摂食機能療法の記録テンプレ|直接・間接の書き分け

栄養・嚥下
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摂食機能療法の記録は「型」を決めると迷いが減ります

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教育体制・記録文化・標準化が整うと、 摂食機能療法の設計も回りやすくなります。

PT キャリアの全体像を 5 分で見る

摂食機能療法の記録が難しく感じるのは、文章力よりも「何を固定して、何を 1 つだけ変えたか」が書けていないことが原因になりがちです。記録が安定すると、次回の計画が自然に出て、チーム共有も速くなります。

この記事では、直接と間接で迷いにくい記録テンプレを用意し、さらに中止・中断した日の書き方までまとめます。直接/間接の考え方の整理が先に必要な場合は、直接嚥下訓練と間接嚥下訓練の違いで全体像を確認してから戻るとスムーズです。

結論:目的 → 条件 → 反応 → 次回 1 手で回す

記録の最小構成は、目的(今日の狙い)条件(何を固定したか)反応(何がどう変わったか)次回 1 手(次に変える 1 点)の 4 つです。これだけで「書ける」状態になり、引き継ぎも強くなります。

コツは一貫して 1 つで、変更は 1 つだけにします。直接でも間接でも、変更点が複数になると「何が効いたのか」が残らず、計画がブレます。

まず押さえる 3 点

摂食機能療法は、実施内容だけを書いても評価されにくい場面があります。次の 3 点をそろえると、記録の筋が通ります。

摂食機能療法の記録で軸になる 3 点(目的・条件・反応)
何を書く
目的 今日「何を変える日」かを 1 行で 咳嗽が弱いので、 排痰と呼気を整える
条件 姿勢・環境・負荷など、固定した前提 座位保持可、 休息あり、 実施は午前
反応 変化(良い/悪い)と、 次回に使える成功条件 後半で疲労増、 休息を増やすと安定

テンプレ ① 間接嚥下訓練(目的別)

間接は「とりあえず体操」になりやすいので、目的 → 所見 → メニューを 1 行でつなげてから実施すると安定します。回数や負荷もセットで残すのがポイントです。

間接嚥下訓練の記録テンプレ(目的別)
目的(例) 所見(例) 実施(書く項目) 記録例( 1 行)
姿勢の土台 座位が崩れる 姿勢・支持、 実施時間、 介助量 座位 10 分、 体幹支持で安定、 後半は崩れやすい
呼吸・咳嗽 痰が多い、 咳が弱い メニュー、 回数、 休息、 痰の変化 随意咳 5 回× 2、 呼気を意識で改善、 痰は少し出やすい
口腔機能 舌の可動性低下 運動内容、 回数、 代償の有無 舌の左右運動 10 回、 代償少なく実施可
筋力・耐久 継続が難しい 負荷(回数・セット)、 疼痛・疲労 回数は控えめで継続可、 疲労は軽度
感覚入力 反応が遅い 刺激方法、 実施タイミング、 反応 刺激後に反応が速い傾向、 次回も同条件で確認

テンプレ ② 直接嚥下訓練(条件の固定が主役)

直接は、食形態や一口量を変えるほど比較が難しくなるため、まずは成功条件を固定してから、変更を 1 つだけ行います。書くべき要素を固定すると、引き継ぎが強くなります。

直接嚥下訓練の記録テンプレ(固定条件と変更点)
項目 書くこと
目的 今日の狙い(効率/残留/タイミングなど) 少量で成功条件を作る
固定条件 姿勢・環境・介助の前提 座位安定、 注意分散少、 介助は最小
食形態 形態を明記(変えるなら理由も) ゼリー少量
一口量・ペース 量、 間隔、 休息 少量、 休息を挟む
手技・頭位 実施した手技、 頭位 手技なし、 頭位は固定
反応 むせ、 湿性嗄声、 呼吸、 SpO2 、 疲労 むせなし、 後半で疲労増
変更点( 1 つ) 今回変えた 1 点だけ 休息間隔を増やす
次回 1 手 次に変えるのも 1 つだけ 量は固定で、 ペースのみ調整

テンプレ ③ 中止・中断した日の書き方(兆候 → 調整 → 判断)

中止・中断は「やめた」だけで終えると、次回も同じ迷いが出ます。兆候 → 調整 → 再評価 → 判断を 1 セットで残すと、次回の設計に使えます。

中止・中断時の記録テンプレ(最小)
項目 書く内容
兆候 何が出たか(むせ、 湿性嗄声、 呼吸、 SpO2 、 疲労) 後半でむせ増、 呼吸数 ↑
調整( 1 つ) 条件を 1 つだけ戻す/変える 一口量を下げる
再評価 調整後に兆候がどう変化したか むせ減、 呼吸は安定
判断 継続/中断/中止(理由も 1 行) 当日は直接終了(疲労が強い)
次回 1 手 次は何を 1 つ変えるか 休息間隔を増やして再試行

現場の詰まりどころ:よくある NG と回避策

記録が崩れるパターンはだいたい決まっています。NG を表にしておくと、チームで共通言語になり、引き継ぎが速くなります。

摂食機能療法の記録で起きやすい NG と対策(記録ポイント付き)
よくある NG なぜ起きる 対策 記録ポイント
目的が書けず、実施内容だけ残る 今日の狙いが未設定 目的を 1 行で固定してから実施 目的( 1 行)+ 次回 1 手
変更点が複数で比較できない 焦って同時に調整してしまう 変更は 1 つだけ(優先順位を決める) 今回変えた 1 点を明記
間接が「体操メニュー集」になる 所見とメニューがつながらない 目的 → 所見 → メニューを 1 行でつなぐ 狙い、 回数・負荷、 達成度
中止時に「中止」だけで終わる 次回設計につながらない 兆候 → 調整 → 再評価 → 判断を残す 兆候、 調整 1 つ、 再評価

よくある質問

各項目名をタップ(クリック)すると回答が開きます。もう一度タップで閉じます。

Q1. 記録が長くなって続きません

A. 最小構成(目的 → 条件 → 反応 → 次回 1 手)に戻すと短くなります。特に「変更は 1 つだけ」を守ると、文章量が自然に減ります。

Q2. 間接の記録は何を書けば評価されますか?

A. メニュー名よりも、目的と所見がつながっていること、回数・負荷が書けていること、達成度と次回の進行条件が残っていることが重要です。

Q3. 直接の記録で一番大事なのは何ですか?

A. 食形態と一口量、姿勢、ペースを「固定条件」として残し、今回変えた 1 点が分かることです。これが揃うと、引き継ぎが一気に楽になります。

Q4. 中止・中断した日はどう書けば良いですか?

A. 兆候 → 調整( 1 つ) → 再評価 → 判断を 1 セットで書きます。「中止」だけで終えないことが、次回の安全域を広げる近道です。

次の一手

運用を整える → 共有の型を作る → 環境の詰まりも点検まで一気に進めたい方は、こちらも一緒にどうぞ。

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参考文献

  1. American Speech-Language-Hearing Association. Adult Dysphagia (Practice Portal). ASHA
  2. Logemann JA. Approaches to management of disordered swallowing. Baillieres Clin Gastroenterol. 1991;5(2):269-280. doi:10.1016/0950-3528(91)90030-5. PubMed
  3. National Rehabilitation Center for Persons with Disabilities. Dysphagia Rehabilitation Manual. PDF

著者情報

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rehabilikun(理学療法士)

rehabilikun blog を 2022 年 4 月に開設。医療機関/介護福祉施設/訪問リハの現場経験に基づき、臨床に役立つ評価・プロトコルを発信。脳卒中・褥瘡などで講師登壇経験あり。

  • 脳卒中 認定理学療法士
  • 褥瘡・創傷ケア 認定理学療法士
  • 登録理学療法士
  • 3 学会合同呼吸療法認定士
  • 福祉住環境コーディネーター 2 級

専門領域:脳卒中、褥瘡・創傷、呼吸リハ、栄養(リハ栄養)、シーティング、摂食・嚥下

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