運動療法ハブ|筋トレ・有酸素・安全管理の全体像
運動療法は「頑張る」より、安全 → 処方 → 記録 → 再評価の型で回すほど再現性が上がります。本ハブでは、筋力トレーニング(筋トレ)と有酸素運動を中心に、強度設定( RPE / FITT )、中止基準、記録の残し方までを最短導線でまとめます。
まずは「目的を 1 つ」「変える変数を 1 つ」に絞って 2〜 4 週回し、反応(症状・バイタル・疼痛)を同じ条件で比較できる状態に揃えるのがコツです。評価スケールの全体像に戻りたい場合は 評価ハブ もあわせて確認してください。
運動療法の「型」が整うと、説明・記録・申し送りが一気にラクになります。臨床の学び方も一緒に整理しておくと迷いが減ります。
PT のキャリア設計フローを見る想定読者/得られること
- 想定読者:PT / OT / ST、運動療法の処方・安全管理・記録を標準化したい方
- 得られること:①強度設定( RPE / FITT )の共通言語化 ②中止基準の迷いを減らす ③記録が「次回調整」につながる
- 使い方:下の「最短導線」から 1 本 → 同じ条件で 2〜 4 週 → 反応で微調整
5 分で回す(安全 → 処方 → 記録 → 再評価)
- 安全確認:中止基準(循環・症状)を先に共有して判断を揃える
- 処方:% 1RM が難しい場面は RPE を共通言語にする(まず揃える)
- 実施:フォーム・呼吸・休息を固定し、変える変数は 1 つに絞る
- 記録:反応(症状・バイタル・疼痛)と条件(体位・時間帯・介助)をセットで残す
- 再評価:同じ条件で比較し、次回の調整(漸進)につなげる
最短導線(目的別の早見)
※スマホでは表が横にスクロールできます。
| 目的 | まず読む(入口) | 次に読む(詰まり解消) | 再評価で固定する |
|---|---|---|---|
| 筋力を上げたい(筋トレ設計) | 筋トレの 3 原理・ 6 原則 | 負荷設定( RPE )と回し方 | 条件(体位・疼痛・介助)+ RPE をセットで記録 |
| 効かせ方を変えたい(収縮様式) | 求心・遠心・等尺の使い分け | 特異性(狙い)と漸進性(増やし方) | 同じテンポ/同じ可動域で反応(疼痛・筋痛・疲労)を比較 |
| 運動耐容能を上げたい(有酸素) | 有酸素運動: FITT ・中止基準・記録 | リハ前後の血圧チェック手順 | RPE / Talk test /心拍の「どれで追うか」を固定 |
| 安全管理を揃えたい(中止・注意) | 土肥・アンダーソンの基準 | 測定タイミングと記録の型(血圧) | 「いつ/どの体位で/何分後に」測るかを固定 |
| 呼吸の負荷を伸ばしたい( IMT ) | IMT 運用プロトコル | 呼吸・運動耐容能の評価まとめ | 負荷・頻度・実施姿勢を固定し、息切れと SpO2 の反応で調整 |
筋力トレーニング(原理・原則 → 具体設計)
有酸素運動(運動耐容能)|強度設定( FITT )と中止基準
安全管理(中止基準・バイタル・症状の見方)
- 土肥・アンダーソンの基準:禁忌/即時中止/一時中断
- 血圧測定プロトコル:前後測定・体位・何分後を揃える
- 疼痛評価ハブ:強さ・生活影響・運動中の痛み対応を横断して整理
特殊トレーニング( IMT など)
現場の詰まりどころ(よくある失敗 → 直し方)
運動療法が続かない・効果が出ない原因は「強度」より先に、条件固定と共通言語が崩れていることが多いです。次回の調整につながる形に直していきましょう。
※スマホでは表が横にスクロールできます。
| よくある失敗 | 起きやすい原因 | 次回の一手(最小の修正) | 記録のコツ |
|---|---|---|---|
| 軽すぎる強度のまま数か月続く | フォーム不安/痛み不安/「安全側」に寄りすぎ | RPE を 1 段階だけ上げる(変数は 1 つ) | RPE と「フォーム破綻の有無」をセットで残す |
| 増量が感覚任せで、漸進できない | 増量ルールがない/記録が残らない | 2-for-2 など「増やすトリガー」をチームで固定 | 目標回数と実測回数を 1 行で残す |
| バイタルは測っているが、判断が揃わない | 測定タイミング・体位がバラバラ | 「いつ/どの体位/何分後」を固定し、同条件で比較 | 体位と経過時間(前・直後・ 3 分後 など)を必ず併記 |
| 運動中に痛みが出て、そのまま中断する | 痛みの種類(鋭い/鈍い)や許容域が不明 | 痛みを「強さ+誘発動作+残存時間」で短文化して共有 | 痛みが「その場だけ/翌日まで」かを残す |
| 同じメニューでも日によって反応が違いすぎる | 条件(時間帯・食後・薬・介助・補装具)が変動 | まず条件を固定( 3 つだけでも固定)して再評価 | 時間帯、食後、薬、介助量のうち該当をチェック式で残す |
よくある質問( FAQ )
各項目名をタップ(クリック)すると回答が開きます。もう一度タップで閉じます。
Q1. % 1RM が測れないとき、強度はどう決めますか?
% 1RM が難しい場面では、まず RPE(自覚的運動強度)を共通言語にするとブレが減ります。フォームが安定してきたら、RPE を 1 段階だけ上げる(変数は 1 つ)ことで、過負荷と漸進性を両立しやすくなります。負荷の決め方の型は 負荷設定( RPE ) にまとめています。
Q2. 有酸素の強度設定は、何を 1 つに固定するのが良いですか?
まずは「 RPE / Talk test /心拍」のうち、どれで追うかを 1 つに固定すると運用が安定します。加えて、測定タイミング(前・直後・何分後)と体位を固定すると、同条件比較ができるようになります。基本は 有酸素運動の運動処方( FITT ) を参照してください。
Q3. 運動中止の判断を、チームで揃えるコツは?
中止基準は「言葉」だけだと揃いません。測定(血圧・SpO2・症状)の条件を固定し、記録のテンプレを揃えると判断が一致しやすくなります。迷う場合は 血圧チェックの型 と 中止基準の目安 をセットで使うとブレが減ります。
Q4. 痛みがある人に運動療法を入れるとき、最初に決めるべきことは?
最初に「痛みの許容域」を言語化し、運動中の変化を「強さ+誘発動作+残存時間」で短文化できる状態にすると運用が安定します。痛み対応の整理は 疼痛評価ハブ にまとめています。
次の一手(回遊の出口を固定)
- 臨床手技・プロトコルハブ:手順 → 中止基準 → 記録の「横断まとめ」へ
- 呼吸・運動耐容能の評価まとめ:評価 → 介入 → 再評価をつなぐ
- 評価ハブ:他のスケールや評価設計に戻る(全体像)
運用を整える → 共有の型を作る → 環境の詰まりも点検(無料チェックシート)
マイナビコメディカルの無料チェックシートを見る臨床の学びと働き方の選択肢をまとめて整理したい場合は PT キャリアガイド も活用してください。
参考文献
- American College of Sports Medicine. Progression Models in Resistance Training for Healthy Adults. Med Sci Sports Exerc. 2009;41(3):687-708. doi:10.1249/MSS.0b013e3181915670
- Garber CE, Blissmer B, Deschenes MR, et al. Quantity and Quality of Exercise for Developing and Maintaining Cardiorespiratory, Musculoskeletal, and Neuromotor Fitness in Apparently Healthy Adults. Med Sci Sports Exerc. 2011;43(7):1334-1359. doi:10.1249/MSS.0b013e318213fefb
- Borg GAV. Psychophysical bases of perceived exertion. Med Sci Sports Exerc. 1982;14(5):377-381. doi:10.1249/00005768-198205000-00012
著者情報
rehabilikun(理学療法士)
rehabilikun blog を 2022 年 4 月に開設。医療機関/介護福祉施設/訪問リハの現場経験に基づき、臨床に役立つ評価・プロトコルを発信。脳卒中・褥瘡などで講師登壇経験あり。
- 脳卒中 認定理学療法士
- 褥瘡・創傷ケア 認定理学療法士
- 登録理学療法士
- 3 学会合同呼吸療法認定士
- 3 学会合同呼吸療法認定士
- 福祉住環境コーディネーター 2 級
専門領域:脳卒中、褥瘡・創傷、呼吸リハ、栄養(リハ栄養)、シーティング、摂食・嚥下


