FAB Scaleとは?BBS・Mini-BESTestとの使い分け

評価
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FAB Scale はBBSで拾いにくい高機能帯の不安定さをみる評価です

FAB Scale は、BBS では高得点でも方向転換・片脚支持・感覚条件の変化・歩行課題で不安が残る症例に使いやすいバランス評価です。この記事では、FAB Scale の特徴、向いている場面、BBS・Mini-BESTest・CB&M との使い分け、記録で残すべき観察ポイントを整理します。

バランス評価全体の選び方から確認したい場合は、先に バランス評価の使い分け を見ておくと、FAB Scale をどの位置づけで使うか整理しやすくなります。

FAB Scale とは高機能な高齢者向けに作られた40点満点のバランス評価です

FAB Scale は Fullerton Advanced Balance Scale の略で、比較的活動性の高い高齢者のバランス能力を多面的に評価するために開発された尺度です。10項目を各0〜4点で採点し、合計40点で整理します。

特徴は、静的立位だけでなく、支持基底面を狭くする課題、感覚条件を変える課題、方向転換、歩行を伴う課題、片脚支持などを含む点です。そのため、基本動作は自立していても、生活場面や外出場面で不安定さが残る症例の評価に向いています。

臨床では、合計点だけで判断するよりも、どの課題で点が落ちたかを見る方が実用的です。たとえば、片脚支持で落ちるのか、方向転換で落ちるのか、感覚条件の変化で崩れるのかによって、介入の方向性は変わります。

FAB Scale が向いているのはBBS高得点でも生活場面に不安が残る症例です

FAB Scale が向いているのは、BBS では大きな問題が見えにくい一方で、病棟外歩行、屋外歩行、方向転換、視線移動、片脚支持、不整地などで不安が残る症例です。

たとえば、病棟内歩行は自立しているものの、狭い場所での turn、急な停止、段差前後、頭部運動を伴う歩行でふらつく場合、FAB Scale を追加すると高機能帯の不安定さを整理しやすくなります。

療養病棟や回復期後半では、「歩けるが、退院後の生活では不安がある」という症例に出会うことがあります。このとき、基本動作の可否だけでなく、生活場面に近い少し難しい課題で崩れないかを見る視点が重要になります。

FAB Scale の見方は点数よりも崩れ方の記録が重要です

FAB Scale を実施するときは、できた・できないだけでなく、代償動作、左右差、上肢の使用、歩幅や歩隔の変化、速度低下、視線移動時のふらつき、姿勢反応の遅れを観察します。

記録では、合計点に加えて「どの条件で不安定になったか」を短く残すと再評価に使いやすくなります。高機能帯では大きく崩れないことも多いため、質の低下を観察語で残すことが大切です。

見ておきたい観察ポイント

FAB Scale では、支持基底面を狭くしたときの不安定さ、感覚条件が変わったときの崩れやすさ、方向転換時のぎこちなさ、片脚支持の左右差、歩行課題での姿勢制御の乱れを確認します。

記録例としては、「片脚支持で右支持時に骨盤動揺あり」「turn で歩隔拡大し速度低下」「頭部運動を伴う歩行で進行方向が不安定」など、次の介入につながる表現にすると使いやすいです。

FAB Scale の解釈は40点満点の合計点だけで決めない方が安全です

FAB Scale は40点満点で整理できますが、転倒リスクや生活上の危険性を合計点だけで断定するのは避けます。既往転倒、活動量、屋外歩行の有無、補助具、恐怖感、感覚機能、認知面も合わせて判断します。

特に高機能例では、数点の差よりも「どの課題で失点したか」の方が臨床判断に直結します。片脚支持で失点する症例と、感覚条件の変化で失点する症例では、練習課題もリスク説明も変わります。

FAB Scale で点が落ちたときの見方
落ちやすい課題 考えやすい背景 次に足したい評価
片脚支持・狭い支持基底面 左右差、支持脚安定性、足部戦略の弱さ 下肢筋力、Step Test、静的立位評価
方向転換・stepping 動的バランス、予測的姿勢制御、turn の不安定さ TUG、FSST、Mini-BESTest
感覚条件の変化 視覚依存、感覚統合の弱さ mCTSIB、条件変更下での立位評価
歩行を伴う課題 歩行中の姿勢制御、視線移動時の不安定さ FGA、CB&M、歩行観察

BBS・FAB Scale・Mini-BESTest・CB&M は評価したい深さで使い分けます

BBS・FAB Scale・Mini-BESTest・CB&Mの使い分けを整理した図版
BBS・FAB Scale・Mini-BESTest・CB&Mを、評価の深さに合わせて整理した図版です。

BBS、FAB Scale、Mini-BESTest、CB&M は、同じバランス評価でも役割が異なります。FAB Scale は、BBS 高得点でも不安が残るときの中間的な評価として考えると使いやすくなります。

※スマホでは表を左右にスクロールしてご覧ください。

BBS・FAB Scale・Mini-BESTest・CB&M の役割の違い
評価 主に見やすいこと 向いている場面 補いにくいこと
BBS 基本動作を含む基礎的バランス 導入時の全体把握、病棟内動作の確認 高機能帯の細かな不安定さ
FAB Scale 高機能帯のバランス低下、少し難しい課題での不安定さ BBS 高得点だが生活場面で不安が残るとき 要因の細かなドメイン分解
Mini-BESTest 予測的姿勢制御、反応的姿勢制御、感覚統合、動的歩行 どの要素で崩れるかを分けて見たいとき より高難度の community 課題
CB&M community level の高難度 balance / mobility 屋外・実生活に近い高難度課題まで見たいとき 導入時の簡便さ

整理すると、BBS は基礎、FAB Scale は高機能帯の中間、Mini-BESTest は要因分解、CB&M は community level の高難度課題です。BBS だけでは足りないが、いきなり CB&M まで必要ではない場面で、FAB Scale は使いやすい選択肢になります。

関連:BBS と Mini-BESTest の違い

FAB Scale の失敗は目的を決めずに使うことです

FAB Scale でよくある失敗は、「少し難しいバランステスト」とだけ理解して、何を拾う評価かを決めないまま使うことです。FAB Scale は、高機能帯の不安定さをみる目的で使うと価値が出ます。

もう1つの失敗は、BBS 高得点例をすべて FAB Scale に流してしまうことです。要因を細かく分けたいなら Mini-BESTest、屋外や community level の高難度課題まで見たいなら CB&M の方が向く場合があります。

FAB Scale 運用のOK / NG
場面 OK NG
導入目的 BBS 高得点でも不安が残る理由を整理する 重度例の安全確認だけに使う
記録 片脚支持、turn、感覚条件での崩れ方を短く残す 合計点だけを記録して終える
評価選択 Mini-BESTest や CB&M との役割分担を決める 高機能例なら何でも FAB Scale でよいと考える

比較・記録シートをダウンロード

高機能帯のバランス低下を、前回 / 今回 / 変化 / 解釈・メモで整理しやすいように、FAB Scale 記事に合わせた A4 1枚の比較・記録シートを用意しました。公式の採点表そのものではなく、所見の比較と再評価に使いやすい補助シートです。

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よくある質問

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FAB Scale はどんな症例で使いやすいですか?

BBS では高得点でも、方向転換、片脚支持、外出場面、頭部運動を伴う歩行などで不安が残る症例に使いやすいです。高機能帯の不安定さを拾いたいときの次の一手になります。

BBS と FAB Scale は何が違いますか?

BBS は基礎的なバランス能力を広く整理する評価です。FAB Scale は、より難しい課題を通して高機能帯の不安定さを見つけやすい点が違います。

Mini-BESTest とどちらを選べばいいですか?

どの要素で崩れるかをドメイン別に整理したいなら Mini-BESTest が向きます。BBS の次に、高機能帯の不安定さを簡潔に拾いたいなら FAB Scale が使いやすいです。

CB&M と FAB Scale はどう違いますか?

CB&M は community level の高難度課題まで見たいときに向きます。FAB Scale はその手前で、高機能帯のバランス低下を整理する中間的な評価として使いやすいです。

FAB Scale は点数だけで転倒リスクを判断できますか?

点数だけで転倒リスクを断定するのは避けます。既往転倒、活動量、屋外歩行、補助具、恐怖感、感覚機能なども合わせて判断する方が安全です。

次の一手

FAB Scale は、BBS 高得点でも生活場面に不安が残るときの評価として使いやすい尺度です。次に迷いやすいのは、評価全体の中でどこに位置づけるか、または Mini-BESTest や CB&M とどう使い分けるかです。


参考文献

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  3. Schlenstedt C, Brombacher S, Hartwigsen G, Weisser B, Möller B, Deuschl G. Comparing the Fullerton Advanced Balance Scale with the Mini-BESTest and Berg Balance Scale to assess postural control in patients with Parkinson disease. Arch Phys Med Rehabil. 2015;96(2):218-225. DOI: 10.1016/j.apmr.2014.09.002
  4. Schlenstedt C, Brombacher S, Hartwigsen G, Weisser B, Möller B, Deuschl G. Comparison of the Fullerton Advanced Balance Scale, Mini-BESTest, and Berg Balance Scale to predict falls in Parkinson disease. Phys Ther. 2016;96(4):494-501. DOI: 10.2522/ptj.20150249
  5. Mattos FGM, Gervasoni E, Anastasi D, Cattaneo D. Validation of the Fullerton Advanced Balance Scale for high-functioning non-disabled people with multiple sclerosis. Mult Scler Relat Disord. 2020;42:102085. DOI: 10.1016/j.msard.2020.102085

著者情報

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rehabilikun(理学療法士)

rehabilikun blog を 2022年4月に開設。医療機関/介護福祉施設/訪問リハの現場経験に基づき、臨床に役立つ評価・プロトコルを発信。脳卒中・褥瘡などで講師登壇経験あり。

  • 脳卒中 認定理学療法士
  • 褥瘡・創傷ケア 認定理学療法士
  • 登録理学療法士
  • 3学会合同呼吸療法認定士
  • 福祉住環境コーディネーター2級

専門領域:脳卒中、褥瘡・創傷、呼吸リハ、栄養、シーティング、摂食・嚥下

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