理学療法士の生成AI活用例10選|実務で使える入力例

制度・実務
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理学療法士が明日から使える生成AI活用例10選

理学療法士が生成AIを活用するなら、診療判断を任せるのではなく、記録の文章整理、患者説明の言い換え、資料構成、学習内容の整理などから始めるのが現実的です。本記事では、明日から試しやすい実務活用例を10個に絞り、入力例と確認ポイントを紹介します。患者情報や施設名などは入力せず、出力は必ず下書きとして確認・修正することを前提に、どの業務から取り入れるとよいか判断できる形で整理します。

本記事では、氏名、患者ID、施設名、日付、画像、録音、詳細な経過など、個人を推定できる情報を生成AIへ入力しない前提で解説します。施設の利用ルールを確認し、AIの出力に対する最終確認と判断は必ず人が行ってください。

生成AI活用の全体像を先に確認したい方へ

本記事は、理学療法士が実務で生成AIをどう使えるかに絞った記事です。安全な使い方、入力を避ける情報、用途別の記事一覧は親記事で整理しています。

理学療法士の生成AI活用ガイドを見る

生成AIの活用先は文章整理から選ぶ

最初に試すなら、出力内容を自分で確認しやすく、誤りがあっても患者対応へ直接影響しにくい用途を選びます。

生成AIと相性がよいのは、正解を決めてもらう業務ではなく、文章の整理、構成案の作成、表現候補の提示です。評価選択、リスク管理、運動処方など、個別の臨床判断が必要な部分は理学療法士が担います。

スマホでは表を横スクロールできます。

理学療法士が試しやすい生成AI活用例の比較
活用例 AIへ依頼すること 人が確認すること 始めやすさ
SOAP記録 一般化したメモの分類と文章整理 観察事実、解釈、施設の記録ルール 始めやすい
カルテ文 冗長表現や曖昧表現の修正案 事実関係と表現の正確性 始めやすい
患者説明 専門用語の言い換え 患者の理解度と説明内容の妥当性 始めやすい
資料作成 見出しと発表順序の提案 根拠、症例との整合性、院内様式 始めやすい
評価・運動 一般的な候補の整理 適応、リスク、個別性、実施可否 慎重に使う
理学療法士が生成AIに任せてよい文章整理と任せない診療判断を比較した図版
生成AIに任せてよいことと、理学療法士が判断すべきことの線引き
理学療法士の生成AI活用例を記録、説明、勉強、資料、発信、キャリアに分けた活用マップ
理学療法士の生成AI活用マップ

PDF:理学療法士向けChatGPT活用チェックシート

生成AIを使う前に確認したい「目的」「個人情報」「出力確認」「実務での使い分け」をA4用紙1枚に整理したチェックシートです。

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理学療法士向け生成AI活用例10選

実務での生成AI活用は、AIへ依頼する範囲と、理学療法士が確認する範囲を分けることが重要です。

1.SOAP記録の構成を整理する

生成AIは、一般化した箇条書きメモをS・O・A・Pへ分類し、文章構成を整える補助に使えます。

たとえば、新人PTがOとAを混同しやすい場合に、架空事例を使って「観察事実」と「解釈」の分け方を練習できます。実際のカルテ内容や患者情報を貼り付けるのではなく、個人を推定できない架空例や一般化した表現を使用します。

入力例
以下は架空のリハビリ場面です。内容をSOAP形式へ整理してください。Oは観察事実、Aはその事実に基づく解釈として分けてください。

出力後は、実際に観察していない内容が追加されていないか、OとAが適切に分かれているかを確認します。詳しい進め方は、SOAP記録をChatGPTで整理する方法で解説しています。

2.カルテ文を簡潔に整える

長くなったカルテ文を短くしたり、事実と判断を分けたりする用途にも活用できます。

「ふらつきあり」「状態不良」「歩行不安定」といった表現は、観察した場面や介助内容が伝わりにくいため、具体化する必要があります。生成AIには、完成文を作らせるよりも、曖昧な部分を指摘させる使い方が適しています。

入力例
以下の架空のカルテ文から、曖昧な表現を抽出してください。勝手に事実を補わず、追加で確認すべき項目も示してください。

AIが具体的な数値や介助量を推測して追加していないかを必ず確認します。

3.患者説明をわかりやすく言い換える

専門用語を患者さんや家族が理解しやすい表現へ言い換える下書きにも使えます。

「廃用」「起立性低血圧」「筋力低下」「自主トレーニングの必要性」などを、短い文章や会話形式へ変換できます。ただし、生成された説明が医学的に正しいか、目の前の患者さんの状態に合っているかは専門職が確認します。

入力例
「筋力低下」を患者さんへ説明する文章を作ってください。専門用語を避け、100字以内で、責める印象にならない表現にしてください。

実際の説明では、患者さんの理解度、認知機能、不安の強さに合わせて言葉を調整します。

4.カンファレンスの発言内容を整理する

生成AIは、カンファレンスで報告する順番や、限られた時間内で伝える項目の整理に使えます。

現在のADL、改善点、残存課題、退院後の生活で予想される問題、家族指導、環境調整など、報告項目の型を作成できます。

入力例
退院前カンファレンスで理学療法士が3分以内に報告するための構成を作ってください。現在の移動能力、介助量、リスク、退院後の課題の順で整理してください。

症例情報を入力せず、先に報告の「型」だけを作り、実際の内容は院内で追記する方法が安全です。

5.評価項目の候補を整理する

疾患や障害像に対する一般的な評価項目を学習目的で整理することはできますが、評価選択をAIへ任せてはいけません。

AIが提示した評価項目には、病期に合わないもの、施設で使用していないもの、患者さんのリスクを考慮していないものが含まれる可能性があります。

入力例
脳卒中後の歩行障害について、理学療法士が学習するときの評価項目を、心身機能、活動、環境因子に分けて列挙してください。個別症例への適応判断は行わないでください。

評価の実施可否や優先順位は、病期、全身状態、リスク、目的、施設方針に基づいて理学療法士が判断します。

6.自主トレーニングのアイデアを広げる

生成AIは、自主トレーニングの一般的なアイデアを列挙する補助には使えますが、個別の運動処方には慎重さが必要です。

疼痛、転倒リスク、循環動態、認知機能、荷重制限、住環境などをAIが正確に把握することはできません。そのため、患者さんへそのまま渡すメニューを作らせる使い方は避けます。

入力例
高齢者の下肢筋力維持に用いられる一般的な運動の種類を、座位、立位、歩行に分けて整理してください。個別の回数や負荷量は設定しないでください。

提示された候補から、適応、負荷量、中止基準、介助環境を理学療法士が検討します。

7.論文やガイドラインを読む準備をする

生成AIは、論文の構造や専門用語を整理し、原文を読む前の準備をする用途に向いています。

研究デザイン、対象者、主要評価項目、結果、限界を分けて整理させると、読むべき箇所を把握しやすくなります。ただし、AIの要約だけで結論を判断せず、重要な数値や著者の主張は必ず原文で確認します。

入力例
以下の論文抄録を、研究目的、対象、方法、主要結果、限界に分けて整理してください。抄録に書かれていない内容は推測しないでください。

文献名、著者名、DOI、数値、引用文については、原文との照合が必要です。

8.院内発表スライドの構成を作る

院内勉強会や症例発表では、スライドを作り始める前の構成整理に生成AIを活用できます。

発表時間、対象者、目的を指定すると、導入、要点、事例、まとめの順番を提案させられます。文章を大量に生成させるより、1枚ごとの役割を決める用途の方が実務的です。

入力例
新人PT向けの10分間の院内勉強会について、スライド8枚の構成案を作ってください。1枚につき伝える要点は1つにしてください。

根拠となる資料、院内ルール、症例情報との整合性は発表者が確認します。具体的な作成手順は、院内発表スライドを生成AIで作る方法で整理しています。

9.ブログやSNS投稿の下書きを作る

生成AIは、ブログ記事の構成案、タイトル候補、要約、SNS投稿文の下書きにも活用できます。

ただし、医療情報を発信する場合は、生成された文章がもっともらしく見えても、そのまま公開してはいけません。出典、数値、制度名、医学用語、対象者への適用範囲を確認します。

入力例
理学療法士向けに「記録で避けたい曖昧表現」を解説する記事構成を作ってください。定義だけで終わらず、修正例と確認ポイントを含めてください。

自身の経験や検証結果を加え、AIが生成した一般論だけの記事にならないようにします。

10.経験やキャリアを言語化する

生成AIは、これまでの経験を振り返り、強みや担当業務を言語化する補助にも使えます。

経験した領域、担当した役割、改善した業務、院内活動、取得資格などを項目ごとに整理すると、職務経歴や今後の目標を考えやすくなります。

入力例
理学療法士が職務経験を振り返るための質問を10個作ってください。臨床経験、チーム活動、教育、業務改善、得意分野を整理できる内容にしてください。

勤務先、患者情報、同僚の氏名などは入力せず、自分で回答を考えるための質問作成に利用します。

実務で使いやすい入力文の作り方

生成AIへの入力は、「目的・対象・条件・禁止事項・出力形式」の5点を含めると整理しやすくなります。

単に「カルテを書いて」と依頼すると、AIが不足情報を推測して文章を補う可能性があります。何をしてほしいかだけでなく、何をしてはいけないかも明記することが重要です。

スマホでは表を横スクロールできます。

生成AIへ入力するときの5要素
要素 伝える内容 記載例
目的 何を整理したいか SOAPのOとAを分けたい
対象 誰が読む文章か 新人PT向け、患者さん向け
条件 長さや表現方法 100字以内、専門用語を避ける
禁止事項 推測や追加を防ぐ指示 書かれていない事実を追加しない
出力形式 表、箇条書き、文章など 表形式で3項目に分ける

基本形
以下の架空例を、[目的]のために整理してください。対象は[対象者]です。[条件]を守り、入力文にない事実は追加しないでください。結果は[出力形式]で示してください。

実務では、入力前の確認と出力後の照合を含めた4ステップで使用します。

療養病棟では、記録やカンファレンス準備に使える時間が限られる場面があります。そのような場合も、カルテ情報を外部サービスへ貼り付けるのではなく、院内で使用する文章の型や確認項目を、患者情報を使わずに先に作っておく方法が現実的です。

理学療法士向け生成AI活用フロー
ステップ 行うこと 確認ポイント
1 用途を決める 文章整理、言い換え、構成案など、AIへ任せる範囲を限定する
2 入力情報を確認する 患者情報、施設情報、画像、録音などが含まれていないか確認する
3 条件と禁止事項を指定する 推測しない、事実を追加しない、根拠不明の数値を示さないと伝える
4 出力を照合して修正する 観察事実、一次情報、院内ルール、専門職としての判断と照合する

生成AIを使うときの注意点

医療職が生成AIを使う場合は、個人情報、正確性、利用環境、最終責任の4点を確認します。

個人を推定できる情報を入力しない

氏名や患者IDだけでなく、生年月日、入退院日、施設名、画像、録音、詳細な経過など、情報の組み合わせによって個人を推定できる内容も入力しません。

単に氏名を削除しただけでは、十分に匿名化できているとは限りません。個人情報を除いたつもりでも判断が難しい場合は、入力せず、架空例や一般論へ置き換えます。

施設の利用ルールを確認する

生成AIサービスの利用可否や入力できる情報は、施設の情報セキュリティ方針や契約環境によって異なります。

個人の判断だけで業務利用を始めず、院内規程、情報管理部門の方針、使用しているサービスの契約条件を確認してください。

制度や医学情報を一次情報で確認する

生成AIは、存在しない文献、誤った基準値、古い制度情報などをもっともらしく提示することがあります。

ガイドライン、診療報酬、介護報酬、薬剤、医学的な数値を扱う場合は、行政機関、学会、原著論文などの一次情報へ戻って確認します。

評価・介入の最終判断は専門職が行う

生成AIは、患者さんの状態を直接評価できず、臨床判断に伴う責任も負えません。

評価の優先順位、リスク管理、運動負荷、介助方法、中止基準などは、理学療法士が患者さんの状態と根拠を踏まえて判断します。

生成AI活用でよくある失敗

よくある失敗は、AIの文章が読みやすいことと、内容が正しいことを混同してしまうことです。

スマホでは表を横スクロールできます。

理学療法士の生成AI活用でよくある失敗と対策
失敗 問題点 対策
カルテをそのまま貼り付ける 患者情報や施設情報が外部へ送信される可能性がある 実際のカルテは入力せず、架空例や文章の型を使う
出力をそのまま使用する 事実と異なる内容が含まれる可能性がある 原情報と一文ずつ照合する
指示を曖昧にする AIが不足情報を推測して補いやすい 目的、条件、禁止事項、形式を指定する
架空の文献を引用する 存在しない文献や誤った書誌情報を掲載する恐れがある PubMed、DOI、学会、行政機関の原文を確認する
評価や運動処方を丸投げする 個別性やリスクが反映されない 候補整理に限定し、適応と実施内容は専門職が判断する
施設ルールを確認しない 院内規程や契約条件に反する可能性がある 利用前に情報管理部門や院内規程を確認する

最初に試すなら患者情報を使わない用途を選ぶ

初めて生成AIを使う場合は、患者情報を必要とせず、出力を自分で評価しやすい用途から始めます。

たとえば、院内勉強会の見出し案、患者説明の一般的な言い換え、架空症例を使ったSOAP練習、文献を読むための確認項目作成などです。

反対に、患者ごとの評価選択、運動負荷、リスク判定、治療方針などは、初めからAIへ委ねる用途ではありません。

最初の1回におすすめの入力例

「新人理学療法士向けに、SOAP記録のOとAを区別するための架空事例を1つ作ってください。患者を特定する情報は含めず、最後に模範的な分類例を示してください。」

実際の患者情報を使用せず、AIの出力を自分で評価できるため、生成AIの特徴をつかみやすい使い方です。

よくある質問

各項目名をタップすると回答が開きます。もう一度タップすると閉じます。

理学療法士が生成AIを使っても大丈夫ですか?

施設のルールと利用するサービスの条件を確認し、個人情報を入力せず、出力を下書きとして人が確認する範囲で活用します。診療判断やリスク管理を生成AIへ代行させる使い方は避けてください。

患者名を削除すればカルテ内容を入力できますか?

氏名を削除しただけでは安全とは限りません。日付、施設名、疾患、詳細な経過、画像などの組み合わせから個人を推定できる可能性があります。本記事では、実際のカルテ内容を外部の生成AIへ入力せず、架空例や一般化した文章を使うことを推奨しています。

生成AIが作った文章をカルテにそのまま使えますか?

そのまま使用することは避けます。AIは入力されていない事実を補ったり、観察内容と解釈を混同したりする可能性があります。実際の観察事実、院内様式、記録ルールと照合し、理学療法士が修正してください。

新人PTは何から試すとよいですか?

患者情報を使わずに行える、専門用語の言い換え、架空症例でのSOAP分類、勉強会の構成案、学習項目の整理などがおすすめです。出力が正しいか自分で判断できる用途から始めます。

評価項目や自主トレーニングを考えてもらってもよいですか?

一般的な候補の整理には利用できますが、個別症例への適応判断は任せられません。病期、全身状態、疼痛、転倒リスク、循環動態、認知機能、生活環境などを踏まえ、理学療法士が内容と実施可否を判断します。

まとめ

理学療法士の生成AI活用は、SOAP記録、カルテ文、患者説明、カンファレンス、学習、資料作成など、文章や情報を整理する用途から始めるのが現実的です。

生成AIへ診療判断を任せるのではなく、下書き、言い換え、構成案、候補整理に限定します。患者情報を入力せず、施設のルールを確認し、出力を観察事実や一次情報と照合することが重要です。

次の一手

まずは生成AI活用の全体ルールを確認し、その後、患者情報を使わずに試せるSOAP記録の整理から始めてください。


参考文献

  1. 厚生労働省. 医療情報システムの安全管理に関するガイドライン 第7.0版. 2026. 厚生労働省公式ページ
  2. OpenAI. Data Controls FAQ. OpenAI Help Center
  3. OpenAI. ChatGPT Privacy Settings. OpenAI公式ページ

著者情報

rehabilikun blogを運営する理学療法士rehabilikun

rehabilikun(理学療法士)

rehabilikun blogを2022年4月に開設。医療機関、介護福祉施設、訪問リハビリテーションの現場経験に基づき、臨床に役立つ評価・プロトコルを発信。脳卒中・褥瘡などで講師登壇経験あり。

  • 脳卒中 認定理学療法士
  • 褥瘡・創傷ケア 認定理学療法士
  • 登録理学療法士
  • 3学会合同呼吸療法認定士
  • 福祉住環境コーディネーター2級

専門領域:脳卒中、褥瘡・創傷、呼吸リハビリテーション、リハビリテーション栄養、シーティング、摂食・嚥下

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