- 脳卒中 認定理学療法士
- 褥瘡・創傷ケア 認定理学療法士
- 登録理学療法士
- 3 学会合同呼吸療法認定士
- 福祉住環境コーディネーター 2 級
専門領域:脳卒中、褥瘡・創傷、呼吸リハ、栄養(リハ栄養)、シーティング、摂食・嚥下


