認知症高齢者の日常生活自立度|Ⅱa・Ⅱb・Ⅲa・Ⅲbの違い

評価
記事内に広告が含まれています。

認知症高齢者の日常生活自立度とは

認知症高齢者の日常生活自立度は、認知機能を点数化する検査ではなく、生活支障と介護の必要度をランクで共有するための指標です。この記事では、自立・Ⅰ・Ⅱa・Ⅱb・Ⅲa・Ⅲb・Ⅳ・Mの見方、ⅡaとⅡb、ⅢaとⅢbの違い、記録や家族説明での使い方を整理します。主治医意見書、カンファレンス、介護保険実務でランクの意味を確認したい方に向けた内容です。

自立・Ⅰ・Ⅱ・Ⅲ・Ⅳ・Mの見方

認知症高齢者の日常生活自立度は、生活支障がどこで、どの時間帯に、どの程度の介護を要するかで判断します。

認知症高齢者の日常生活自立度のランク早見表
図:認知症高齢者の日常生活自立度のランク早見表

大きく整理すると、Ⅱは注意していれば自立できる段階、Ⅲはときどき介護を要する段階、Ⅳは常に介護を要する段階です。さらに、Ⅱa・Ⅱbは「家庭外か家庭内か」、Ⅲa・Ⅲbは「日中か夜間か」で分けます。

なお、障害高齢者の日常生活自立度や寝たきり度との違いを含めて整理したい場合は、高齢者の日常生活自立度の違いと使い分けも参考になります。

※スマホでは表を左右にスクロールできます。

認知症高齢者の日常生活自立度の早見表
ランク 状態像 よくみる場面 実務での見方
自立 認知症を認めない、または生活支障が明らかでない 日常生活はおおむね自立 生活上の介護必要度は高くありません。
Ⅰ 何らかの認知症はあるが、家庭内及び社会的にほぼ自立 生活支障はまだ大きくない 認知症の存在はあっても、介護量は少ない段階です。
Ⅱa 日常生活に支障を来す症状・行動や意思疎通の困難さが多少みられても、誰かが注意していれば自立できる 家庭外で目立つ 道に迷う、買い物や金銭管理でミスが出るなど、外出場面で支援が必要です。
Ⅱb Ⅱと同様だが、家庭内でも状態がみられる 家庭内でも目立つ 服薬管理、電話対応、留守番など、家の中でも見守りが必要です。
Ⅲa 日常生活に支障を来す症状・行動や意思疎通の困難さがときどきみられ、介護を要する 日中を中心に目立つ 更衣、食事、排泄、徘徊などで、日中の介護が必要です。
Ⅲb Ⅲと同様だが、夜間を中心に状態がみられる 夜間を中心に目立つ 夜間の混乱、昼夜逆転、夜間徘徊などで、夜間の介護負担が大きくなります。
Ⅳ 支障を来す症状・行動や意思疎通の困難さが頻繁にみられ、常に介護を要する 日中・夜間を問わず介護が必要 介護が常時必要な段階として共有します。
M 著しい精神症状や問題行動、または重篤な身体疾患がみられ、専門医療を要する せん妄、妄想、興奮、自傷・他害など 生活支援だけでなく、医療対応の優先度が高い状態です。

Ⅱa・Ⅱb、Ⅲa・Ⅲbの違い

ⅡaとⅡbは場所、ⅢaとⅢbは時間帯で分けると判断しやすくなります。

ⅡaとⅡbは、どちらも「誰かが注意していれば自立できる」段階です。家庭外で支障が目立つならⅡa、家庭内でも支障が目立つならⅡbと整理します。

ⅢaとⅢbは、どちらも「ときどき介護を要する」段階です。日中を中心に介護が必要ならⅢa、夜間を中心に介護が必要ならⅢbと考えます。重い・軽いだけでなく、介護負担が集中する時間帯をそろえることが重要です。

※スマホでは表を左右にスクロールできます。

Ⅱa・Ⅱb、Ⅲa・Ⅲbの違い
区分 分け方 判断のポイント 共有しやすい言い換え
Ⅱa 家庭外で目立つ 外出、買い物、金銭管理、道迷いなど 外での見守りが必要な段階
Ⅱb 家庭内でも目立つ 服薬、電話対応、留守番、火の管理など 家の中でも見守りが必要な段階
Ⅲa 日中に介護が必要 更衣、食事、排泄、徘徊、不潔行為など 日中の介護が増える段階
Ⅲb 夜間に介護が必要 夜間の混乱、夜間徘徊、昼夜逆転など 夜間の介護が増える段階

DASC-21・CDR・DADとの違い

認知症高齢者の日常生活自立度は、公的な生活支障ランクを共有する指標です。

DASC-21は認知機能と生活機能を入口で広く拾う尺度、CDRは認知症の重症度をそろえる評価、DADはADL・IADLの遂行の崩れ方をみる評価です。目的が違うため、どれか1つで全てを代用するより、役割を分けて使うと評価から支援方針につなげやすくなります。

※スマホでは表を左右にスクロールできます。

認知症高齢者の日常生活自立度・DASC-21・CDR・DADの使い分け
指標 主にみるもの 強み 向く場面
認知症高齢者の日常生活自立度 生活支障と介護必要度 公的ランクで共有しやすい 主治医意見書、会議、介護保険実務
DASC-21 認知機能と生活機能 入口評価として使いやすい 初期評価、地域、外来、病棟
CDR 認知症の重症度 重症度を段階で共有しやすい 紹介、カンファレンス、経過共有
DAD ADL・IADL遂行の崩れ方 開始、段取り、実行の分析に使いやすい 介入設計、家族指導、生活場面の分析

記録・家族説明に落とすコツ

記録では、ランクだけでなく生活場面と介護が必要な時間帯をセットで残すと伝わりやすくなります。

臨床では「Ⅱb」「Ⅲa」だけを書いても、読み手が生活場面をイメージできないことがあります。療養病棟や退院前カンファレンスでは、ランク + 主な生活支障 + 介護が必要な場面でそろえると、看護師、介護職、ケアマネジャー、家族との共有がしやすくなります。

たとえば「Ⅱb相当。家庭内でも服薬管理が難しく、ひとりでの留守番に不安がある」のように書くと、支援内容までつながりやすくなります。

※スマホでは表を左右にスクロールできます。

記録と家族説明で使いやすい表現例
ランク 記録例 補足するとよい点
Ⅱa Ⅱa相当。外出先で道迷いや金銭管理のミスがみられ、見守りが必要。 外出頻度、単独外出の可否、買い物場面の具体例
Ⅱb Ⅱb相当。家庭内でも服薬管理が難しく、ひとりでの留守番に不安がある。 服薬、電話対応、訪問者対応、火の管理
Ⅲa Ⅲa相当。日中に更衣や排泄で手間取りがあり、徘徊傾向もみられるため介護を要する。 日中の見守り量、失禁、不潔行為、移動条件
Ⅲb Ⅲb相当。夜間の混乱と離床があり、夜間見守り・介助を要する。 夜間覚醒、昼夜逆転、転倒リスク、家族負担
Ⅳ Ⅳ相当。日中夜間を問わず生活支障が頻繁で、常時の介護を要する。 介護者数、BPSDの頻度、身体介護との重なり

よくある失敗

よくある失敗は、認知症高齢者の日常生活自立度を認知機能検査の点数代わりに使ってしまうことです。

この指標は、記憶や注意を細かく測る検査ではありません。生活支障と介護必要度を公的ランクで共有するための指標です。そのため、MMSEやHDS-Rの点数と同じように扱うと、支援方針がずれやすくなります。

もう1つの失敗は、ランクだけを書いて具体場面を残さないことです。特にⅡa・Ⅱb、Ⅲa・Ⅲbは、場所や時間帯の違いが支援量に直結します。ランクだけでなく、どこで、いつ、何に困っているかを記録することが大切です。

※スマホでは表を左右にスクロールできます。

認知症高齢者の日常生活自立度でよくある失敗と回避策
失敗 なぜずれるか 回避策
点数尺度の代わりに使う 認知機能検査と役割が混同する 生活支障の共有ランクとして整理します。
ランクだけで終える 生活場面が伝わらない ランク、場面、時間帯をセットで書きます。
ⅡaとⅡbを重症度差だけでみる 家庭外か家庭内かの違いが抜ける どこで見守りが必要かで分けます。
ⅢaとⅢbの時間帯を見落とす 家族負担や介護配置に反映しにくい 日中か夜間かを具体場面とセットで残します。
Mを安易に選ぶ 専門医療の必要性が曖昧になる 著しい精神症状、問題行動、重篤な身体疾患の有無を確認します。

よくある質問

各項目名をタップすると回答が開きます。もう一度タップすると閉じます。

認知症高齢者の日常生活自立度は認知機能検査ですか?

いいえ。記憶や注意を細かく測る検査ではなく、生活支障と介護必要度をランクで共有する指標です。認知機能そのものを評価する場合は、MMSE、HDS-R、DASC-21などと役割を分けて考えます。

ⅡaとⅡbは何が違いますか?

Ⅱaは家庭外で支障が目立つ段階、Ⅱbは家庭内でも支障が目立つ段階です。どちらも「誰かが注意していれば自立できる」段階ですが、見守りが必要な場所が異なります。

ⅢaとⅢbは重症度の違いですか?

重症度だけの違いではありません。Ⅲaは日中を中心に介護を要する段階、Ⅲbは夜間を中心に介護を要する段階です。介護負担が集中する時間帯で分けると整理しやすくなります。

Mはどのようなときに使いますか?

Mは、著しい精神症状や問題行動、または重篤な身体疾患があり、専門医療を要する場合に使います。通常の見守りや介護だけでなく、医療的な対応が必要かどうかを確認します。

DASC-21やDADがあれば、この指標は不要ですか?

不要ではありません。DASC-21は入口評価、DADはADL・IADL遂行の分析、認知症高齢者の日常生活自立度は公的ランクでの共有に向きます。目的に応じて使い分けることが大切です。

次の一手

認知症高齢者の日常生活自立度で生活支障のランクをそろえたら、次は評価の入口と生活機能の見方を整理すると、支援方針につなげやすくなります。


参考文献

  1. 厚生労働省. 「認知症高齢者の日常生活自立度」判定基準. PDF
  2. 厚生労働省. 主治医意見書. PDF

著者情報

rehabilikunのプロフィール画像

rehabilikun(理学療法士)

rehabilikun blogを2022年4月に開設。医療機関/介護福祉施設/訪問リハの現場経験に基づき、臨床に役立つ評価・プロトコルを発信。脳卒中・褥瘡などで講師登壇経験あり。

  • 脳卒中 認定理学療法士
  • 褥瘡・創傷ケア 認定理学療法士
  • 登録理学療法士
  • 3学会合同呼吸療法認定士
  • 福祉住環境コーディネーター2級

専門領域:脳卒中、褥瘡・創傷、呼吸リハ、栄養、シーティング、摂食・嚥下

運営者について / 編集・引用ポリシー / お問い合わせ