リハビリテーション統括調整室とは?設置済みの新体制
リハビリテーション統括調整室は、厚生労働省がリハビリテーション政策を分野横断的に進めるため、2026年5月19日に設置した省内組織です。医療・介護に加え、予防・健康増進、専門職制度の見直しなどを総合的に検討する体制として位置づけられています。ただし、設置されたことと、診療報酬・介護報酬、PT・OT・STの業務範囲や処遇が変更されたことは別です。この記事では、公式情報に基づき、確定事項・検討課題・未確定事項を分けて整理します。
最初に結論
リハビリテーション統括調整室は「設置予定」ではなく、2026年5月19日に設置済みです。一方、新しい加算、施設基準、業務範囲、処遇改善が決定したわけではありません。
統括部署の設置を求めるまでの政策的な流れや、PT・OT・STの関係団体が示した要望を確認したい方は、リハ議連247名と7項目要望の記事も参考にしてください。
現時点で確定していること
確定しているのは、厚生労働省内に統括調整室が設置され、リハビリテーション政策を分野横断的に進める体制が始まったことです。
厚生労働大臣は2026年5月19日の会見で、医療介護連携・データヘルス改革担当の大臣官房審議官を室長として、同日付でリハビリテーション統括調整室を設置したと説明しました。
| 項目 | 確定している内容 | PT・OT・STが押さえる点 |
|---|---|---|
| 設置日 | 2026年5月19日 | 設置予定ではなく、すでに設置されている |
| 設置場所 | 厚生労働省内 | 独立した外部機関ではなく、省内の政策調整体制 |
| 室長 | 医療介護連携・データヘルス改革担当の大臣官房審議官 | 医療・介護をまたぐ政策調整が意識されている |
| 目的 | 省内の関係部局が分野横断的にリハ政策を推進する | 診療報酬だけでなく、介護・予防・健康増進も対象になり得る |
| 政策の方向性 | 国民の健康増進に寄与するリハビリテーションを戦略的に推進する | 治療後の機能回復だけでなく、予防領域にも注目する |
なぜ統括調整室が設置されたのか
設置の背景には、リハビリテーション専門職の活動領域が、医療・介護から予防・健康増進へ広がっていることがあります。
リハビリテーション政策は、医政、保険、介護、障害福祉、健康づくりなど複数の領域に関係します。領域ごとに制度や担当部局が分かれていると、急性期から生活期、予防までを一体的に整理しにくくなります。
厚生労働大臣は、理学療法士及び作業療法士法の施行から約60年が経過し、その間に専門職の役割が変化していることにも触れています。そのうえで、制度的な見直しが可能かどうかを検討する必要があるとの認識を示しました。
| 視点 | 背景 | 今後の論点 |
|---|---|---|
| 活動領域 | 医療・介護から予防・健康増進まで広がっている | 予防領域における専門職の役割整理 |
| 政策の分散 | 関係する制度や担当部局が複数に分かれている | 医療・介護・福祉・予防をまたぐ政策調整 |
| 専門職制度 | PT・OT法の施行から約60年が経過している | 現在の活動実態に制度が合っているかの検討 |
確定・検討・未確定を分けて読む
制度ニュースを正確に理解するには、「確定したこと」「検討課題として示されたこと」「まだ決まっていないこと」を分ける必要があります。
| 段階 | 内容 | 現場での扱い |
|---|---|---|
| 確定 | 統括調整室が2026年5月19日に設置された | 院内資料でも確定情報として共有できる |
| 検討課題 | 予防医療、専門職の役割、切れ目のない提供体制、人材不足、研修など | 今後の政策論点として共有する |
| 未確定 | 報酬、施設基準、配置基準、業務範囲、給与への具体的な反映 | 決定事項のように院内運用を変更しない |

統括調整室の設置は確定していますが、その後にどの政策が採用され、法令・告示・通知・報酬改定へ反映されるかは別に確認する必要があります。
まだ決まっていないこと
現時点では、新しい加算、施設基準、配置基準、専門職の業務範囲、処遇改善策などは、統括調整室の設置だけでは確定していません。
| 論点 | 現時点の判断 | 今後確認する資料 |
|---|---|---|
| 診療報酬 | 新たな点数や加算が設けられるかは未確定 | 中医協、診療報酬改定資料、告示、通知 |
| 介護報酬 | 訪問・通所・老健などへの具体的な影響は未確定 | 介護給付費分科会、介護報酬改定資料 |
| 施設・配置基準 | 人員配置や施設要件が変更されるかは未確定 | 省令、告示、施設基準通知 |
| 業務範囲 | PT・OT・STの業務範囲が変更された事実はない | 法改正案、審議会資料、関係法令 |
| 処遇改善 | 統括調整室の設置だけで賃金が上がるわけではない | 予算、報酬改定、賃上げ支援策 |

PT・OT・STにとってなぜ重要なのか
PT・OT・STにとって重要なのは、これまで別々に見えやすかった職域、法制度、教育、人材、医療・介護連携の論点が、省内横断で検討される可能性があることです。
臨床現場では、患者の支援が病院内だけで完結するとは限りません。急性期、回復期、療養、在宅、通所、介護予防、就労支援などへ連続していくため、制度が分断されていると支援の切れ目が生じやすくなります。
療養病棟でも、PT・OT・STは個別訓練だけでなく、褥瘡予防、ポジショニング、摂食・嚥下、栄養、退院支援、介護職への助言などに関わります。現場で広がっている役割が、今後政策上どのように整理されるかは重要な確認点です。
今後注目したい政策領域
今後は報酬改定だけに絞らず、予防、提供体制、人材、研修、就労世代への支援を含めて確認する必要があります。
| 領域 | 公式発言などから確認できる論点 | 現場で見るポイント |
|---|---|---|
| 予防・健康増進 | 攻めの予防医療におけるリハ専門職の役割 | フレイル、転倒予防、通いの場、健康づくりとの接続 |
| 切れ目のない提供体制 | 各病期・生活場面をつなぐリハ提供体制 | 急性期から在宅までの連携と情報共有 |
| 人材不足 | 必要な地域・領域へ人材を確保する方法 | 地域偏在、採用、定着、業務分担 |
| 研修 | 専門職の研修や能力向上のあり方 | 卒後教育、新人教育、領域別研修 |
| 現役・就労世代 | 仕事を続けながらサービスを受けにくい課題 | 外来リハ、両立支援、就労支援、提供時間 |
| 専門職制度 | 役割変化を踏まえた制度的見直しの可能性 | 法改正、業務範囲、資格制度の議論 |
5分で確認する公式情報チェック
新しい発表があったときは、次の順番で確認すると、政策方針と現場ルールを混同しにくくなります。
- 大臣会見・報道発表:政策の方向性や設置事実を確認する
- 説明資料:対象領域、体制、目的を確認する
- 審議会資料:具体的な制度案が議題になっているか確認する
- 法令・告示・通知:現場ルールとして確定した内容を確認する
- 疑義解釈・地方厚生局資料:算定や運用の具体的な扱いを確認する
現場の詰まりどころ
制度ニュースでは、大臣の発言、検討方針、正式な制度変更が同じ強さで伝わることがあります。しかし、大臣会見で示された方向性だけでは、施設基準や算定方法を変更できません。
院内共有では「設置済み」「検討課題」「未確定」の3つに分けると、誤解を防ぎやすくなります。
院内共有で避けたい伝え方
院内で共有するときは、将来の可能性を確定事項のように表現しないことが重要です。
| 区分 | 共有例 | 判断 |
|---|---|---|
| NG | 統括調整室ができたので、リハ職の業務範囲が広がります | 業務範囲の変更はまだ決まっていない |
| NG | 次の改定でリハの加算が増えます | 具体的な報酬新設は公表されていない |
| OK | 厚労省内に統括調整室が設置され、予防や専門職制度を含む政策を横断的に検討する体制が始まりました | 設置事実と政策の方向性を分けている |
| OK | 具体的な報酬・配置・業務範囲への影響は、今後の審議会や通知を確認します | 未確定事項を明示している |
現場で今すぐ変えることはあるか
統括調整室の設置だけを理由に、算定、記録、人員配置、業務範囲を変更する必要はありません。
現時点で行うべきことは、既存の法令・施設基準・通知に沿った運用を続けながら、今後の公式情報を追える体制を整えることです。
| 対応 | 具体例 |
|---|---|
| 行う | 厚労省の会見、審議会、通知を定期的に確認する |
| 行う | 確定事項と検討事項を分けて院内共有する |
| 行う | 自施設に関係する医療・介護・予防領域の課題を整理する |
| 行わない | 根拠となる通知がない段階で算定方法を変更する |
| 行わない | 業務範囲や配置基準が変わったと断定する |
| 行わない | 統括調整室の設置を給与改善の決定として説明する |
よくある質問
各項目名をタップすると回答が開きます。
リハビリテーション統括調整室とは何ですか?
厚生労働省内で、医療・介護・予防・健康増進などにまたがるリハビリテーション政策を分野横断的に進めるための体制です。2026年5月19日に設置されました。
リハビリテーション統括調整室はすでに設置されていますか?
はい。厚生労働大臣は2026年5月19日の会見で、同日付で設置したと説明しています。設置予定の段階ではありません。
すぐに診療報酬や介護報酬が変わりますか?
統括調整室の設置だけで、点数、加算、施設基準、算定要件が変更されたわけではありません。具体的な変更は、中医協、介護給付費分科会、告示、通知などで別途確認する必要があります。
PT・OT・STの業務範囲は広がりますか?
専門職の役割変化を踏まえた制度的見直しを検討する必要性は示されていますが、現時点で業務範囲が変更された事実はありません。今後の法改正や審議会資料を確認する必要があります。
リハ職の処遇改善につながりますか?
統括調整室の設置だけで賃金や手当が上がるわけではありません。処遇改善に反映されるには、予算措置、診療報酬・介護報酬、賃上げ支援策などの具体的な制度設計が必要です。
今、現場で何をしておけばよいですか?
既存ルールに沿った運用を続けながら、厚労省の会見、審議会資料、通知を追える担当や共有方法を決めておくとよいでしょう。院内共有では、確定・検討・未確定を分けることが重要です。
次の一手
リハビリテーション統括調整室は、政策を実行するための体制が設けられたというニュースです。次は、設置までに示されていた関係団体の要望と、現場で適用されている既存の算定ルールを確認すると、政策と実務の違いを整理しやすくなります。
参考文献
- 厚生労働省. 上野大臣会見概要(令和8年5月19日). 2026. 厚生労働省公式ページ
- 厚生労働省. フォトレポート:リハビリテーション現場の視察. 2026年5月25日. 厚生労働省公式ページ
- 厚生労働省. 中央社会保険医療協議会. 厚生労働省公式ページ
- 厚生労働省. 社会保障審議会介護給付費分科会. 厚生労働省公式ページ
著者情報

rehabilikun(理学療法士)
rehabilikun blogを2022年4月に開設。医療機関/介護福祉施設/訪問リハの現場経験に基づき、臨床に役立つ評価・プロトコルを発信。脳卒中・褥瘡などで講師登壇経験あり。
- 脳卒中 認定理学療法士
- 褥瘡・創傷ケア 認定理学療法士
- 登録理学療法士
- 3学会合同呼吸療法認定士
- 福祉住環境コーディネーター2級
専門領域:脳卒中、褥瘡・創傷、呼吸リハ、栄養(リハ栄養)、シーティング、摂食・嚥下

