アクシオの使い方|最初に確認する設定
モルテンの「アクシオ(AXSIO)」は、床ずれ発生リスクが高い患者さんを対象に開発された高機能エアマットレスです。体重・体型に合わせた内圧調整を自動で行い、圧切替、やわらか、むれ対策、背上げ時の自動調整などを組み合わせて使用します。
操作でまず押さえたいのは、「通常・弱・静止」の圧切替、ケアモード、やわらか、むれ対策です。さらに、ベッドが30°以上の背上げ状態になるとマットレス側が自動で背上げモードへ切り替わります。
ただし、高い体圧分散性能があっても、皮膚・疼痛・沈み込み・姿勢・寝返り・離床への影響を確認する必要があります。この記事では、各設定の意味と、PT・看護師などが使用後に何を観察するかまで整理します。
| 確認項目 | 基本 | 確認ポイント |
|---|---|---|
| 体重設定 | 自動 | 体重・体型に合わせて内圧を自動調整します |
| 圧切替 | 通常/弱/静止 | 疼痛、違和感、皮膚、睡眠を確認します |
| やわらか | 各動作モードを1段階やわらかくする | 沈み込み、寝返り、離床への影響を確認します |
| ケア | 支持面を安定化 | 起き上がり、端座位、介助のしやすさを確認します |
| むれ対策 | 30分動作・15分停止 | 発汗、失禁、寝具、皮膚湿潤を確認します |
| 背上げ | 30°以上で自動背上げモード | 骨盤前滑り、仙骨部、姿勢を確認します |
| 厚さ | 17cm | 床面高、足底接地、立ち上がりを再確認します |

電源投入後は、マットレスが利用者の体重や使用状況に合わせて初期調整を行います。取扱説明書では、準備中の約40分間はLEDが点滅するとされています。設定状態だけでなく、実際の患者さんの反応まで確認してください。
体圧分散マットレスの構造や厚さの考え方から確認したい場合は、体圧分散マットレスの厚さ・構造・性能表示の見方も参考にしてください。
圧切替は「通常・弱・静止」を使い分ける
アクシオの基本となる動作モードは、通常・弱・静止の3段階です。
「通常」はメーカーが推奨する基本設定で、エアセルが圧切替を行います。「弱」は圧切替の動きを小さく、低速にする設定で、通常の圧切替によって痛みや不快感を訴える場合に選択します。「静止」は圧切替そのものを停止します。
| モード | 動作 | 主な確認ポイント |
|---|---|---|
| 通常 | 圧切替を行う基本設定 | 皮膚、疼痛、睡眠、違和感 |
| 弱 | 圧切替を小さく・低速で行う | 圧切替による疼痛や不快感が軽減するか |
| 静止 | 圧切替を停止する | 身体の安定性、疼痛、皮膚所見 |
通常・弱では、取扱説明書上の圧切替周期は約5分です。
「圧切替が強いほど床ずれ対策に優れる」と固定して考えるのではなく、除圧性能と患者さんの疼痛・睡眠・自発的な体動を合わせて判断します。
たとえば圧切替によって疼痛が増し、睡眠が妨げられている場合には、弱への変更を検討します。一方、静止に変更した場合は、圧切替が停止することを踏まえて皮膚や体位変換能力を再評価します。
ケアモードはリハビリ・介助時に支持面を安定させる
アクシオには、リハビリやベッド上ケアを行いやすくするケアモードがあります。
ケアモードではエアセルの内圧を上げてマットレスの安定性を高め、圧切替動作を一時停止します。取扱説明書では、準備に約5分かかり、準備中はLEDが点滅します。準備完了後はLEDが点灯し、安全のため約60分で自動解除されます。
| 場面 | 確認すること |
|---|---|
| 起き上がり | 上肢支持、骨盤移動、沈み込み、介助量 |
| 端座位 | 足底接地、体幹安定性、殿部の沈み込み |
| 移乗 | 立ち上がり時の安定性、床面高、介助量 |
| おむつ交換 | 体位変換のしやすさ、皮膚へのずれ |
| 清拭・更衣 | 支持面の安定性、患者さんの疼痛 |
ケアモードを使用したから安全に離床できるという意味ではありません。筋力、覚醒状態、起立時の循環反応、ライン類、転倒リスクなどは別に評価します。
また、ケア終了後は自動解除を待つだけでなく、通常の体圧管理に戻っているか、患者さんの皮膚・姿勢を確認すると安全です。
「やわらか」は圧切替とは別の設定
アクシオの「やわらか」は、通常・弱・静止という動作モードとは別に設定する機能です。
通常・弱・静止のすべてのモードで、エアセル内圧を下げて1段階やわらかくします。
そのため、実際には「通常+やわらか」「弱+やわらか」「静止+やわらか」といった組み合わせが可能です。
| 観察項目 | 確認内容 |
|---|---|
| 皮膚 | 骨突出部の発赤・圧痕・疼痛 |
| 沈み込み | 身体が過度に沈み込んでいないか |
| 寝返り | 下肢・骨盤・体幹の回旋が妨げられていないか |
| 起き上がり | 上肢支持や骨盤移動が難しくなっていないか |
| 端座位 | 殿部が沈み込みすぎず安定しているか |
| 寝心地 | 疼痛、違和感、本人の快適性 |
メーカーは、一般的にマットレスがやわらかすぎることで過度な沈み込みが生じる可能性を踏まえたうえで、さらに体圧分散性能を高めたい患者さん向けの設定として「やわらか」を位置づけています。
したがって、「床ずれリスクが高いから常にやわらか」と固定せず、皮膚への負荷と患者さんの自力体動の両方を確認します。
独立3層構造で体圧分散と除圧を両立する
アクシオは、メーカー独自の独立3層構造と6系統制御を特徴としています。
身体に接する上部層は、身体へ細かくフィットしながら体圧分散と除圧を行います。中部層はエアセル内圧を調整し、身体が過度に沈み込むことを抑えます。下部層は底づきを防止します。
| 層 | 主な役割 |
|---|---|
| 上部層 | 身体へフィットし、体圧分散・除圧を行う |
| 中部層 | 内圧を調整し、過度な沈み込みを抑える |
| 下部層 | 身体の底づきを防止する |
上部エアセルは4系統、下部エアセルは2系統で制御されます。通常の圧切替では、上部の4系統が約5分ごとに切り替わり、局所にかかる圧を下げます。
この構造によって、「身体へやわらかくフィットすること」と「沈み込みすぎないこと」の両立を目指しています。
ただし、メーカーの性能データは一定の試験条件に基づくものです。実際の患者さんでは、体格、拘縮、浮腫、骨突出、寝返り能力などによって反応が異なるため、使用後の観察が必要です。
30°以上の背上げで自動調整する
アクシオには背上げセンサーが内蔵されており、ベッドが30°以上になると自動で背上げモードへ切り替わります。
背上げモードでは、マットレスを少しかためにして身体の沈み込みを調整し、背抜きのための圧切替動作を行います。その後は元の設定で動作します。
30°以下へ戻ると背上げモードは解除され、解除時にも背抜きのための圧切替動作が行われます。
これはベッドを自動で動かす機能ではなく、ベッド側の背上げ角度をマットレスが検知して自動調整する機能です。
背上げ後は、以下を確認します。
- 骨盤が足元方向へ前滑りしていないか
- 仙骨部へずれが集中していないか
- 踵が固定され、身体だけが滑っていないか
- 体幹が左右へ崩れていないか
- 衣類・シーツにしわが集中していないか
- 疼痛や呼吸苦が増えていないか
自動圧抜き機能は背上げ時の身体負担を軽減するための機能ですが、実際の骨盤位置や皮膚観察を不要にするものではありません。
むれ対策は30分動作・15分停止を繰り返す
アクシオのむれ対策は、足元側にあるフレッシュエアダクトから室内の空気を送り、寝床内の湿った空気を入れ替える機能です。
むれ対策をONにすると、30分動作・15分停止を繰り返します。
ただし、この機能は冷房や除湿器そのものではありません。患者さんの湿潤状態は別に評価します。
- 背部・仙骨部の発汗
- 尿・便失禁
- 寝衣やシーツの湿り
- 防水シーツ・吸収材の重なり
- 室温・湿度
- 皮膚の浸軟
設置時には、フレッシュエアダクトを防水シーツなどで塞がないことも重要です。取扱説明書では、防水シーツはフレッシュエアダクトを覆わないように取り付けるよう示されています。
また、シーツを強く張りすぎるとマットレス本来の性能が発揮されにくくなるため、適度な張りで使用します。
床ずれ高リスク患者で確認したいポイント
アクシオはメーカーが床ずれ発生リスクが高い患者さんを対象として位置づけている製品です。そのため、単に「高性能なマットレスへ交換した」と考えるのではなく、皮膚・姿勢・体動を継続して評価します。
| 領域 | 確認項目 |
|---|---|
| 皮膚 | 発赤、圧痕、疼痛、湿潤、浸軟、既存褥瘡 |
| 骨突出部 | 仙骨部、踵部、大転子部などへの持続圧 |
| 沈み込み | 骨盤・体幹が過度に沈み込んでいないか |
| 自力体動 | 寝返り、姿勢修正、自発的な除圧 |
| 疼痛 | 圧切替による痛み、不快感、睡眠への影響 |
| 背上げ | 骨盤前滑り、仙骨部のずれ、姿勢の崩れ |
| 微気候 | 発汗、失禁、皮膚湿潤、寝具 |
| 離床 | 起き上がり、端座位、足底接地、移乗 |
高機能エアマットレスを使用していても、支持面だけですべての体位変換を代替できるとは考えません。
自力体動、皮膚・組織の反応、臨床状態、活動性、快適性などを確認し、必要な体位変換・ポジショニングを個別に検討します。
褥瘡予防における姿勢・ずれ対策については、褥瘡予防のポジショニングと体位変換でも整理しています。
厚さ17cm|端座位・立ち上がりも再確認する
アクシオは、幅83×長さ193×厚さ17cmのリプレイスメントタイプです。品番はMAXS83、重量は10kg、耐荷重は180kgです。
| 項目 | 仕様 |
|---|---|
| 品番 | MAXS83 |
| 幅 | 83cm |
| 長さ | 193cm |
| 厚さ | 17cm |
| 重量 | 10kg |
| 耐荷重 | 180kg |
| 分類 | リプレイスメントタイプ |
アクシオは、13cm前後のマットレスから交換すると床面高が変化する可能性があります。
特にPT・OTは、交換後に以下を確認します。
- 端座位で足底が床へ接地できるか
- 膝・股関節角度が変わっていないか
- 立ち上がり時に床面が高すぎないか
- 移乗先との高さ関係は適切か
- サイドレールとの高さ関係は安全か
- ベッド最低床面高を調整する必要がないか
床ずれ対策のために支持面を変更しても、その結果として離床能力や転倒リスクが悪化していないかまで確認することが重要です。
停電・緊急時の対応
アクシオは、停電時でも利用者さんが寝た状態のまま約2週間エアを維持する仕様です。
停電復旧後は停電前の設定条件へ戻るため、原則として設定し直す必要はありません。
ただし、停電中は通常の圧切替や自動調整が継続するわけではありません。停電が長時間続く場合は、皮膚、姿勢、体位変換の必要性を別に確認します。
緊急時はCPRバルブで約30秒でエアを抜ける
心肺蘇生などでマットレスの空気を急速に抜く必要がある場合は、足元側にあるCPRバルブを開きます。
メーカー取扱説明書では、約30秒で空気が抜けるとされています。使用後は必ずCPRバルブを閉めます。
実際の急変時は、施設の心肺蘇生手順、ベッド・医療機器の運用を優先してください。
注意ランプ・エラー時に確認すること
アクシオは、マットレスやポンプユニットに異常がある場合、注意ランプの点滅と警告音で知らせます。
注意ランプが点滅した場合は、表示だけを消して使い続けるのではなく、取扱説明書に沿って原因を確認します。
| 確認箇所 | 確認内容 |
|---|---|
| エアセル | 空気漏れや折れ・変形がないか |
| エアホース | 抜け、折れ、破損がないか |
| CPRバルブ | 開いたままになっていないか |
| ポンプユニット | 異音がないか |
| リモコン | 異常表示や点滅の組み合わせ |
ブザーと注意ランプが同時点滅する場合には、圧力センサー、荷重センサー、背上げセンサー、リモコン・内部基板などの異常が考えられます。
エラーの種類によっては、空気圧調整や圧切替が停止したり、背上げ検知が行われなくなったりします。
取扱説明書に示された確認を行っても改善しない場合や、センサー・ポンプユニットの異常が疑われる場合は、販売店またはモルテンへ点検・修理を依頼します。
アクシオの記録例
アクシオ使用時は、製品名だけでなく、圧切替設定、やわらか、むれ対策、ケアモード、背上げ、患者さんの反応を組み合わせて記録します。
アクシオ使用。圧切替「通常」、やわらかOFF、むれ対策ON。仙骨部・両踵部に持続発赤なし。圧切替による疼痛・睡眠障害なし。背部の著明な湿潤なし。
食事時に背上げ35°。自動背上げモード作動後、骨盤の足元方向への移動を軽度認めたため、骨盤位置とシーツを調整。仙骨部の皮膚異常なし。
離床前にケアモードを使用。準備完了後、端座位では足底接地可能、体幹保持は見守り。通常設定時と比較して殿部の沈み込みが減少し、移乗は軽介助。離床終了後に設定状態と皮膚を再確認した。
| 項目 | 記録内容 |
|---|---|
| 製品 | アクシオ |
| 圧切替 | 通常/弱/静止 |
| 追加設定 | やわらか/むれ対策 |
| ケア | ケアモード使用の有無 |
| 皮膚 | 発赤、圧痕、疼痛、湿潤 |
| 背上げ | 角度、骨盤位置、仙骨部、姿勢 |
| 離床 | 起き上がり、端座位、移乗、介助量 |
| 判断 | 継続/設定変更/ポジショニング・支持面再検討 |
「通常で使用」「やわらかON」と設定だけを残すのではなく、なぜその設定を選び、患者さんがどう反応したかまで記録すると再評価しやすくなります。
よくある質問
アクシオは体重設定が必要ですか?
体重をリモコンへ数値入力する必要はありません。マットレスに内蔵されたセンサーによって、利用者さんの体重に合わせたエアセル内圧へ自動調整します。
「通常」と「弱」は何が違いますか?
通常はメーカー推奨の基本的な圧切替設定です。弱は圧切替動作を小さく、低速にし、通常の圧切替で痛みや不快感がある場合に使用します。通常・弱とも圧切替周期は約5分です。
「静止」にすると体圧分散しなくなりますか?
静止は圧切替動作を停止する設定です。マットレスの支持・体圧分散機能そのものがなくなるわけではありませんが、動的な圧切替は行われなくなります。皮膚や疼痛、体動を確認して使用します。
「やわらか」は何を変える機能ですか?
通常・弱・静止の各モードに対して、エアセル内圧を下げて1段階やわらかくします。圧切替の周期やモードそのものを変更する機能ではありません。
ケアモードはどのくらい続きますか?
ケアモードはマットレスの安定性を高め、圧切替を一時停止する機能です。準備に約5分かかり、安全のため約60分で自動解除されます。
30°以上に背上げすると何が起きますか?
背上げセンサーが30°以上を検知すると、自動で背上げモードへ切り替わります。マットレスを少しかためにし、背抜きのための圧切替動作を行います。30°以下へ戻ると自動解除されます。
停電するとすぐにマットレスがしぼみますか?
メーカー取扱説明書では、停電時でも利用者さんが寝た状態のまま約2週間エアを維持するとされています。ただし、停電中は通常の自動制御が行えないため、皮膚・姿勢・体位変換を別に確認します。
まとめ|高機能でも設定後の患者反応を確認する
アクシオは、床ずれ発生リスクが高い患者さんを対象に、体圧分散性能と除圧性能の両立を目指した高機能エアマットレスです。
圧切替は「通常・弱・静止」から選択し、必要に応じて「やわらか」「むれ対策」を組み合わせます。リハビリ・介助時にはケアモードが使用でき、30°以上の背上げではマットレスが自動で背上げ状態へ対応します。
一方、高性能な支持面であっても、患者さんの状態評価は必要です。皮膚、疼痛、沈み込み、寝返り、背上げ時のずれ、端座位・移乗、湿潤まで確認し、設定と患者反応をセットで評価することが重要です。
参考文献
- 株式会社モルテン.高機能エアマットレス アクシオ.製品情報.2026年10月7日確認.公式サイト
- 株式会社モルテン.高機能エアマットレス アクシオ 取扱説明書.2026年2月版.2026年10月7日確認.取扱説明書一覧
- 株式会社モルテン.アクシオ 製品カタログ.2026.製品情報
- 株式会社モルテン.高機能エアマットレス AXSIO(アクシオ)発売のお知らせ.2026年3月2日.公式お知らせ
- National Pressure Injury Advisory Panel, European Pressure Ulcer Advisory Panel, Pan Pacific Pressure Injury Alliance. Repositioning and Mobilization. In: Prevention and Treatment of Pressure Ulcers/Injuries: Clinical Practice Guideline. The International Guideline. 4th ed. 2026.
- National Pressure Injury Advisory Panel, European Pressure Ulcer Advisory Panel, Pan Pacific Pressure Injury Alliance. Full Body Support Surfaces for Prevention of Pressure Injuries. In: Prevention and Treatment of Pressure Ulcers/Injuries: Clinical Practice Guideline. The International Guideline. 4th ed. 2026.
