老年症候群ハブ|フレイル・転倒・低栄養を抜けなく整理【保存版】

疾患別
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老年症候群ハブ|フレイル・転倒・低栄養を“抜けなく”引く

老年症候群は「全部やる」より、入口で深掘り 1〜2 個に絞ると回りやすいです。本ページは、病棟・在宅の実務で迷いがちなスクリーニング → 重点評価 → 安全線 → 記録 → 再評価の順で、必要な導線をまとめた索引(ハブ)です。

評価・記録の型が固まると、老年症候群の「優先順位が決まらない」が一気に減ります。 評価→介入→再評価の「型」を 3 分で確認する

親ハブ:疾患別ハブ / 横断:評価ハブ / 栄養:栄養・嚥下ハブ

最短導線(まずはここだけ)

最初の 10 分は、①入口(広く拾う)→②深掘り 1〜2 個→③条件固定(再評価をブレさせない)の 3 点だけで十分です。

入口:スクリーニング( 5 分 )

入口は「広く浅く」拾い、深掘りは 1〜2 個に絞ると回ります。高齢者は“軽い低下の重なり”が転倒や入院を招きやすいので、まずは生活機能・運動機能・栄養の 3 点をそろえます。

老年症候群の入口スクリーニング(成人・高齢者:実務の目安)
領域 最初に使う(例) 拾えること 次の深掘り
生活機能 KCL / TMIG-IC IADL 低下・閉じこもり・抑うつ傾向の入口 ADL / IADL 評価ハブ
運動機能 歩行速度 / TUG / SPPB 転倒・移動制限の入口 歩行・バランス評価ハブ
栄養 食欲・摂取量・体重変化 低栄養・悪液質・サルコペニアの入口 栄養・嚥下ハブ
認知・せん妄 注意・見当識・昼夜逆転 転倒・拒否・離床困難の背景 鎮静・せん妄評価(RASS から)

重点評価:何を深掘りする?(迷わない選び方)

深掘りは「介入が変わる」ものだけを選ぶのがコツです。老年症候群では、①転倒・移動 ②フレイル/サルコペニア ③嚥下・低栄養のどれかに寄せると、方針が立ちやすくなります。

深掘りの選び方(老年症候群:実務の目安)
いま困っていること まず深掘り 見たいポイント 記録の型
転倒が多い/歩けない 歩行・バランス指標 直線/方向転換/立ち上がりのどこで崩れるか 同条件で再評価できるログ
体力が戻らない/痩せた サルコペニア運用(AWGS) 筋力・身体機能・栄養の“重なり” 栄養+運動をセットで経過追跡
むせ・食事が進まない 嚥下・食形態・姿勢 むせ/湿性嗄声/疲労での悪化 食事場面の条件固定(姿勢・食形態)
拒否・混乱で離床できない せん妄・環境要因 時間帯・刺激・睡眠・疼痛・便秘・薬剤 誘因の仮説 → 介入 → 再評価

安全管理(転倒・起立・中止基準)

老年症候群は“安全線が狭い”のが特徴です。転倒だけでなく、起立性低血圧や薬剤影響で、同じ介入でも日によって反応が変わります。まずは中止基準と血圧条件をそろえると、離床が止まりにくくなります。

記録テンプレ( SOAP )

点数だけだと多職種に伝わりにくいので、「どの生活場面が詰まっているか」を 1 行で示し、次に同条件で再評価できる形に整えると回ります。

  • S:例「入浴後にふらついて怖い」「外出が減って食欲も落ちた」など、生活の詰まり場面を 1 行で。
  • O:例 TUG 17.8 s(杖・監視)、SPPB 7/12、KCL 10 点、体重 − 2.0 kg / 1 か月。
  • A:方向転換と立ち上がりで不安定。生活動線の移動が詰まり点。低栄養が併存し、改善速度が出にくい。
  • P:立ち上がり反復+方向転換課題を短時間頻回で実施。食事量・体重の確認を併走。 1 週後に同条件で TUG / SPPB を再評価。

関連:記録の型を整えるなら ICF の書き方と記載例 もあわせて使うと、チーム共有が速くなります。

現場の詰まりどころ(よく詰まる → 打ち手)

老年症候群で詰まりやすいのは「項目が多くて優先順位が決まらない」「再評価が条件ブレで読めない」「生活に落ちない」の 3 つです。最小の打ち手だけに絞ります。

老年症候群リハで詰まりやすいポイントと最小の打ち手(高齢者・実務)
詰まりどころ 起こりやすい原因 最小の打ち手 次に見る
優先順位が決まらない 深掘り対象が多い 「転倒」「低栄養」「せん妄」のうち 1 つに寄せて深掘り 入口スクリーニング
再評価しても変化が読めない 靴・補助具・介助条件が毎回違う 条件固定(靴・補助具・介助・休憩ルール)をテンプレ化 握力・歩行速度の条件固定
生活に落ちず、活動が戻らない テスト評価で止まる IADL の“詰まり動線”を 1 つ決めて実装 ADL / IADL 評価ハブ
離床が不安で進められない 血圧・中止基準の共有不足 血圧条件固定+中止基準をチームで統一 起立性低血圧中止基準

よくある質問

各項目名をタップ(クリック)すると回答が開きます。もう一度タップで閉じます。

Q1. フレイルとサルコペニア、まずどっちを見るべきですか?

A. 入口では「生活( IADL )が落ちているか」「移動が危ないか」「体重や食事量が落ちているか」を先に拾い、その後にサルコペニア(筋力・身体機能・栄養)へ寄せると回りやすいです。運動だけでなく栄養の崩れがあると改善が遅れるため、早めに並走させます。

関連:フレイル評価の選び方サルコペニア運用(AWGS)

Q2. 評価項目が多くて、初回に時間が足りません。

A. 初回は「スクリーニング → 深掘り 1〜2 個」に割り切るのがコツです。入口は KCL / TMIG-IC と、歩行( TUG か SPPB )をそろえ、深掘りは転倒か栄養のどちらかに寄せると“回る形”になります。

Q3. 再評価がブレます。いちばん最初に直すべきは?

A. 条件固定です。靴、補助具、介助、休憩ルール、床面、時間帯を固定して記録し、同条件で縦比較できる形に整えます。点数より先に“条件”がそろうと、変化が読めるようになります。

Q4. 転倒不安は、機能テストだけでは足りませんか?

A. 足りないことがあります。機能( can )が残っていても、不安( fear )が強いと行動( do )が萎縮します。TUG / SPPB などに加えて、FES-I / MFES などの主観尺度を 1 つ併用すると、介入ターゲットが明確になります。

関連:FES-I・ABC・MFES 比較

次の一手(同ジャンル)

環境要因(教育体制・記録文化・人員・標準化)で詰まっている場合は、先に“点検”しておくと改善が早いです。

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参考文献

  1. Fried LP, Tangen CM, Walston J, et al. Frailty in older adults: evidence for a phenotype. J Gerontol A Biol Sci Med Sci. 2001;56(3):M146-M156. doi: 10.1093/gerona/56.3.m146(PubMed
  2. Chen LK, Woo J, Assantachai P, et al. Asian Working Group for Sarcopenia: 2019 Consensus Update on sarcopenia diagnosis and treatment. J Am Med Dir Assoc. 2020;21:300-307.e2. doi: 10.1016/j.jamda.2019.12.012(PubMed
  3. Chen LK, Hsiao FY, Akishita M, et al. A focus shift from sarcopenia to muscle health in the Asian Working Group for Sarcopenia 2025 Consensus Update. Nat Aging. 2025;5:2164-2175. doi: 10.1038/s43587-025-01004-y(PubMed
  4. Guralnik JM, Simonsick EM, Ferrucci L, et al. A short physical performance battery assessing lower extremity function: association with self-reported disability and prediction of mortality and nursing home admission. J Gerontol. 1994;49(2):M85-M94. doi: 10.1093/geronj/49.2.m85(PubMed

著者情報

rehabilikun(理学療法士) rehabilikun(理学療法士)

rehabilikun blog を 2022 年 4 月に開設。医療機関/介護福祉施設/訪問リハの現場経験に基づき、臨床に役立つ評価・プロトコルを発信。脳卒中・褥瘡などで講師登壇経験あり。

  • 脳卒中 認定理学療法士
  • 褥瘡・創傷ケア 認定理学療法士
  • 登録理学療法士
  • 3 学会合同呼吸療法認定士
  • 福祉住環境コーディネーター 2 級

専門領域:脳卒中、褥瘡・創傷、呼吸リハ、栄養(リハ栄養)、シーティング、摂食・嚥下

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