23メッツ・時は「METs × 時間」で計算する
23メッツ・時の計算は、「活動の強度(METs)×実施時間(h)」で求めます。30分など分単位で計算するときは、メッツ・時=METs×分÷60とすると簡単です。
たとえば、3.0 METsの普通歩行を30分行った場合は、3.0×30÷60=1.5メッツ・時です。これを週5回行えば、1.5×5=7.5メッツ・時/週になります。
厚生労働省「健康づくりのための身体活動・運動ガイド2023」では、成人は3 METs以上の身体活動を週23メッツ・時以上、高齢者は週15メッツ・時以上行うことが推奨されています。ただし、これは健康づくりの一般的な目安であり、退院直後や身体機能が低い方、疾患・疼痛・運動制限がある方へ一律に当てはめるものではありません。
退院後の運動量まで含めて確認したい方へ
23・15メッツ・時は健康づくりの目安です。退院時には、現在の活動量、身体機能、疾患、医師指示、安全性を踏まえて開始量を調整します。
23 Exと23メッツ・時はどう違う?
1 Ex(エクササイズ)は1メッツ・時と同じ活動量を表します。「23 Ex」という表現は、厚生労働省の「エクササイズガイド2006」で使われていた表現です。
現在の「健康づくりのための身体活動・運動ガイド2023」では、活動量の単位として「メッツ・時」が使われています。そのため、本記事では現在の表現に合わせて「23メッツ・時」を基本とし、「23 Ex」は過去資料や検索時に出てくる同義の表現として扱います。
覚え方:1 Ex=1メッツ・時です。計算方法そのものは変わらず、「METs×時間」で求めます。
成人23・高齢者15メッツ・時を先に区別する
週23メッツ・時は、すべての人に同じように当てはめる数字ではありません。現行ガイドでは、成人と高齢者で身体活動量の推奨値が分けられています。
| 対象 | 身体活動の目安 | 具体的な目安 | ポイント |
|---|---|---|---|
| 成人 | 3 METs以上を週23メッツ・時以上 | 歩行または同等以上の身体活動を1日60分以上 | 約8,000歩/日以上に相当 |
| 高齢者 | 3 METs以上を週15メッツ・時以上 | 歩行または同等以上の身体活動を1日40分以上 | 約6,000歩/日以上に相当 |
| 体力のある高齢者 | 成人と同等の週23メッツ・時以上も選択肢 | 身体機能・健康状態に合わせて調整 | 一律に23を求めない |
特に高齢者では、15メッツ・時に届かない場合でも「意味がない」ということではありません。厚生労働省は、個人差を踏まえて強度や量を調整し、今より少しでも多く身体を動かすことを基本としています。
メッツ・時の計算式は2つだけ覚える
計算で必要なのは、活動のMETsと実施時間だけです。時間を「時間」で扱う場合と「分」で扱う場合の2つを覚えておけば、臨床や生活指導では十分対応できます。
時間(h)で計算
メッツ・時 = METs × 時間(h)
分で計算
メッツ・時 = METs × 分 ÷ 60
例:3 METsの普通歩行を30分行う
普通歩行を3.0 METsとして30分行った場合は、次のように計算します。
3.0 × 30 ÷ 60 = 1.5メッツ・時
これを週5回行う場合は、
1.5 × 5 = 7.5メッツ・時/週
となります。
途中計算では丸めず、最後に丸める
小数が出る場合は、途中で丸めず、週合計まで計算してから小数第1位程度に丸めると誤差を抑えられます。
たとえば3.5 METsの活動を20分、週4回行う場合、1回量は3.5×20÷60=1.1666…メッツ・時です。これを1.2へ丸めてから4倍すると4.8になりますが、元の値のまま4倍すると4.666…となるため、最終結果は約4.7メッツ・時/週です。
1メッツ・時は何分?強度から逆算する
1メッツ・時に必要な時間は、60÷METsで求められます。強度が高い活動ほど、短い時間で1メッツ・時になります。
| 活動強度 | 計算 | 1メッツ・時に必要な時間 |
|---|---|---|
| 3 METs | 60÷3 | 20分 |
| 4 METs | 60÷4 | 15分 |
| 6 METs | 60÷6 | 10分 |
| 8 METs | 60÷8 | 7.5分(約7〜8分) |
「1 Exは何分?」と聞かれた場合も同じ考え方です。1 Ex=1メッツ・時なので、3 METsなら20分、4 METsなら15分となります。
メッツ・時早見表|15・20・30・60分で計算する
時間が決まっている場合は、早見表からおおよそのメッツ・時を確認できます。実務では、活動条件に対応するMETsを決めてから、実施時間との組み合わせで計算します。
| METs | 15分 | 20分 | 30分 | 60分 |
|---|---|---|---|---|
| 3.0 METs | 0.8 | 1.0 | 1.5 | 3.0 |
| 4.0 METs | 1.0 | 1.3 | 2.0 | 4.0 |
| 4.3 METs | 1.1 | 1.4 | 2.2 | 4.3 |
| 5.0 METs | 1.3 | 1.7 | 2.5 | 5.0 |
| 6.0 METs | 1.5 | 2.0 | 3.0 | 6.0 |
厚生労働省のメッツ表では、生活活動の例として普通歩行(平地、67m/分)が3.0 METs、やや速歩(平地、93m/分)が4.3 METs、かなり速歩(平地、107m/分)が5.0 METsとされています。
ただし、「歩行」「掃除」「自転車」のような活動名だけでMETsを固定するのではなく、速度・負荷・実施条件に合う参照値を選ぶことが重要です。同じ条件を再評価する場合は、同じ参照値を使うと比較しやすくなります。
週23メッツ・時は複数の身体活動を合算して考える
週23メッツ・時は、1種類の運動だけで達成する必要はありません。3 METs以上の生活活動と運動を合算して週の身体活動量を計算します。
たとえば、次のように計算できます。
| 身体活動 | 強度 | 時間・回数 | 週のメッツ・時 |
|---|---|---|---|
| 普通歩行 | 3.0 METs | 60分 × 7日 | 21.0 |
| やや速歩 | 4.3 METs | 30分 × 1回 | 2.15 |
| 合計 | — | — | 23.15 → 約23.2メッツ・時/週 |
これはあくまで計算例です。「23」という数字をぴったり作ることが目的ではありません。特にリハビリテーション対象者では、現在の身体活動量からどの程度増やせるか、安全に継続できるかを優先します。
身体活動23と運動4メッツ・時を足して27にする必要はない
成人の「週23メッツ・時」と「週4メッツ・時」は、別々に足して27メッツ・時を目指すという意味ではありません。
「身体活動」は、家事・労働・通勤などの生活活動と、健康・体力の維持増進を目的とする運動を合わせた概念です。つまり、運動は身体活動の一部です。
| 項目 | 推奨量 | 何を含むか | 考え方 |
|---|---|---|---|
| 身体活動 | 3 METs以上を週23メッツ・時以上 | 生活活動+運動 | 週全体の身体活動量を見る |
| 運動 | 3 METs以上を週4メッツ・時以上 | 計画的・定期的に行う運動 | 23メッツ・時に含まれる |
たとえば週23メッツ・時の身体活動の中に5メッツ・時の運動が含まれていれば、「身体活動23」と「運動4」の両方を満たし得ます。23+4=27と二重に加算しないことがポイントです。
メッツ・時計算で間違えやすい5つのポイント
計算式自体は簡単ですが、実際には「何を合算したか」「どのMETsを使ったか」で結果が変わります。以下を固定しておくと、週ごとの比較がしやすくなります。
| 間違えやすい点 | 注意する理由 | 対策 |
|---|---|---|
| 分をそのまま掛ける | METs×30分ではメッツ・時にならない | 分で計算するときは必ず÷60する |
| 途中で毎回丸める | 週回数を掛けると誤差が大きくなる | 途中値を保持し、最後に丸める |
| 活動名だけでMETsを決める | 速度・負荷によって強度が変わる | 実際の活動条件に近い参照値を使う |
| 3 METs未満まで23に入れる | 現行推奨の週23は3 METs以上の身体活動が対象 | 23メッツ・時の集計対象を明確にする |
| 身体活動23と運動4を二重加算する | 運動は身体活動の一部 | 23の内訳として運動4以上を確認する |
リハビリでは23メッツ・時を「達成ノルマ」にしない
23・15メッツ・時は健康づくりの目安であり、個別の運動処方そのものではありません。特に退院直後や高齢者、慢性疾患、疼痛、転倒リスク、心肺機能低下があるケースでは、数値達成を先行させないことが重要です。
臨床では、まず現在の身体活動量を把握し、身体機能、症状、疾患特性、医師からの運動制限、補助具や介助の必要性などを確認します。そのうえで、活動時間・頻度・強度のどれを増やせるかを検討し、症状や翌日の反応を見ながら段階的に調整します。
臨床上の注意:胸痛、著しい息切れ、めまい・失神、動悸、急な体調変化などがある場合は、メッツ・時の目標達成より安全確認を優先します。疾患別の運動制限や医師指示がある場合は、それらを優先してください。
よくある質問(FAQ)
メッツ・時を計算するときに迷いやすいポイントをまとめます。
23 Exと23メッツ・時は同じですか?
活動量としては同じです。エクササイズガイド2006では、1 Ex(エクササイズ)=1メッツ・時として表現されていました。現行の「身体活動・運動ガイド2023」では「メッツ・時」という表現が基本です。
1 Exは何分ですか?
活動強度によって変わります。1 Ex=1メッツ・時なので、3 METsなら20分、4 METsなら15分、6 METsなら10分です。「60÷METs」で1メッツ・時に必要な分数を求められます。
普通歩行30分は何メッツ・時ですか?
普通歩行を3.0 METsとすると、3.0×30÷60=1.5メッツ・時です。週5回なら7.5メッツ・時/週になります。
家事も23メッツ・時に入りますか?
3 METs以上に相当する生活活動であれば、週23メッツ・時の身体活動量に含めて考えられます。ただし、家事は内容や負荷によってMETsが異なり、3 METs未満の活動もあります。活動名だけで判断せず、メッツ表で条件を確認します。
成人は23メッツ・時に加えて運動4メッツ・時、合計27必要ですか?
いいえ。運動は身体活動の一部なので、単純に23+4=27とするものではありません。成人では、3 METs以上の身体活動を週23メッツ・時以上行い、その中で3 METs以上の運動を週4メッツ・時以上行うという整理です。
高齢者も23メッツ・時を目標にしますか?
現行ガイドの高齢者の基本的な推奨は、3 METs以上の身体活動を週15メッツ・時以上です。体力のある高齢者では成人と同等の23メッツ・時以上も選択肢ですが、身体機能や健康状態に合わせて調整します。
計算できたら週単位で記録して変化を見る
メッツ・時を計算できたら、次は「週合計がどう変化したか」を確認します。1日だけの値ではなく、同じ活動条件で週単位に整理すると、活動量が増えたのか、特定の日だけ増えたのかを判断しやすくなります。
参考文献
- 厚生労働省. 健康づくりのための身体活動・運動ガイド2023. 2024. PDF
- 厚生労働省. 「健康づくりのための身体活動・運動ガイド2023」推奨シート:成人版. 健康日本21アクション支援システム. Web
- 厚生労働省. 「健康づくりのための身体活動・運動ガイド2023」推奨シート:高齢者版. 健康日本21アクション支援システム. Web
- 厚生労働省. メッツ / METs. 健康日本21アクション支援システム. Web
- 厚生労働省. 健康づくりのための運動指針2006(エクササイズガイド2006)関連資料. Web
著者情報
rehabilikun(理学療法士)

rehabilikun blogを2022年4月に開設。医療機関/介護福祉施設/訪問リハの現場経験に基づき、臨床に役立つ評価・プロトコルを発信。脳卒中・褥瘡などで講師登壇経験あり。
- 脳卒中 認定理学療法士
- 褥瘡・創傷ケア 認定理学療法士
- 登録理学療法士
- 3学会合同呼吸療法認定士
- 福祉住環境コーディネーター2級
専門領域:脳卒中、褥瘡・創傷、呼吸リハ、栄養(リハ栄養)、シーティング、摂食・嚥下

