リハ栄養口腔連携体制加算の記録例【PT・OT・ST向け】

制度・実務
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リハ栄養口腔連携体制加算の記録は4要素で残す

リハビリテーション・栄養・口腔連携体制加算の記録では、単に「管理栄養士へ報告した」「STと連携した」と書くだけでは、患者の課題と介入のつながりを説明しにくくなります。PT・OT・STの記録は、観察した事実、共有した相手と内容、介入への反映、次回の再評価の4要素で整理するのが基本です。

この記事では、急性期病棟で使いやすい職種別の記録例、避けたいNG例、監査前の5分確認を整理します。記載例は算定を保証する定型文ではないため、最終的には令和8年度の通知、施設基準、疑義解釈、院内様式に沿って調整してください。

先に加算1・2の制度上の違いを確認する

点数、対象病棟、連携体制などの全体像は、記録例とは別の記事で整理しています。

リハ栄養口腔連携体制加算1・2の違いを確認する

記録例の前に確認したい制度上の要点

記録例は、正式な評価様式やカンファレンス記録を置き換えるものではありません。令和8年度の取扱いでは、対象病棟の患者に対するADL・栄養状態・口腔状態の評価、評価に基づく計画作成、定期的なカンファレンス、カンファレンス内容の記録などが重要になります。

そのため、個々のリハ記録だけを整えるのではなく、評価票、計画書、栄養記録、口腔管理記録、カンファレンス記録と内容がつながっているかを確認する必要があります。

制度上の記録とリハ記録の役割
記録 主な役割 確認したい点
評価・計画 ADL、栄養状態、口腔状態を踏まえて方針を決める 患者の課題と共通目標が一致しているか
カンファレンス記録 多職種で共有・検討した内容を残す 参加職種、課題、方針、役割分担が分かるか
各職種の経過記録 観察結果と実際の介入経過を残す 共有内容が介入や再評価に反映されているか

注意:以下の文章は、個別の経過記録を整理するための例です。記載するだけで算定要件を満たすものではなく、実際に行った評価・共有・介入に合わせて使用してください。

記録は「観察・共有・反映・再評価」で組み立てる

連携を説明しやすい記録は、患者の変化から次の確認までが一続きになっています。迷ったときは、次の4要素が入っているかを確認します。

リハ栄養口腔連携体制加算の記録を観察・共有・反映・再評価の4ステップで整理した図版
リハ栄養口腔連携体制加算の記録を組み立てる4要素
要素 記載する内容 短い記載例
1. 観察 ADL、疲労、摂取量、嚥下、口腔状態などの事実 朝食摂取量3割、端座位10分で疲労増強
2. 共有 誰に、何を共有したか 摂取量低下と活動耐久性を管理栄養士へ共有
3. 反映 共有後に変更した介入、姿勢、時間、負荷量 午前は端座位中心とし休息時間を確保
4. 再評価 次回確認する項目と時期 午後に疲労と離床可否を再評価する

基本形:「〇〇を認めた。△△職へ□□を共有した。介入を◇◇へ変更し、次回は××を再評価する。」

PT・OTの記録例

PT・OTは、活動やADLの変化を栄養摂取、食事姿勢、嚥下、口腔状態と結び付けて記録します。リハ実施内容だけでなく、患者の状態を誰に共有し、負荷量や環境設定をどう変えたかを残すことがポイントです。

PT・OTの連携記録例
場面 記録例
離床時の疲労 朝食摂取量3割。端座位10分で疲労感が増強した。摂取量低下と活動耐久性について管理栄養士へ共有。午前は端座位練習までとし、午後に疲労と離床可否を再評価する。
食事姿勢 食事場面で体幹右傾があり、座位保持が不安定。姿勢とむせの状況をST・看護師へ共有した。車椅子の骨盤支持と足底接地を調整し、次回の食事場面で姿勢保持を再確認する。
ADL練習 更衣練習中に息切れと疲労を認め、複数回の休息を要した。摂取量低下と活動時疲労を病棟・管理栄養士へ共有。更衣動作を工程分けし、翌日に休息回数と所要時間を再評価する。
義歯の不具合 昼食前の離床時に義歯のずれと咀嚼しにくさの訴えあり。看護師へ共有し、歯科職種への確認を依頼した。食事摂取量と食後の疲労を継続確認する。

療養病棟や高齢患者では、低活動と摂取量低下が同時に進みやすく、どちらが先かをリハ職だけで断定できないことがあります。その場合は、原因を決めつけず、観察した事実と活動への影響を共有する書き方が安全です。

STの記録例

STは、嚥下所見だけで完結させず、姿勢、食事中の疲労、摂取量、口腔内環境との関連を残します。食形態などの判断を記載する場合も、共有先、介助方法、次回の観察項目までつなげると連携の経過が分かりやすくなります。

STの連携記録例
場面 記録例
水分摂取時の変化 水分摂取後に湿性嗄声を認めた。摂取状況と観察結果を看護師・管理栄養士へ共有し、食事時の座位姿勢をPTと確認する。次回は姿勢調整後の湿性嗄声と摂取量を再評価する。
食事後半の疲労 食事後半に咀嚼速度が低下し、食事継続に休息を要した。摂取量低下の可能性について管理栄養士へ共有。病棟と食事時間、介助量、休息の入れ方を確認し、次回の摂取量を再評価する。
口腔内の変化 口腔乾燥と舌苔を認めた。観察結果と食事中の違和感を看護師へ共有し、口腔ケア状況を確認した。食前の口腔内状態と食事摂取への影響を継続確認する。

栄養・口腔へ共有するときは観察事実を伝える

リハ職は、栄養診断や歯科的診断を代行せず、リハ場面で確認した事実と活動への影響を共有します。専門外の原因を断定せず、「何が起きていたか」「生活動作にどう影響したか」を分けて伝えることが重要です。

栄養・口腔との共有に使いやすい観察項目
観察したこと 主な共有先 共有内容
食事摂取量が少ない 管理栄養士・看護師 摂取量、活動時疲労、離床状況を共有する
食事姿勢が崩れる ST・看護師 座位の崩れ方、むせ、介助量を共有する
口腔乾燥や食物残渣がある 看護師・歯科職種 観察時点、食事への影響、口腔ケア状況を共有する
義歯がずれる、痛みを訴える 歯科職種・看護師 本人の訴え、咀嚼状況、摂取量への影響を共有する

避けたいNG記録と修正例

避けたいのは、「連携した」という行為だけが書かれ、患者の課題や介入への反映が分からない記録です。共有先だけでなく、観察事実、共有内容、変更した対応を具体化します。

リハ栄養口腔連携体制加算の記録例におけるOK例とNG例の比較
リハ栄養口腔連携体制加算のNG記録と修正例
NG記録 不足している点 修正例
栄養士と連携した 観察事実と共有内容がない 朝食摂取量3割、離床時疲労あり。摂取量と活動耐久性について管理栄養士へ共有した。
STと共有した 何を共有し、何を変えたか分からない 食事時の体幹右傾とむせをSTへ共有。車椅子座位を調整し、次回の食事場面で再確認する。
口腔状態不良 曖昧で観察所見が分からない 口腔乾燥と食物残渣を認めたため看護師へ共有し、口腔ケアの実施状況を確認した。
低栄養のため離床困難 リハ職が原因を断定している 食事摂取量低下と離床時疲労を認めた。休息を挟んで実施し、栄養状態の評価について管理栄養士へ共有した。

現場で起こりやすい3つの記録漏れ

実際の現場で多いのは、連携そのものを行っていても、その後の対応や再評価が記録から抜けるケースです。特に次の3点を確認します。

  1. 共有先だけを書いている:何を共有したのかまで記載します。
  2. 介入変更が書かれていない:共有後に負荷量、姿勢、時間帯、介助方法をどう変えたかを残します。
  3. 再評価につながっていない:次回確認する摂取量、疲労、むせ、ADLなどを明示します。

監査前の5分チェック

監査前は記録量を増やすのではなく、評価、計画、カンファレンス、各職種の経過が一つの方向につながっているかを確認します。次の順番で確認すると、記録間の矛盾や不足を見つけやすくなります。

リハ栄養口腔連携体制加算の監査前5分チェック
順番 確認項目 確認内容
1 評価と計画 ADL、栄養状態、口腔状態の課題と目標が記載されているか
2 カンファレンス 多職種で検討した内容、役割分担、方針が記録されているか
3 経過記録 観察、共有、介入への反映、再評価が確認できるか
4 記録間の整合 リハ、栄養、嚥下、口腔管理の記録に矛盾がないか
5 日付と期間 入棟日、評価日、計画作成日、算定期間の整合が取れているか

よくある質問

各項目名をタップすると回答が開きます。

リハ職の経過記録だけで算定根拠になりますか?

リハ職の経過記録だけで算定要件全体を説明することはできません。評価・計画、カンファレンス、栄養管理、口腔管理などの記録と合わせて、連携体制と実施内容を説明できるようにします。

「管理栄養士へ共有」と書けば十分ですか?

共有先だけでなく、何を共有したかを記載します。摂取量、体重変化、活動時疲労、ADL、食事姿勢など、実際に観察した事実を短く残してください。

記録は毎回長く書く必要がありますか?

長文にする必要はありません。「観察したこと、共有した内容、介入への反映、次回の再評価」が分かれば、短い文章でも連携の経過を説明しやすくなります。

STが配置されていない場合はどう考えますか?

必要な職種配置や連携体制は、届出区分、施設基準、病棟の運用によって異なります。通知や疑義解釈を確認し、嚥下・口腔に関する評価や管理を院内でどのように担保するかを整理してください。

監査前に最も優先して確認する記録は何ですか?

一つの記録だけを見るのではなく、評価・計画、カンファレンス、各職種の経過記録が同じ課題と目標につながっているかを優先して確認します。特に、共有後の介入変更と再評価が抜けていないかを確認してください。

次の一手

まず1症例を選び、評価・計画、カンファレンス、PT・OT・ST、栄養、口腔の記録を並べてください。「観察した事実」「共有した内容」「介入への反映」「再評価」の4要素がつながっていれば、連携の経過を説明しやすくなります。


参考文献

  1. 厚生労働省. 令和8年度診療報酬改定について. 令和8年度診療報酬改定について.
  2. 厚生労働省保険局医療課. 診療報酬の算定方法の一部改正に伴う実施上の留意事項について. 令和8年3月5日保医発0305第6号.
  3. 厚生労働省保険局医療課. 基本診療料の施設基準等及びその届出に関する手続きの取扱いについて. 令和8年3月5日保医発0305第7号.

著者情報

リハ栄養口腔連携体制加算の記事を執筆したrehabilikun

rehabilikun(理学療法士)

rehabilikun blogを2022年4月に開設。医療機関、介護福祉施設、訪問リハの現場経験に基づき、臨床に役立つ評価・プロトコルを発信。脳卒中・褥瘡などで講師登壇経験あり。

  • 脳卒中 認定理学療法士
  • 褥瘡・創傷ケア 認定理学療法士
  • 登録理学療法士
  • 3学会合同呼吸療法認定士
  • 福祉住環境コーディネーター2級

専門領域:脳卒中、褥瘡・創傷、呼吸リハ、栄養、リハ栄養、シーティング、摂食・嚥下

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